『仮面ライダーアギト』
第14話 最強キック
2001/4/29
放送
(Story)
サソリ怪人(レイウルス・アクティア)に破れて倒れた翔一。
駆け寄る真魚に迫るレイウルスは、間一髪駆けつけたG3によって追い払われた。
精密検査を受けたところ、翔一の体内には小さな金属異物が埋め込まれており、心臓に近すぎるため、手術で摘出することは不可能とのことだった。
ただし、翔一に埋め込まれた金属異物は他の被害者の物より小さく、金属が自然に成長するとも思えないことから、アンノウンからの何らかの影響によって24時間後に巨大化して体温を奪うという方式と考えられ、それまでにアンノウンを倒せば翔一が助かる可能性があるということだった。
翔一は、氷川や小沢に、真魚には内緒にして欲しいと頼んで、何食わぬ顔で待っていた真魚の元へ戻る。
その途中、翔一とすれ違った沢木は、翔一の姿を驚いた顔で見つめるのだった。
翌日、アンノウンに襲われた恐怖からか仮病を使って学校をサボろうとする真魚に、翔一は「今度こそ俺がやっつけてやるから」と約束し、ケーキ教室に誘う。
その頃氷川は、風谷邸から発見された黒いボールとビデオテープを小沢らに見せていた。
黒いボールはテニスボールを裏返したもので、しかも切った後がないことから、風谷伸幸が超能力者である可能性を示唆している。
しかし、ビデオテープに何も映っていない。
どうしてわざわざ隠し戸棚に入れられていたのか?
だが、小沢は何かに気付いていた。
また、北條は幹部達に『アギト捕獲作戦』なる計画案を提出していた。
一方、父の死の真相を探る涼は、父の手帳に載っていた木野薫のマンションを尋ねるが、一週間ほど前に引っ越した後で、何の手掛かりも得られないままマンションを後にする。
その部屋には、風谷邸にあったのと同様の裏返しのテニスボールが転がっていた…。
推定余命約4時間の翔一は、そのことを氷川から再確認されるが、「俺、死なないような気がするんです」と涼しい顔をしていた。
氷川が帰った後、真魚と2人で草むしりをしていた翔一は、真魚に
結構立ち直り早いよね
だってさ、昨日アンノウンって奴に襲われたばっかなのにさ
と言うと、真魚は
だって翔一君、私のこと護ってくれるんでしょ?
そう約束したじゃない
私は翔一君のこと信じてるだけだよ
と翔一を信じ切っていた。
そんな真魚を見て、翔一は
もし俺が死んだら、誰が護るんだ、真魚ちゃんのこと
と自分に言い聞かせる。
そして、風谷伸幸殺しの犯人を追う河野刑事は、再び喫茶店ラビットに足を運んでいた。
伸幸が殺された日、喫茶店ラビットは開店10周年記念のカップを客に配っている。
犯人もそのカップを持っている可能性はあるが、その線から追うことは不可能で、捜査はそこで行き詰まっているのだった。
一方、自分が生きていられるうちに真魚に誕生祝いのケーキを作ってやりたい翔一は、1日早いバースデーケーキを作ることにして、真魚を乗せてケーキの材料を買いに出掛けた。
そこに再び襲い掛かるレイウルスの針。
だがそれを、2人を警護していた氷川が防いだ。
針の第2撃を翔一が掴み、氷川が真魚を連れてその場から逃げる。
翔一はアギトに変身し、レイウルスに挑むが、レイウルスの盾の前にキックも通じない。
その頃病室で、謎の青年の
もうすぐアギトは死にます
という言葉に、沢木は
まだ早い
アギトは貴重なサンプルだ
アギトを、殺してはならない
と答え、それを聞いた青年が窓に手を当てると、手の梵字が光りはじめた。
と同時に、レイウルスに体当たりしようとするアギトのマシントルネイダーの下に青年の手と同じ梵字が現れ、タイヤに吸収された。
その途端、動かなくなるトルネイダーのハンドル。
そして、レイウルスの投げた斧を避けるためにアギトがジャンプした瞬間、再び青年の梵字が光り、トルネイダーはスライダーモードに変形した。
事態が飲み込めないまま、アギトはスライダーモードを操ってレイウルスに突進し、勢いを付けたキックで盾を貫いてレイウルスを蹴り飛ばして倒した。
その後、完成したケーキを食べるため、コーヒーを用意しようとした太一が割ってしまったカップは、ラビットの10周年記念カップだった。
割れたカップを見つめる美杉教授の目が意味するものは…?
(傾向と対策)
予想どおり真魚を庇って襲われたことになった(事実そのとおりなのだが)翔一は、検査の結果、心臓近くに金属異物が入れられていることが分かった。
レイウルスはサソリと言うよりアシナガバチなどの方が近いかもしれない。
この金属異物は、24時間後に被害者が死ぬ頃には大きくなっているわけだが、小沢の推測では、金属の塊が勝手に成長するはずはないから、レイウルスから何らかの影響を受けながらが大きくなるのではないかということだった。
レイウルスが被害者に2度接触した形跡はないから、レイウルスが発するエネルギーを受けて大きくなるなどの形と言うことだろう。
ならば逆に、エネルギーが途絶えると小さくなって消滅する可能性もあるわけだ。
でも、結果的にその推測は正しかったし、小沢も『恐らく』というレベルで話していたわけだが、もしこれがゴ・ジャラジ・ダのように一定の時間が経つと突然巨大化するものだったらどうなったのだろうか。
また、スライダーモードからバイクモードに戻ったトルネイダーからは、梵字のエネルギーが去ってしまったようだけど、変形するたびにホムンクルス1号の手助けを必要とするんだろうか?
だいいち1号はどうしてアギトがトルネイダーに乗って戦っていることが分かったんだろう?
アギトの場合、近くにトルネイダーがないことが多いんだけど。
まぁ、いずれにしても沢木はアギトが翔一であることを知っているようだし、翔一の顔も知っているようだから、両者に何らかの繋がりがあることは間違いない。
沢木の
アギトは貴重なサンプルだ
という言葉が意味するものが何なのかなど、興味は尽きない。
でも、措置入院ってことは精神病院でなければおかしいと思うんだけど、あそこの病院には精神科がちゃんとあるってことなのかな?
まぁ、MRIなども完備していたようだし、大きな総合病院なのかもね。
で、翔一の身体にはベルトが可視状態で入っていないことは確認できたね。
やっぱり召還か細胞変化のクチなんだろうなぁ。
今回の翔一の態度だが、どうやら“死への恐怖を押し隠して脳天気に振る舞っている”ということらしい。
当初は、“24時間以内にアンノウンを倒せば助かるなら大丈夫”的態度にも取れたのだが、考えてみればレイウルスを倒せるという根拠はどこにもないわけで、根拠レスな自信があるか、空元気かのどちらかと考えるべきだろう。
また、「俺が死んだら、誰が護るんだ、真魚ちゃんのこと」などと言った直後に、生きているうちにケーキを作ろうとするかのような行動を取っていることから、“24時間以内にアンノウンを倒せないかもしれない”という弱気が感じられる面もある。
この辺りの描写が薄くなるのは、“本当の翔一の姿”というものを知っている人がいないからだ。
例えば『クウガ』での桜子のような「五代君が『大丈夫』って言ってるんだから大丈夫。五代君、嘘つかないから」と表現してくれるキャラがいないため、翔一の言動以外に判断材料がないのだ。
また、ラビットのカップのように、“キャラクターは当事者しか知らないのに、視聴者は知っている”という例も多い。
カップが割れた時の美杉教授の表情は大変思わせ振りだったが、本当にラビットで伸幸と口論していたのが美杉教授なら、自分が疑われる恐れのあるカップなどさっさと捨ててしまうだろうから、スタッフからのブラフなのではないかと思うのだ。
また、割れたカップが捨てられてしまうことで、警察関係者の目に留まるチャンスはほぼなくなるから、教授が事件に絡むことには繋がらない。
三雲のことや1号のこともそうだが、“視聴者は知っているがキャラクターは知らない”ことが多すぎるのがアギトの欠点と言えるだろう。
欠点と言い切ってしまったのは、演出上のからくりとは思いにくいものが多いからだ。
例えばギルス。
ギルスの姿を見たのは、コーチと片平真由美だけであり、ましてや戦っているところを見て生きているものはいない。
つまり、ギルスが倒したエクウス・ディエスの死を確認した者はいないわけで、当然警察では生存しているものとして扱うことになるはずだ。
また、1号が死なせたアングィス・フェミネウスも生存扱いである。
ところがそんな気配は微塵も感じられない。
これが演出上わざとだとは思えないのだが。
また、翔一が今回「アンノウンとかを倒せば…」と言っているように「アンノウン」という言葉自体知らなかったわけだし(そりゃそうだろう)、キャラクターが持っている知識は極一部に限られているのだ。
もっとも、今回そのセリフが入ったように、スタッフ側で分かっている部分もあるようだから、こういったアンバランスさがこれからどのようにフォローされていくのかが楽しみだ。
何しろ、翔一が「アギト」という名前を知ったのも12話と遅いわけだし、実は、それどころか「ギルス」という名前自体、本人すら知らないのだから。
いや〜、それにしてもG3、強かったね〜。
不意打ちとは言え、アギトのキックもフレイムセイバーも受け止めた盾をあっさり落とさせちゃうなんて。
GS-03の刃の部分がとうとう一度もレイウルスに当たらなかったから大したダメージを与えられなかったけど、GM-01だけであれだけダメージを与えられたんだから、きっとGS-03ならかなり切り裂けるんじゃなかろうか。
だって、レイウルスは全部手首のパーツで受けてたもんね。
ガンダムのビームサーベルを受け止めたランバ・ラルのグフのようなもんだ。
氷川がレイウルスとの戦いに参加できていれば、トルネイダーなんかなくても勝てたんじゃなかろうか。
それにしても、今回アギトは紋章の力を使っていないようだけど、スライダーモードで勢いをつけただけでそんなにキック力が上がっちゃったの?
今回の“小沢語録”。
初めまして、だったわね
氷川君と一緒に働いてる小沢澄子よ、よろしく
これは、小沢なりの氷川に対する気遣いだと思う。
『上司』と言わずに「一緒に働いてる」という言い方をしたのは、自分の外見&年齢を十分に理解しているからだろう。
氷川の顔を立てたんだね、きっと。
さて、今回の見所は、翔一の飽くなきキャベツに対する執着だろう。
卵臭さを押さえるためにキャベツの汁を使い、イチゴの変わりに芽キャベツを載せるなど、無茶なこだわりが笑える。
ちゃっかり教室乗っ取ってるし。
何者、コイツ?
そんでもって、草むしりもマトモにできない超絶不器用な氷川君は、今度は何と言って追い返されたのでしょうか?
PS それにしても、ラビットのカップ、鷹羽も職場用に1つ欲しい。