『仮面ライダークウガ』
EPISODE28
解明
(Story)
炎の海に飲み込まれて吹き飛ばされたクウガに、再びバイクで体当たりしようとしたバッタ種怪人(ゴ・バダー・バ)だったが、クウガは素早くトライチェイサーに乗ってジャンプし、これをかわした。
かわされたバッタ種怪人は、そのままどこかへ走り去ってしまった。
ポレポレでは、みずさわウォーターパークでも犠牲者が出たというニュースを聞いた奈々が、ショックを受けていた。
時間帯が少しずれていたら、自分が犠牲者だったかもしれないのだ。
そんな奈々だったが、郷里の母親からの電話に勇気づけられ、まだ東京で頑張ることにした。
一方、ミラージュホテルに到着した一条は、ピアノを弾いている女性が気になったものの、第38号(ウミヘビ種怪人:ゴ・ベミウ・ギ)の犯行現場であるプールへと急いだ。
第37号(フクロウ種怪人)の時はどの場所でも9人だったのに、今回は被害者数がまちまちで、特にミラージュホテルではたったの2人ということが気になった一条は、それが何かの法則性にのっとったものだろうと考える。
雄介と合流した一条に、椿からの検視結果の連絡が入った。
胸にあった火傷のような跡は、第3度の凍傷であり、被害者は胸の部分に零下100〜150度の超低温の何かを当てられたことで、心臓麻痺を起こしたのだという。
なおも法則性を探す一条の脳裏に、先ほどのピアノの音が蘇った。
殺人事件の直後に、その建物内でピアノを弾く者などいるわけがない。
「まさか、さっきの…」
ピアノの所に駆け付けると、鍵盤は水で濡れていた。
直ちに、杉田に報告する一条。
第38号は、先ほど弾いていたショパンの「革命」の音符に従って、音階と同じ頭文字のプールで音符の数だけ殺しているのだ。
同様に第37号も、東京23区を50音順に移動しながら、9人ずつ殺していたことが判った。
このルールに従えば、第38号が次に狙う場所は「ソ」のつく場所のはず。
だが、プールは全て営業停止しているから、恐らくは海。
合同捜査本部では、直ちに首都圏近郊の海水浴場に遊泳禁止を命じ、念のため、各捜査員が手分けして「そ」のつく海水浴場の警戒に当たった。
一条は、一番人が集まる外浦海岸に、雄介と共に向かう。
一方、外浦海岸で獲物を見付けた第38号が、新たな犠牲者に向けてムチを振り上げた時、一条のライフルが直撃した。
一条が若者を避難させている間に、雄介は青いクウガに変身、第38号と対峙する。
超低温のムチに武器を奪われたクウガだったが、強化変身し、足下の流木を拾って新たにツインランスのような武器を作り出し、第38号を葬り去った。
(傾向と対策)
前回鷹羽が予想したとおりのルールだったので、まずは大喜び!
祖師谷センタープールに行ったら誰もいなくて悔しがる第38号は、大変に笑えた。
今後の捜査本部の戦いは、いかに素早くルールを見抜いて対処するかということに尽きるだろう。
しかし、ピアノの音を聴いただけで曲名はおろか、音階から音符の種類まで判ってしまった一条は凄すぎ。
対する雄介も、すかさず「5番目の音はソ」などと返すところをみると、ピアノも2000の技の1つなんだろう。
更に、「クウガ=ゲームのお邪魔キャラ」説だが、バルバとバダーの会話
「お前達にふさわしいか?」
「面白いゲームになりそうだ」
を聞く限り、やはりその程度の認識らしい。
ラストでも、ドルドとゴ・ガメゴ・レ(カメ種怪人)の会話で、
「新しい力を得たな、クウガ」
「だが、俺達“ゴ”にとって関係ない」
などという言い方になっている。
クウガが更なる強化変身を身に付けたことが、適度なスパイスレベルにしか感じられていないのだ。
今回の見所は、ショックを受けた奈々を慰めようとするおやっさんだろう。
奈々は芝居の先生を失ったばかりで、更に今回は紙一重で命が助かったようなものだ。
時勢が時勢だけに、女優になる夢を諦めて実家に帰った方が安全だ。
おやっさんは、それを見越して、第38号の犯行を伝えるニュースを消したり、誰にも気付かれないうちに奈々の母親(おやっさんの姉)に連絡を取って励ましの電話を入れて貰うなど、結構細やかに心を砕いている。
こういうところで、さりげなくフォローに回れるところが、この人をただの“駄洒落おじさん”で終わらせない部分だ。
もう1つの見所は、クウガと第38号双方とも武器を落とした後、それを拾うのではなく新しい武器を作り出しているところだろう。
第38号は、アンクレットに自分の力を注ぎ込むことで、クウガ同様にムチを作り出していた。
対するクウガは、ロッドを凍結破壊された後、流木(海だからいくらでもあるわな)から新しくツインランスを作り出している。
流木を蹴り上げたのが2000の技の1つであろうことは置いておいて、元になる物さえあればいくらでも武器を作り出せるクウガの特徴を生かした、思い切りのいい戦い方だった。
壊れた上に奪われた武器に拘泥せずに、攻撃を避けつつ武器を作って戦うというのは、大変に判断力のいる動き方だ。
こういうところからも、雄介が場数を踏んだ男であることが判る。
ただ、せっかく初めてクウガの武器が壊される描写をしておきながら、その後のパワーアップ武器がムチを切り裂くなり、冷気に耐えるなりの描写をして見せてくれないとちょっと物足りない。
あと、元城恵子の「これじゃ、危なくてもうどこにも行けない」って雰囲気の絶望感が良かったな。