『仮面ライダーアギト』
18話 新しいボス
2001/5/27 放送  

(Story)

  アギト捕獲作戦失敗から数日後、警視庁では、小沢、氷川、北條の3人を集めて緊急会議が開かれた。
 小沢は、アギト捕獲作戦の失敗による北條の責任問題が議題だろうと考えていたが、その内容は小沢にとって驚くべきものだった。
 アンノウン、アギト、そして新たに現れた第3の生物に対しG3ユニットをより効果的に活用するため、監査官を付けるというのだ。
 監査官として警察庁から赴任してきた司龍二は、補佐官として北條を付けることを要求していた。
 北條はかつて司の部下だったことがあり、司が北條を高く評価していたためだ。

 そのころ美杉邸では、真魚や翔一が、ようやく帰宅した美杉教授に、行方をくらました榊亜紀のことを報告していた。
 真魚は、家政婦と偽って美杉家に入り込み、翔一の恋人だったと言いながら行方をくらました亜紀に対する不信感を露わにするが、翔一は、亜紀から郵送されたアパートの鍵を手に、アパートで亜紀の帰りを待ちながら1人で暮らしてみることにした。
 翔一はアパートに引っ越して花村ベーカリーでアルバイトして生活することにした。

 一方、G3チームと顔合わせの食事をした司は、アンノウンの犯行目的について氷川らに尋ね、結局目的が分かっていないことを指摘する。
 そんな中、新たなアンノウンが出現した。
 何もないところで突然人間が焼死するという不可能犯罪。
 被害者の所持品は全て燃え尽きており、身元も分からず、近くに落ちていた袋から、花村ベーカリーに立ち寄っていたらしいことだけが分かった。
 そして北條は、袋の中身のピクルスサンドを見た途端、一瞬顔色を変える。

 花村ベーカリーを訪れた氷川は、店主の花村久志の話から、被害者が石倉という男であるらしいことを知った。
 その花村も、遅れて店内に入ってきた司と北條の顔を見て凍り付く。
 その日の閉店後、花村は、翔一にパンのレシピを渡し
   俺にもしものことがあった場合、君にこの店を続けてほしくてね
   特にピクルスサンドだけは作り続けてほしい
   あれには思い入れがあってね…
と言う。
 まるで自らの死を覚悟しているかのように…。

 花村が店を出たとき、北條もまた誰かを尾行していた。
 また、誰かの心境とシンクロしている沢木も
   殺してやる
とつぶやく。
 そして、帰宅途中の花村は何者かに殺害された。
 犯人は花村の携帯電話を奪って死体を燃やす。

 その頃、G3ルームでは、司が佐伯信彦の写真などを見て
   これが被害者が超能力者だっていう証拠か?
   まるで子供だましだな
と一蹴していた。
 翌日、花村の死体が発見された。
 燃え残っていた免許証から身元が判明し、石倉と血縁関係がないことから、司は氷川に
   君の推理が間違っていたという可能性もあるわけだ
   アンノウンにとって、血縁関係などどうでもいいのかもしれない
   だとすると、G3ユニットは今までずっと間違った基盤の上で行動していたことになるな
と冷ややかに言い放つ。

 同時刻、石倉の血縁者と思われる者が、クラゲ怪人(ヒドロゾア・イグニオ)に殺された。
 ガードしていた警察官の通報から、G3が急行する。
 落雷による遠隔攻撃に大ダメージを受けるG3の前にアギトが現れ、ヒドロゾアと戦う。
 そしてヒドロゾアが、遅れて到着した司と北條を見た時、それを感知した青年は
   人が人を殺してはならない
とつぶやいた。
 そしてその言葉は、司と北條の方を見ているヒドロゾアの口からも発せられた…。


(傾向と対策)
 さて、いきなりの急展開! みんな話に付いて行けてるかい!?

 亜紀からの郵便の消印によれば、番組内時間は4月、そして美杉家の住所は豊島区雑司ヶ谷らしい。
 涼が死んだと勘違いした亜紀は、姿を隠してアパートの鍵を翔一に送りつけた。
 そこにどんな意味があるのかは不明。
 もしかしたら、「家賃払ってね。でないと実家に請求が行くから」という程度のものだったのかもしれない。
 で、翔一が1人暮らしして自分を見つめ直すのはいいけど、家賃やら生活費やら、全部自分で稼ごうとすると、1人になる時間なんてほとんど取れないぞ。
 今までだって昼間はずっと1人だったんだから、別に出て行かなくてもいいんじゃないのかなぁ?
 美杉家が自分の居場所だって思って、自分の居場所・みんなの居場所を守るために戦う戦士が、居場所を新たに求めるなら、それなりの説得力が欲しいぞ、と。
 ついでに言うと、時給500円くらいで自活していけるのか?
 1日8時間、30日として12万円にしかならないぞ。
 もう1つ言うと、いくら花村に言われたからって、翔一には花村ベーカリーを経営する資格はないと思うんだが。
 調理師免許とかの類、何にも持ってないでしょ? 他人に食べさせる物は売っちゃいけないんだよ。
 無免許疑惑に引き続いて、無資格調理も…!?

★補足 掲示板で、お客さんから「バイト情報誌の表示は800円だった」との指摘をいただきました。
 確かめてみたところ、確かにそのとおり。
 画像が荒くて「500」に見えちゃったんですね。
 で、時給800円で計算し直すと
   1日8時間、30日なら19万2千円
となり、一応生活できそう。
 そーか、ちゃんと考えてたんだね、翔一。
 疑って悪かった。

 ということで、訂正します。
 (情報提供:ヒサヤさん)ありがとうございました。



 次に、アギト捕獲作戦の失敗について。
 どうやら、北條は責任を追及されないうちにさっさと手を打ったらしい。
 つまり“謎の第3勢力の出現”だ。
 アンノウン・アギトに加え、警察側に攻撃を仕掛けた、つまりはっきりと敵意を向けた謎の生物(ギルス)が現れた以上、G3システム運用の抜本的な改革が是非必要、という形でアギトの捕獲云々をうやむやにしてしまったらしい。
 北條の口振りからすると、司が監査官として送り込まれてくることまでは予測していなかったようなので(社交辞令の可能性もあるが)、小沢より与し易い相手がG3チームの頭を張ることを期待したのかもしれない。
 ただ、警察上層部の考えていることは相変わらずよく分からない。
 G3システムの運用をもっと合理的にするという考え自体は間違っていない。
 そのために監査官をつけて運用上の無駄がないかどうかを見るのもいい。
 だけど、氷川を捜査の前面に出すのをやめるのが先じゃないのか?
 G3が一刻も早く出動できるよう考える方が優先のような気がする。
 アンノウンの目的、殺害方法その他に関しては、捜査一課の役目だろう。
 或いは専従捜査班を作るかだ。
 また司監査官が、氷川らのアンノウン超能力者殺害説に異を唱えるのは正しい。
 あれは無意味と取られても仕方ないだろう。
 だけど司が最初にやるべきことは、G3の戦闘記録の分析によるアンノウンの戦力分析・戦闘の効率性評価だと思うのだが。

 で、はっきり描かれていなかったためにストーリー解説では敢えてぼかして書いたが、花村を殺したのはどう見ても北條だろう。
 と言うか、そう見えるようにしか作っていない。
 北條が映っているのと被せて沢木の「殺してやる」を映し出しているということは、あれが北條とシンクロしているということを表しているはずだ。
 もしあれがフェイクなら、視聴者に対する重大な裏切りだ。
 とにかく、花村のピクルスサンドを見て顔色を変えた北條、北條と司を見て愕然とした花村を見る限り、どうやら回想シーンで司を撃った男が花村だったと考えていいだろう。
 その男に激しい憎しみを抱いている北條がアンノウンの仕業に見せるために気絶させた花村から、何らかの情報を求めて携帯電話を奪い、ガソリンなどをかけて燃やしたと考えるべきだと思う。
 
 で、北條がヒドロゾアの殺害方法を真似たのはなぜか。
 1つにはアンノウンの仕業と見せかければ、自分に嫌疑がかかる恐れが内からだ。
 氷川らの“アンノウン超能力者殺害説”を崩すネタにもなるし、万々歳! というわけ。

 …にはいかないのだ、これが。


 まず、法医学的に言って、落雷による焼死とガソリン等による焼死では、死体の状況が変わる。
 ガソリンなどで焼けば、外から燃えるし、高電圧による燃焼は内側からの発火になるので、体内の焼け方が違うのだ。
 そして、犯人が離れてしばらく経ってから発火したことからみて、何らかの時限発火装置を使っているらしいから、その痕跡が残る。
 わざとらしいほどに見せてくれた左手の腕時計を右手にはめたミスなど、ちょっと調べれば人間による犯罪であることがはっきりする。
 いくらなんでも死体の解剖くらいするだろうから、花村の死に不審があることはすぐに明らかになる。
 となると、彼ははっきり殺人犯なわけで、大不祥事だ。
 上司である司にも監督責任が行っちゃうよ?
 そうすると、あの偉そうな司の鼻をへし折るネタにもなるし、逆にそうならないとすっごい嘘臭いんですけど。
 でも、どうも警視庁のお偉方はバカばっかりらしいからなぁ。


★…と書いて一旦はアップしたのだけど、その後元締と話していて言われてしまったこと。

   殺ったの、司じゃねぇの?

 で、ちょっとビデオを見返してみたのだが、確かに言われてみると、司でも辻褄は合う。
 というより、司の方が相応しいような気がしてきた。
 その理由は、“北條が車を降りたシーンの後、花村は前方から襲われている”ということだ。
 北條がわざわざ着替えて花村の前に回るのは難しい。
 とすると、その後に挿入された“G3ルームで写真を一笑に付す司”のシーンが殺害から1時間ほど後と仮定すれば辻褄は合う。
 となると、北條が顔色を変えたのは“花村に恨みを持っている司が殺しに行くのではないか”という不安を感じたため、そして北條が尾行していたの司だったということで落ち着く。
 つまり、「殺してやる」と北條のシーンがリンクしているかのように流れているのは、“北條の不安を表現するため”という非常にあざといフェイクだったということになる。
 うーん。これくらいなら裏切りとは言えんなぁ。

 更に、こう考えれば、“アンノウン超能力者殺害説”を否定していることまで説明できてしまうのだ。
 次回予告で司が涙を流していたのも、殺害を止められなかった北條の説得を受けてのものと考えることができる。

 なんてこった。
 司ってとんでもなく悪い奴じゃん。
 全てG3チームの無能のせいにして責任をおっかぶせようってわけ?
 それこそ、不祥事だよ。



 ところで、司龍二を演じているのは、久々にトクサツ登場の寺杣昌紀(シャドームーンの声やソルブレインの宿敵:高岡を演じている)氏で、さりげに嫌味な男を好演している。
 どうでもいいが、優秀な人間が好きな割に、妙に北條に入れ込んでいるのはなぜだろう?
 どう考えても、北條は危なっかしい部下だったと思うのだが。

 で、今回のクラゲ怪人:ヒドロゾア・イグニオだが、ヒドロゾアは特にどのクラゲの学名というのではなく、クラゲの属の1つヒドロ虫網(マミズクラゲなどが属する)を意味する学名で、イグニオは「燃やす」という意味のラテン語だ。
 初めて「アギト」以外の言葉を話した怪人となったわけだが、「人が人を殺してはいけない」という言葉は、やはり北條に向かって言ったんだろうな〜。
 つまり自分達が人を殺すのはいいけど、人が人を殺すのは駄目、と?
 この言葉の真意も分からないな〜。

 さて、今回の見所は、司達と食事する尾室君だろう。
 G3チームの中でただ1人褒めてもらえなかった彼は、「優秀な人間が好きだ」と言う司を見て面白くなさそうな顔をしていた。
 いいねぇ、彼。


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