『仮面ライダークウガ』
EPISODE45
強敵
(Story)
緑のクウガが発射した緑の弓は、46号(ゴ・ガドル・バ:カブトムシ種怪人)の背中に命中したものの、あっさりとかき消えてしまった。
46号は、胸の飾りをボウガン状の武器に変えてクウガを狙い撃つ。
青になってもかわしきれないクウガは、手元の棒きれを拾って紫に超変身し、46号に立ち向かう。
しかし46号は、腹に刺さった紫の剣を自分の剣に変えて、逆にクウガを追い詰めた。
必死に剣をかいくぐったクウガの赤と金のキックも平然と受け止めた46号は、自らも金の力を使ったキックでクウガを破ったが、とどめを刺すことなく立ち去った。
この戦いの間に、一条はB-9号(ラ・ドルド・グ:コンドル種怪人)を発見。これにマーキング弾を撃ち込むことに成功していた。
科警研では、神経断裂弾の開発が難航していた。
0.3秒間に2回連鎖爆発させるための火薬の調合が上手くいかないのだ。
授業参観を放り出して科警研に戻った榎田は、母・篤子から電話で責められながらも、火薬の調合に取り組む。
B-9号に撃ち込んだマーキング弾の反応分布から、未確認生命体のアジトが世田谷区駒沢のセントラルアリーナであることが判明し、捜査本部の刑事達は現場に向かう。
また、榎田の活躍で完成した神経断裂弾も、千葉県警の白バイ隊員の手によって現場に輸送されていた。
その頃セントラルアリーナでは、一条にカウンターボードを破壊されたB-9号が、ゲームを台無しにした責任を取るために46号と対決していた。
一方、重傷を負って関東医大に運ばれた雄介は、驚異的を通り越して奇跡的な回復力で快方に向かっていた。
ニュースで雄介が46号に敗れたらしいことを知った桜子も関東医大に行き、椿に雄介が強くなることを望んでいると告げる。
更なる強化に気乗りしなかった椿も、桜子が伝えた雄介の言葉「みんなの笑顔が見たいから、ただ自分ができるだけの無理をしてる、ただそれだけだよ」を聞いて、もう1度電気ショックを与えることに同意する。
その時、突然雄介の心拍が弱まった。
(傾向と対策)
今回もクウガは大苦戦を強いられた。
背後から不意打ちの緑の弓は、ガドルが力を入れることもなくかき消されてしまったし、ガドルのボウガンは青でもよけきれず、紫をも押し戻す威力。
しかも突き刺した紫の剣からは封印の文字を描けず、「小癪な」と、逆にガドルの剣に変えられてしまった。
剣を奪われたクウガは、ガドルの猛攻で装甲に多大なダメージを受ける。
特に、肩の装甲を切り落とされたのは衝撃的だ。
一瞬の隙を突いて赤に戻って剣を蹴り落としたクウガは、そのまま金の力のキックを放つも、それさえ受けきられてしまい、逆に「この力はこう使え」とガドルの金の力のキックを食らって負けてしまった。
ガドルは「そんな力でダグバは殺せないぞ」と言い捨てて去って行った。
この戦いでは、いくつか面白いことが判る。
ガドルのキックに回転が加わっていてストロンガーの超電ドリルキックみたいだったとかいうのはさておいて、まず、クウガの剣がガドルの剣に変えられてしまったこと。
この辺りは、ゴ・ジャーザ・ギ(サメ種怪人)との戦いの時に、クウガがジャーザの銛を自分のロッドに変えたことと同様の使い方で、実に巧い見せ方だ。
ガドルが剣を変えた時に同じ向きのまま変わったのは、ガドルの腹に刺さったままだったからだろう。
あの状態で向きを逆にすると、柄が腹に刺さった状態になるからね。
次に、ガドルの驚異的な強さ。
これまで封印の文字を消した怪人達は、みんな力を込めて消し去るという感じだった。
ところが、ガドルはさほど力を込めることもなく消し去っている。
これは、ガドルが地力においても他を圧倒する強さの持ち主だということを意味する。
そして、超変身するたびに変わるガドルの目の色と、金の力を発動すると変わる体色。
目の色は、クウガのそれと対応した色になっている。
また、ガドルがクウガにとどめを刺さなかったのは、クウガの力が取るに足らないものであることと、既にダグバとのファイナル・ゲームしか見ていないためだ。
一方、クウガの方を見ると、紫から赤に戻った後、切られた肩口が治っている。
これは、クウガの超変身が原子レベルの再構成によって行われるため、超変身すると完全な形に戻るためだ。
多分、再度紫になると、装甲の傷は全部治っているはずだ。
そして、ガドルの金のキックを受けて白に戻ったのは、単に金の力の発動時間が経過(約37秒)したからにすぎない。
以前、研究室第9回『聖なる泉涸れ果てし時…』で書いたように、グロンギの怪人達は、クウガのアマダムを破壊するよう調整されたアマダムを持っているわけではないから、ガドルの攻撃も、単にダメージを与える方向にしか働かないのだ。
それにしても、ガドルに追い詰められる紫のクウガについて一言言いたい。
バベルの時もそうだったのだが、押しまくられるのはいいとしても、怯えているように見えるのはなんとかならないか。
雄介の人物描写から言っても、その後のクウガの反撃の仕方などから言っても、反撃の糸口を探して必死に避け続けているという状態のはずだ。
それなのに、なんだか戦意そのものが感じられないほど動きが弱々しいのだ。
あれでは、逃げまどっているようにしか見えない。
負けるのは構わないが、逃げまどってはいけない。
勝機を窺いつつ攻撃をかわし続ける、これがクウガの戦いのパターンではないのか。
さて、その2人の戦いを見守っていたドルドだが、元々彼はガドルが警官を殺した数を計上するために動いているため、ガドルがゲーム外の戦いをしているのを見て
ゲームはしばし休みか
と言って帰ろうとしている。
そこを一条に撃たれて、カウンターボードを壊されているわけだ。
そして、ガドルが戻ってきた後
ガドル「嫌な匂いだ」
バルバ「ドルドがリントの戦士に穢(けが)されたからだ」
ガドル「そんな奴がいたとは…。
獲物として仕留めてみたいものだ。
ゲームを再開する」
バルバ「ゲームはやり直しだ」
ドルド「カウンターが破壊された」
ガドル「いいだろう。
だが、ゲームを台無しにした責めを負い、貴様には死んで貰う」
ドルド「応じよう」
ということで、ガドルと戦うことになったのだ。
ガドルの怒りは、“せっかく殺した人数をフイにされた”というよりは、“神聖なゲームにミソを付けられた”という意味合いのようだ。
108人殺し直すことなど造作もないが、ゲームに水を差されたことは我慢ならないらしい。
どうして「死んで貰う」と言われ、「応じよう」と答えて戦いになるのかというと、彼らなりの美学に基づいた決闘による、汚名返上のシステムがあるものと思われる。
すなわち“侮辱を与えた相手を殺せたなら、その罪は帳消し”というようなしきたりがあるのだろう。
そして、ダグバとバルバの会話では
バルバ「ガドルはファイナル・ゲームに進んできそうだ。
だが、クウガがガドルを殺すかもしれない。
そうなれば、お前が究極の闇をもたらすことになる。
クウガは、どうなるかな…」
ダグバ「楽しみだね、とても…」
ということになっているが、バルバはファイナル・ゲームに参加しないのだろうか。
バダーは「最後の1人クウガを殺し、次はアンタを殺し…楽しみだ」と言っていたのだが。
お話変わって、関東医大に駆け付けた桜子は、“五代君の笑顔のために”クウガの更なるパワーアップを椿にお願いする。
自分自身も雄介の身体に負担が掛かるのは嫌だけれど、どうせ危険な戦いに赴くのなら強くなった方が安全、と判断したのだろうか。
それとも単に雄介の望みを叶えてやろうという考えなのか。
いずれにせよ、赤と金のキックすら通じないガドルを相手に、金の力の持続時間が延長されたところで焼け石に水だから、やはりパワーアップの方向で強化できないと意味がない。
ここは、黒いクウガのパワーだけいただき、といきたいところだが、さて、どうなることか。
アメイジング・マイティとかいうのはガセネタで終わって欲しいところだけど…。
さて今回の見所だが、科警研に向かうジャンへの桜子の「頑張ってね」だろう。
やぱりジャンの気持ちは知ってる訳ね。
ジャンが科警研に出掛けていく理由がそろそろ終わるから、『榎田との仲を何とかできるといいね』という励ましだ。
一方の榎田も、部屋に閉じこもってしまった冴のことで悩んでたのが、ジャンの顔を見て涙ぐむんだから、それなりに気を許してるということだろう。
上手くいくといいけど、でもただでさえお母さんに相手して貰えない冴君は、お母さんが外人さんと再婚するとか言ったら、拗ねちゃうだろうな〜。
それにしても、ジャンから貰ったペーパークラフトは、まだ科警研の机の上にあったのね。
あと、例のチョモランマの写真は、みのりも感慨深げに見てたから、やはりラストへの伏線のようだけど、どうオチを付けるか楽しみだな〜。
ところで、おやっさんが言ってた「いらっしゃい・オー・ハット」ってどういう意味だろう?
PS 次回予告でのガドルの「殺してやる」ってのは、誰に向かっての言葉だろう?
クウガ? ドルド? それとも一条?