『仮面ライダーアギト』
第26話 蘇った記憶
2001/7/29 放送
(Story)
亜紀の復讐に燃えるギルスに蹴落とされ意識を失った翔一は、水中に沈みながらようやく全てを思い出した。
警視庁では、氷川がG3-Xを使いこなしてアンノウン(ポタモトリゴン・カッシス)を倒したことで、G3-Xが理想的なシステムとして完成したことが証明され、引き続き氷川がG3-X装着員に任命された。
北條は異議を申し立てたが、上層部の決定は覆らなかった。
カッシス出現時に北條が翔一と一緒にいたことを知った氷川は、北條は翔一のペースに巻き込まれたのだろうと考える。
美杉邸に戻った翔一は、プロの料理人並の夕食を作ってみんなを驚かせた。
そのあまりの出来映えに、翔一が
俺も子供のころトマト嫌いでさ…
と話していることに気付かない。
その夜、夜中に目を覚ました真魚がふと翔一が『俺も子供のころ…』と話していたことに気付いて部屋に行ってみると、翔一は姿を消していた。
翌朝、朝食を作れる者がいないため、シリアルで寂しく朝食をとる美杉一家に翔一からの電話が入った。
翔一は
今日は帰れないかも知れないけど、心配しないで
俺、会いたい人がいるんだ
とだけ言って電話を切ってしまう。
アギトを倒して復讐を終えた(つもり)の涼は、再びあかつき号の乗客を訪ね歩くことにして、関谷真澄のマンションに現れた。
だが真澄は、涼が『あかつき号について話を聞きたい』と言った途端、インターホンを放り出して部屋にこもってしまう。
しばらくして相良がやって来たことでようやく落ち着いた真澄だが、相良が涼について
亡くなった葦原さんの息子と名乗っているらしいけど本当のところは分からない
分かっていることは、彼がアギトと同じ力を持っているらしいことと、彼が訪ねた篠原佐恵子、榊亜紀が死んでるってこと
と説明すると
アギトと同じ力…? じゃ、あの男が2人を?
と怯えるのだった。
翌日、真澄を乗せて走る相良の車をカラス怪人オス(コルウス・ルスクス)が襲った。
そして2人のピンチを、後をつけていた涼=ギルスが救う。
逃げるルスクスを追おうとしたギルスだったが、力尽きて倒れてしまった。
相良は、自分達を救ってくれた涼を真澄の部屋に連れて帰って寝かせる。
木野に会う約束をしていた相良は、涼は「あたし達を襲った奴と同じ」と警戒する真澄を残してマンションを後にする。
一方、翔一は、ある大学を訪ねていた。
本物の津上翔一(沢木哲也)に会うためだが、津上(本物)は大分前に東京の実家に帰ってしまったという。
津上(本物)のいた研究室に入った翔一は、奇妙な絵の飾られた部屋の中に、沢木が姉:雪菜の肩を抱いて写っている写真を見付けた。
そして、翔一は、東京に戻って津上(本物)の屋敷を訪ね、沢木の帰りを待つことにした。
そのころ、津上(本物)は、木野に会いに行く途中の相良に接触していた。
雑踏を歩いていた相良の頭に、突然
お前の時間が早まり、お前の力が覚醒する
その力をどう使うかはお前の自由だ
という声が響いた。
気分が悪くなり、フラフラと歩く相良に、カラス怪人メス(コルウス・イントンスス)が襲い掛かる。
右腕に傷を受けた相良だったが、耳鳴りと共に傷は跡形もなく消え去っていた。
逃げる相良とイントンススの間に、アンノウン出現を察知して屋敷を飛び出してきた翔一が割って入る。
相良を逃がした翔一は、イントンススに
何者なんだ、お前達は!?
目的はなんなんだ!?
と問い掛ける。
変身してイントンススと戦うアギトの前に、ルスクスも現れ、2対1になる。
イントンススのランスとルスクスの刀の同時攻撃に苦戦するアギトは、トリニティフォームに変身し、フレイムセイバーとストームハルバードの2刀流で戦い、イントンススをフレイムセイバーで葬り、ルスクスも撤退した。
そのころ、屋敷に戻った津上(本物)は、雪菜の最期を思い出していた。
雨の中
来ないで!
と叫んでビルの屋上から飛び降りる雪菜。
その手を掴んだ津上(本物)に
お願い。離して
と懇願した雪菜は、地面へと落ちていった。
そして、涼と共にマンションに残された真澄は、涼の眠る部屋にガスホースを繋ぐ。
その瞳に狂気の光をたぎらせて。
(傾向と対策)
今回は久しぶりのあかつき号編となった。
過剰な鍵で防護したマンションに住む関谷真澄は、あかつき号での出来事を恐れている1人だ。
真澄が涼を恐れているのは、“アギトと同じ力を持つ”涼が自分を殺しに来たのではないかと考えているためだ。
恐らくガスホースをペンチでぶった切って(あのタイプのホースは、器具に繋がないとガスが流れない)ガス中毒死させようとしているのだろうが、目の前で救われたというのにそこまで恐れるからには、アギト(と同じ力を持つギルス)を恐れるに足るだけの根拠があるはずだ。
あかつき号ネットワークを通じて伝わった『葦原涼が接触した篠原佐恵子・榊亜紀が死んだ』という情報だけでは根拠として不十分だ。
かつて亜紀は涼の力を称して
彼は利用できないと思います
と言っている。
つまり、あかつき号ネットワークは、『アギト』という怪人の正体・能力・性質をある程度知った上で、何かに利用しようとしていると考えられる。
にもかかわらず、それを知っているはずの真澄は、涼が佐恵子と亜紀を殺したのではないかと疑っている。
つまり、“アギトは利用価値がある反面、元々危険性を孕んだ存在”だということもあり得るのだ。
真澄が恐怖から正気を失い掛けているだけかもしれないが。
また、相良が会おうとしていた木野とは、テニスボールを裏返しにしたものが転がっていた部屋の持ち主:木野薫だろう。
ということは、木野は既に超能力に目覚め始めているのかもしれない。
相良が敬語を使っていたのもそのせいだろうか?
もしかしたら、ネットワークの中心人物かもしれない。
木野は、治癒能力に目覚めた相良を見て何というのだろうか。
そして、やはり本物の津上翔一だった沢木哲也は、どうやら翔一の姉:雪菜の恋人だったらしい。
話の流れからすると、雪菜は何かを恐れて自ら命を断ったように感じられる。
結果的に沢木が手を離したことが雪菜の死を招いたと考えれば、20話でのホムンクルス1号の
この世に出現した最初のアギトを殺したことによって
というセリフが雪菜の死を意味している可能性は十分にある。
となれば、沢木が
アギトを殺させてはならない
と言ったことに矛盾もなくなる。
最初のアギトを殺したのが故意でないが故に、今度こそ殺させないという考えもあり得るからだ。
そして、雪菜と翔一が共にアギトになれるなら、それが遺伝的資質である可能性を示す。
とすると、涼の父があかつき号で体験した何かによってギルスに変身する素質を目覚めさせたなら、それに呼応する形で涼の中に眠っていた遺伝子が目覚めた可能性もある。
相良の「葦原さん」発言で、涼の父もあかつき号ネットワークの一員だったらしいことが分かったわけだが、涼の父の死因がギルスになりそこなっての体力消耗だとしても、十分頷けるのではないだろうか。
さて、沢木は博多方面にある国際大学(途中下車の可能性が高いので、場所は特定できない)に在籍していたようだ。
研究室を単独で貰えていたようだから助教授でもやっていたのだろうが、あのチベット神話辺りのような絵は一体何なのか。
神話関係を研究していたなら、ますます風谷教授との接点が見えてきそうだが。
さて、どうやら美杉邸を本気で出ていったわけではなさそうな翔一だが、ちゃっかりバイクは持っていくくせに、ルームランプを点けっぱなしはいけません。
相変わらず人の家の窓から外に出て行くし。
どうせバイクに乗るんだから、ちゃんと玄関から出るように。
で、翔一のマイペースに調子を狂わされたお陰で装着員を降ろされてしまった北條だけど、上層部は口にこそしていないけど、やはり翔一に会いに行っていたことが面白くないらしい。
わざわざ北條を見ながら「頼むぞ、氷川くん!」だもんね。
面白くない北條が小沢のイスの脚を蹴るのも分かるよ。
怒って立ち上がろうとする小沢もナイス。
でも、氷川の
なんとなく分かる気がします
は実感こもってたね〜。
今回初登場となったトリニティフォームは、右手にフレイムセイバー、左手にストームハルバードを持てる両手武器形態だ。
要は、ランスと刀で同時に襲い掛かるコルウス達の攻撃を防ぐために両手に獲物が必要だからというだけの存在だ。
両手でも持て余していたハルバードが完全に浮いていて、トドメの時もハルバードは当たっていない。
一応は両方で斬るつもりだったんだろうけどね。
さて、今回の見所は“冷蔵庫開けっ放しで翔一の様子を見に行く真魚”だろう。
慌ててジュースをこぼすのはいいけど、ドアくらい閉めようよ。
PS 相良達はあの壊れた車で帰ってきたとして、涼のバイクはどうなっちゃったんでしょう?