『仮面ライダーアギト』
第41話 光と闇
2001/11/18 放映
(Story)
G3-Xと協力して俊足を誇るジャッカル怪人(スケロス・グラウクス)を倒した翔一が家に帰ると、既に北條は帰った後だった。
真魚に『雪菜』という人物について聞かれた翔一だったが、名前に覚えはなかった。
真魚は、北條が持っていた手紙が、翔一が記憶喪失で発見されたときに持っていた封筒の中身だったのではないかと考えるが、翔一はそんなものを北條がどうして持っているのかと気にも止めなかった。
真魚は、手紙に触れたときに浮かんだ嵐の中に浮かぶ黒服の少年と晴天の空に浮かぶ白服の少年が対峙する姿が、翔一の過去に関係があるのかと悩む。
翌日、翔一は氷川に呼び出され、涼の人柄や変身できるようになった理由について聞かれた。
翔一は、涼も変身できるようになった理由については分からないと言っていたと告げ、涼のことを他人、特に北條には教えないでくれと口止めするのだった。
そのころ、エクシードギルスにやられたダメージが回復していない木野の元に、城南医大から手術の執刀依頼が入っていた。
木野は、止めようとする真島に
お前には分かるまい
俺にとって、全ての患者は雅人なんだ
と言って出掛けていく。
また病院では、謎の青年の中に吸収された水のエルの球体が青年の身体から出ていた。
そして、球体の中のエルを見ながら、青年は
もう少しですね
アギトが限りなく進化する力なら、あなたも進化する存在だ
さぁ
と、再び体内に球体を吸収していく。
そして沢木は、自宅の鏡に写った雪菜の最期を見せられ、青年と対峙する。
一方翔一は、先日涼や氷川、自分を襲った木野薫なる人物もまたアギトであることを知り、木野に会うため、涼を訪ねる。
涼は、氷川に
これ以上俺達に関わらない方がいい
アンタは普通の人間だ
俺達とは違う
と言う。
涼を加えた3人は、真島を訪ね、真島の口から木野が弟を冬山で失った過去を聞いた後、城南医大に向かう。
涼は、翔一と氷川に
恐らく木野薫は、奴の助けを必要とする全ての人達を弟に重ね合わせているんだろう
患者に限らずアンノウンに襲われる人々もな
奴は過去を償おうとしているんだ
過去を償うためには、自分の手で人々を救わねばならない
俺達は邪魔者ってわけだ
と言った。
それを受けて、翔一は手術を終えた木野を追いながら、過去に拘るのを辞めるよう言うが、木野は
記憶喪失になる前は、お前も過去に拘っていた
と冷たく言い放つ。
そのとき、再び青年の体内から出現した光球が木野と翔一の前に現れ、水のエルの姿になって翔一達に襲い掛かった。
また、変身できるようになった理由を尋ねてくる氷川を殴り飛ばして立ち去った涼も、エルの出現を察知して走り出し、氷川もアンノウン出現の連絡を受けて出動する。
それぞれ変身してエルに対峙するギルス・アナザーアギト・アギト・G3-Xだったが、進化を遂げたエルに歯が立たない。
そして、エルによって軌道を変えられたアナザーアギトのキックがアギトに命中し、吹っ飛ばされて変身の解けた翔一の脳裏に、記憶がフラッシュバックした。
(傾向と対策)
今回は、えらく密度の濃い話だった。
木野の行動原理、ホムンクルス1号の理念、沢木とホムンクルス1号の対峙、エルの復活、翔一の記憶復活(だろうな、やっぱ)と盛り沢山だ。
木野の行動原理については、涼の予測という形で代弁されているとおり、自分の手で救わなければならないという想いから、他者を邪魔者にしているのだ。
いざというときに右手が痛むのは、そういったねじ曲がった部分についての良心の呵責のせいなのだろう。
雅人の意志が右手に宿っているということはないと思う。
そしてホムンクルス1号だが、アギトになる可能性のある者を滅ぼしたいけれど、自分で手を下すのは心が痛むので、他者に任せているということらしい。
沢木との対峙を見ると
青年「君は、この世に生まれた最初のアギトを殺した。
そうして、この私に永遠の忠誠を誓ったのです。
君は人間の側からアギトを滅ぼさなくてはならない」
沢木「やりたければ自分でやったらどうだ。
アギトを滅ぼすことなど、あなたの力なら簡単なはずだ」
青年「以前、私はアギトになる可能性のある者を手に掛けたことがあります。
あの時の痛みがまだ私の中に残っている。
なぜなら、人は私の子供だからです」
沢木「あなたは人を愛しながら、人の中のアギトである部分を憎んでいる。
滑稽だな」
青年「知ってますよ、木野薫という第3のアギトが誕生しましたね。
私には彼の悲しみが見える。
君と彼は同じです。
君も彼も過去を償おうとしている。
でも無駄なことです・
愚かなことだ」
となっている。
つまり、沢木は最初のアギト=雪菜を結果的に死なせたことから、アギトを殺す人間という役割を振られたらしい。
アギトを殺す人間以外の存在がアンノウンということなのだろう。
ホムンクルスは、かつて三浦智子を殺したことで“人間を殺した”という心の傷を負った経験から、自分で手を下すことを避けているらしい。
普通、他人に命じて殺させても同じことではないかと思うのだが、彼にとっては違う意味になるらしい。
また、『木野薫という第3のアギト』というセリフは、雪菜、翔一に次ぐ3人目という意味のはずだから、やはりギルス=涼は含まれていないようだ。
真島のアギトになる力を受け継いでパワーアップしたのに、エクシードギルスはあくまでアギトとは認められないようだ。
やっぱベルトで変身しないのが悪いのかしら。
次にエルの復活だが、光球になって1号の体内に吸収されたのは、傷を癒して進化するためだったようだ。
あかつき号事件の後も、関谷真澄の体内に潜んで暫く自由が利かなかったことがあるから、傷を癒したりするのに人間の体内に入り込むことはあるようだが、今回の場合は進化しているという話だから、若干ニュアンスが違うのかも。
あの梵字モドキを使ってたし、能力を少し分けてもらったのかも。
1号の身体は保護外殻代わりかい?
で、パワーアップしたエルは、GX-05ランチャーモードの弾丸を止めてギルスにぶつけたり、杖を使ってアナザーのキックを方向転換させたりしている。
それにしても、エルに対してノーマルのギルスで挑んだり、グランドフォームで挑んだりする涼や翔一は馬鹿としか言いようがない。
ギルスもグランドも、かつてエルにこっぴどく負けている。
バーニングで倒したつもりだったとしても、外見からしてエルと同格程度の存在であることは分かるはずだ。
もしかしたらギルスは自分の意志だけでエクシードになれないのかもしれないが、少なくとも翔一はバーニングに変身するべきだろう。
エルが強くなった気があまりしないので損している。
で、翔一はアナザーのキックを食らったことで記憶を取り戻したようだが、これまでの情報と次回予告を総合すると、あかつき号事件は、白い服の少年と黒い服の少年の対決の余波から始まっているように思われる。
それぞれが成長して白服の青年・黒服の青年になり、あかつき号内で戦って白服が負けたのではないだろうか。
予告で階段の踊り場で倒れているのは、そいつのような気がする。
そして、そいつが言い残した言葉が
いずれ、人間の中で私の力が目覚める
で、それによってあかつき号の面々は自分達がやがてアギトになることやその使命を知ったのかもしれない。
黒服の青年が梵字を出すように、白服の青年はアギトの紋章を出していたのかも。
で、鷹羽が以前予想したとおり、あかつき号上で翔一はアギトに変身してエルと戦い、破れて海に落ちたものの、エルも深手を負って真澄の体内に避難した、と。
さて、「殴らない」と言ったばかりの涼にまた殴られてしまった氷川だが、あれはやっぱり「私もアギトになりたいのかもしれません」がまずかったんだろうな。
変身するようになったばかりにひどい目にばかり遭ってきた涼にとって、何も知らない人間が「僕もなりたい」とか言ったら、そりゃ腹も立つだろう。
氷川にはちっとも分からないだろうけど。
今回の見所は“両手にソフトクリームを持っている翔一”だろう。
話の流れから言って、当然アレは氷川の奢りのはず。
で、翔一が「バニラとチョコ、両方食べたい」とか言い出して、両手に持つことになったんだろう。
鷹羽はやったことがないけど、両方を一口ずつ食べたりしても美味しいものだろうか?