仮面ライダー響鬼のお仕事
鷹羽飛鳥
更新日:2005年3月13日
ごあいさつ

 今年は、戦隊とライダー、どっちの連載をしようかと悩んでいたのですが、『マジレンジャー』は考察系の文章には向かないようなので、こっちを連載することにしました。
 一応月イチ連載の予定ですが、多少の増減はあるかもしれません。
 最終回後に総括をやるかどうかも未定です。
 と、あらかじめ逃げを打ったところで、始めましょうか。

第1回 鬼太鼓
 なんというか、まぁ、今更言うのもアレですが、既にデザイン的には仮面ライダーじゃありません。
 好きな人には申し訳ありませんが、鷹羽の第一印象は「のっぺらぼうだ〜〜〜」でした。
 いえ、もうすっかり悟ってしまいましたから、今更ライダーのデザインの基準がどうとか言う気はないんですけど、さすがに赤で縁取っただけの“のっぺり顔”にはびっくりしたわけで。
 まあ、牙やら角やらはあるので、一応「鬼なんだな」とは理解したんですけど、1話のOPでバチを振り回している姿にまたぶっ飛びました。
 まさか、鬼太鼓(おんでこ:佐渡島の郷土芸能)とは…。
 
 各種設定面でも、OPが歌なしだったり、主人公がフルネームなしだったりと、ライダーシリーズ初のネタも多いですね。
 個人的には、歌はともかく、主人公にフルネームがないというのはちょっといただけませんでした。
 アマゾンだって山本大介って名前を持っているのに、どう考えても日本国民の彼が、OPテロップで「ヒビキ」はないでしょう。
 名字なのか名前なのかさえ分かりません。
 5話で登場したローテーション表には、漢字で「響鬼」と書いてありますから、鬼としてのコードネームが「ヒビキ」ってわけでもなさそうです。
 鬼に変身できる人は、俗名を捨てて、鬼としての名前とは別に通り名を持たなければならないとかいうルールでもあるんでしょうかねぇ?


 で、1話の本編に入ると、いきなりミュージカルだったのでがっくりきたのですが、それを通り抜けてしまえば、内容的には割とまともで、少しホッとしました。
 その後も、画面に突然文字が出たりといった妙な演出はありましたが、話の内容そのものはかなり練られているようなので、我慢できています。
 最初に「これは…」と思ったのは、2話で、ヒビキが電話を借りて立花姉妹に連絡を取っているシーンと、木を削っているシーンでした。
 「吉野で会議」とか、「そんな南に出るなんて」とか、この時点ではよく分からない会話が繰り広げられましたが、6話終了時点での情報を統合すると、番組の背景がかなり見えてきます。
 あらかじめ情報収集して知っている人もいるかもしれませんが、本編から仕入れた情報だけからでも、以下のことが分かります。

 ヒビキは、鬼に変身でき、バックアップの立花親子と組んで仕事をしています。
 そういった鬼は関東だけで11人いるほか、ほかの地域にも同様にいて、彼らは猛士(たけし)という、吉野辺りに拠点を持っている化け物(魔化魍)退治の“歴史ある専門家集団”ということのようです。
 噂や被害報告などから魔化魍の潜伏地域を予測して近辺にキャンプを張り、大量のディスクアニマルを放って範囲ごとに捜索し、位置を特定してから変身して駆除する…実に効率的です。
 鬼は、弟子をとって次世代を育てるのも仕事の1つですが、最近は鬼になる若手がなかなか見付からず、人手不足(鬼手不足?)が深刻化しています。
 また、鬼には、響鬼のような太鼓使いのほかにも、弦を使う者など、得意な武器(楽器?)があり、武器によって戦いやすい魔化魍の種類があるようです。
 それで、ローテーションを組み、担当期間内に相性のいい魔化魍が出現したら退治に行くようになっているのですね。
 ただ、ローテーション上、相性が悪い相手でも、ほかに手がなければ駆り出されることもあるようです。
 響鬼は山に出る魔化魍が得意のようですが、5〜6話では、大怪我をしてリタイアした斬鬼のフォローのために駆り出されました。
 
 
 たった6話で、ここまで情報密度があるというのはなかなか凄いことでしょう。
 また、会議があった吉野という場所が、何となく意味深ですね。
 吉野は南北朝の南朝が拠点を構えた地域で、たしかそこにはどこぞの密教の本拠があったはず。
 位置的にも京都近辺なので、古くから魑魅魍魎と戦っていたと言われても納得できますし。
 出陣の際に火打ち石で送り出すというのも、古式でいいです。
 後継者難にあえいでいるのも、嫌な意味でリアルです。
 今のところ、最近になって魔化魍が急速・大量に発生している事情は分かっていないようですが、どう理由付けするか楽しみですね。

 そういえば、ちゃんとした組織にバックアップしてもらえるライダーというのも初めてですね。
 今までは、集団がバックアップすることはあっても、あくまでそれは個人の集まりでしかなく、きちんと組織だっていませんでした。
 前作『剣』には、一応組織が出てきましたけど、何もしないまま消えちゃいましたし。
 変身するたびに服が燃えて駄目になってしまうという、ある意味リアルな変身パターンも、仕事でやっているなら経費で落ちそう。
 バイクで動く人は、荷物が増えて大変だ。


 さて、ヒビキの仕事の仕方ですが、香須実の運転する車にキャンプセットを積み込み、ディスクアニマルのセットを持っていくというのが通常パターンのようです。
 ただ、正統派のイブキはバイクに乗っていますので、単独行動派なのかもしれません。
 というより、車を運転できないヒビキのために運転手がついてくるのかも…。
 ともかく、ヒビキは普段は2人組で魔化魍退治に出掛けるわけで、1話でのアレは、魔化魍退治のために屋久島に行ったのではなく、行ったらたまたま化け蜘蛛を見付けたので退治した、というわけです。
 元々、屋久島ほど南方には魔化魍は出ないというのが、(作中での)常識だったようです。
 だから、「そんな南に出るなんて」という話になるんですね。
 それでヒビキは、基本装備の(ベルトに下げている)3種1体ずつのディスクアニマルしか持っていなかった、と。
 出たのが山系の魔化魍でラッキーでした。
 きっと、違ったら応援を呼ぶことになったのでしょう。
 …前述のとおり、屋久島担当の人はいないので、呼んでも誰も来てくれないかもしれませんが。


 さて、そうすると、何をしに出掛けたのかってことになるわけですが、これもちゃんと理由があります。
 1話では、太鼓を叩くシーンもその必要もありませんでしたが、実はよく見ると背中に音撃棒が1本しか見えません。
 つまり、ヒビキが明日夢に言った「(屋久島に)力を貰いに来た」というのは、何らかの理由で音撃棒が駄目になったため、新しいのを作る材料を取りに来たということだったのですね。
 行動にちゃんと理由がある番組がこんなに嬉しいと思えるのは、やはり「もうちょっと考えて話作ってよ!」と言いたくなるような番組を見慣れたせいでしょうか。


 ところで、鷹羽は、ヒビキを演じる細川茂樹氏を知らなかったのですが、結構トレンディドラマなどに出ている人だそうで、うちの相方は知っていました。
 ある程度メジャーな人が『仮面ライダー』の主役をやるのって、『J』以来だったかな?
 しかも、NHKの大河ドラマにレギュラー出演している人が、同時期に『仮面ライダー』で主役をやるってのはいろんな意味で凄い。
 まぁ、大河の方ではそんなに出番多くないようですが。


 この作品、プロデューサーが『クウガ』の高寺氏ということもあって、『クウガ』のときに色々物議を醸した演出の是非などが取り沙汰されていていますし、鷹羽も、画面転換の頻繁さや、ヒビキがケータイ持ってない辺りなどに『クウガ』と共通する部分があったりして、ちょっと引きずってるかなとも思います。
 せっかくだから、そんな共通点を持たせないで一新してほしいですね。

 まぁ、とりあえず、ミュージカルはいただけませんが楽しめそうな感じです。
 平成ライダーシリーズで、こんなに早くなじんだのは初めてだ…。


PS CMが「今、欲しいんだよね。君のお金が」「(まだ買ってないの? 早く買ってくれるのを)待ってるぜ」と聞こえる鷹羽は、耳がおかしいでしょうか?



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