『仮面ライダークウガ』
EPISODE34 戦慄


(Story)

 ここ暫く、奇怪な事件が起きていた。
 僅か3日間のうちに、緑川学園2年の男子生徒ばかりが、原因不明の怪死を遂げていたのだ。
 既に91人中、82人が死亡していた。
 解剖の結果、頭の中に全長3cmくらいの針が入っていて、それが死因となっていることが判った。
 しかし生前の検査では、レントゲンにもMRIにも写らない上、これだけの大きさの物を外科手術なしに体内に入れることは出来ないという…。
 椿の推測では、何らかの形で被害者の体内に入れられていた物が、一定の潜伏期間を経て、脳で針になっているのではないかということだった。
 そして、その針を事前に外科手術で取り出すことは不可能…。
 
 そんな頃、被害者の1人・大泉隆之の告別式場で、1人の少年が取り乱した。
 大泉少年に死の宣告をした謎の青年を、会場で見たというのだ。
 目撃者の証言を総合すると、謎の青年が被害者に何かを打って『4日後に死ぬ』と宣告し、被害者の葬儀にはいつも姿を現しているらしい。
 
 そして、死の恐怖に耐えかねたある少年が、病院の窓から飛び降りて自殺した。
 もしこれが未確認生命体の仕業で、自殺死がゲームの数に入らないとすれば、未確認生命体はもう1人犠牲者を出すことになる。
 桜井の捜査によれば、2学期の初めに2年B組に転入してきた少年が、未だ謎の青年に会っていないという。
 所轄の警察署によると、その少年「いくた・かずや(以後、仮に生田和也と表記)」は、両親と共に箱根の別荘に向かったらしい。
 雄介は、直ちに別荘に向かった。
 
 予想どおり、別荘に身を隠そうとしていた生田親子の前に、ジャラジ(ヤマアラシ種怪人)が現れた。
 ジャラジは和也を追い詰め、どうしてこんなことをするのかという質問に対して「君たちが苦しむほど、楽しいから」と答えた。
 そこにクウガが到着、間一髪で和也を救った。
 逃げるジャラジを追うビートチェイサーから、青に超変身したクウガが飛び立ち、ロッドで突きに行った。
 
 その頃桜子は、一条の依頼で、未確認生命体絡みらしい長野の惨殺事件現場に向かっていた…。
 
(傾向と対策)
 今回から、OP・EDがそれぞれ2番の歌詞になった。
 いよいよ激化する戦いに向けて、テンションが上がっていくのがよく判る。
 
 今回のジャラジのルールは、“緑川学園2年男子を90人殺す”というものらしい。
 90人という数字は、恐らく生徒名簿か何かで調べた際の数字であり、2学期に転入した生田和也は名簿に載っていなかったのだろう。
 
 ところで今回は、ネーミングに遊びが多く見られる。
 前回書いたとおり、緑川学園は緑川博士だし、今回狙われている生田和也は、生田撮影所と滝和也から取っているはず。
 そういうわけで、漢字を勝手に当てさせて貰ったわけだが。
 古くからのファンには今更説明するまでもないが、生田撮影所は『仮面ライダー』の初期に使用されていた撮影所だし、滝和也は、本郷猛・一文字隼人の相棒としてショッカー・ゲルショッカーと戦った、インターポールの秘密捜査官だ。
 また、被害者の1人・大泉隆之は、現在撮影に使用されている大泉撮影所から取っている。
 もしかしたら、他の被害者の名前も何らかの元ネタがあるかもしれない。
 ホント、楽しんでるなぁ。
 
 一方グロンギの側でも、事態が急展開しているようだ。
 今回のザザル達の会話を見てみよう。
  ザザル「バルバはぁ?」
  ガドル「バダーも殺された。だから整理を始めるんだ」
  ザザル「もうじき、あたしの番かぁ…。どんなゲームがいいと思う? …関係ないかぁ、“ズ”のアンタには…」
  (扇子でゴオマをつつく。ゴオマ、ザザルをはねのけながら))
  ゴオマ「俺に触るな!
  (ザザル、ゴオマを突き飛ばして)
  ザザル「誰にゆってんだ、てめえ!
  (ゴオマ、起きあがって胸元を開きつつ)
  ゴオマ「俺を甘く見るな。俺は、俺は今に…」
  (ガドル変身、ザザルとゴオマ、ハッとする)
  ガドル「面白い。今にどうなると言うのだ!?」
  (ゴオマ立ち去る)
  ザザル「何なの、アレ?」
という具合になっている。

 ゴオマがいよいよ胸元に隠した何かを披露し始めたわけだが、それでもまだ圧倒的なガドルの威圧感を見せてくれた。
 ここでもポイントは、ガドルが言っている「だから整理を始めるんだ」という言葉だ。
 バルバが長野でグロンギの出てきた林らしきところを歩いていた事といい、次回予告の「34体を殺した」という言葉といい、桜子が向かっている長野の惨殺事件が関係していることは間違いあるまい。
 特に、『34人』でなく『34体』というところに、“バルバがグロンギ怪人を殺している”という感じがする。
 ファイナル・ゲームに向けて余剰人員の整理が始まったと考えると、鷹羽のファイナル・ゲーム論(研究室第8回参照)の裏付けにもなるかも…。
 そして、殺したのが0号かもしれないということ…。
 バルバは本当に0号なのか、だとしたらEPISODE5で出てきた謎の男は何者なのか、いよいよ謎は核心に迫ってきた。
 
 今回の見所は、なんと言ってもこれ。
 ホントにやりやがった、金箔入りカレー!
 ネーミングセンスもイカす。
 まさかケロンパカレーとは…。
 “キンキンカレーじゃ芸がないから、一ひねりしてケロンパ”というセンスが素晴らしい。
 そこに「ケロンパって、みどり…ですよね」と突っ込む雄介もナイス。

 一応説明しておくと、『キンキン』というのは愛川欣也、『ケロンパ』がうつみ宮土理(みどり)のことで、この2人はかつて『キンキン・ケロンパのシャボン玉こんにちは』という番組を一緒にやっていたのだ。
 で、雄介の突っ込みは、この『みどり』という名前が“緑のクウガ”に引っかかるのではないかと言っているのだ。
 しかし『シャボン玉こんにちは』なんて、親の世代にしか判るまい。
 
 もう1つは、さっそくビートチェイサーにクウガマークが入っていたことか。
 やるなぁ、雄介。
 
 それにしても、今回も雄介の誠実さが表れていた。
 まず、奈々に向かって言っていた「遠くても、歩き続ければ何か見えてくるよ、絶対」という言葉。
 『夢は叶うよ』ではなく、『何か見えてくるよ』というところが雄介らしい。
 “夢が叶うかどうか”ではなく“努力したことが自分に何かを与えてくれる”ことの方が大事だという雄介は、本当に正直に生きていると思う。
 また、保育園で「しゅうと」君と話している最中、一条から呼出音が鳴ったにもかかわらず、「しゅうと」との会話が終わるまで通信に出ようとはしなかった
 このことも、たとえ子供相手でも相手を尊重して話す雄介らしい行動だったと思う。
 
 たわいない子供同士の喧嘩も、『クウガ』においては、必ず何かの伏線になっているはず。
 果たして、これが次回どう繋がるのか…?
 
 
PS:今回入った着るチャイルドシート『あんぜんくん』のCMを見てて思ったんだけど、あれのデザインをクウガのアーマーみたいに出来ないかな?
 そうすれば、子供も喜んで着るだろうし、売上にプラスになりそうな気もするけど…。
 


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