『仮面ライダークウガ』
EPISODE47 決意


(Story)

 46号(ゴ・ガドル・バ:カブトムシ種怪人)を倒した黒の金のクウガさえ0号(ン・ダグバ・ゼバ)の前に為すすべもなく敗れ去った。
 0号は
  「もっと強くなって、僕を笑顔にしてよ」
と言い残し、とどめを刺さないまま去っていった。
 目を覚ました雄介は、一条に「一条さん…俺…なります…」と語る。
 
 9日後、雄介は、神崎先生、榎田、椿の元を訪れて別れを告げる。
 最高に強くなって0号を倒した後、暫く冒険に出る、と。
 3人は、それぞれの想いを抱きながら雄介を見送る。
 
 雄介は、更に0号に敗れた場所に行き、献花されている風景を見て決意を新たにし、奈々とおやっさんにも別れを告げるべくポレポレに入った。
 
 この間、0号による虐殺は続き、被害総数が3万人を突破していた。
 捜査本部では、強化型神経断裂弾が配備され、気象庁の協力を得て『第0号検知システム』が完成しようとしていた。
 このシステムが完成すれば、0号の居所を察知して先手を打てるようになるのだ。
 
 その頃、ポレポレでは、帰ってこない雄介を心配する奈々と、心配しつつも「いつものことだ」と奈々を慰めるおやっさんがいた。
 また、みのりは、怯える園児達に「みんなも頑張ってるんだから、0号はもうすぐいなくなるよ」と慰め、いよいよ出産を控えた恵子先生にも「こんな時だからこそ、みんなを笑顔にする元気な赤ちゃんを産んでください」と励ましていた。
 そして桜子は、雄介が0号に勝つ方法を模索した結果、凄まじき戦士になる道を選ぶことを予測しているのだった。
 
 一方、一条と桜井は、江東区辰巳5丁目に設置された未確認生命体監視カメラにB-1号が映っていたことから、江東区内にある廃ビルを探索していた。
 一条はビルの中で、ダグバの名前(マーク)の入ったグロンギ文字のボードを発見した。
 
 そして、ダグバは、次の殺戮場所に選んだ場所で
  「そろそろやろうかな
と微笑むのだった。

 
 
(傾向と対策)
 きゃ〜、鷹羽ったら1週見逃しちゃった〜。
 いつの間にかダグバとの戦い終わってるしぃ。
 
  ちょっと待てぇい!!
 
 いくらなんでも、そりゃあんまりだろう。
 1/2の新春スペシャルを放送してない地方の人は、特番中に戦闘シーンがあってダグバに負けたんじゃないかと誤解しちゃうぞ!
 
 第一、黒の金のクウガがダグバに破れるところをそれなりに見せておかないと、ダグバの強さが実感できない。
 負けた後のクウガをちょっと見せただけで十分だとは思わないで欲しいよ。
 ガドルを倒した黒の金でもダグバには歯が立たないということをはっきりと見せておかなくてどうするのさ?
 今回のタイトルは『決意』だけど、決意するんじゃなくて、既に決意したところから始まっている。
 だったら、『挨拶』でもいいくらいだ。
 確かに、生死を賭けた戦いの前に、愛すべき仲間達にそれとなく別れの挨拶をして回るというのは燃える展開だ。
 最後の戦いの前のひとときの安らぎを描くことで、戦士の決意を浮き彫りにする素晴らしいイベントだ。
 まして雄介は、“なってはならない”姿になってまで戦おうとしているのだから、それをじっくりと描いてみせることには大きな意味がある。
 だけど、そのバックボーンとなる敗北があんなにもあっさりと描写されていては、その決意の重さが伝わらないじゃないか!
 ゴ・バベル・ダ(バッファロー種怪人)戦のハンマーの時のように、いいとこなしでも構わない。
 とにかく“これまでで最強の黒の金のクウガでも敵わない”ということをはっきりと見せて欲しかった。
 鷹羽は『クウガ』という番組において、戦闘シーンというものが重要視されていないことは理解している。
 これまでそのことに文句を言ったことはほとんどない。
 それは、番組として描きたいものが戦闘シーンのカタルシスではないということを認めているからだ。
 『クウガ』は、ヒーロー物としては異色作に属する存在だろう。
 だから、戦闘シーンでないところに重きを置いてもいいと思っているし、そのために戦闘シーンが短いことにも目をつぶってきた。
 あまりに戦闘を無視しすぎた時にだけ苦言を呈してきたつもりだ。
 今回は、これまでで最もひどいものだったと思う。
 せめて、OP前のあの短時間だけでも、クウガがダグバに破れるシーンをきっちり描いて欲しかった。
 はっきり言って、ダグバの破壊シーンなど削っても良かったくらいだ。
 クウガが倒れた時に、燃えさかる車などが映っている全景を見せれば、端的に伝わるだろう。
 あんな破壊を見せられたところで、どうせ『究極の闇』がどういうものであるかなどは判らないのだから。
 
 気を取り直そう。
 雄介がみんなに別れを言って歩く姿は、時間を割きまくっただけあって、なかなか良かった。
 神崎・榎田・椿は三者三様に雄介の言葉に不安を感じていたし、それでも雄介に頼るしかない辛さを態度で示している。
 そして桜子は、雄介の決意を予測している。
 それを止めようがないことまでも。
 一条が、バルバが現れたことを雄介に知らせないのもそのためだ。
 悲壮な決意をした雄介に、最後の別れの時間を与えてやりたいのだ。
 また、みのりは不安を抱えた恵子先生や園児達を励ます側に回っている。
 これらは、雄介の1年間の戦いを見守ってきた者達だからこその対応であり、今回のメインテーマでもある。
 なればこそ、雄介の決意のバックボーンをしっかりと描いて欲しかったのだ。
 
 さて、“究極の闇”とは何だろう。
 新聞によると、被害者数が3万人を超えたという。
 これは、未確認生命体全体の話なのか、ダグバの被害者に限っての話なのかは判らないが、どうせこれまでの被害者数は3,000〜4,000人だから、ダグバの被害が突出しているのは判る。
 既に3学期が始まっているのに風早小学校が学校閉鎖っぽいのも、ポレポレが営業してないのも、恐らくはダグバがかなり大規模に移動しながら殺戮しているためだろう。
 わかば保育園はやっているのだから、土日ということはあるまい。
 新聞の日付が読めなかったから正確な日付は判らないが、新学期が始まって数日なのは間違いない。
 ガドルが倒されたのが12月17日だったわけだが、1月末に出産予定の恵子先生が産気づいたということは、ちょっと早産としても、1月中旬という扱いのようだ。
 OP前の映像を見る限り、1回の被害者数は大したものではなさそうだから、ちまちまと殺して歩いているのかもしれない。
 殺すだけ殺してすぐに立ち去るから、クウガが間に合わなくて戦闘にいたらなかった、と。
 それにしても、仮にもあれだけのゲームをしてきておいて、最終目的が結局大量虐殺では意味がないような気がする。
 勿論、グロンギなりの価値観に基づいてのものだろうが、それを、画面上でなんとなく判る程度でいいから説明してくれないと、意味をなさないと思う。
 これでは、大風呂敷を広げただけで収集がつかないというだけの話だ。
 あと2回でどこまで謎を解いてくれるのか。
 水族館の謎の男が誰だったのか、バルバの正体は何なのか、4色しか持たなかった先代のクウガがダグバを封印できたのは何故なのか、ちゃんと判るようにして貰わないと。
 ダグバは今回、「クウガを殺さないのか?」というバルバの問いに
  「殺して楽しいぐらいに強くなったらね。
   そしたらあの時のお礼をしてやるんだ」
と答えている。
 『あの時』とは、先代のクウガに封印されたときのことだろう。
 だから、謎を解く気がないわけではないようだ。
 期待して来週を待つとしよう。
 
 今回の見所だが、やはり雄介と榎田・椿の会話だろう。
 『ホットケーキを作って失敗』から、『散歩で失敗』に話が進み、取り敢えず和んでみせる榎田。
 『俺は山より海が好きだ。だから、行くなら冬でも泳げるような海にしてくれ。俺としては、付いて行くならその方がいい』と言ってみせる椿。
 これらは、言外に『無事に(人間として)帰ってこい』という想いを込めたものだ。
 自分を犠牲にして戦い続けた雄介と、その力をアテにせざるを得ない自分達。
 だからせめて無事に帰ってきてくれ、と。
 こういう部分だけ見れば、今回の話は実に良かったのだ。
 
 ところで、今回の戦いで、ベルトとアマダムに亀裂が入ってしまった。
 変身には支障がないが、基質的にもろくなっているらしい。
 これまでの情報から、今後の展開予想をしてみよう。
 雄介は、凄まじき戦士を制御できなかった時のために強化型神経断裂弾を装備した一条を伴って最終決戦に望む。
 いざという時は自分を撃てと頼むわけだ。
 そして、何とかダグバを倒した後、その戦いのダメージからアマダムとベルトが砕け散り、命は取り留めるものの2度と変身できなくなってしまう。
 そして、念願の冒険野郎に戻った雄介は、日本を離れどこか外国へ旅立つ。
 
 こんなところではないだろうか。
 ついでに恵子先生の赤ちゃんの名前が雄介だったりすると出来過ぎだね。
 雄介が死ぬというエンディングは見たくない。
 ここまで来てそれでは、当たり前すぎるから。
 
PS スポンサーナレーションは雄介に戻った。
  もっとも、新春スペシャルでも東京では雄介だったそうだが。
  バンダイは東京方面だけスポンサーになっていたらしく、「バンダイ」という言葉が入っているあのナレーションは、東京以外では流せなかったみたいなのよね。
 
PS2 EDが1番の歌詞に戻っちゃった。




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