『仮面ライダーアギト』
22話 運命の対決 
2001/7/1 放送

(Story)
 アギトが亜紀を殺したと勘違いしたギルスの踵落としを蹴り落として防いだアギトだったが、ギルス怒りの猛攻に防戦一方となる。
 そして、一般市民からの目撃情報を受けて出動したG3のGM-01がアギトのピンチを救った。
 だがギルスの猛攻は続き、遂に頭部ユニットを破壊されたG3は戦闘不能になってしまう。
 壊れた頭部ユニットから覗く氷川の顔を見たアギトは、氷川を救うため、渾身の力でギルスを殴り飛ばす。
 ギルスが体勢を整えたとき、既にアギトもG3も消えていた。
 戦場となった廃屋に、ギルスの無念の咆哮が響く。
 警察の手によって運ばれる亜紀の死体を遠くから見つめる涼は
   アギトが…なぜ、なぜ亜紀を…
   お前だけは許さない!
と、アギトへの復讐を誓うのだった。

 G3ルームでは、モニターで謎の生物(ギルス)との戦いを見直していた。
   アンノウンとは、全く別の力を感じるわ
   なんて言うか、感情の爆発とでも言うような…
と述懐する小沢に、氷川も、アギトにもギルスにも人間臭さのようなものを感じたと答えた。
 G3の力を引き出しきれず、アギトやギルスの戦闘能力についていけなかったことに落ち込む氷川だったが、尾室は、氷川の力不足ではなく、G3システムが弱いのだと言う。
 小沢は、そんな2人に
   G3はいわばプロトタイプなのよ
   氷川君は今までよくやってくれたわ
と、G3システムの強化策があることを告げた。

 だが、小沢が提出したG3システム強化策=G3-Xとは別に、北條がV-1システムという新システムの開発計画を提出していた。
 上層部は、両方を完成させた上で、より完成度の高い方を正式採用することを決定した。
 V-1システムの開発者の中には小沢の恩師である高村光介の名前もあった。
 小沢は、高村教授の研究室を訪ね、V-1システム開発から手を引くよう勧めるが拒否される。
 高村教授は、自分の勝利を疑わない小沢の傲慢さが許せなかったのだ。
 高村教授から
   私は君が嫌いだった
   それは、これからも変わらんよ
と言われた小沢は
   そういうことなら、私もあなたを嫌いになります
と言い残して研究室を出ていった。

 傷心の小沢は、美杉教授に忘れ物を届けに来ていた翔一を見付け、昼食に誘う。
 亜紀を失って心の中に空席ができたことが悲しいという翔一だったが、自分自身が一所懸命生きることでその空席を埋めるという翔一に、小沢も何か吹っ切れる。
 G3ルームに帰った小沢は、早速G3-Xの開発に取り組み、あっという間に基本設計を完成させてしまった。

 一方、新たなアンノウンが出現し、犠牲者をコンクリートの中に埋め込むという事件を起こしていた。
 現場を見た北條は、氷川に
   急いだ方がいいでしょう、G3-XとV-1システムの完成を。
   そして、どちらかがアンノウンを倒さなければならない!
と、決意を語るのだった。

 小沢は、G3-X完成前に氷川に感触を掴ませるべく、VPシミュレーションを始めた。
 カメ怪人(テストゥード・オケアヌス)を相手に模擬戦を行った氷川は、鮮やかな手並みでこれを倒したが、戦闘終了後、倒れてしまった。

 そのころ、元気を取り戻して美杉家の大掃除をしていた翔一は、ハチ怪人オス(アピス・ウェスパ)の出現を感じて急行した。
 そして、ウェスパをストームハルバードで倒したアギトの前に、ハチ怪人メス(アピス・メリトゥス)が襲い掛かってきた!


(傾向と対策)
 今回の見せ場は、主にギルスvsアギト・G3と、小沢のG3-X開発計画ということになるだろう。

 まず、ギルスの方から見ていこう。
 必殺の踵落としはアギトにもG3にも防御されてしまったものの、終始圧倒的な攻勢だった。
 氷川が『人間臭さ』、小沢が『感情の爆発』と形容した怒りの猛攻は、アギトとG3が2人掛かりで圧倒されるほどの迫力だった。
 そして、アギトとギルスの攻撃力はほぼ互角らしく、互いにさほど大きなダメージは受けていない。
 それに対してG3は、GS-03とGM-01という現時点での最強装備(GG-02は発射に両手が必要なため装備できない)で出撃しながら、為す術もなく次々と武器を失っていった。
 更に、直撃だけは避けたものの、踵落としで頭部ユニットを破壊されて戦闘不能になっている。
 これは、G3の攻撃・防御力が他の2者に比べて格段に劣っているということを意味する。
 むしろ、ギルスの踵落としに対して向こう脛を受け止め、ヒールクロウの直撃を避けた氷川の格闘センスを褒めるべきだろう。
 尾室が言っていたとおり、G3が弱いのは氷川の能力のせいではなく、ユニットそのものの戦闘能力が低いからなのだ。
 戦闘力強化のために、これまでの戦闘データを基にG3ユニットの強化策を講じるという方法論は理に適っている。
 1から作り直すより、現行のG3の弱点を補う形で強化する方が楽だからだ。
 現在のG3を強化するなら、“攻撃力の強化”に尽きる。
 G3がアンノウンに対して劣勢に陥るのは、近距離戦闘に持ち込まれた場合の決定打に欠けるためだ。
 ミドルレンジで威力を発揮するGM-01は破壊力に欠け、GG-02は連射に向かない。
 かといってショートレンジでしか使えないGS-03は、重すぎて敏捷性に欠け、敵に当たらない。
 これまでの敗戦の状況としては、GM-01が効かずに接近されて殴り壊されているパターンが多い。
 つまり接近戦に持ち込まれたらアウトなわけだ。
 そうなれば当然、戦闘力を火力に頼らざるを得なくなるから、ある程度以上の破壊力のある弾丸で弾幕を張って距離を保ちつつ、弱点めがけて一撃必殺の強化弾を撃つというのが効果的と思われる。
 G3-Xは、恐らくボディ本体の強化とバッテリー持続時間の延長、火力アップを重視しているのではないだろうか。

 対して、1から作り上げることになるV-1システムの方はどうだろう?
 上層部は、G3-Xの開発計画を承知の上で敢えて同時開発を命じているわけだから、全く違う方法論で作られていると思われる。
 同じ方法論なら、小沢の言うとおり、既存のG3システムを強化する以上の方法はないだろうからだ。
 北條は、タコ怪人(モリペス・オクティペス)との対戦経験から、G3の欠点については理解しているはずだ。
 その上で開発している以上、やはり攻撃力アップと接近戦強化を図るものと考えられる。
 V-1プロジェクト・スタッフの中には、ロボット工学の高村教授のほか、人間工学・エネルギー工学の権威、精神科医まで入っている。
 やはりショートレンジで使用可能な強力武器を装備したタイプになるだろう。
 ただ、人間が着込むパワードスーツシステムになるのかどうかが分からない。
 前述のとおり、スタッフのメインとして、ロボット工学の権威:高村教授が入っているからだ。
 ロボット工学からパワードスーツに応用できる部分は少なそうだし、精神科医まで入っているというのがよく分からない。
 もしかすると、遠隔操作型のモーショントレースロボットになるのかもしれない。
 自身が着込んで出撃して死にかけた北條としては、装着者の生命維持というのが重要な意味を持つことを実感しているはずだ。
 ならば、脳波・神経電流・筋肉の動き等を感知して行動をトレースできるロボットというのが理想的ではないだろうか。
 簡単に言うと、コックピットに乗らないGガンダムだと思ってくれればいい。
 これなら本体が破壊されても装着員の生命は守られるし、その分無茶な戦闘も可能だ。
 最悪相討ち狙いの強力兵器すら搭載できる。
 これがV-1システムの正体ではないかと思うのだが。
 今回氷川がVPシミュレーション中に着ていたスーツは、敵の攻撃衝撃や自分の行動による関節の動きなどをフィードバックするシステムを備えていると思われる。
 これと同じことを実戦でできるレベルのロボットが作れるのなら、鷹羽の推測は実行可能だ。
 ところでシミュレーションでは、G3が倒したテレストリスではなくオケアヌスの方を使っていた。
 G3の攻撃で倒せた怪人を使った方が、防御力を算出しやすくて実戦的だと思うのだけど、どうしてオケアヌス?

 一方、亜紀の死によって、記憶を取り戻す方法を失い、しかも取り戻さない方がいいとまで言われてしまった翔一は、空虚感に苛まれることになった。
 美杉教授が大学に忘れ物を持ってきてもらったのは、気分転換に外出させた方がいいという優しさからだ。
 ついでを装って夕食の話をする辺りも優しい人だと思う。
 結果、小沢と偶然出会った翔一は、“前向きに生きて行くしかない”と開き直ることができた。
 服が違うせいもあるだろうけど、すっかり小沢のことを忘れていたのが翔一らしい。
 立ち直った途端に大掃除というのも、まぁ翔一らしいと言えばらしいが。

 そして、今回ギルスのお陰で影が薄くなりまくったハチ怪人オス(アピス・ウェスパ)は、実にあっさりと負けてしまった。
 ジャンプしてウェスパを斬ったアギトは、空中で方向を変えて、元の位置に着地しているが、そんなことに気が付く人はほとんどいないのではないかというくらいあっさりとした最期だった。
 羽をイメージしているらしいマフラーなど、なかなかいいデザインだったけど、惜しいね。
 アピスはミツバチの学名、ウェスパはラテン語でスズメバチを意味する。
 つまり、ミツバチ・スズメバチという名前なのだ。
 笑っちゃうね。
 メスのメリトゥスは、ラテン語で蜂蜜という意味。
 これもまた花粉団子を付ける部分がフワフワしていてなかなかいいデザインだ。
 スズメバチの方が戦闘的なデザインというのもいい。
 せめてメリトゥスだけでも活躍してもらいたい。

 今回の“小沢語録”は
   お陰で新しいG3システムを作るためのデータを集めることができたんだから
だろう。
 氷川はモルモットですか…?
 いや、落ち込んでる氷川を慰める意味もあるんだろうけど、でも、最初のころ、G3の性能を自慢してなかったっけ?

 これに限らず、今回は小沢の言動に苛つく場面が多々あった。
 勤務中の昼食で生ビールジョッキ6杯なんてまだ可愛いもんよ。

 一番ひどいのは、高村教授を訪ねてわざわざ城北大学まで行っていることだ。
 教授も言っていたが、小沢はG3-Xの方が優れていると確信して、さっさと勝負を降りるよう勧めに行ったのだ。
 恩師に恥をかかせたくないという気持ちはともかく、『自分が勝つから』という理由が良くない。
 恩師をはっきりと見下している。
 これが、『北條と組んでもいいことないからやめた方がいい』という理由なら分かる。
 北條に対する小沢の敵愾心を考えれば、それくらいはしてもいい。
 だが、“高村と自分が同じ目的のものを開発すれば、自分の方が高性能なものを開発できる”という理由は、いつも北條がやっている“高みから見下ろす”ことだ。
 となると、小沢が北條を嫌うのは近親憎悪かもしれないという気すらしてくる。
 今回、北條が“アンノウンを倒すことが優先だ”という意味合いのことを言っているだけに、小沢の了見の狭さが目立つ。

 そして、高村が言った
   私は君が嫌いだった
   それは、これからも変わらんよ
という言葉に対し、小沢は
   そういうことなら、私もあなたを嫌いになります
と返している。
 どうやら彼女は、自分を嫌う人間を敵と見なすらしい。
 焼肉屋で翔一に
   ついさっき知り合いが死んだわ。ある意味でね
と言っているのは、つまりそういうことだ。
 小沢にとって、もはや高村は恩師でもなんでもなく、“嫌いな人間”でしかないらしい。
 彼女は、自分が誰からも好かれる人間だと思っているのだろうか?
 基本的に嫌われるタイプだと思うのだが。
 それを承知の上で、自分を貫いているのだと思っていたが、どうやら気付かないでいるだけらしい。
 困ったもんだ。

 さて、今回の見所は、大掃除の途中でも全て放り出して駆け出す翔一だろう。
 テーブルを運んでいる最中だったみたいだけど、あのテーブルの脚の細さが足の甲に直撃したら、骨が折れちゃうぞ。
 大丈夫かなぁ、美杉教授…。


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