『仮面ライダークウガ』
EPISODE42戦場
(Story)
一条は、新開発の筋肉弛緩剤を科警研から運んでいた。
昨日から45号(ゴ・バベル・ダ:バッファロー種怪人)による大量殺人が3件起きている。
45号のやり口は、地下街の全ての地上出入口に大型車両を突っ込ませ、逃げ場を無くしてから地下に閉じ込められた人を全員殺すというものだった。
一条は、対45号用に、新兵器を取りに行っていたのだ。
警視庁に戻る途中の一条に、45号が池袋駅地下街を封鎖したとの連絡が入る。
一条は、今度こそ45号を倒すべく、45号を爆破ポイントに運ぶ通路確保のため、所轄署の警官300人を交通整理に当たらせるよう望見に指示した。
地下街から出てきた45号に対し、クウガはビートチェイサーで追い込み赤のキックを放つが、45号は平然と受け止めて、第2段階に超変身した。
超変身した45号は、スパイク付きの大槌で攻撃してくる。
紫の装甲すら凹ませるその攻撃に、為すすべもないクウガだったが、その時一条の放った筋肉弛緩剤が45号の動きを止めた。
すかさずクウガは、ゴウラム合体ビートチェイサーで45号を爆破ポイントまで運び、金のゴウラム合体ビートチェイサー・ボディアタックで倒した。
その後科警研で、雄介・桜子・一条・椿・榎田・ジャンの6人で、未確認生命体の正体についての会議が開かれた。
椿によると、0号に殺された162体の未確認生命体の死体を解剖その他の方法で調べた結果、生物学的には人類とほぼ同一の存在だということが判った。
彼らを怪人体に変身させているのは、腹部に埋め込まれた未知の鉱石から、全身に行き渡った神経組織などらしい。
その鉱石は、雄介の体内のアマダムと同じ物であり、また3号(ズ・ゴオマ・グ:コウモリ種怪人)の体内の神経組織の状況は、最近の雄介のそれとそっくりだった。
このままでは、雄介はいよいよ生物兵器になると懸念する椿に対し、桜子達は、アマダムは使う者の意志によって力を発揮するから、雄介さえしっかりしていれば問題ないと説明し、会議は終わった。
その頃、第12回ARIKAWAグループ主催フルート演奏コンクールに出場するため上京してきた実加は、45号出現による新幹線の運行見合わせのため、ポレポレに行く時間をなくして、千葉市内の会場に直行していた。
そして、清掃員になりすまして会場に潜入する怪しい男の姿も…。
(傾向と対策)
うっそ〜〜っ!?
バベルあれで終わり!? まだ前編のAパートじゃん!
いやいやいやいや、あまりにあっさり終わったので驚いてしまった。
とすると、次回はあの清掃員(OPクレジットでは『帽子の男』)君が敵役だね。
コンクール主催者の蟻川誠一に個人的な恨みを持っているようだから、思いっきり人間的な犯罪を犯して物議を醸してくれるものと期待していよう。
緑のクウガが狙撃班にでもなった日にゃ、大笑いだ。
でも、白い服の男も出てるからなぁ。
一条にも感じられるほど怪しい気配って何事?
さて、あっさりと倒された割には、バベル自身は相当強かったようだ。
また、バベルとクウガの戦いも、なかなか凝った構成になっている。
地下街から出てきたバベルに向かっていって、あっさり吹っ飛ばされたクウガ(これは杉田の説明だが)は、ビートチェイサーで逃げるバベルを追撃、駐輪場の中をウイリー走行するなどアクロバット運転を久々に披露し、ひるんだバベルにパンチする。
確かに今度のクウガは骨があるな
これだけ強い拳があれば、沢山の獲物を殺せるだろう
というバベルの挑発にキレそうになるものの、深呼吸して気を取り直し、バベルと戦う。
バベルに掴まれた左足を軸に右脚で回し蹴りして脱出、ジャンプからの回転キックを当てる。
この掴まれた左足を軸に右脚で回し蹴りというのは、左膝を犠牲にしかねない捨て身技で、クウガが必死に戦っているということが判る。
ま、雄介の場合はすぐ直るだろうけど。
で、ここからがバベルの見せ場だ。
超変身したバベルは、胸の飾りをスパイク付きの大槌に変化させ、クウガを殴り飛ばす。
クウガは紫に超変身して大槌を受けるが、紫の装甲すら凹ませるほどの攻撃に大ダメージを受けることになる。
紫のクウガにダメージを与えたのは、過去に23号(メ・ビラン・ギ:ピラニア種怪人)と39号(ゴ・ガメゴ・レ:カメ種怪人)の2人だけ。
しかも、装甲自体にダメージを与えた敵はいなかった。
そのことからも、バベルの攻撃が非常に強力であることが判る。
バベルが紫のクウガを殴った回数は15発。
紫と金の装甲なら凌げたのだろうか?
一条が駆け付けなかったら、また筋肉弛緩剤が効かなかったら、クウガはどうなっていたのだろう?
結局、バルバの言う
クウガだけではない
リントそのものが変わっている
という言葉はこういうことを表しているのだろう。
かつてのリントは、戦うことはクウガ1人に任せていたはずなのだから。
さて、どうして青に超変身して大槌を避けなかったのかという疑問が湧くが、恐らくこれは、最初に赤で食らった2発のダメージのために、青になっても力を発揮しきれないと雄介が判断したからだろう。
動きの鈍った青で1撃食らうより、一番硬い紫で受け止めながら勝機を窺ったほうが得策と判断したのだ。
その証拠に、紫のクウガは殴られ続けながらも、自分に当たった大槌を掴もうとしている。
大槌を握ってバベルを弾き飛ばそうとしたのか、大槌自体を紫の剣に変えようとしたのかは判らないが、失敗したにせよ、それが一番勝てそうな方法だろう。
この辺りの雄介の判断力は、これまでも信用できるものだったから、間違いないだろう。
ゴウラム合体ビートチェイサーに跨った途端に赤に戻ったのも、恐らく最初からゴウラムごと金の力を発動するつもりで、特に武器を作ることのない赤を選択したものと思う。
さて、そのバベルのゲームのルールだが、恐らく
地下に閉じ込めた人間を729人殴り殺す
というものだろう。
バベルの殺した人数を確認したドルドは
4回で682(9×9×8+9×3+7)人だ
あと47(9×5+2)人だな
と言っている。
何を使って殴るかが問題だが、大槌は超変身してからの武器だし、被害者の傷を見ていると、そんな馬鹿力で殴り殺されたものとは思えないから、恐らく拳で殴ったのだろう。
元々バベルの拳の突起は、赤いクウガの装甲の上から殴っても鮮血が迸るほどのダメージを与えてるんだから、人間を殺すには十分すぎるだろう。
バベルがクウガに言った「これだけ強い拳があれば、沢山の獲物を殺せるだろう」という言葉とも符合するしね。
そして、バベルの死によってとうとう“ゴ”もガドル(ゴ・ガドル・バ:カブトムシ種怪人)1人になってしまった。
遂に出番の来たガドルは、必勝を期すため、いずこかへと向かう。
気を付けたいのは、この場合の『必勝』は“ゲームのクリア”だということだ。
以前からグロンギ達は、ゲームをクリアすることを「ゲームに勝つ」と言っている。
要はクウガに邪魔されないうちにゲームをクリアしてしまえば、余計な負担は掛からないで済むのだ。
その後には、ダグバとの戦いが待っているのだから。
0号とダグバが同一人物なのかどうかは依然として謎だが、少なくともダグバと戦って勝つことがファイナル・ゲームの最重要目的らしい。
ガドルは、バベルのゲームクリアを確信して
ファイナル・ゲームの開始も近いな
と言っている。
そして、クウガのキックを受けたバベルは
究極の闇をもたらすのは、このゴ・バベル・ダだ
と叫びながら、封印の文字をかき消して超変身している。
恐らくはダグバの力全てを手に入れ、“究極の闇をもたらす”存在になることが最終目的なのだろう。
ようやくファイナル・ゲームの全容が見えて来たというところか。
さて、今回の見所だが、傷心の奈々に対するおやっさんの気遣いだろう。
「もう1度オーディションに応募してみたら」と勧めるおやっさんに、奈々は優しく微笑みながら「もう応募してるっちゅうの」と返している。
更に、『若いときは2度ない。ドンとやれ』はソクラテスの言葉じゃないと柔らかく突っ込むオマケ付きだ。
…ところで、この言葉、本当は誰が言ったんだっけ?
思いやりはちゃんと伝わっている。
番組終了までに受かるといいね。
もう1つは、一条のギャグだろう。
「石に働きかけるのは、あくまでも五代の意志ってことだ」という一条らしからぬ駄洒落に、椿は18秒経ってからようやく気付いている。
付き合いの一番長い椿がこうなんだから、きっと一条ってこういうこと言わない人だったんだろうな。
その直前の一条達5人によるサムズアップ包囲網も見逃せない。
それと、忘れちゃいけないのが金のゴウラム合体ビートチェイサー・ボディアタックだろう。
商品展開上「ライジングビートゴウラムアタック」という名前があるにもかかわらず、あくまで劇中の言葉のみを使う辺りにスタッフの心意気を見た。
これが必ずしもいいこととは限らない(視聴者に混乱を招く恐れがある)が、やはり『クウガ』らしいやり方なので、この番組に限って言えば、鷹羽は大変嬉しい。
また、新幹線の運行見合わせの理由として、“東京に未確認生命体が出たから”というのが当たり前のように流れているのも見逃せない。
未確認生命体が出現するようになって約9ヶ月。
既に人々も“未確認生命体がいる世界”というものに慣れてしまっているのだ。
それにしても、実加ちゃんのお母さん、そんな危ないところの隣県に愛娘を1人で行かせるなんて、随分と凄いことしますね。
旦那さんが殺されたのに、よくそんな真似できるな〜。