『仮面ライダークウガ』
EPISODE12 恩師


(Story)
 第22号(サイ種怪人)との戦いの中、咄嗟にキックを決めたクウガだったが、第22号には効かず、苦戦を強いられる。
 そこへ乱入したビラン(メ・ビラン・ギ:ピラニア種怪人)が第22号と共に川に落ち、流れていったため、決着は持ち越した。
 
 「キックはキックでも、もっと強いキックじゃないと」と考えた雄介は、107番目の技(前方宙返り)と組み合わせることで威力を増すことを考え、練習する。
 
 一方神崎は、桜子に自分の心境を語る。
 もし、連絡などせずに雄介に会うことが出来たなら教師を続ける、そうでなければ教師を辞めるという願掛けをしたのだ、と。
 桜子の「五代君、今頃2000番目の技を使って一所懸命やってると思います」という言葉に、神崎は雄介が「2000年までに2000の技を身につける」と言っていたことを思い出した。
 そして、桜子が「いつも誰かの笑顔のために頑張ってる」と言い、サムズアップをして見せ「これ、知ってますか?」と言った時、神崎の中で記憶が蘇った。

 かつて父を亡くして悲しみに暮れる雄介にサムズアップを教え、「いつでも誰かの笑顔のために頑張れるって、すごく素敵なことだと思わないか。先生は、そう思う…」と言って励ましたことを思い出した神崎は、自分の教育が1人の人間の人生に大きな影響を与えていたことを知り、教師を続けることを決意した。
 
 一方第22号は、大型車のアイドリングに反応して暴れている…そう気付いた一条は、街を行く全ての大型車のアイドリングを止めさせ、自分だけがアイドリングするトラックに乗って、第22号をおびき出すことにした。
 おびき出されてきた第22号と駆けつけたクウガの戦いが始まり、クウガは、編み出した空中回転からのキックを第22号の角に決め、これを破った。
 
 夜、帰ろうとする神崎と桜子の前に雄介が到着し、笑顔で神崎とサムズアップを交わすのだった。
 
 
(傾向と対策)
 今回は、雄介のサムズアップの由来と、空中回転が加わったキックのためにある話だ。
 これだけのために2話を使ったわけだが、雄介の人となりを知るのには重要なエピソードなので、仕方がないだろう。
 事実、鷹羽はこの回以来『クウガ』という番組に対する見方が変わった。
 雄介がどんなにお気楽に構えていても、その根底には熱い魂がある。
 表面に熱血を表さないだけで、自分が苦しくてもそれを表に出さず、誰かの笑顔のために全てを賭ける。
 誰かを安心させるために言う何の根拠もない「大丈夫!」のセリフには、それを本当に大丈夫にするために、どんな努力でもするという決意が秘められているのだ。
 桜子はそれを知っているから、雄介に全幅の信頼を置いているのだろう。
 
 ところでEPISODE11を見て判るとおり、第22号の行動は、ゲームではなく勝手な行動として扱われている。
 次はピラニア種怪人の番だったはずのゲームは、準備(何の準備かは判らないが)が整っていないため、中断されているのだ。
 そのことから第22号に逆恨みしたピラニア種怪人が、今回、第22号の邪魔をしていたというわけ。
 今回、バラのタトゥの女が何者かから受け取っていた鞄の中には、ゲーム継続用の何かが入っていたわけだが、鷹羽は、恐らくEPISODE10でアジトに落としてきたボードの代わりの品が入っていたのではないかと思う。
 数える道具がないから、ゲームが出来なかったというわけだ。
 
 助走をつけ、低い位置での回転からそのままキックという今回のキックには不評もあるようだが、さほどジャンプ力のない赤いクウガの技としては、やはりふさわしいのではないかと思う。
 あのキックの威力は、回転急降下によるものではなく、紋章をより強く「押す」ためのものではないかと思うから…。
 
 ところで一条君、作戦立てるのはいいんだけど、雄介が来てからにしないと無駄死にするよ。


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