太陽系第十番惑星…って、アレ?
後藤夕貴
更新日:2005年9月19日
 かなり今更な話題なのだが、2005年7月29日、NASAが支援する研究グループ「米航空宇宙局ジェット推進研究所」に所属する、カリフォルニア工科大学の惑星科学者マイク・ブラウン博士が“太陽系十番目の惑星を発見”と正式に発表した。

 この惑星は、2003年10月31日にはパロマ天文台にてすでに発見されていたそうで、正式発表までの間、観測や記録が重ねられてきたらしい。
 今のところ「2003 UB313」と名づけられているこの惑星は、約97天文単位(太陽〜地球間の距離・約1.5億キロを1天文単位とする)にあり、具体的には約145億キロ離れているという。
 この惑星の存在により、太陽系のサイズは、これまで考えられてきた大きさよりも一気に倍増した事になる。
 公転周期は560年
 海王星&冥王星の外側にある、カイパーベルトと呼ばれる環状氷塊帯領域内に存在する。

 大きさは、冥王星の1.5倍に相当すると考えられており、直径は2700キロに及ぶ(地球は12700キロ)。
 これは、地球の1/4くらいのサイズに相当するらしい。
 ただし、このサイズはまだ確定ではないようで、さらなる研究が必要とされている。

 280年後には海王星にかなり近づくようで、その頃には「宇宙大帝ゴッドシグマ」や「勇者警察ジェイデッカー」、「アベノ橋魔法商店街」の主題歌が、なんとなく唄い辛くなっていることだろう。
 この惑星は、他の惑星の軌道面に対して45度ほど傾いた楕円形軌道で運行しているそうで、これが、今まで発見されなかった原因であるとされている。
 とんでもなく遠くにある割には、結構明るく光る星だそうで、それなりの観測機器があれば、アマチュアでも容易に見つけられるという話。

 表面はメタンで覆われているらしく、冥王星とほぼ同じ環境と見られている。
 だとしたら、やはりガス惑星ではなく、ちゃんとした地面があるのだろうか?
 
 冥王星は、一般的には惑星と認知されているが、その大きさから「惑星とするには小さすぎる」「準惑星が関の山ではないか」とも言われており、すでに70年以上も議論が繰り返されている。
 だが、冥王星を惑星と認める人達にとってみれば、この新惑星は間違いなく惑星であり、これまでの太陽系の概念が大きく変わる事になる。
 とりあえず、銀河鉄道999の停車駅の見直しを検討していただきたい。

 また、この惑星が発見される前日に、スペインの研究観測チームが、さらに別な惑星?を発見している。
 そちらの方は詳しい資料を集められなかったが、どうやら冥王星の3/4程度の大きさのものらしい。
 こちらも、観測には五年を費やしているのだそうだ。
 それが今後どのように扱われていくのか、大変興味深いところではあるが、いずれにしても、近年の天文観測の進歩と成果は、凄まじいものがあると言わざるをえない。

 もし、この新惑星に名前が付いたら、やっぱり「雷王星」「魔王星」などになるのかな…と想像してしまうのは、人情というものだろう。
 すでに国際天文学連合に新惑星名の提案が送られているそうだが、その内容は未発表。
 うーむ、一気に「トップをねらえ!」の世界に近づいた…のか?!
 この勢いで行くと、木星を縮退させて銀河中央に殴りこみをかけるのも、時間の問題なのかもしれない。



 …と、ここまでのコラムを読んで、「あれ、前にも同じネタ読んだような?」とお感じになった方もおられると思う。

 そう、実は以前にも一度「太陽系第十番惑星」について、コラムを書いた事がある。
 これは「セドナ」と名づけられた新発見惑星だったのだが、そのサイズから、惑星と判断するには小さすぎるといった意見が多かったそうで、さらに今回の新発見に伴い…ついに惑星とは認知されず仕舞いだったようだ(涙)。

 実は、それ以前にも第十番惑星発見か? とされた新発見は数多くあったようだ。
 しかし、そのいずれも惑星とは認められず、報告・発表は闇に葬られた。
 セドナも、最終的にその仲間入りを果たしてしまったらしい。
 うーむ、残念だ。

 さて、ここまで来ると、いよいよ次は「太陽の反対側で、地球とまったく同じ軌道で動いている惑星」の発見だ!

 って、ないっつーのそんなもの(笑)。


 と書いてはみたものの、どうもこの新惑星、本当に惑星と認知されるかどうかはまだ不明瞭らしい。
 そもそも、大きさの基準となっている冥王星自体、惑星とされる事が疑問視されているわけだから、この新惑星も「冥王星の1.5倍大きいから」という理由だけでは、材料不足と判断される可能性がある。
 うーむ、なかなか難しいものですな。


 ひとまず筆者は、新しいセーラー戦士登場の可能性を祈りながら、星空を見上げる事にしよう。
 片手にビール持って。


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