『仮面ライダーアギト』
19話 解散決定?
2001/6/3 放送  

(Story)
 クラゲ怪人ヒドロゾア・イグニオは
   人が人を殺してはならない
と言った後、アギトとG3に落雷攻撃を仕掛け、その隙に逃亡した。
 その後、G3ルームでは、氷川のアンノウンがしゃべったという報告から一悶着起きていた。
   司 「君たちはアンノウンがしゃべれることに気付かなかったのか!?
      そっちの方が迂闊だろう!」
   小沢「アンノウンが意味のある言葉を発したのはこれが初めてのことです
      気付きようがありません!」
   司 「どうかな? 君たちの不注意だったってことも考えられるだろう
      今回の連続殺人で、アンノウンが血縁関係を襲うっていう君たちの説も怪しくなった
      俺は失望している
      天才・小沢澄子は威勢がいいだけ、英雄・氷川誠は図体がでかいだけの無骨漢! …というのは言い過ぎか?」
と責め立てる司に賛同するように、北條が司のモットー
   あらゆる偏見を排除して、ただ事実を事実として直視する
を自慢げに語るのだった。

 翌日、氷川は、花村が超能力者だったという可能性を確かめるため、花村の遺品を持って花村ベーカリーを訪れた。
 翔一は、花村が超能力者かどうかは知らないが、自らの死を予見していたかのようだったと語る。

 その日の会議で司は、G3チームがアンノウンのことを何も知らないために、G3の運用に問題があるのだと指摘するが、それに対して小沢は
   先日殺害された花村久志の件は例外的な事例です
   事実、同じアンノウンに殺害されたとみられるほかの2名は血縁関係にありました
   司課長は、アンノウンのことを何も知らないのです
と反論する。

 会議終了後、司は昼食にサンドイッチを食べながら、死んだ妹さおりのことを思い出していた。
 さおりは、司が北條を庇って負傷し入院している間に殺害された。
 結果的にさおりが死んだのは自分のせいだと悔やむ北條に、司は「君のせいじゃない」と慰める。

 その後、再び花村ベーカリーを訪れた氷川は、翔一に花村が予知能力で自らの死を予知していた可能性はないかと尋ねるが、花村と知り合って間もない翔一はよく分からないと答えるだけだった。

 その頃、警視庁では、司が提出した
   現在のG3ユニットを解散し、司と北條を中心として新たな人員を配置する
というG3ユニット改革案が幹部会で承認されていた。
 この結論は、翌日の会議で小沢らに通達されることになる。

 そして、それをネタに嫌味を言うため氷川のところへやってきた北條は、氷川が夕食に食べていたピクルスサンドを見て顔色を変える。
 司の妹さおりが夜食によく作っていたピクルスサンドにそっくりだったのだ。
 気になった北條は、花村の遺品を調べ、その中に携帯電話を見付けて愕然とした。

 翌朝、ジョギング中の青年がヒドロゾアに襲われた。
 察知した翔一は急行し、落雷攻撃に苦戦したものの、ストームフォームでこれを倒す。

 そして警視庁では、意気揚々と会議室に向かう司に、北條は花村殺しの犯人が司だと気付いたことを告げた。
 かつて花村久志は司さおりと婚約していた。
 そして、婚約解消の直後にさおりは何者かに絞殺され、花村が被疑者として浮上したが証拠がなく、犯人は分からずじまいで、その後花村は行方をくらました。
 司は、花村が犯人だと信じ、ようやく見付けた花村を殺したのだ。
 そして、花村の携帯に取り付けた超高輝度LEDを使ってG3ルームから遠隔着火してアリバイを作ったのだ。
 監査官という立場を利用してアンノウンの仕業に見せかけることも計算の上で。

 北條に問い詰められた司は、罪を認めて北條を褒め称えた。

 そして、帰宅した翔一(榊)のアパートに、数日前の戦いでボロボロになった涼がようやく辿り着いた…。


(傾向と対策)
 今回はアギトそっちのけで人間ドラマ(というか刑事ドラマ)中心だ。
 鷹羽的にはとっても良かったけど、果たして一般受けはしてるのか!?
 そして、アギトの戦闘シーンが添え物だったことに腹を立てた人はどれくらいいるのか?

 さて、花村久志殺害犯人は、やはり司龍二だった。
 この1週間掲示板を騒がせた事件もようやく終わりを告げ、動機も犯人看破の材料もほぼ指摘どおり! うちのお客さんの洞察力には目を見張るものがある。
 では、事件を見てみよう。
 1 司は、以前から花村を妹殺しの犯人と信じており、偶然発見した花村を見て殺害を決意、恐らくは住所を調べて花村の帰宅ルートを予測し、待ち伏せる。
 2 花村の首を絞めてオトした後、その身体に揮発性の油(ガソリンほど揮発性はあるまい)をかけて、花村の携帯電話を抜き出して電話番号を調べ、アンテナの先に発火用の超高輝度LEDを付けて身体に載せる。
 3 この際、揉み合っている間に外れた腕時計をはめ直すが、いつもの癖で右腕にはめてしまう。
 4 G3ルームに行ってお説教しながら花村の携帯に電話をかけて着火する
 5 翌日、何食わぬ顔でアンノウンのせいにして、ついでに氷川達の説が間違っていると言い掛かりを付ける
という具合だ。
 わざわざはめ直した腕時計に、停止した時間から死亡時刻が推定できる(死亡時刻特定のための司法解剖をさせないのが目的)という意味があったり、携帯電話を遠隔発火装置として利用(元々花村の持ち物だから、燃え残っても問題ない)していたりと、結構クレバーなのもいい。
 いくつかアラはあるものの、恩人であり信頼する上司でもある司を正義に従って追い詰める北條と、その北條を受け入れた司の男の信義がかなり嬉しかったので、あまりうるさいことは言うまい。
 2人の会話はなかなか刑事ドラマしている。
   司 「花村がさおりを殺したのは間違いない
      奴はフラレた腹いせに妹を殺したんだ
      だからこそ、事件の直後に行方をくらました
      後悔はしていない
      奴が殺したんだ
      奴のせいでさおりは…」
   北條「それを…偏見と言うのではないですか
      単に事実を事実として直視する…あなたは最後に自分の信条を裏切った」
   司 「そして、君が俺の信条を守ったというわけか…
      いつ分かった? やはりサンドイッチか?」
   北條「それと腕時計です
      花村は右利きなのに、右腕に腕時計をしていた
      これは、一度外れた花村の腕時計を、左利きの人間が付け直したせいです」
   司 「なるほど
      つい、いつもの癖が出てしまったか
      しかし、俺が左利きになったのは、君を庇って右腕に銃弾を受けた後遺症のためだ」
   北條「ええ、分かっています」
   司 「あの時、君を助けたのは失敗だったな」
   (北條、苦しそう)
   司 「いや、良かったと思う
      素晴らしく優秀な刑事の命を救ったんだからな
      …行こうか」
   (司、歩き出す。遅れて歩き出した北條も胸を張って司の隣に並ぶ)
…という具合。
 なかなか頑張っているね。
 特に、司から教わった信条と司への思慕の間で苦しむ北條がいい味を出している。
 恐らくこの後、司は自首することになるのだろうけど、晴れ晴れとした顔で歩く司と、その隣で胸を張って歩く北條という構図は素晴らしいものだった。

 とはいえ、一応アラを挙げておかないとまずいので書いておこう。
 まず、いきなりあざとすぎるフェイクの北條の尾行相手!
 この点についてはフェイクだという意見が多かったが、やはりフェイクだった。
 確かに血縁者警護は筋は通っているが、あの見せ方はあざとすぎる。
 次に、揮発性の油のことだ。
 これも掲示板で指摘されていたことだが、司がG3ルームに戻るまで揮発してしまわない揮発油ってあるのか?
 更に、その間に通行人に発見されたり花村が目を覚ましたりする可能性のことを考えるとリスクが大きい。
 ついでに、花村の帰宅ルートが違ったりすると悲惨だったりするが、まぁ、これはその日は諦めるということで納得しよう。
 あと、北條が最初にピクルスサンドを見た時にギョッとしているのは、北條が花村と面識がなく、さおりのことを思い出していなかったという前提に立つとちょっと苦しいフェイクだった。
 それ以外については、結構筋が通っている。
 右利きでも右腕に腕時計をはめる人はいる(鷹羽の父がそうだ)ので、決め手としては弱いけれど北條の推理の着目点としてはいいし、状況証拠の1つとして追い詰めるのには使える(知人を当たれば立証もできる)し、携帯の送信履歴は、会議が10時からだとすればそれ以前に北條が直接電話会社に出向いて調べることもできる。
 令状がないと電話会社から拒否される恐れはあるが、北條が直接出向いて、殺人事件の捜査で急を要することを説明すれば応じてくれる可能性が高い。
 一晩で司さおり殺害事件のあらましから携帯の送信履歴まで調べ上げた、北條の手並みには素直に感心しよう。

 さおりを殺したのが花村だったかどうか本当のところは分からないし、どちらとも取れる(花村がさおりの首を絞めているシーンは、司のイメージだろう)が、花村が未だにさおりとの思い出のピクルスサンドを作り続けているということは、少なくともさおりへの愛情が残っているということだ。
 また事件後に姿をくらましたのも、愛する人を失った悲しい街から離れたいという気持ちの表れかもしれない。
 もちろん、本当に花村が犯人で、罪の意識からという可能性もあるのだが。
 この辺りの曖昧さは、大人のストーリーという感じでいいな。
 北條が司を責めたのは、確たる証拠もなしに花村を犯人と断定したことについてであって、警察官たるもの証拠を掴んで逮捕すべき、という信念からだろう。

 ただ、演出・ストーリー的なものはともかく、司の道義的社会的責任は、次回追及すべき問題だ。
 今回、最後の犠牲者に警護がついていなかったのは、前日の会議で司が“アンノウンが血縁関係者を狙うというのは間違いだ”という発言を受けたものと考えられる。
 司の報告を鵜呑みにしてしまった幹部は、捜査員に負担のかかる血縁者警護をやめてしまったのだろう。
 そのために第3の犯行を防げなかったものと言え、警察幹部の責任は大きく、当然その矛先は嘘の報告をした司に向かわねばならない。
 また司個人の問題に限っても、私怨のために職務上の立場を利用して他の者に(それがアンノウンだったとはいえ)罪をなすりつけて逃げようとしたその態度は非難を免れまい。
 ましてや確たる証拠もなく、だ。
 それなりの刑を受けてもらわねば困る。
 アンノウンのことを伏せても、十分報道できる内容だし。不祥事だけど。
 で、当然司の報告に基づくG3ユニット再編成計画は白紙に戻るだろう。
 小沢、氷川らの無能さを証明する材料が信用できなくなっただけでなく、アンノウン血縁関係殺害説も復活したのだから。

 さて、これも掲示板で指摘されていたことだが、実に数日がかりで亜紀のアパートに辿り着いた涼は、翔一との再会を果たした。
 亜紀が翔一にわざわざアパートの鍵を渡した理由は、この邂逅を期待してのものかもしれないのだし、次回が楽しみだ。
 次回予告での
   本当か? 榊亜紀の力が覚醒を始めたっていうのは
とは何を意味するのか?

 で、せっかくしゃべったのに、それが全然生かされていないクラゲ怪人:ヒドロゾア・イグニオだが、一応怪人が相当な知性の持ち主であるという証明にはなったのだろうか?

 さて、今回の見所は、“尾室君受難の日々”だろう。
 昼食に河野オススメのラーメン屋に出掛けた3人。
 屋台の親父からナルト占いなるものをしてもらう。
 小沢には
   あなた、何にも心配はいらない
   いや〜、憎らしいほど運に恵まれた人だ
と言い、氷川にも
   あんたはちょっと微妙だなぁ…
   なんて言うか、こう、浮き沈みが激しいね
と言ってるのに、尾室には
   あっ! これは…
   何でもありません
と説明なし。
 よっぽど悪いのか、一発大逆転キャラなのか。
 後者だったら、全国一千万人(元締調べ)の尾室ファンが喜ぶだろう。

 もう1つは、すっかり定着した翔一と氷川の漫才。
 司から「図体がでかいだけの無骨漢」と言われたことを気にしていた氷川は、翔一からも「氷川さん無骨だから…」と言われてムキになり、翔一の手からクリームの絞り袋を奪い取ろうとする。
 揉み合って袋を力一杯握ったもんだから、クリームが飛び出して氷川の背広に…。
 ちょっと待て。
 氷川君、食べ物を作っているところに、背広姿のままで入らないように!

PS ところで、ピクルスサンドのレシピを写したので、興味のある人は作って食べてください。
  けど、すっごくアバウトなレシピね。
  個人で作るならいいけど、こんなんで翔一が味を再現できるんだろうか?
  (もっと美味しくなったりして♪)
ピクルスサンド

 材料
 ・ピクルス      ・バター
 ・ハム(うす切り)  ・マスタード
 ・ツナ        ・食パン
 ・マヨネーズ

 [1] バターにマスタードを少量加え、よく練る。
 [2] [1]をパンの上下ともにぬる。
 [3] ピクルスは輪切りにして、水気をとっておく。
 [4] ツナとマヨネーズをあえておく。
 [5] ハムとツナマヨネーズの間にピクルスをはさむ。
 [6] 出来たサンドイッチは、2〜3組ほど重ねてラップしてしばらくねかす。
 [7] 15分ほど置いて対角線上を切る。

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