『仮面ライダークウガ』
EPISODE08 射手

(Story)
 第14号(ハチ種怪人)との戦いの最中に緑色になったクウガは、風景と音の凄まじい奔流にパニックを起こして、地面に落下してしまう。
 第14号が飛び去った後、クウガは白になった挙げ句、変身が解けてしまった。
 
 一条は桜子に「空を飛べる戦士」の記述がないかを尋ね、雄介は緑のクウガが視力、聴力に優れていることを告げる。
 しかし桜子は、行方不明になった実加を探しているため、碑文の解読どころではなかった。
 そのため、一条は椿に頼んで雄介の身体をチェックすることにした。
 それによると、緑のクウガは全身の神経が極限まで研ぎ澄まされた状態で、上手く使えば、遠くの目標や音を捕らえることができるらしいという事が判明。
 反面、力を使うために消耗が激しく、50秒しかもたないのだ。
 椿の診断によると、腹部の石が変身できるまで回復するのには、2〜3時間かかるとのことだった。
 その頃、一条のところにも実加行方不明の報が入り、雄介は自分に任せてくれと言って出ていった。
 
 一方、腕輪をなくしてしまった第14号は、今まで殺してきた人数の分が無効になってしまい、残り時間内で規定の人数を殺すために、クウガを殺して27人分に換算することにした。
 
 雄介は、一旦研究室に戻っていた桜子の所に立ち寄り、絶対見付かるから安心して緑のクウガの解読をするように言い残し、実加が向かうであろう海岸を目指してトライチェイサーを走らせた。
 
 その頃一条は、榎田から第14号の羽音をキャッチできるセンサーを受け取り、第14号を探し始める。
 
 実加を探す雄介。
 雄介を探す第14号。
 第14号を追う一条…それぞれが、海岸に集まった。
 雄介は実加に「みんなやる時はやってくれるさ。君にもいつかやる時が来ると思う」と諭す。
 そこへ一条が駆けつけた。

「ヤツの狙いは五代、君だ!!」

 緑のクウガに変身した雄介は、一条から渡された銃を緑の弓に変化させ、上空の第14号を見付けてその毒針を受け止めて第14号を射抜いたのだった。
 
 
(傾向と対策)
 冒頭、そしてクライマックスの緑のクウガの変身時間は、イメージシーンや効果のためのリピートなどを除くと、どちらも50秒きっかりだ。
 しかし、映像としての時間は1分を超えているから、子供が本当に時間を数えているようだと、嘘つきだと言われるかもしれない。
 実際、鷹羽は昔ストロンガーのチャージアップタイムを数えていた記憶がある(本当に映像として1分以内だったから驚きだ)。
 どうでもいいが、あの極限状態で50秒を数えていた雄介は、すごいを通り越して異常だ。
 
 ところでこの時、第14号が立ち去ってしまった理由は何だろうか?
 実は落下したクウガを見て、チャンスと考えて急降下キックを見舞おうとしたのだが、背中を向けたままのクウガに避けられてしまったのが理由なのだ。
 第14号はキックを避けられた後、毒針がまだ撃てないことを確認している。
 つまり超感覚を持つ緑のクウガが相手では、自分の決め手の毒針が使えない以上倒せないと判断して、逃走したのだ。

 どうして毒針が使えるようになるまで上空で待たなかったのか?

 それは、緑のクウガの飛び道具が恐かったからだ。
 おかしいと思うだろうが、グロンギ語が判ると理解できる。
 第14号は「調子が悪そうだな」と言って背後から放ったキックを避けられた後、「さすがに緑の力だ」と言って去っている。
 つまり“第14号は緑のクウガの能力を知っている”ということだ。
 毒針という決め手を欠いたまま、これ以上留まるのは危険だと判断したのだ。
 このように、グロンギ語が判らないと漠然としか判らないことが多いというのも『仮面ライダークウガ』という番組の特徴だ(欠点という話もある)。
 
 さて、ただ闇雲に実加を探していたように見えた雄介だが、チラッと見ただけの実加の首飾りから、それが父との思い出の品であること、特定の海岸でしか取れないことを見抜いて、実加がその海岸に向かうことを予想して、更に恐らくは子供の機動力で行けそうな範囲に的を絞って探していたのだ。
 この辺は、冒険野郎としての直感力、行動力、知識が表れている。
 また、一見何の根拠もない雄介の「大丈夫」の一言で、桜子が「大丈夫。五代君、嘘つかないから」と、本当に心配もせずに緑のクウガの解読に掛かるところも凄い。
 全幅の信頼とは、こういうのを言うのだ。
 
 未確認生命体達の方はと言うと、どうやら第14号は、腕輪をなくしたことでこれまでの成果を帳消しにされてしまったようだ。
 1人殺すたびにカウントしていた腕輪は、殺した人数を記録するためのもののようだ。
 要するにセーブデータが消えてしまったため、1からやり直しになったというわけだ。
 これもグロンギ語での会話だが、第14号は「この数はクウガ」と言って手首から2番目の腕輪の玉を3つ動かしている。
 人間を1人殺すたびに玉を動かしていたから、3人分かというとそうではない。
 海岸でクウガを撃つとき、第14号は「ナインがスリーだ」と言っている。
 つまり、手首から数えて最初の腕輪が1桁目、2番目の腕輪が2桁目を表しているのだ。
 そこで、ストーリー紹介のところで書いたとおり、クウガ1人で9×3=27人分に相当するというわけだ。
 グロンギ達の数え方については、「クウガ研究室」第2回を参照して欲しい。
 
 雄介が、椿のたった一言と一条が与えた銃から、緑のクウガの特性である「遙か彼方の敵を発見して射抜く」を見付け出してしまったのも凄い判断力だと思う。
 
 ただし、実加の目の前で未確認生命体第4号に変身したんだから、その後のフォローもちゃんと入れておいて欲しかった


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