『仮面ライダークウガ』
EPISODE26自分


(Story)
 第37号(フクロウ種怪人)の吹き矢に、左腕を射抜かれてしまった緑のビリビリクウガは、何とか第37号の左翼を撃ち抜いたものの、力を使い果たして白に戻ってしまった。
 第37号は、撃たれて紋章が浮かび上がった翼を自らもぎ取って、墜落する道を選んで逃走し、翼が生えるのを待つことにした。
 
 一条は、墜落した第37号の死体の確認に向かい、約2時間変身不能の雄介は、再び拓の捜索に当たることにする。
 しかし第37号は、駐車車両の上に落ちた後どこかへ逃げ去っており、その後の足取りは不明だった。

 被害者の解剖の結果、肩口から撃ち込まれたペレットが心臓の表面に留まり、それが原因で心筋梗塞を誘発していたことが判ったが、第14号(ハチ種怪人)の時とは違い、犯行場所にも法則性はなく、捜査本部でも次の犯行場所の予想ができない。
 
 一方、拓を見付けた雄介は、拓が切符を買ったのに駅を出ていったことから、踏ん切りが付かないまま悩み続けていることに気付く。
 雄介は、神社で悩んでいる拓に近付き、「悩んでる暇なんかないのに」と言う拓に語る。
 「もっともっと悩めばいいんだよ」
 「何年かかったっていいんだよ」「君の場所はなくならないんだし。君が生きている限りずっと、その時いるそこが君の場所だよ」
 「その場所でさ、自分がホントに好きだと思える自分を目指せばいいんじゃない。ね!」
 悩むことの罪悪感から少し解放された気分になった拓は、ようやく笑顔を見せた。
 
 その時、翼が治り、再び飛び立った第37号が発見され、雄介に連絡が入った。
 雄介は拓を神社で待たせ、一条との待ち合わせ場所に急行する。
 一条から銃を受け取り、緑に超変身するクウガ。
 それを発見した第37号は、ひとまずゲームよりもクウガを倒すことを優先させ、攻撃を仕掛ける。
 緑のクウガはビリビリパワーアップし、強化した緑の弓の連射で、第37号を撃ち抜き倒した。
 
 その後雄介に連れられて駅に着いた拓は、迎えに来た神崎に対し、おずおずと恥ずかしそうにサムズアップをしてみせる。
 神崎が力一杯のサムズアップで応えると、拓は笑顔を輝かせるのだった。
 
 
(傾向と対策)
 今回はクウガの出番がほとんどなく、本編の約半分が、拓関連のシーンで埋め尽くされている。
 拓は思い出の地を訪れたものの、記憶に残る所とはガラリと変わってしまったその場所に、立ち止まってはいられないという強迫観念にも似た圧迫感を受ける。
 家に帰ろうとするものの、やはりもやもやしたものが捨て切れなかった。
 そこに雄介から「君が生きている限りずっと、その時いるそこが君の場所だよ。その場所でさ、自分がホントに好きだと思える自分を目指せばいいんじゃない」という言葉を掛けられ、悩むことが周りの期待を裏切ることではない、つまり、いけないことではないという免罪符を貰えたことから、拓は吹っ切れたのだ。
 更に、心配して迎えに来たはずの神崎先生が、怒るどころか笑顔で迎えてくれたことで、ある種の信頼感が生まれた。
 拓にとっては、世界観の革命が行われたのだ。
 
 ところで雄介が、神崎先生の受け売りとしてではなく自分の言葉として拓に語った「自分がホントに好きだと思える自分を目指せばいい」という言葉は、雄介自身が今も実践していることだ。
 「いつでも誰かの笑顔のために頑張れる男」「どんな時も笑顔でいられる男(EPISODE1)」というのが、雄介の「好きだと思える自分」なのだ。
 だから、EPISODE2では「みんなに笑顔でいて欲しいんです! だから見ててください、俺の、変身!」と言って赤いクウガになり、EPISODE4では、「自分が大切だと思うものを守りたいんです」と言っている。
 この言葉は、雄介の行動原理なのだ。
 
 ところで第37号は、最初の戦いで射抜かれた左翼を自分でもぎ取っている。
 これは、紋章からのエネルギーがベルトに到達する前に、紋章を身体から引き剥がす必要があったからだと思われる。
 翼を失ってもまた生えてくるというのも相当恐いものがあるが、飛んでる最中に自分で翼をもぎ取るというのも痛そうな話だ。
 ちなみに、第37号が吹き矢の矢にしていたのは毒矢の類ではなく、自分のペレット(鳥類が口から吐き出す、消化不能物を粘質液で固めたもの)だったわけだが、あんなに大量にペレットを溜め込んでいるというのも体に悪そうな話だ。
 しかし、何食ってんのかね?
 
 今回のクウガの変身時間は、1回目が11秒時点でライジング化。
 その後25秒で白に戻り、2回目は16秒時点でライジング化、その後32秒間緑のクウガのままだった。
 
 今回の見所は、13年振りにもかかわらず、一目でみのりが判った神崎先生の眼力だろう。
 EPISODE11でのみのりの口振りからすると、みのり自身が直接神崎に受け持たれたことはなかったようだ。
 自分の受け持ちの生徒でもなかった小学生の女の子を、13年後に一目見て誰か判るというのも、相当すごい眼力だろう。
 
 それと、拓に例の名刺を差し出す雄介だろうか。
 普通、小学生に名刺なんか渡さないって。
 
 ちなみに、みのりがポレポレに入ってきた時、おやっさんが「よく来てクレタ島文明」とボケをかましていたが、例によってみのりには軽く流されてしまっていた。
 
 あ、そうそう。
 神崎先生の受け売りの中にあった「みんな悩んで大きくなるんだから」というのは、やっぱ20年くらい前のサントリーウイスキーのCMのアレかな?
 「ソ、ソ、ソクラテスかプラトンか、ニ、ニ、ニーチェかサルトルか、みんな悩んで大きくなった
 「大きいわ、大物よ
 「俺もお前も大物だ!」てやつ。
 う〜ん、先生、古い。
 …て、雄介に言った頃は、数年前のネタで済んでたんだね。
 
 で、次回予告なんだけど…。
 バダー(バッタ種怪人)がカメ種怪人と一緒にクウガと戦ってる(怪人が2対1で戦うのは初めて)上に、バダーがライダーキックを決めようとしてるんですけど…。

 をいをい、クウガのキックよりもかっこよさそうだよ…


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