『仮面ライダークウガ』
EPISODE43現実
(Story)
45号(ゴ・バベル・ダ:バッファロー種怪人)が死んで事件が一段落し、捜査本部の刑事達は、束の間の休息を得た。
そして科警研での会議を終えた一条は、実加が出場するフルート演奏コンクールの会場へ、雄介はわかば幼稚園へとそれぞれ向かった。
一方、清掃員に扮した男は、実加が落としたペンダントを手渡すと、そのまま会場ビル内に潜り込んで、蟻川社長を拉致した。
会場に着いた一条は、周囲があわただしいことに不審を感じる。
以前同僚だった桂木(警部補?)を見付けた一条は、コンクールの主催者である蟻川誠一が行方不明になっており、リストラによる怨恨からの事件の可能性を知った。
会場内で実加と和やかなひとときを過ごした一条だったが、そろそろ実加の出番という時に、にわかに刑事達が騒然とする。
事件に動きがあったことに気付いた一条は、矢も楯もたまらず刑事達の後を追った。
屋上には、蟻川社長に拳銃を突きつけて立てこもる帽子の男(間宮まさひこ)の姿があった。
一方、幼稚園で幼児達と遊んだ雄介は、コンクール会場に向かう途中、ビルの屋上から怪しい気配を感じ、青いクウガになって屋上に跳ぶ。
緑になって神経を研ぎ澄ましたクウガは、近くのビルに0号によく似たシルエットの4本角の怪人の姿を見た途端、圧倒的な威圧感から一気に力を消耗し、変身が解けてしまった。
その頃コンクール会場の屋上では、社長を放り出してエレベーターで逃走した間宮を刑事達が追っていた。
一条は外の非常階段を使って、いち早く間宮に追いつき、通りすがりの女性を人質にした間宮の一瞬の隙を突いて銃を撃ち落とし、取り押さえる。
遅れて来た刑事達に間宮の身柄を引き渡した後、その場に居合わせた実加に気付く一条…。
近寄る一条に、実加は怯えた表情を見せた。
一条は報告書を提出するため、到着した雄介に実加を任せて幕張署に向かう。
実加は、長野へ帰る前に雄介に“笑顔を見た後だけに、犯人を捕まえる時の一条が怖かった”と語った。
雄介は、怖い一条も笑ってる一条も、どちらも本当の一条なんだと諭して、実加を帰途につかせた。
(傾向と対策)
一条主役編〜。
今回は、管轄違いも甚だしいところで一条君が大活躍!
エレベーターで逃げた間宮を、他の刑事が中の非常階段で追い掛けてるのに、1人だけ外の非常階段で追い掛ける辺り、さすがだ。
あれは、素直にエレベーターで1階までは逃げないだろうことを予想しての予防策なのだ。
案の定、間宮は2階でエレベーターを降りて非常階段で逃げたため、1階エレベーター前で待ち伏せていた刑事達は待ちぼうけする羽目になった。
一条が、他の刑事に先んじて間宮に追いついたのはそのためだ。
彼が「凄腕」と言われる所以だろう。
しかし、その後がいけない。
人間相手に平気でマグナム撃っちゃうし、人質に怪我でもさせたらどうするつもりだったんだろう?
ニューナンブじゃないのよ? 威力が違うでしょうが!
幕張署で書くのは、報告書じゃなくて始末書のような気もするなぁ。
饅頭を2つに割ってあんこだけ先に食べるのが好きとか、どこに行っても「とうとう彼女ができたか?」とか言われるキャラクターだとか、本当に一条の普段の状態というものを浮き彫りにするためのエピソードだったみたい。
一歩間違えれば『ソルブレイン』(日曜の朝から気の滅入る話ばっかり)にもなりかねない、大変危険な話だったと思う。
ま、クウガだからね。
ラスト前の幕間劇としては良かったんじゃない?
で、実加が帰ったのは東京駅からだったから、多分一旦ポレポレに行って少し落ち着いてから、雄介にあんなことを言ったんだと思うけど…。
EPISODE7『傷心』での家出モドキの時もそうだったけど、結局判ってないのね、この娘。
銃に驚いたとか、人質がいるのに撃った一条が怖いとかいうんならともかく、実加が怯えたのは、犯人を捕らえる一条の冷徹さだったわけだ。
人を押さえつけ、ねじ伏せて捕まえる…そんな一条の姿が、実加には怖い存在に映ったわけだね。
でも、少し考えて欲しい。
にこにこ笑ってて0号が倒せるかい? 倒すべき者を相手にした時に、笑っていられると思う?
実加は、お父さんから思いっきり叱られたことはないんだろうか?
怖いお父さんも優しいお父さんも、どちらも本当のお父さんだってことを実感したことがあるなら、あんなに怯えなくても良さそうなもんだが。
中学生のお子様に、そんなことを求めちゃいけないのかなぁ…。
まあそれはさておき、予想どおり人間の犯罪者が相手だった今回、クウガの出番は白い服の男(ダグバ)と遭遇しておしまい。
でも、威圧感だけであんなに消耗しちゃうわけ?
一気に白に戻っちゃうんだもんな〜。
まだ8秒くらいだったよ?
これがザジオから奪ったバックルの力なのか!?
それでダグバの怪人体(気配だけかも)は、0号そっくりのシルエットと、頭にわざとらしいほどの4本角…。
果たして0号と同一人物なのか!?
だとしたら、水族館の男は何者?
今回も、どうやら名前遊びがあった模様。
帽子の男の名前は「まみや・まさひこ」…そう、『仮面ライダーアマゾン』の高坂まさひこ君から取っているようだ。
なので、ストーリー紹介の方にはひらがなで表記しておいた。
姓の「間宮」というのは、今回のゲストの名前が社、寺島ときているので、神社仏閣系統の名前を使っていると判断して、間宮としてみた。
刑事さんの方の桂木というのは、例によって警察関係者は植物の名前という法則によっている。
同様に、科警研でゴウラムの側にいた人の名前は椎名だった。
詳しくは、用語辞典『警視庁の人々』『長野県警』『信濃大学考古学研究室』参照。
そうそう、ゴウラムと言えば、あの色バージョン、画面に出たねぇ。
この前、評論のコーナーで『本編中にはこの色のゴウラムは出ないだろう』なんて書いちゃったんだけど、きっちり出たね。
榎田によると、ゴウラム合体ビートチェイサーに乗った状態で金の力を使った影響かもしれないということだけど、もしかしたら液体金属が体質に合わなかったのかもしれない。
んで、いよいよ次回からゲーム開始かな、と思ってたガドルだけど…。
バルバ「いよいよだな」
ガドル「まだだ。
新たな力のヒントをクウガから得た」
バルバ「新たな力…か」
というわけで、まだゲームは開始しないらしい。
クウガからヒントを得た新たな力というのは何か。
金の力だったりしたら笑えるんだけど…。
次回予告で電ショック(エレクトロ・ファイア)みたいなことしてたけど、『クウガ』の場合、次回予告の映像はアテにならないからなぁ…。
ついでに、次回予告でのガドルのセリフなんだけど
綺麗に死ね
には、ちょっと驚いた。
実は、鷹羽はグロンギ語には「死ぬ」という自動詞がないんじゃないかと思ってたわけ。
というのも、ブウロ以降、誰かがやられるたびにガドルは「…も殺された」という言い方をしていたんだね。
つまり、
“生命活動が止まる”=「死ぬ」
“生命活動を止める”=「殺す」
という違いだ。
グロンギの連中にとって、死というものは、誰かを殺すか誰かに殺されるかしかないために、そういった自動詞は存在しないんじゃないかと思ってたわけだ。
だから、前述のガドルのセリフは、本来
綺麗に殺されろ (ビセギビ・ボソガ・セソ)
或いは
綺麗に殺してやる (ビセギビ・ボソギ・デジャス)
でないとおかしいんじゃないかな〜、とか思うんだけど。
さて、今回の見所だが、科警研の食堂から出てくる時に、椿が桜子のためにドアを押さえていたことだろう。
さりげなく気を使う椿らしい行動だが、そこはかとない下心が見える気がするのは鷹羽がいぢわるなせい?
もう1つの見所は、実加がフルートで吹いた曲がトロイメライだったこと。
これは、EPISODE8『射手』で、海辺で父との思い出を回想していた時に流れていた曲だ。
父から勧められたフルート、父との思い出の海辺、父との思い出のペンダントとくれば、やはりこの曲を使うのが筋ってものだろう。うんうん。
あとは、相変わらず嘘の付けない雄介と、意外に嘘が付けなかった一条だろうか。
雄介は、みのりから「ずっとそんなだと(一条が和んでいられると)いいのにね」と言われて、「そうだな」としか答えない。
グロンギの脅威が去ったとしても、一条が和んでいられるような性格でないことは知っているからだ。
同様に一条も、実加から
もうじき未確認生命体はいなくなりますか?
第0号もいなくなりますか?
と聞かれ
奴らのいいようにはさせないつもりだ
と実に曖昧な答え方をしている。
なまじ「そうだね」とか「そのつもりだ」という答え方をしない辺りに、「責任の取れないことは言わない」という一条なりの信念が見える。
で、結局おやっさんの「俺カレー」はどうだったんだろう?
実加は食べたんだろうか? 美味しかった?
それと一条が置いていった饅頭はどうなったの?
まさか実加が新幹線に乗る前に持ってたビニール袋の中に入ってないよね?
PS 恵子先生、とうとう産休に入っちゃったね。
元気な子を産んでね。