『仮面ライダーアギト』
31話 人の居場所 
2001/9/2 放送

(Story)
   カニ怪人(クルスタータ・パレオ)と戦うアギトとG3-Xだったが、クルスタータはアギトのキックをはじき返し、吹き飛ばされたアギトとアギトに激突されたG3-Xは、共に川に叩き落とされた。

 翌日、真魚はテニス部を辞めて自分の超能力について考えていた。
 水原先輩を襲ったのが自分の超能力の暴走ではないかと考え、自分の超能力が心配になったのだ。
 そして、外に出て父との思い出を反芻していた真魚は、自分にぶつかったスケートボードを真っ二つにしてしまったことから、ますます自分の超能力への不信感を増し、遂に氷川のところに「自分が父を殺したのかもしれないから自首したい」と言いに行った。
 氷川は、“超能力者が無意識に殺したかもしれない”というのは北條の憶測に過ぎないのだとなだめて返した。

 家に戻る途中、真魚は買い物帰りの翔一と一緒になり、父を思い出しながら翔一の手と自分の手を合わせてみた。
 もしかしたら無意識に父を憎んでいたのかもしれないとつぶやく真魚に、翔一は戸惑う。
 と、突然、後ろのブランコが壊れて翔一に向かって飛んできた。
 真魚は、それもまた自分の仕業と考えて逃げ出したが、トラックに轢かれそうになって転び、そこに現れた相良は、真魚を助け起こすフリをして超能力で真魚を眠らせ、車に乗せて走りだした。
 慌てて真魚を追い掛けてきた翔一だったが、その車の走り去る姿を見ただけで真魚を見付けることはできなかった。
 翔一が美杉邸に戻ると、真魚を心配して氷川が来ていた。
 まだ真魚が戻っていないことに驚いた翔一の脳裏に、走り去っていった黄色いロードスターの姿がよぎった。

 そのころ、帰宅しようとする真澄の背後にクルスタータが迫っていた。
 クルスタータが真澄に襲い掛かろうとした瞬間、シャチ怪人(ケトス・オルキヌス)がその腕を掴んで阻み、真澄は全く気付かないまま去っていった。

 真魚は、目を覚ますと、そこは真澄の部屋だった。
 あかつき号に乗っていなかった真魚を仲間にしようとする相良に反対する真澄だったが、相良は
   ある意味、この子は俺達の仲間だ
と言い、念力で花瓶のバラの花をちぎってみせる。
 真魚は、相良も超能力者だったことに驚くのだった。

 美杉邸では、真魚が夜中の零時を過ぎても帰ってこないことから、家出をしたのではないかと心配し始めていた。
 そして、相良は、あかつき号事件以来様子が変わった自分の元を離れていった妻のことを思いだしていた。
 そこに現れた沢木から
   上手くいけば彼女は大きな戦力になるだろう
   完全にお前達の仲間に引き入れることだ

と言われていた。

 そして翌朝、事態がよく飲み込めない真魚は、自分のいる部屋に鍵が掛けられていることを知り、昨日相良が落としたバラの花びらに「助けて」と書いて窓から放り出した。
 再び真澄のマンションを訪れた相良は、真魚に
   お前に帰る場所があるかどうか
   お前も俺達も、普通の人間にはない力を持っている
   思い出してみろ、そのせいで辛い思いをしたこともあるはずだ
   だが、その辛さは誰にも分かってもらえない
   誰かに相談することすらできないかもしれない
   俺達にはできるだけ多くの仲間が必要なんだ
   お互いに分かり合うために
   自分の力の意味を知るために
   そして、そんな仲間が揃ったとき、そこが俺達のいるべき場所になる

と仲間になるよう勧める。
 真魚は、その言葉に
   私のいる場所…
とつぶやくのだった。

 一方、真魚を心配した美杉教授の作ったチラシを貼り歩いていた翔一は、あるマンションの駐車場に黄色いロードスターが止まっているのを見付け、そこに真魚のものと思われる手の跡がついているのに気付いた。
 その駐車場の持ち主の部屋のドアを叩いた翔一の前に、真魚が姿を見せた。
 部屋を出ていく真魚を見ながら
   いいの? 行かせちゃって
と尋ねる真島に、相良は
   彼女は戻ってくる。必ずな
と答えた。
 その言葉どおり、真魚は翔一に
   あたし、探してみたいんだ、あたしの居場所
   だから、まだ帰れない

と告げる。
 そのとき、物陰で念動力を使おうとしていた相良にクルスタータが襲い掛かった。
 その気配に気付いた翔一は、真魚に逃げるよう言い、真魚が相良を助け起こして一緒に逃げたのを確認すると、変身した。
 ストームフォームで戦うアギトだが、ストームハルバードも効かないため、マシントルネイダーをスライダーモードにしてその勢いでストームハルバードで貫いて倒した。

 そして、自分の家まで逃げた相良は、妻が育てていた鉢植えを抱きながら、真魚に
   結局、俺は俺の居場所を見付けることができなかった
   俺の居場所は、思いでの中にしかなかった
   お前に謝りたいことがある
   お前はサイコキネシスを使ってはいない
   全部俺がやったんだ
   俺が君の友達を襲ったんだ
   見付かるといいな、お前の居場所が

と言って事切れた。
 その死を悲しんだ真魚の超能力が涸れていた鉢植えの花達を再び咲かせる。
 そして、驚く真魚に沢木が歩み寄る。

 
 
(傾向と対策)
 あかつき号乗客連一の常識人:相良克彦退場。
 惜しい人を亡くしました。

 いや〜、でも今回はやられたね。
 あの状況下で花火見物なんてのんきだとだと思ってたけど、沢木に言われて真魚を監視してたのね。
 真魚を監視してるにしては変だから花火見物だろうと思ったんだけど、真魚の念動力が暴走しているように演出して見せてたわけか。
 それなら、やることやった後で花火見上げててもおかしくないや。
 結局相良は、水原にバンパーを巻き付け、スケボーを真っ二つにし、翔一にブランコをぶつけたりすることで真魚に絶望させ、自分達の仲間に入るように仕組んでいたわけだね。
 それが沢木の計画だということは、沢木と相良の
   沢木「彼女にはして貰いたいことがある
        それに、上手くいけば、彼女は大きな戦力になるだろう
       完全にお前達の仲間に引き入れることだ
   相良「ほんとにそんなことが必要なのか?
       あの子はあかつき号に乗っていたわけじゃない
       何も知らないんだぞ
   沢木「安っぽい同情に意味があるかどうか、来るべき日のことを考えてみろ
という会話を見れば分かる。
 沢木の言う「して貰いたいこと」というのは、勿論涼を生き返らせることだろうが、そのほかにも色々考えているようだ。
 沢木は、あかつき号乗客側に超能力者を集め、勢力を強化しようとしている。
 恐らく亜紀や相良の能力を目覚めさせたのも、一刻も早くある程度の力を持たせたかったためだろう。
 それが必要になるのが“来るべき日”というわけだ。
 あかつき号での事件以来、何かに怯えるようになった乗客達。
 そこで見た何かが、彼らになすべき使命を与え、それを強いていることは間違いなさそうだ。
 その使命が絶望的な何かであり、また妨害する勢力(アンノウンとは限らないが)の存在も知っているが故に、彼らは怯えて暮らすことになったのだろう。
 確かに、身を守る力を持つ者が複数いて互いに守り合えば、アンノウンの襲撃もさほど恐れずにすむわけだし、より能力を磨いていけば、求める目標への道も開ける可能性が高い。
 翔一があかつき号に乗っていた蓋然性が高い現在、翔一が亜紀から言われた「記憶を取り戻せば地獄を見ることになる」という言葉の真意は、“自分達と同様の使命を思い出せば、重圧感に押し潰されることになる”という意味にも取れるのだ。
 だとすれば、翔一の性格からしてさほど悩むような内容ではなさそうだし、そうすると翔一が記憶を取り戻したときに平気な顔をしていたことも納得できる。
 そして、「俺達はアギトになるんじゃないのか」という相良の言葉は、彼らの到達点が「アギト」と呼ばれる能力を得ることだとも解釈できる。
 翔一が変身するアギトが、「アギト」と呼ばれる力そのものであるかどうかまでは分からないが。
 もしかすると、「アギト」というのは、超能力を使いこなせる能力者のことを指す言葉かもしれないわけだし。

 でもさぁ、相良の家って真澄のマンションから歩いて行けるほど近いところなの?
 相良の自宅に行ったのは、多分相良が“そこで死にたい”と思って真魚に指示したんだろうけど、そんなことしてる間に治癒能力で傷を治しちゃえばよかったのに。
 アバラが折れてたみたいだけど、それ以外大した怪我はなさそうだったよ。
 下手に運動しないで治療していれば助かったんじゃない?
 そんでもって、やっぱり真魚には死んだ生物を生き返らせる類の能力があったようだけど、死にたてホヤホヤの相良を生き返らせることができないでいる(生き返らせようと思っていないせいもあろうが)真魚が、死後1週間以上(木野と連絡が取れなくなって1週間以上)経っている涼を生き返らせることができるんだろうか?

 そうそう、やられたと言えば、相良の奥さんって死んでなかったのね。
 あかつき号の一件以来、様子のおかしい夫が自分に何も説明してくれないことに不満を抱いて出ていってしまったらしい。
 正式に離婚したのか、単に別居状態の事実上離婚なのか分からないけど、相良がそれを認めたのは、きっと奥さんを巻き込みたくないという優しさのせいだったんだろう。
 相良は、死ぬ前に真魚に謝罪し、「見付かるといいな、お前の居場所が」と言った辺り、やはり善人なんだと思う。
 真魚よ、涼を生き返らせるより先に、相良を生き返らせてやってくれ。

 更に、多分真澄のお目付役に呼ばれたであろう真島浩二は、これからどういう行動を取るのか?

 んで、真魚の家では当分続くのかな?
 まぁ、“水原を襲った”噂に尾鰭がついて学校には行きにくいだろうけど、もうすぐ新学期なんだけどなぁ。
 慌てて服装まで細かく書かれたチラシを作った美杉教授も凄いけど、特筆すべきは氷川の親身になった心配の仕方だろう。
 真魚が妙なことを言いだしたものだから、心配になって美杉邸にやってきて、翌日はチラシ貼りまで手伝っている。
 でも氷川君、勝手に張り紙とかするのって軽犯罪法違反じゃないかい?
 警察官のあなたが手伝っていいの?
 それと、G3-Xが川から這い上がってくる姿が見たかった。
 やっぱり重くて浮かんでこられないのかしら?

 アギトもいつの間にかマシントルネイダーに乗ってるわ、スライダーモードに変形させるわ、インド人もびっくりだ。
 翔一が変身したときはバイクに乗っていなかったわけだから、翔一が呼んだか戦いながらバイクのところまで走ったかして変形させたんだろうね。
 マシントルネイダーも、この前のギルスレイダーのようにアギトの変身後に変形させられるということか。
 でも、スライダーモードの変形はどうやって知ったんだろう?
 やっぱ「この前の変な形になれ!」とか念じたら変形するのかな?

 そして、今回真澄を襲おうとしたクルスタータをとめたシャチ怪人(ケトス・オルキヌス)だが、ケトスは鯨座の学名、オルキヌスはシャチの学名だ。
 鯨座の元になっているのは、アンドロメダを襲った海の怪物だから、次回ケトスが襲うのは真澄で、クルスタータが自分の獲物を狙ったから止めに入ったのかもしれない。

 さて、今回の見所は“子豚の可愛さ”だろう。
 前回、翔一が太一の浴衣姿を“子豚のように可愛い”と表現したが、今回は美杉教授を入れて3人で子豚談義をしている。

   翔一「太一って赤ちゃんのころ、結構太ってたんだ」
   教授「ああ、子豚みたいにコロコロしててな、そりゃ可愛かったんだ」
   太一「子豚って…何かほかに言い方ないの?」
   翔一「いいじゃん、可愛いってことなんだからさ」
   教授「そうだ、子豚は可愛さの金メダルだからな」
   太一「そりゃないって!」
   教授「じゃ、銀メダルか?」
   太一「いや、銅メダル」
   教授「予選失格だったりしてな」
   太一「ガーン!」

PS 部屋の外から鍵のかかる部屋っていつ作ったのかな?


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