『仮面ライダーアギト』
39  ギルス咆哮
2001 10/28 放映

(Story)
 氷川・真島・涼のピンチに駆け付けた翔一は、アギトに変身してアナザーアギトに立ち向かう。
 アンノウンと様子の違うアナザーアギトに戸惑うアギトだったが、アナザーアギトは
   ちょうどいい。お前もこの手で倒さねばならぬ相手
   今この場でケリをつけるか
と攻め立てる。
 その隙に小沢の運転する車で氷川達は逃げることができた。
 アギトとアナザーアギトは、激しい戦いの末、互いに紋章を描いてのキックで激突し、アギトは意識を失ってしまう。
 アナザーアギトは先に起き上がったが、右手が再びケイレンを起こしたために戦闘不能となり、アギトが意識を取り戻したときにはもうその姿を消していた。

 そのころ、氷川達の車の前にイグアナ怪人(ステリオ・シニストラ)が現れ、真島を襲う。
 氷川は、ようやく到着したGトレーラーに乗り込んでG3-Xを装着し、シニストラを倒した。

 北條と小沢から
   アギトの正体が津上翔一である
   アギトは複数存在する
という報告を受けた警視庁上層部は、小沢が主張する
   アギトは対アンノウンのための大きな戦力であり、研究材料にすべきではない
という意見を容れて現状を維持することとし、2人に箝口令を敷いた。
 木野がアギトでなかったこと、高潔な人物でもなかったことにショックを受ける氷川は、本物のアギトが誰なのか知りたがるが、小沢も北條も『津上翔一についてどう思うか』『何となく言いづらい』『氷川にとって意外な人物』としか言わず、氷川は以前アギトに助けられたことのある翔一の意見を聞くべく、美杉邸を訪ねる。
 だが、真実を知っている翔一や真魚は、アギトを美化しすぎている氷川に対して引いてしまっていた。

 一方、重傷の涼を心配する真島の前に沢木が現れ、涼を救うには真島の中で覚醒しつつあるアギトの力を涼に与えるしかないと言う。
 そして沢木は、梵字の力で真島の中のアギトの力を涼に移した。
 アギトの力を失い、木野に襲われる理由がなくなった真島は、木野を呼び出し、木野の態度が変わった理由を尋ねるが、木野は
   力を捨てたお前に何が分かる
   もうお前に用はない
と立ち去るのだった。
 だが、木野は真島の後を付けて涼の居所を見付け出し
   今度は逃がさん
   お前を倒し、津上を倒し、俺は最強唯一のアギトになる
と襲い掛かる。
 逃げだした真島は真魚を通して翔一に助けを求め、氷川にもアギトらしき者発見の連絡が入り、それぞれがアナザーアギトのいる場所を目指す。
 いち早く現場に着いたG3-Xは、アナザーアギトにGM-01を奪われてしまった。
 遅れて到着したアギトはストームフォームで戦うが、アナザーアギトがGM-01を涼に向け
   少しでも抵抗したら、あの男の命はない
と脅したため為す術もなくやられ、翔一の姿に戻ってしまう。
 アギトの正体を知って驚く氷川の目の前で、アナザーアギトが翔一を踏みつけてGM-01の引き金を引こうとした瞬間、雄叫びと共に涼はギルスに変身し、更にエクシードギルスに変わった!



(傾向と対策)
 …ギャグ編?
 アギトの正体について美化しすぎているせいもあって、蚊帳の外に置かれてしまった氷川の勘違い&暴走振りを笑うネタで半分くらい埋まっていたような気がする。
 特に、現場に急ぐG3-Xが翔一を追い抜きつつ
   どこに行くんです?
   スピードの出しすぎです。気を付けてください
というくだりなどは、笑いを取るためとしか思えなかった。
 いや、それが悪いとは言わないけど、仮にも現場に向かってサイレン鳴らしながら走ってる白バイなわけでしょ?
 しかも出現しているのがアギトにせよアナザーにせよ、人命が掛かっているわけだ。
 それをわざわざスピードを落として「どこに行くんです?」はないよねぇ。
 小沢の「言いづらいわね、なんとなく」と北條の「言いづらいですねぇ、なんとなく」の対比みたいなのは素直に笑えるんだけど、緊迫感のあるシーンであれは、ねぇ。

 今回は、半分ギャグ半分アクションといったところだろうか。
 G3-Xも後半はいいとこなかったけど、前半はシニストラを相手に圧倒的な勝利を収めているし。
 本編初登場となったGA-04は、自分から敵に絡みつくという妙なアイテムだったが、結構使いでありそうだ。
 一旦絡めた後、右手から外してガードチェイサーの上に載せてたようだけど、あれで固定になってるのかはよく分からなかった。
 そのまま引きずって逃げられそうな気もするけど、脚にも絡まってたから逃げられなかったのかな?

 で、アギト対アナザーアギトは紋章キック同士の対決があったり、ストーム対GM-01があったりと確かに見応えがあったんだけど、アギトのフォームチェンジという問題が露呈されることになってしまった。
 フォームチェンジの問題というのは、これまでも何度か触れている“どうしてその姿で戦うのか”ってことだ。
 例えば後半のアナザーとの戦いでは、ハルバードで弾丸を叩き落とすというのをやっていて、それはそれで納得できるんだけど、あれがシャイニングカリバーやフレイムセイバーで駄目だったのかという疑問が残る。
 ま、夜はシャイニングになれないって可能性もあるからその次にスピードの早いストームになったとも考えられるわけだけど、画面上からはストームが早いってことはちっとも感じられないからね、違和感が拭えない。
 前半戦でも、紋章キックを使えるのはグランドかトリニティだけだから演出上ああなるのは分かるんだけど、敵の特性も分かっていなかったわけだし、いきなりバーニングに変身ってこともできるんだから、バーニングで戦うべきだったんじゃなかろうか。
 これは、バーニング・シャイニングの両フォームが単純に上位に属する形態だから生まれる疑問だ。
 確かにバーニングは少々鈍重なイメージがある(実際スペック上一番遅い)が、アナザーにしてもスピード型ではないのだから、バーニングでもいいじゃんって気がする。
 各フォームの特徴に画面上の説得力がないからこういうことになるのだ。
 グランドで戦って押し負けていては意味がないものね。

 そんでもって真島は、自分の中で覚醒しつつあるアギトの力を涼に譲ることで涼を救った。
 梵字の力とはいえ、アギトの力というのが一種の超能力ならば、どうして他人に移せるのだろう。
 真魚の治癒再生能力が失われたことと考え合わせると、アギト世界での超能力というのは、体内にある何らかの因子によって生み出されるもので、それを使い切ると永久に失われてしまうのだろうか。
 そして、アギトの力がホムンクルス1号の少年時と同じ姿というのも気になる。
 こっちは白かったところを見ると、そっくりだけど相反する者ってところだろうか。
 ギルスとアギトの違いを、鷹羽は6枚の角があるかどうかだと思っているのだけど、エクシードギルスの肩から出ているトゲは、6枚の角に見えなくもないから、やはりアギトの仲間入りをしたということなのかな?
 でもネーミングはやっぱりギルスなんだよね。

 一方、北條は翔一があかつき号に乗っていたことを上層部に報告していなかったようで
   津上翔一の件は無駄ではなかった
   私は今、大いなる謎の核心に迫りつつあるんです

というセリフから考えると、これからそっち方面のアプローチを掛けるつもりのようだ。
 次回予告に出ていた手紙は、レイの封筒の中身だったのかもしれない。
 ところで、北條が提出したアギト捕獲作戦の報告書には
  今回我々はアギト(資料写真1参照)が人間に戻った時を狙い作戦を実行に移しました。
  そして、アギトなる未知の存在は津上翔一(資料写真2参照)なる人物であることが判明しました。

と書いてあった。

 今回もう1つ面白かったこととして、GM-01のトリガーロックがキャンセルされたことが挙げられる。
 恐らくGM-01に限らずG3-Xの武器は、Gトレーラー内のオペレーションで使用不能にできるようになっているはずだ。
 一種の安全装置のはずだが、アナザーが持ったせいかコマンドがキャンセルされてしまった。
 あのとき画面には
   Warning
   Command cannot…

と表示されていた。
 要するにトリガーロックの命令が届かないという意味の表示だったのだろうが、アンノウンが当初モニター画像に映らなかったように、アギトの身体からも何らかの電磁波妨害が出ていて、コマンドを止めてしまったのだろうか。

 さて、今回の見所は“尾室に肉を喰わせまくる小沢”だろう。
 喋られると鬱陶しい相手には、何か口に入れておくのが一番、というわけか。





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