『仮面ライダーアギト』
21  暴走する力
2001/6/24 放送

(Story)

 アギトは、赤い身体と黒マフラーのヒョウ怪人(パンテラス・ルベオー)と、女のヒョウ怪人(パンテラス・マギストラ)の2体を苦戦の末退けた。
 そのころ、翔一(亜紀)のアパートで眠っていた涼は、翔一の身を案じてアパートに駆け付けた真魚からは隠れおおせたものの、「襲え」と語りかける謎の声に苦しむ。

 翌日、『機動隊員二名、殺害される』という新聞記事を見た相良は、亜紀に詰め寄る。
   相良「どういうつもりだ?」
   亜紀「簡単なことだわ。敵討ちよ
       私の目の前で、奴らは殺したの。大切な人を
       だから私も殺すの。奴らを
   相良「個人的な恨みを晴らすために能力を使うべきじゃないだろう
       そんな場合じゃないってことはお前だって分かってるはずだ」
 亜紀は、自分の行動を非難する相良に、能力で電気コードを巻き付けて締め上げる。
 相良を解放した亜紀は、嘲笑いながら部屋を出ていった。

 G3ルームでは、北條を襲った女のことについて話し合われていた。
 北條を襲い、機動隊員2名を殺したのは、アギト捕獲作戦のときに北條が護衛していた榊亜紀であり、その亜紀を再びアンノウンが襲ったことから、“アンノウンは超能力者を狙う”という氷川の説の信憑性が増した。
 小沢は、「超能力というのが人間の未知の可能性の芽生えとするなら、アンノウンはそれを恐れているのかもしれない」と考える。
 皮肉にもアンノウンに助けられた形になった北條だが、再び亜紀が襲ってくることが予想されるため、氷川が護衛に当たることになった。

 一方真魚は、再び翔一のアパートを訪ねるが、翔一は病気らしい涼を真魚の目に晒したくないという想いから、真魚を追い返した。
 そして、ようやく目を覚ました涼と自己紹介しあう。
 涼の
   亜紀は、俺を支えてくれるかもしれない女だ
   俺と一緒に生きていきたい…亜紀はそう俺に言ってくれた
という言葉にショックを受けた翔一は、真魚を追い掛ける。
 翔一は、亜紀にフラれたらしいと真魚に相談し、真魚の嬉しそうな様子を訝るのだった。

 そのころ北條と氷川は、夕べ北條が亜紀に襲われた駐車場に来ていた。
 物陰からその様子を見つめ、再び襲い掛かろうとした亜紀だったが、逆にルベオーに襲われる。
 亜紀は、能力でルベオーの剣を奪い壁に串刺しにして逃げるが、ルベオー出現を察知して駆け付けた翔一と出会ってしまった。
 仕方なく、翔一に真実を語る亜紀。
 亜紀と翔一が付き合っていたというのは嘘で、翔一の力で守って欲しかったからそう言ったのだという。
 だが、今は自分の身ぐらい自分で守れる、とも。
 「どこで俺のことを?」と聞く翔一に、亜紀は
   1つ忠告していいかしら?
   あなたは、記憶喪失のままでいた方がいいわ
   記憶を取り戻したとき、あなたは地獄を見ることになる
とだけ答えて立ち去ろうとする。
 そんな亜紀に、アパートにいる涼との約束も嘘だったのかと訪ねた翔一の言葉に、亜紀は翔一と共にアパートへとやってきた。
 そして、涼の姿を見た亜紀は、悲鳴を上げて逃げ出してしまう。

 亜紀は、追いついた涼を
   どうしてくれるのよ、死んだとばかり思ってたのに!
となじる。
   涼 「お前が一緒にいてくれれば、あの声も消えるかもしれない
       だから頼む、俺の側にいてくれ」
   亜紀「もう以前の私じゃないの。もう元には戻れない!
       でも、あなたを守ることならできるわ
       あなたを傷つけた奴ら、奴らはもう1度あなたを襲うかもしれない
       だから、私が…

 涼を突き飛ばして走り去った亜紀は、再び北條を襲う。
 そして、再び現れたルベオーから逃げる亜紀の前に、涼が現れる。
 涼は
   逃げろ!
   心配するな、すぐ会える
   俺とお前は、何度でも会わなくちゃいけないんだ!
と言って変身し、ルベオーと戦う。

 だが、逃げのびて油断した亜紀は、マギストラに首の骨を折られて死んでしまった。
 やや遅れて駆け付けた翔一はアギトに変身、マギストラを倒して亜紀に駆け寄るが、そこにルベオーを倒した涼がやってくる。
 アギトが亜紀を殺したと勘違いした涼は、再びギルスに変身してアギトに襲い掛かった。
 そして、『アギトと思われる者が謎の生物と交戦中』という一般市民からの目撃情報を受けたG3も出動した。
 防戦一方のアギトに、ギルスの踵落としが迫る…!


(傾向と対策)

 超思い込み女:榊亜紀退場。
 つーか、自業自得?
 自分勝手に思い込んで行動して、回りに迷惑を掛けるタイプだね。
 涼に対して言った
   もう以前の私じゃないの。もう元には戻れない!
というセリフ自体は分かる。
 涼の敵討ちのつもりで人を2人殺してしまったというのに、涼はいけしゃあしゃあと生きていた。
 人を殺してしまった自分が今更涼と一緒に生きていくことはできないってことだろう。
 それ自体は、まぁ、分からないでもない。
 でもさ、涼が生きていた以上、敵討ちの必要はなくなったわけじゃない?
 それを、『あなたを傷つけた奴ら、奴らはもう1度あなたを襲うかもしれない。だから、私が…』ってのは、要するに“また襲うかもしれないから殺しておこう”ってことでしょ?
 それって、自分が既に機動隊員を2人殺しちゃったことを正当化するための詭弁だと思うの。
 普通だったら、「涼と2人で生きてやり直そう」とかって思わない?
 そもそもさぁ、『アギト捕獲作戦に関する報告書』を入手しているわけでしょ?
 前回も書いたけど、タイトルからして結果報告なんだから、よく読めばギルス生存は分かるはず。
 よしんば結果報告ではなく部隊編成等の報告書だったとしても、結果報告を探せるはずだ。
 それをしないで思い込みで行動されてはたまったものではない。
 ましてや、殺された機動隊員は、指示に従って行動しただけなんだし。
 亜紀の「あなたを守る」は、自分の殺人を正当化するためのものにしか聞こえないんだよなぁ。
 元々亜紀は、相良に対する見下すような態度といい、翔一に対する思わせぶりな言動といい、どうも好きになれないキャラだったけど、涼に対してだけは本音でぶつかってると思ってたのに、なんだか変。
 人を殺したからって、涼と生きていけないと考えるほど純情だったわけ?
 相良が言ってた『今はそんな場合じゃない』ってのがどういう意味なのかも謎だし。

 で、アギトには剣を叩き斬られるわ、亜紀にはいいようにあしらわれるわ、ギルスにはいいとこなしで負けちゃうわと可哀想なルベオーだが、亜紀に剣を刺されても死ななかったのはなぜだろう?
 “自分の武器では死なない”というわけではあるまい。
 ヘビ怪人メス(アングィス・フェミネウス)は、自分の手を突き立てて死んでいるんだから。
 ギルスの踵落としにしろ、アギトのフレイムセイバーにしろ、突き刺した刃の大きさ・深さともにルベオーの剣と大差ないようだけど、何かほかの要素が必要なんだろうか?

 さて、今回はギルス対ルベオー、アギト対マギストラ、ギルス対アギトと、戦闘シーンも豊富で、しかもどれもなかなかの見応えだったけど、やっぱり最大の山場は、ギルス怒りの猛攻だろうね。
 ようやく怪物化した自分を受け入れてくれる女性を見付けたというのに、見たことない怪物に殺されてしまった怒り、守ってやれなかった自分への怒りを全て燃やしてアギトに立ち向かっているんだろう。
 元々アギトとギルスが出会ったのは今回が最初だし、アギトとギルスは互いに相手の存在すら知らない。
 オマケに、ギルスがアンノウンと戦っているところを見て生きている者はいないから、ギルスは正しく正体不明なのだ。
 そして、ギルスにとってG3は“この前、痛い目に遭わせてくれた憎い奴”なのだ。
 いよいよ次回、初めて3者が一堂に会するわけようだが、この3人が会えば、アギト&G3対ギルスになるだろうなぁ。
 次回予告を見ると、アギトとG3の2人を相手に、互角以上に戦っている。
 まぁ、人の話を聞かない涼らしい勘違いの仕方で、是非はともかく納得はできる展開だ。
 少なくとも、“完全体になるためにアギトのベルトを狙う”なんていうどっかで聞いた話よりも、“惚れた女を殺したアギトを許さない”という動機の方が遙かに納得できる。
 一応書いておくと、『仮面ライダーアギト』という番組を見る上で重要なことは、“たとえ公式発表された設定でも、画面に登場するまでは存在しないものと考える”という心構えだと思う。
 鷹羽は、公式発表とやらはかなりアテにならないと思っている。

 ところで、真魚は今回、翔一と亜紀が恋人同士というのが嘘だと知って随分喜んでいる。
 「お寿司奢っちゃう」だもんな〜。
 高校生のくせに豪勢だねぇ。例え回転寿司だとしても。

 そして、亜紀という超能力者の存在が明らかになったことで、アンノウンが超能力者を襲うという説が認められそうな感じになっている。
 これがG3ユニット強化の原動力となるんだろうか?
 なんだか、新しいG3はゴテゴテしててイマイチ格好良くないんだけど。

 でも、北條の「私が良い人間ですから」発言にも笑ったけど、彼が亜紀を護衛していたって言っていいんだろうか?
 どう見てもアギト捕獲の囮としてマークしていただけで、アンノウンが現れても助けようなんて気持ちはこれっぽっちもなかったみたいだけどなぁ。

 今回の“小沢語録”。
 氷川の「今日から現場に復帰すると言っていました」に対する「そう、残念ね」も凄いが、何と言っても
   で、どうなの? 北條の具合は?
だろう。
 何しろ、氷川が北條の護衛をすることになったのを知っていて「で、どうなの?」と聞いているのだ。
 白々しいにも程がある。
 絶対に「そう、残念ね」と言いたいがためのネタフリに違いない。
 なんて凶悪な…。

 さて、今回の見所はマギストラの最期だろう。
 アギトのキックを喰らった後、「フフフ…」と余裕の笑いを見せ、その直後に爆発!
 全然余裕なんかないじゃんかよ〜!

 ちなみに、今回マギストラが亜紀を不可能犯罪風に殺さなかったのは、さっさと殺さないと反撃喰らう恐れがあるからだろう。
 殺した後に木に埋め込むつもりだったのかもしれないけど、すぐに翔一が来ちゃったからね。

PS 今回のG3ユニット装着シーンは、G3最後の勇姿なんだろうね。
  ヘルメット壊れちゃうみたいだし。



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