仮面ライダー響鬼のお仕事 第5回 分業制の崩壊
鷹羽飛鳥
更新日:2005年7月31日
 夏バージョン:響鬼紅(ひびき・くれない)登場!
 とはいうものの、どうやらこの響鬼紅、かなり評判が悪いようです。

 このコーナーを読んでいて響鬼紅を知らないという人はいないと思いますが、一応説明しておきましょう。

 毎年夏になると、太鼓以外の音撃武器が通じない魔化魍が出現するため、響鬼は特に気合いを入れて鍛え上げ、真っ赤な響鬼(響鬼紅)に二段変身するのです。
 響鬼紅は、火炎鼓を使わなくても、音撃棒で魔化魍の身体を1回叩くだけで、そこに火炎鼓の模様と同じものを出現させて退治できてしまうという、夢のような必殺モードです。
 こんなに強力かつ便利な力の持ち主が、どうして不評を買うのでしょうか?
 今回は、その辺を考えてみたいと思います。


 響鬼紅が画面に初登場したのは、23話『鍛える夏』24話『燃える紅』の前後編です。
 まず、世間的な不評は、明日夢とトドロキの描写から始まりました。
 ここでは、ブラスバンド部で、ドラムをやりたいのにホイッスル担当を命じられて気が入らない明日夢と、弦の鬼なのに太鼓の特訓をさせられて不満が高じているトドロキを並行描写して、“不本意かつ不得意な楽器を無理矢理やらされて嫌気が差している状況”を積み上げていきます。
 そして、明日夢には部長が説教に訪れ、轟鬼には弦では倒せない魔化魍:ドロタボウという現実を突きつけることで、“不本意でもやらなければならない”ことを納得させます。
 そして、香須実と日菜佳の口から、かつてヒビキも弦や管の訓練を受けたことがあり、当時は嫌だったけど、思い返してみれば得るものはあったという昔話を持ち出して、“無駄ではないからとにかく頑張れ”という方向性でまとめています。
 この説教じみたストーリー(しかも明日夢については結論なし)がいいか悪いかはともかく、演出の仕方として、
  • 24話Aパートまで、ひたすらネガティブなトドロキ
  • 押しつけがましさが嫌味にすら感じられるヒビキの言動
  • GW明け入部にもかかわらず役目をもらえたのに、やる気のなさが丸見えの明日夢
  • アルバイト先に押し掛け、仕事中の明日夢を連れ出して説得する部長
といった常識的に問題のある行動が多く見られ、それだけでも相当に不評を買ったようです。
 この前後編では、先に挙げたとおり、明日夢とトドロキの並行描写により、“不本意な状況ではあるが、全力を尽くす”という成長を描こうとしたものと思われます。
 これまで明日夢の描写と並行していたのは主に“既に大人”なヒビキでしたが、“まだ新人”のトドロキと組み合わせることで、これまでの描写と変化を付けたかったのでしょう。
 また、弦使いの轟鬼や管使いの威吹鬼にも火炎鼓を使わせることによって、売上が芳しくないDX音撃棒セットのテコ入れをしようという思惑もあったようです。
 そして、これらが見事に空回りしていることが、不評の主な原因と言えるでしょう。


 23話では、2年も前から斬鬼の弟子をやっていて、夏は太鼓を使わざるを得ないことを知っていなければおかしい轟鬼がそのことをまるで知らないかのような描写にし、24話では、轟鬼の“弦への拘り”を前面に出して種明かしにもならない種明かしをしているのもその1つです。
 もしトドロキが“知らない”というなら、シナリオ上の矛盾ということになります。
 よく見ると、23話Bパートで戦いに出るとき、ヒビキは「夏のバケモノ相手には烈雷は役に立たないから。童子達にはいいけど、バケモノには使うなよ」と言っています。
 それに対して、トドロキは不満そうな顔はしているものの、「…はい」と答えていますし、「どうして?」という疑問顔もしていないので、事情を知っているように思えます。
 ところが、Aパートでは、トドロキはなぜ太鼓をやらなくちゃいけないのかと尋ね、ヒビキは返答に窮して、先輩の言うことを聞けなどと訳の分からないことを言っています。
 “夏は轟鬼にも太鼓を使って頑張ってもらわないといけないから”という立派な理由があるんだから、答えに詰まる必要などないはずですし、もし知らないなら、予め教えておかなければ大変なことになる(実際、烈雷を使ったせいでドロタボウが分裂してしまった)わけです。
 つまり、“トドロキ知らなかった派”からすれば、ヒビキの対応は、“新人にロクな説明もせずに特訓した挙げ句、理由も告げずに弦を使わないよう命じたためドロタボウが分裂したのに、後でおやっさんに「分裂始まっちゃいました」などと、自分に責任がないような物言いをしている”ということになります。
 この場合、上記の「はい」という返事は、混乱したトドロキの生返事と解釈できます。
 一方、“トドロキ知っていた派”にとっては、トドロキの対応は、太鼓でしか倒せない魔化魍の存在を知っていながら、太鼓をやりたくない一心で“どうして太鼓なんかやらなきゃいけないんですか”とだだをこねているだけにしか見えません。
 演出が、知っていると考えていたのか知らないと考えていたのかについては明示されていないようですが、どちらにしても流れがおかしいことは間違いありません。
 太鼓が必要な理由を知らないで「なんで太鼓なんか」と愚痴るのと、必要だと承知の上で弦への拘りから「太鼓なんか、やったことないしできない」と嘆くのとは、別物です。
 これは、太鼓祭りを24話のお楽しみにするため、演出上、敢えて(視聴者に)事態の説明をしないようにしていたのと、明日夢との並行描写のためにトドロキの“俺は弦の鬼なのに、なんで太鼓なんか練習しなければならないんだ”という不満が必要だったためです。

 どうして最初から、“分かっちゃいるけど、弦以外を使うのは嫌だ”または“弦もまだ未熟なのに、太鼓なんて…”という方向性でまとめなかったのでしょう。
 そうまでして明日夢と並行描写する必要があったとは、ちょっと思えないんですけど。

 やる気はあるものの慣れない太鼓に苦労するトドロキの描写に合わせて、明日夢の方を“ホイッスル初めてなんで、どうも全体の動きが見えなくて苦労している”という形にして、部長がアドバイスする方が、まだマシだったような…。
 まぁ、“嫌なことでも一所懸命やれ”というのがテーマであるなら、明日夢の“やる気のなさと不満”は必要と言えなくもないんですけど、プロであり、その行動に人の命が掛かっているトドロキがやる気ないってのは…。
 しかも、そもそも“嫌なことでも一所懸命やれ”というテーマ自体、今回前面に出すことにさほど意味があるとは思えないし、“苦手なことでも一所懸命やれ”に変えたって、ちっとも困らないじゃないですか。
 後でも述べますが、この前後編は、決してテコ入れしたことが悪いのではなく、テコ入れのくせに自己矛盾してテコ入れになっていないことが問題なのです。


 23〜24話では、
  1. 毎年夏になると、太鼓でしか倒せない種類の魔化魍が出現する
  2. そのため、弦や管の鬼も、この時期には太鼓で戦うことがある
  3. ヒビキは、毎年夏になると響鬼紅になるために鍛え直す
  4. 今年は、例年より半月くらい、夏の魔化魍の出現が早かった
  5. そのため、ヒビキは鍛え直すのが間に合わず、手だけしか赤くならなかった
  6. 響鬼紅は、火炎鼓を使わなくても、音撃棒で叩くだけで魔化魍を倒せる
  7. ヒビキもかつて弦や管の訓練を受けたことがある
といったことが語られています。
 
 ざっと挙げたこの情報だけでも、これまで本編で描かれてきた設定描写と齟齬する部分が多いのがお分かりでしょう。
 まず、何といっても無茶なのが2です。
 1の太鼓でしか倒せない魔化魍がいて、そういう奴らが出現する時期があるというのはいいでしょう。
 夏にはそういう奴らしか出ないのか、夏になるとそういう奴ら出るのかは分かりませんが、太鼓でしか倒せない魔化魍の存在は、一見最も使い勝手が悪そうな太鼓が未だに使われ続けている理由としては十分です。
 現実に、轟鬼が音撃斬を仕掛けようとドロタボウに烈雷を突き刺した途端、ドロタボウの身体から泥がこぼれ落ち、そこから分裂してしまいました。
 これほど柔らかい体だと、音撃管で鬼石を発射しても貫通して音撃に繋がらないし、下手をすると弾着で飛び散った破片から大量のドロタボウが分裂発生しそうです。
 そのため、少なくともドロタボウに関する限り、貼り付けて使う太鼓でないと倒せないというのは、非常に説得力があります。
 魔化魍には鬼の都合など関係ないわけですから、特定の時期にそういった奴らが大量発生したとしても不思議はありません。
 しかし、それでも今回の話の流れは妙なのです。

 太鼓でしか倒せないというなら、太鼓使いが死ぬ思いで頑張りまくればいいだけです。
 実際、斬鬼が怪我の療養中は、同じ弦使いである裁鬼が休みなしで頑張り続けて体調を崩していたのに、誰もフォローしてあげませんでした。
 各音撃武器の専門家による分業制である以上、これは仕方のないことです。
 ところが、夏の魔化魍は太鼓しか効かないから、管と弦の鬼も太鼓を使うそうです。
 しかも、病み上がりの裁鬼まで太鼓を担いで駆り出されています。
 ということは、太鼓、管、弦の3種類の音撃武器にそれぞれ担当の鬼がいるという組織構成は、意味がないじゃありませんか。

 これまで、響鬼は炎、威吹鬼は風、轟鬼と斬鬼は雷といった攻撃属性を見せており、この辺から、はっきりとは描写されていないまでも、太鼓は炎、管は風、弦は雷という属性が必要なのではないかという可能性が感じられていました。
 ところが、威吹鬼や轟鬼が太鼓を使えるということで、攻撃属性と使う音撃武器には関連がないことが証明されてしまいました。
 まして、太鼓使いである響鬼も弦や管の訓練を受けていた事実がある以上、太鼓だけは誰でも使えるというわけではなく、得意不得意はともかくどの鬼も全ての音撃武器を使えるようになれるわけです。
 もしかしたら、秋には管でしか倒せない魔化魍が出てきたり、冬にはギター弾き鳴らして失神させないと倒せないミーハーな雪女が出てきたりするかもしれません。
 少なくとも、ヒビキは嫌々弦や管の訓練を受けさせられたわけですから、それなりに必要性があったのでしょうし、ある程度は使いこなせるようになっているはずです。
 つまり鬼は、インパルスガンダムよろしく、装備する音撃武器さえ変えればどんなタイプの魔化魍が出現しても対応できるわけで、移動車両に予め全種類積んでおけばいいのです。
 そうすれば、魔化魍出現の際には、誰が担当してもそれなりに対応できるという状況が生まれ、斬鬼がいない間に裁鬼が頑張りまくって身体を壊すこともなくなります。
 便利便利♪

 ですが、これでは分業している意味がありません。
 太鼓使いの重要性が描かれているかのようなエピソードの中で、どうして太鼓使いでなくてもいいという事実が描かれてしまうのでしょう?

 さらに、ヒビキの「(例年より半月早くて)鍛えるのが間に合わなかった」という台詞からは、響鬼紅が今年初登場のニューフォームではなく、毎年夏になると登場していることが分かります。
 また、去年の夏は響鬼紅になれていたはずなのに、今回初戦では鍛え方が足りないせいで全身赤くなれなかったわけですから、一旦鍛えてもそれが持続するというものでもないようです。
 つまりヒビキは、毎年夏になると鍛え直して響鬼紅になるものの、秋を過ぎ冬を越えるころには、すっかり衰えていつもの響鬼にしかなれなくなる、というわけです。
 音撃棒から炎を飛ばしたり、音撃棒の炎を剣にしたりといったパワーアップは、そういう方向性の強化が必要と感じての特訓の成果と言えそうですが、響鬼紅は気合いを入れまくっていないと変身できないだけで、前々からできたわけです。
 なあんだ、普段は少し気を抜いているんだ。

 設定にある“身体能力が上がっている”という点については、まるで実感がありませんが、ともかく響鬼紅は、火炎鼓を使うこともなく魔化魍を倒せてしまうんです。
 相手がヤマアラシだとしても、どこでもいいから殴ればいいわけですし、イッタンモメン相手だって、ジャンプして1回叩ければそれで解決です。
 バケガニに火炎鼓を溶かされて困ることもありません。

 …あれ? じゃあ、響鬼紅って万能じゃないですか。
 みんな、鍛えまくって紅になりましょう!


 もし、そういつもいつも響鬼紅になるわけにいかないのだとしたら、その理由が必要です。
 例えば、響鬼紅は肉体への負担が大きいために鬼としての現役時代を縮めてしまうとか、夏の魔化魍は太鼓しか効かない分、太鼓に対する耐性が異常に低いだけで、ヤマビコ辺りになると、響鬼紅が音撃棒で叩いたくらいでは倒せないとか…。
 もちろん、“制限時間1時間”なんて、戦闘直前に響鬼紅になるという現状からすれば、全く意味はありません。
 強い分、短期決戦で勝負を決めればいいだけですし、変身時間が1時間と聞いて、短いなんて感じる人はいないでしょう。
 実際、25話『走る紺碧』では、逃げたカッパを響鬼紅のままバイクで追い掛けるということをしていますが、時間を気にしているという描写は全くありませんでした。

 ですから、響鬼紅になる理由はないのです。

 もし夏の魔化魍が太鼓に対する耐性がないなら、いつもの火炎鼓で十分対応できるわけですし、肉体に負担を掛けるなら、そうまでして響鬼紅になる意味はありません。
 大量の魔化魍を相手にするにしても、火炎鼓は決して使い捨てではありませんから、威吹鬼達のように回収しながら使えばいいだけです。
 普段、響鬼は使い捨てているように見えますが、4話では、ヤマビコを倒した後きっちり回収していますし、24話冒頭の戦闘終了後も、ちゃんと装備帯に火炎鼓が付いているので、別段響鬼用の火炎鼓が使い捨ての特別品ということもありません。
 まさか威吹鬼や轟鬼にできることを、本家太鼓使いの響鬼ができないということはないでしょう。
 また、敵の数が多くて回収の手間が惜しいなら、複数の火炎鼓を肩からぶら下げて出動し、片っ端から付けては叩くを繰り返せばいいのです。
 たとえ火炎鼓を多数作るのが大変だったとしても、鬼への負担を軽減できるならいいじゃないですか。
 つまり、響鬼紅は、確かに強いけど、鍛え直したり気合いを溜めたりとやたら手間が掛かるし、別にならなくても困らないという無意味な二段変身なのです。
 当然、この後も更なる強化形態が登場するのでしょうが、響鬼紅は、間違っても、555アクセルフォームみたいに“途中経過のパワーアップなのに、実質最強フォーム”だったりすることはないでしょう。
 去年のジャックフォームも、キングフォーム登場後は存在意義がほとんど消えましたが、今回はそれ以上に役立たずっぽいです。


 響鬼紅が、今年の魔化魍の異常発生を踏まえて、更なる戦闘力アップのために鍛え抜いた末のものだったら、少なくともこの問題は発生しませんでした。
 白服から分裂という新しい能力を与えられたドロタボウの集団に囲まれ、火炎鼓の回収が間に合わず絶体絶命の響鬼が、気合一閃、新たな炎の化身となる…ということなら、火炎鼓なしで魔化魍を倒したって、さほどの違和感はなく、むしろかなり燃える展開になるでしょう。
 太鼓の代わりに出現する炎のマークは、鷹羽的には、それなりに格好いいとも思います。
 ところが、去年も響鬼紅になっていたのに鍛え直さないと今年はなれない、しかも太鼓のいらない便利なスーパーモードなのにそれを維持しようとしないとなれば、違和感が出ても仕方がないというもの。
 …もっとも、これで火炎鼓がいらなくなったら、オモチャはまるで売れなくなるんでしょうけど。


 そう、一応この24〜25話は、売行不振のDX音撃棒セットの販売促進のためのものだったはずです。
 そのために、敢えて威吹鬼や轟鬼にまで太鼓を叩かせたはずなんです。
 ところが、トドロキは太鼓に否定的だし、ヒビキは太鼓の重要性を(視聴者に)さっさと説明しないし、響鬼紅は太鼓がいらないし、太鼓が活躍している気が全然しません
 せっかく普段太鼓を使わない威吹鬼や轟鬼がわざわざ太鼓を叩いてくれているのに、肝心の響鬼が太鼓を使わずして何の太鼓祭りでしょうか。
 響鬼紅が太鼓を使わないという設定なら、せめて販促エピソードの時くらいノーマルの響鬼のままで戦うべきでしょう。
 響鬼紅はその後で登場させ、3人掛かりより響鬼紅1人の方が強いという形でまとめれば、それで強さが十分アピールできます。
 今回のエピソードを見てDX音撃棒セットが欲しくなったのは、威吹鬼ファンくらいなのではないかと思います。


 ちなみに、25話では、“空中でカッパに音撃棒の一撃を加える”という、火炎鼓のいらない響鬼紅ならではの戦法を見せています。
 たしかに、逃げ足の早いカッパには、火炎鼓を貼り付ける、音撃棒で叩くといった二度手間は避けたいところです。
 ところが、弦使いである裁鬼は、普通に火炎鼓で立ち向かっているわけですから、別に二度手間だと逃げられてしまうと決まっているわけでもありません。
 しかも、カッパに関しては、弦や管で倒せない理由がありません
 血から分裂はしなさそうですし、音撃管を使い、唾液の届かない距離から手足や頭に鬼石を叩き込んで音撃を加えるのでは駄目なのでしょうか?
 水中でも管が通じるのは実証済ですから、一旦鬼石を叩き込んでしまえば、逃げられる恐れも少ないと思うのですが…。
 それとも、太鼓がどうとかいう問題ではなく、紅でなければ駄目ってことですか?
 紅が音撃棒を持っていれば、音撃武器なんかいらない、と。
 それじゃあ、裁鬼があまりに哀れじゃないですか…。


 結局、24〜25話では、太鼓の販促目的の話なのに、太鼓を使わない新戦士の初登場編という矛盾した展開をしてしまったため、基本設定そのものには特に問題のない響鬼紅に“去年もなった”という妙な付加設定を与え、しかも“嫌なことでも一所懸命やれ”という取って付けたテーマのために“太鼓が嫌なこと”であるという流れになってしまいました。
 結局、轟鬼って、「太鼓は嫌だけど、今はやるしかない」って思ってるわけなんですよね。
 こんなんで商品が売れたら、誰も苦労しません。

 じゃあ、2話も掛けて何があったかといえば、“明日夢の晴れ舞台を見に行けないことをわざわざ連絡してくるあきら”という、三角関係にまた一歩不穏な動きが発生したことくらいでしょうか。
 あきらからの電話を取り継ごうと来てみたらひとみがいたため、ひとみに気付かれないよう気を使う日菜佳、その気遣いを全く理解せずにぶち壊す大ボケ明日夢、「あきらさ…天美さん」と言い直す明日夢に誤魔化されてあげながらも心中穏やかでないひとみと、一触即発的なラブコメムードになってきています。
 一応、明日夢が「あきらさん」と「天美さん」を使い分けているのは、猛士での“鬼の弟子”としての「あきらさん」と、一般生活での“単なるクラスメート”としての「天美さん」なのですが、事情を知らずに聞いているもっちーには、“実はかなり親しい”「あきらさん」と、“親しくないフリをしている”「天美さん」に見えていることでしょう。
 せめてもの救いは、かかってきたのが日菜佳のケータイに対してだったこと。
 もし、これが明日夢のケータイにかかってきたのだとしたら、もっちーは明日夢のケータイの発着信履歴を調べたい衝動を抑えるため、太腿に団子の櫛を刺す羽目に陥ったはずです。
 休みに全部アルバイトを入れられたお陰でデートもままならず、明日夢の顔を見るためだけに週3回たちばなに通い詰めるもっちーの辛い戦いは、まだまだ続きます。

 まぁ、あきらにしてみれば、明日夢は数少ない同年代の友人、それも自分の立場を知っていて気を使わずに話せる貴重な相手なので、付き合いを大切にしたいだけなのでしょうけどね。
 それでも、明日夢が猛士内部に食い込んだこともあって、あきらと明日夢の距離は近くなってきているので、そういう気持ちが恋に転化することは十分にあります。
 って、もうそれしか興味を引けるネタがないのでは…

 あ、そういや、この番組は、明日夢が主人公のラブコメだったっけ…。



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