『仮面ライダーアギト』
第9話 2人のG3
2001/3/25 放送
(Story)
急成長を遂げる少年の姿を見た涼は、恐怖に駆られてギルスに変身し、少年に襲い掛かる。
それを見た少年は
アギト…いや、ギルスか
珍しいな…
そう、怖いんだね、僕が…
いいよ、好きにして
とつぶやき、身じろぎもせずに踵落としを受け、梵字を残して消えた。
数日後。
警視庁では、北條が瞬く間にG3システムを使いこなすようになって上層部や尾室を感嘆させたが、一人小沢だけは納得していなかった。
北條は、アギトを捕獲することで自分の実力を見せつけようと考える。
G3装着者を外された氷川は、捜査一課に転属となり、相変わらずアンノウンの被害者が超能力者であるという線で捜査を続けていた。
翔一と真魚が街を歩いている最中、すれ違った女性は翔一の顔を見つめて呆然とする。
その女性が翔一の過去を知っているらしいことから、その女性・三浦智子と翌日(3月25日)の午後0時に東公園で会うことになった。
その夜、三浦はどこかへ電話をかけて
本人は津上翔一と名乗っていますが、本名かどうか分かりません
明日本人に会って確かめてから連絡します
はい、十分注意しますので
と連絡していた。
翔一は、三浦から電話があった後妙に考え込んでいる様子だったが、翌日の午後、三浦には会えなかったと言って、明るい顔で美杉家に戻ってきた。
どうも歯切れの悪い翔一に、真魚は“記憶を取り戻したくないのか”と不審を抱く。
その頃、東公園では、三浦智子の絞殺死体が発見されていた。
アンノウンの犯行と思われる不審な点はなく、通常の殺人事件として捜査されることになったが、彼女の持っていた電子手帳に津上翔一の名前と電話番号が残されていたことから、彼女が津上なる人物と待ち合わせていたらしいことが判明した。
また同時刻頃、タコ怪人(モリペス・オクティペス)が現れ、公園で子供と遊んでいた男性が襲われ、通報を受けたG3チームが出動した。
そして、モリペスの出現を察知して駆け付けようとする翔一の前に河野と氷川が現れて、三浦殺しの参考人として任意同行を求めるが、現場に急ぐ翔一が河野を突き飛ばして逃げようとしたため、翔一は公務執行妨害で現行犯逮捕された。
その頃、出動した北條G3は、若干の命令違反はしたものの、鮮やかな戦いぶりで襲われていた少年を無事救出してモリペスを撃退し、初陣を勝利で飾っていた。
(傾向と対策)
北條の訓練期間を挟むことで、番組内時間が現実時間と同じ3月25日まで追いついた。
さて、念願のG3装着員になれた北條君は、言葉に違わず優秀で、氷川よりも短時間でG3を使いこなし、初陣を勝利で飾った。
「無茶しないで」という指示の直後に、さらに発砲するという命令違反をしたことについて何か言われるかどうかが問題となるところだが、結果的に少年を無傷で救い出しているから、お咎めはないだろう。
ただし、G3チームの構成から言って、『現場の判断』で装着員が命令違反するのは重大な問題であり、北條の資質に疑問を提唱する元となる可能性は否定できない。
というか、そうでもしないと北條を外せないだろう。
ただ、今回はバックアップ側からの「GM-01、アクティブ!」というようなセリフがなかったからなぁ。
ちょっとその辺の描写が希薄だったよね。
で、モリペスは爆発していないから、恐らく液化するか何かして逃走したものと思われる。
次に、翔一の記憶について。
翔一は、傍目にも分かるくらい過去を知ることに恐れを抱いている。
今が居心地がいいからなのか、前回のビジョンの関係で恐れているのかは不明だが、制作者側の意図としては、三浦智子の死体脇にわざわざ翔一が買ったのと同様の針金を置き、翔一が広げた商品の中に映さないことで視聴者を混乱させようとしているのが見て取れる。
この針金については
1 翔一が買ったもので、三浦の死体を発見した翔一が放り出して逃げた
2 翔一が買ったものだが、待ちぼうけしている間に落とした
3 翔一が買ったものではなく、単なる偶然
4 翔一はちゃんと三浦に会って帰ったが、その際針金を落とし、それを誰かが使った
5 翔一が三浦を殺した
という5通りが考えられる。
このうち、1と5はありそうにないし、三浦が遅刻したとも考えにくいから、2もないだろう。
3だとすれば、レシートの時間などから翔一のアリバイが成立する可能性もあるから解決も早いが、それではあまりに安直だし、4が正解だろうか。
翔一が記憶を取り戻したがらないのは何故か、三浦は翔一に何を感じたのか、また、誰が何の目的で三浦を殺したのかが今回の焦点と言えるだろう。
三浦は、電話の相手に
本人は津上翔一と名乗っていますが、本名かどうか分かりません
と語っている。
つまり三浦は、翔一の容貌が誰かに似ていることから翔一にコンタクトを取ってきただけで、それが『津上翔一』という人物であるかどうかは関係ないことが分かる。
また、氷川が三浦に見覚えがあることなどから、三浦が『あかつき号事件』の関係者で、何らかの極秘調査を行っているという可能性も高い。
三浦という名前自体が偽名であるとか、氷川は顔を知っているだけで名前は知らなかったとかいう形で、翔一と氷川の両者と関わりのある人物なのだろう。
彼女が電話で言っていた「十分注意します」というのが、何についての注意なのかも不明だが、さて。
ところで細かいことだが、三浦の免許証によると、彼女は昭和47年12月生まれだから、29才じゃなくて28才だよ、河野さん。
あと、EDがいつものと違って『stranger in the dark』という、アンノウンの曲らしきものに変わっていたね。
一部で言われていた“活躍するライダーごとに違うEDを”ってのが果たされたのかな?
今回の“小沢語録”。
「氷川君の方が可愛いじゃない」
どうして彼女が北條を嫌うのかが少し分かったような気がする。
謙虚で素直で純朴な人が好きなんだね、きっと。
15才でマサチューセッツ工科大の博士課程を首席卒業するような才媛なら、多少デキる男を見てもどうってことはないだろうし、それなら素直な方がいいってことか。
ま、北條は確かに可愛い性格はしてないわな。
さて今回の見所は、美杉家の夕食だろう。
翔一が家事をボイコットしたために、キャベツの千切り(と言うには切り方が雑だったようだけど)だけをオカズにする3人。
翔一が色々買い込んでいた食料は、冷蔵庫に入ったままなのかな?
どうせあの3人のことだから、みそ汁の実もキャベツだろう。
でも、その翌日にまた食材を買いに出掛ける翔一って何者?
またその道中にサイレン鳴らして現れるパトカーも謎だが。