『仮面ライダーアギト』
40話 共同戦線! 
2001/11/11 放映

(Story)
   アギトが翔一だったことを知って驚く氷川の目の前で、アナザーアギトは翔一を踏みつけてGM-01の引き金を引こうとする。
 そのとき、雄叫びと共にエクシードギルスに変身した涼は、背中の触手(ギルススティンガー)でアナザーアギトを捕らえ、動きを封じて攻撃する。
 バーニングフォームに変身して加勢しようとする翔一を
   手を出すな! コイツとのケリは俺が付ける!
と制したエクシードギルスがトドメを刺そうとした瞬間、真島の
   葦原さん、殺さないで!
という叫びが上がり、エクシードギルスはトドメを刺さずに蹴り飛ばすだけに留めた。
 変身を解いた涼は、海に落下したアナザーアギトを追うかのように海に飛び込む。

 その夜、氷川はアギトの正体を知りながら黙っていた小沢に苛立ちをぶつけ、翔一はアギトの正体について幻想を抱いている氷川がガッカリしているだろうと気にしていた。
 そして、海に沈んだ木野を助け上げた涼は、彼に
   覚えているか、前に俺に言ったっけな
   敵はアギトになるかもしれない人間を狙っている
   俺達と同じ運命の人達を助けたいと
   アンタの意志は俺が継ぐ

と言った。

 翌日、アギトである翔一にどう接していいのか分からない氷川は、小沢や北條に相談する。
 北條は、悩む氷川に
   私に言わせれば、あなたもまたアギトだ
   G3-Xを装着したときのあなたは、アギトに匹敵する力を持っているはずだ
   同じアギトとして、力を合わせてアンノウンと戦っていくべきだと思います

と諭す。
 その言葉に勇気づけられた氷川は翔一を訪ねるが、相変わらず飄々とした翔一の態度にイライラする。
 そのとき、新たなアンノウン(スケロス・グラウクス)が現れ、それを察知した翔一は美杉邸を飛び出し、氷川にも連絡が入る。

 俊足を誇るグラウクスは、G3-Xとアギトの攻撃を巧みに避けて逃げまくる。
 アギトはマシントルネイダー・スライダーモードにG3-Xを載せてグラウクスと併走しながらGX-05を撃つ作戦でグラウクスを撃破した。

 一方、北條は木野の家の中から「よろしくお願いします。津上翔一様。雪菜」と書かれた手紙らしきものを発見し、美杉邸を訪ねていた。
 それを手にした真魚の脳裏に、嵐の中に浮かぶ黒服の少年と晴天の空に浮かぶ白服の少年が対峙する姿が浮かんだ。
 
 
(傾向と対策)
 テレビ初登場のエクシードギルスは、初登場に相応しく圧倒的な強さを見せた。
 これまでギルス・アギト(グランド&ストーム)・アンノウンを圧倒してきたアナザーアギト(しかも飛び道具持ち)を一方的に叩きのめし、とどめを刺せるところまでもっていったのだから、その強さの描写は十分だろう。
 劇場版で大活躍だったギルススティンガーもアナザーアギトを完璧に捕獲していたし、一度痛い目に遭わされたGM-01への警戒を怠らず、車の爆発で注意を逸らせておいて忍び寄り、まず武器を奪ってから痛めつけているところもクレバーでいい。
 面白かったのは、真島の「殺さないで!」の声に反応するかのようにギルススティンガーが収縮したことだ。
 鷹羽は、最初は真島の力を受けてパワーアップしたから真島の意志を受けて勝手に戻ってしまったのかと思った。
 まぁ、よく見れば涼の躊躇いの結果としてトドメを刺さずに蹴り飛ばしたという形だったことが分かるのだが。
 そして変身を解く際、アギトやアナザーアギトがベルト部分が光るのに対し、エクシードギルスは頭と胸の玉状の部分が光っているのも面白い。
 あくまでアギトの変種という立場を貫いているようだ。
 次回は再びノーマルのギルスに変身しているようだから、アギト同様、自由に形態を選べるということなのだろう。

 アギトの方はと言えば、エクシードギルスを援護しようとしたとき、バーニングに変身しようとしている。
 これはグランドやストームで破れていることから、より強い形態で戦おうとしているものと思われるが、だったらどうして最初からバーニングにならなかったのかという疑問が残る。
 これは、バーニングになることのデメリットが存在しない故の疑問だ。
 つまり、ストロンガーのチャージアップのタイムリミット(1分間)のような弱点がなく、クウガでの各フォームのような一長一短が明確でないことによって生じる問題なのだ。
 一応、スペック上はバーニングはアギトの全フォーム中で最も遅い形態なのだが、画面で見る限りバーニングの動きが遅いという感じはしない。
 そのため“アナザーアギトに対してスピードのないバーニングは避けたな”という気がしないのだ。
 第一、バーニング最初の犠牲者となったカマキリ怪人(プロフェタ・クルエントゥス)は、結構素早かったような気がする。
 これは、元々アギトの戦い方がカウンターアタック的な部分の強いものだからだろう。
 ストームハルバードに匹敵する長射程のシャイニングカリバーを持つバーニングがある以上、今更グランドやストームの出番はないと思うのだが。

 ただ、翔一の共闘作戦のアイデアは良かったと思う。
 ちょっと広めの所にグラウクスを誘い出し、スライダーモードで併走してGX-05を連射というのは、結構有効だ。
 たとえ避けられても流れ弾になるだけで実害(自分達への)がない。
 うっかりキックで行って避けられると後が続かないから、この点では巧かったと思う。
 でも、よくG3-Xが落っこちなかったな〜。
 姿勢制御がいいのかしらね? 氷川だったら絶対落ちる
 でも、翔一ってどうしてG3-Xより遅く到着したんだろう?
 前回氷川に注意されたのは、アギトだと知られていなかったからで、今回なら、スピード違反したって「アンノウンが出たんです!」の一言でOKだろう。
 まさか走ってきたとか?
 だとすると、トルネイダーもギルスレイダー同様に勝手に変形して走ってくる能力があるのかな?
 それにしても、氷川に正体を隠していたのが、アギトに幻想を抱いている氷川にショックを与えないためだったとは…びっくり。
 お陰で、アギトとG3-Xの姿でまでお笑いコンビになってしまった。

 さて、ここんとこ男下げまくりの氷川君ですが、G3-X着て詰め寄られちゃあ小沢もビビるってもんです
 ありゃホントに殺しかねない雰囲気だったし。
 OPのアレもそんな感じなのかな。
 周りが見えなくなるタイプだからといって、氷川の場合ギャグにしかならないのが可哀想かも。
 栗を殻ごと食べなくったって、ねぇ。

 反対に男を上げまくっているのが涼だ。
 倒した木野に敢えてトドメを刺さず
   一度はあんたと共に戦おうと決心した
   俺の心に火を灯した人間だ
ときて、「俺はお前の命を狙ったんだぞ」と言う木野に
   裏切られることには慣れてる
   だが、あんたは自分で自分を裏切った
と答えるかっこよさ。
 そして、最後に
   あんたの意志は俺が継ぐ
と、なんだか1人で正義の味方してる。
 ホントに何もかも失うだけ失って、ようやく見付けた生きる意味だからね。
 涼が一番仮面ライダーっぽいと言われるのも頷ける。
 今回のことで、木野が仲間になる可能性も出たし。

 一方、なんだかどんどんいい人になっていく北條もいい味出していた。
 悩む氷川に
   別にアギトが津上翔一でもいいではありませんか
   彼は悪い人間ではありません
   私に言わせれば、あなたもまたアギトだ
   G3-Xを装着したときのあなたは、アギトに匹敵する力を持っているはずだ
   同じアギトとして、あなたと津上翔一、力を合わせてアンノウンと戦っていくべきだと思います

と諭し
   今は個人的な感情を云々している場合ではない
   人間という種そのものにとてつもない異変が起こっているのかもしれない

と言って、真実に近付く道、あかつき号関係の謎を解こうとしている。
 まぁ、留守宅である木野の実家らしきところに無断で忍び込み、見付けた手紙をこっそり持ってくるのはまずいと思うけど、非常事態だからということでいいのか?
 ドラクエの勇者も、他人の家の引き出しを勝手に開けて中身を盗んでくるし。
 ま、裁判では使えなくなるけど、非合法手段での情報収集も刑事の裏技と言えるしなぁ。
 あの手紙は、恐らく翔一が持っていた封筒の中身だろう。
 そして、木野はあかつき号の中で中身を入手したのだろう。
 どうやって入手したのかは分からないが、翔一が何かのおり(エルに襲われたときとか)に落としたのを拾ったのかもしれない。
 当時は、盗んでまで手に入れるほどの重要性はなかっただろうし。
 あれは多分、雪菜が沢木(本当の津上翔一)に解読を依頼した古文書の写しか何かだろう。
 なんとなくアルファベットを別の文字に置き換えただけという感じも受けるが、もしかしたら本当にどこかの宗教関係の古文書から持ってきた文章かもしれない。
 古い英語の文章だと、変なアルファベットを使っていることもあるから、そういうのも関係しているのかも。
 ただ、雪菜がそれを用意しておきながら発送しないままに持っていた(遺品になっていた)ことの意味も考えないといけない。
 送る前に自殺したのだとしたら、もしかしたら遺書を兼ねているかもしれない。
 遺品として津上(本物)の目に触れることを期待したのなら、あれを解読して貰うことが最後の望みだった可能性すらあるのだ。
 そして、それを手にした真魚に白と黒の少年の対峙が見えたということは、雪菜がそのようなビジョンを見ていたか、あの文章の中にそれを示唆する内容があるかのどちらかだろう。
 白い服の少年がアギトの力を象徴するものだとしたら、アギトとアンノウン側の対峙を意味しているのかもしれない。
 でも、北條が翔一に逆行催眠をかけたときに「お姉さんの名前は?」とか「あの人とは誰です?」とか聞いていればよかったのに。
 当時、北條は翔一の記憶喪失のことを知らなかったはずだから、『津上翔一』が翔一の本名だと思っていただろうけど、聞いていたら、きっと「雪菜」と「津上翔一」という答えが返っていたんだろう。
 惜しかったねぇ。

 さて、今回のジャッカル怪人(スケロス・グラウクス)だが、スケロスは以前も出たとおりヤブイヌの学名で、グラウクスはラテン語で青という意味らしい。
 「らしい」というのは、Glaucusという単語自体は見付けられなかったためで、アオザメやらアオミノウミウシやらの学名に共通する部分だったから「青」を意味するんだろうと理解したわけ。
 ま、左肩が青かったからきっとそういうことなんだろう。
 以前のスケロス・ファルクスが3週も生きながらえたのに対して、たった1週で終わりというのは悲しかった。
 俊足だけにあっという間の退場ということで…。
 ちなみに、どうやって殺しているのかよく分からなかったが、両手に持った三日月型の剣みたいな武器を交差して殺していたようだ。
 2人目のターゲットを護衛していた刑事(演:土屋大輔!)は、それを腕で受けたのに無傷だった。
 えらく固い身体だ…。

 さて、今回の見所は“大人物になりつつあるのに小沢には拘る北條”だろう。
 氷川に対して
   物事は大きな目で見なければいけないということですよ
と諭しておきながら、その直後に、小沢に
   あなたに蹴られた箇所が未だに痛む
と伝言するよう言っている。
 小沢が絡むと子供なんだから、もう♪

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