『仮面ライダークウガ』
EPISODE41
抑制
(Story)
豊洲埠頭から上陸する44号(ゴ・ジャーザ・ギ:サメ種怪人)を迎え撃とうとする緑と金のクウガだったが、白い服の男が放つ異様な気配に気を取られた瞬間、水中から放たれた44号の銛に左肩を貫かれた。
ようやく銛を引き抜いたクウガだったが、力を使い果たして白に戻ってしまい、44号に逃げられてしまった。
成田に引き返したRAS706の機長から報告によると、44号は離陸直後に怪人体に変身し、パニックに陥って通路にひしめいた乗客を一気に銛で貫いて殺したらしい。
そして、警視庁宛に
ヒントは出した。
5時間で567人。
このままなら楽勝だ。
というメッセージを残して去っていったという。
戻るのが遅れるとポレポレに電話を入れた雄介は、様子のおかしい奈々が飛び出してしまったことを知り、どうせ2時間変身できないからと、次のターゲットのことは捜査本部に任せて、奈々を探しに行くことにした。
捜査本部では成田と羽田を離発着する便の運行を見合わせ、成田の警備を固めたが、そこに望見から、44号の予告がネット上に書き込まれていたとの報告があった。
それによると、次に狙われるのは16時の『海に浮かぶ太陽』の上で324人。
一条達は、早速『海に浮かぶ太陽』が何か、当たり始めた。
一方、31号(メ・ガルメ・レ:カメレオン種怪人)に殺された先生との思い出の公園で、膝を抱えている奈々を見付けた雄介は、奈々から事情を聞いた。
オーディションの最後の課題“好きな人を目の前で未確認に殺された演技”に先生のことを思い出してしまって苦しんでいる時、一緒に選考に残っていた娘から「先生が未確認に殺されたの、役に立ちそうだね」と言われたという。
心底怒り「ひっぱたきに行ってもいいよね」と言う奈々。
雄介は「人間だからさ、大事なのは“間違えてる”ってことを伝えることじゃないのかな」と諭し、綺麗事だと反発する奈々に「だからこそ、現実にしたいじゃない。本当は綺麗事がいいんだもん。これ(殴り合い)でしかやりとりできないなんて、悲しすぎるから」と語るが、そこに一条から44号の次のターゲットが判った旨の通信が入った。
通信が終わって雄介が戻ると、奈々の姿はすでになく、雄介は不安を感じながらも次のターゲット:大洗から苫小牧に向かうさんふらわぁ号に向かって出発する。
途中、望見からの連絡で、さんふらわぁ号には子供が多数乗っていることが判る。
更に、ネット上に
どうでもいい殺しはさっさと終わらせて、
もっと大事なゲームを早く始めたい
との44号の書込があったという話を聞いたクウガは、怒りに震える。
ゴウラムでいち早く『さんふらわぁ・えりも』号に到着したクウガは、空を仰ぎながら深呼吸して怒りを鎮めていた。
そこに、再び海中から44号の銛が飛び出した。
間一髪で避けたクウガは、その銛をロッドに変えて44号と対決する。
青と金の力が44号に通じないのを見て取ったクウガは、紫に超変身し、2本の紫と金の剣で44号を貫き、共に海中に没した。
海上保安庁の巡視船『あかぎ』で駆け付けた一条の目前で、大爆発が起こる。
爆発した水域に急行した『あかぎ』の甲板上で心配する一条の前には、水面に泳ぎ出た雄介の笑顔があった。
ようやく事件が終わり、ポレポレに戻った雄介を、奈々の明るい笑顔とサムズアップが出迎える。
奈々はあの後、暴言を吐いた娘には暴力を振るわず、言葉で抗議してきたのだ。
奈々のサムズアップに笑顔で答える雄介。
だがその頃グロンギのアジトでは、ザジオをも整理し、ザジオが完成させたバックルを身に付けて立ち去る、白い服の男の姿があった…。
(傾向と対策)
とうとうザジオも整理されてしまった。
せっかく完成させたバックルを見ながら悦に入っていたのに、残念だねぇ。
さて、白い服の男がダグバで間違いないのだろうが、この男の怪人体は0号のように見える。
やはりダグバは0号なのだろうか。
では、EPISODE5『距離』で、バヅー(ズ・バヅー・バ:バッタ種怪人)のゲームを始める指示を出した中年の男は何者なのだろう。
一方、どうやら愛用のパソコンLavieが無事だったらしいジャーザは、いらない挑発書込みをした挙げ句、とうとう死んでしまった。
ちなみに、あのパソコンで空席情報を調べて、目標人数を決めてたんだろうね。
生前のジャーザのバルバとの会話を見てみよう。
バルバ「思い通りに進んでいるようだな」
ジャーザ「もうすぐ会えると伝えておいて。ファイナル・ゲームでね」
バルバ「ダグバに死角はないぞ」
となっている。
このバルバの「思い通りに進んでいる」というのは、多分“力を温存しながらゲームを達成できそうだ”という意味だろう。
割と調子に乗っている感じのジャーザに、バルバは「ダグバに死角はないぞ」と釘を刺している。
鷹羽が思うに、ジャーザが力を温存しているというのは、クウガとの戦いの途中でバックルが歪みながら発光すると共に、肩に突起が生えたことと関係があるのだろう。
あの時、ジャーザは肩から突起が出るのを嫌がっているように見えた。
また、ジャーザはガドルやバベルに「できるだけ力を使わずに済ませたい」と再三言っている。
つまり、第2段階の変身を遂げるとエネルギーの消耗が激しいから、簡単な変身でセミファイナル・ゲームをクリアしたかったということだろう。
そして第2段階になってからは、銛ではなく剣を武器にしている。
多分第1段階は水中活動用の簡易変身で、第2段階が戦闘用の変身なのだろう。
図らずも榎田が言っていた、“グロンギにも超変身する者がいるかもしれない”ということのヒントになっているように思える。
段階を踏んだ変身、という意味でだが。
今回もクウガの超変身は冴えていた。
まずビートチェイサーから、青になると同時にジャンプしてゴウラムに掴まり、さんふらわぁ号に向かう。
今度は銛の不意打ちを食わないよう、銛を見付けてからの反応速度に賭け、青のままでジャーザを待ち、見事に水中からの銛の第1撃をかわす。
第2撃を避けながら第1撃の銛をロッドにして戦い、叩き落とされたロッドを拾いつつ金の力を発動して斬りつける。
それが効かないと見るや、直ちに金の力を解除し、ジャーザの剣撃を、やはり銛を元にした紫の剣で受ける。
更に壊れた手すりを使ってもう1本の剣を作り、紫と金の剣で2本同時にジャーザを貫き、爆発してもいいように一緒に海に飛び込む。
恐らくは、紫の装甲の重さで海中深く引きずり込み、爆発の影響を少なくすることも計算の内だったと思う。
さて今回の見所だが、やはり奈々に対するおやっさんと雄介の誠実さだろう。
おやっさんは、「おっちゃんはないの? 誰かを殺してやりたいと思ったこと」という奈々の問いに対して、「あるさ、そりゃ。でも本当にはしなかった。当たり前だよな、そんなこと」と、「殺してやりたい」という気持ちは否定せずに、実行しちゃいけないって部分で止めている。
雄介は、綺麗事ばかり言っているという奈々の反発に対して「綺麗事だからこそ、本当にしたい」と言って、理想に向かうことこそが人間に与えられた力だということを教えている。
普通、「綺麗事だ」と言われて素直に「そうだよ」とは答えられないものだ。
それをあっさり肯定してしまうのは、嘘の付けない雄介のまっすぐさなんだと思う。
そしてまた、実際に雄介自身も、年寄りや子供などの弱者をターゲットにし、あまつさえ「どうでもいい殺し」とまで言い放ったジャーザに対する怒りを、奈々に語ったように空を見ながら深呼吸して抑えている。
人に言ったことを自分で守れる人って、あんまりいないよね。
それともう1つの見所は、榎田と桜子の会話だ。
雄介は、ダグバの力で強くなったゴオマを一瞬で殺したという相手と、いずれは戦わなければならない。
そのために「まだまだ強くならなくちゃ」と言った雄介を心配する榎田に、桜子は笑顔でサムズアップして「大丈夫です。五代君、もう大丈夫だから」と言い切っている。
前回の雄介のサムズアップ+「大丈夫!」には、それほどまでの信頼が寄せられているのだ。
かつて桜子は、「五代君が『大丈夫』って言うんだから大丈夫」と言ったことがある。
雄介と桜子の信頼関係は、これほどまでに強いのだ。
逆に言えば、一見根拠のないように見える雄介の「大丈夫!」には、雄介の“絶対にどうにかしてみせる”という強い意志が秘められているということだ。
雄介が黒いクウガになって暴走することなどない、と鷹羽は信じている。
PS まだまだ続くスーパーヒーロー作戦の新CM。
風見「おお〜っと、このゲーム、買ってないとは言わせない。
スーパーヒーロー作戦!」
特撮ヒーロー勢揃い「スーパーヒーロー作戦 ダイダルの野望」
風見「バンプレス、トォッ!」