『仮面ライダーアギト』
47話 天空の怪! 
2001/12/30 放映

(Story)
   ヤマアラシ怪人(エリキウス・リクォール)を倒し、木野が死んでから1か月が経った。
 氷川の目にはその後異常はなかったが、アンノウンが1か月にわたって出現しなかったことから、警察上層部ではアンノウンが絶滅した可能性もあると考え、G3ユニットを一時活動停止して今後のあり方を検討することにした。
 これにより、氷川は捜査一課、尾室は交通課に異動することになった。

 一方翔一は、調理師学校時代の講師だった倉本に偶然再会し、倉本の経営するレストランに住み込みで働くよう誘われる。

 そしてそんなころ、青年が空に手をかざして梵字の力を使うと、アンタレスが移動し始めた。
 アンタレスの突然の移動を観測した天文台は大騒ぎになる。

 その夜、翔一は倉本の申し出を受けて美杉邸を出ていく旨を美杉教授に告げ、涼に挨拶に行く。
 涼もまた行きつけのバイク屋でバイトすることにしていた。

 翌日、雑踏を歩いていた沢木の周りで時間が止まり、目の前に青年が現れた。
 青年は
  君に言っておかなければならないことがあります
  私は人間の中のアギトの力を憎んできました
  アギトを滅ぼす使者として、自ら命を絶った君を復活させた
  あなただけではない
  人間という種そのものに、私は裏切られたようだ
  もう1度、最初からやり直しましょう

と言って姿を消した。
 そして氷川は河野と共に、何かに取り憑かれたようにものを食べ続けて死んだ男のアパートに来ていた。
 氷川は、男の不可思議な自殺の仕方に疑問を抱く。
 その男は、自分そっくりな男を見ていたのだが、氷川達はそのことを知らなかった。

 その夜、ある男が、森の中で光を纏いながら浮かぶ青年を見た。
 すると、青年の身体から風のエルが現れ
  見たな
  ここは聖地。人間の来るところではない

と言って、逃げた男を追い掛ける。
 エルの放った光の矢が男に命中し、男は服を残して消滅した。
 それを偶然目撃した涼は、変身してエルと戦うが、圧倒的なエルの力に手も足も出ない。
 エクシード化してなお歯の立たないギルスは、エルの起こした風で吹き飛ばされ、ビルの屋上から落ちていく…!


(傾向と対策)
 いよいよ最終決戦迫る!
 前回、アギトの力を失った翔一に殴られたことで、アギトだけでなく普通の人間も自分の予測を超えた存在になりつつあることを知った青年は、沢木に最初からやり直す決意を伝えた。
 これは要するに、人類全体を一旦滅ぼしてもう1度人間を生み出し直すということであると考えられる。
 青年が何かをしている森(竹林に見えるんだけど…)の中では、その準備が行われているんだろう。
 ただ、青年がアンタレスを動かしてどうするつもりなのかが分からない。
 蠍座の人間が自殺していることとどういう関係があるのだろうけど、これもまたアンノウンの仕業とも思いにくい。
 青年が人間のコピーを作っているんだとしたら、こっそりすり替えていくのが筋だし、恐らく青年はそんなちまちましたやり方ではなく、一気に人間を消し去って作り直すという方法を採ると思う。
 今回の描写では、どちらかというとドッペルゲンガーに近い印象を受けた。
 まぁそれでどうして食いまくり自殺になるのか分からないんだけど。
 で、今回はOPテロップでしか名前の出なかった水原リサは、バイクに蠍座が書いてあるくらいだから当然蠍座で、次に狙われる、というか自殺対象者になりかねない人間なのだろう。
 どうも
  もう1人の自分
  蠍座のアンタレス

というのが今回のキーワードらしいのだけど、実はネーミング的に結構引っかかるものがあるのだ。
 アンタレスは1等星(正しくは0.8〜1.8等の変光星)の赤色巨星だが、その名はアンチアレス(火星に対抗する者)という意味だ。
 火星と同様に赤い星で、しかも近くに見えるために赤さを競っているようだということでこの名が付いているのだが今回の“もう1人の自分”といった描写に沿っていると言える。
 そして、射手座はアンタレスに向けて矢をつがえているので、風のエルの武器が弓矢なのもこの辺に引っ掛けていると思われる。
 しかも、翔一が働いているレストラン(イタリアンかな?)の名前はどうやら『Mars(火星)』らしい。
 恐らくそのこと自体はネーミング上のお遊びだと思うけど、何かのダブルミーニングだったりしたら楽しいな。
 ただ、アンタレスって500光年も離れているのよね〜。
 あんなもんが動いたのが観測されたってことは、500年前から動いていたってことになるんで、演出上の間違いよね。
 あの天文台らしきところが大騒ぎしていることが、この先ちゃんと本編に絡んでくれないと、無意味なポカになっちゃうよ。

 さて、実習であんこのスパゲッティを作るなど、昔から突飛な料理ばかり作っていたらしい翔一だけど、やはり腕は確かだったらしい。
 でも、やっぱりというか、誰も翔一のこと名前で呼ばないのね。
 本名の沢木哲也で働いているはずだから当然と言えば当然なんだけど、岡村可奈との会話を延々名前を呼ばずにやっていくつもりなんだろうか。
 ポジション的にはともかく、一応翔一の方が後輩だから「先輩」とは呼べないし、代名詞だけでやってく気かな?

 一方、非常にやばい状況なのがG3ユニットだ。
 “狡兎死して走狗煮らる”じゃないけど、アンノウンが出てこないなら、金食い虫部署を潰したくなるのは道理。
 2話で北條が言っていた、解散の危機が再びやってきたというわけだ。
 ただ、青年の存在自体はG3-Xのモニター映像に映っていたわけだから、アンノウン関係者が全滅したわけでないことは明白だ。
 たとえビデオに映らなくとも、小沢、尾室、北條、氷川は見ている。
 最近の北條の動向からすると、氷川を陥れてまで何かするとも思えない。
 アギトの大量発生を危険視する北條としては、アンノウンのことよりアギト候補者の処理問題の方が重要かもしれないけど…。
 過去にアンノウンに狙われたことのある人物は、全員アギト予備軍だということを北條や警察上層部は知っている。
 どういう方策で動くつもりなのかは分からないが、強攻策を採ったりすると、すごい状況になることが予想されるけど…。
 そういえば、尾室は白バイ警官になっていたけど、実は白バイ警官って相当な運転技術を要求されるという話だ。
 白バイ隊員は、一定距離で追尾し続けるという技術を持っていないとなれないらしい。
 まんまとリサに逃げられてしまったことについては、それだけリサが凄いという描写なのか、所詮尾室という描写なのか分からないが、本来白バイに追われたらまず逃げられないんだそうな。

 そういえば、沢木はやはり死んでいたんだね。
 でも、沢木の死はどんなに遅くてもあかつき号事件前後のはずだけど、どうして青年はちゃんといるの?


 さて、今回の見所は“翔一と離れたくない太一”だろうか。
 翔一が出ていくと言ったとき、太一は
   今まで世話してやったんだ、もっと世話になれよ
と言っている。
 口は悪いけど、翔一と離れるのが寂しいんだね。


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