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更新日:2004年7月18日 | |||||||||||||
『デカレンジャー』には、イーガロイド、バーツロイド、アーナロイドの3種類の戦闘用ドロイドが登場します。 頭部がイガイガ、×、穴と、見たまんまなネーミングなのが笑いを誘いますが、どうしてどうして、イーガロイドなどはデカレンジャー5人掛かりでも大苦戦するような強さを持っています。 下手な怪人以上に強いわけですね。 バーツロイドも怪重機を操縦してなかなかの強敵ぶりを見せてくれますし。 で、鷹羽としては、そんな彼らを見て“巧い手を考えついたなぁ”などと思ってしまうわけです。 今回は、それがなんで「巧い」のかというお話です。 結構知られていることですが、トクサツ番組というのは一般のトレンディドラマに比べて制作費が段違いに高くつきます。 これは、ヒーローや巨大ロボ、毎回登場する怪人の着ぐるみ、特殊撮影用の器材等の費用(セットの制作費や吊り用のクレーンの費用、火薬代、合成費用などなど)が嵩むためです。 このうち、ヒーローや巨大ロボの着ぐるみ(&ミニチュア)制作費用とか器材費用は、番組のウリ部分ですから削れません。 そうすると、削られるのは自動的に、怪人の着ぐるみ制作費用と戦闘員の人件費ということになるわけです。 『星雲仮面マシンマン』という番組は、当時、戦闘員がいつも3人しかいないなどとバカにされていましたが、今ではライダーシリーズには戦闘員がいないのが当たり前ですし、スーパー戦隊でも中盤以降は戦闘員の登場しない話が多くなります。 デカレンジャーの場合、こんなときも“アリエナイザーがアーナロイドを買わなかった”ということで解決です。 『忍風戦隊ハリケンジャー』で戦闘員を増殖させるという話がありましたが、その際、なんと主役である役者3人も戦闘員の着ぐるみを着たそうです。 本人達は喜んでやっていたそうですが。 まぁ、人数を集めると、人件費ばかりでなく、ロケ場所への移動手段やらスケジュールの調整やらが大変になるという側面もありますから、一概に経費削減のためとばかりも言えない部分もあるわけです。 もう1つの金食い虫:怪人の着ぐるみ制作費用ですが、これは、『ウルトラマン』の昔から頭痛の種でした。 使った怪獣の着ぐるみを改造して違う怪獣にするなんて技法が生み出されたのも、その辺の台所事情からだったのは有名ですね。 東映では、昔は腰から下はタイツ的なデザインが多かったのですが、近年着ぐるみの大型化が進み、アクションがしづらいとか、着るのに手間が掛かるとか、制作費・日数が嵩むなどの問題が顕在化していました。 やられた怪人が巨大化するとか同型の大型怪人が出てくるとかいうのは、1体の着ぐるみで等身大戦闘と巨大戦をこなすための方便だったわけです。 それでも、『大戦隊ゴーグルV』の初期数話では、等身大怪人と巨大怪人を別の着ぐるみでやろうと努力していましたし、それが駄目になった後も下半身だけ別にして少しでも印象を変えようとしていたようです。 『超電子バイオマン』のジューノイドも、そういった努力の一環ですね。 前後編にして2話で1体の怪人を使うとか、前に使った怪人の着ぐるみを改造して新怪人にするとか、倒したはずの怪人が幻や再生怪人として襲ってくるとかいうのも、なんとか怪人を作らずに数を揃えようという工夫です。 『仮面ライダー剣』でレンゲルが登場したころ、一旦封印されたアンデッドが封印を解かれたりしたのも、新しい着ぐるみを作ることなく画面上にアンデッドを出したかったが故でしょう。 また、強力な幹部やライバルとの戦いで1話もたせれば、それで怪人1体得します。 『百獣戦隊ガオレンジャー』では、後に味方ロボとなったガオハンターと狼鬼、ウラ達敵幹部だけで何話ももたせていますが、これはかなり制作費の節約になるわけです。 『仮面ライダー龍騎』終盤で、ミラーワールドでモンスターがぞろぞろ集まるシーンには、当時残っていた全ての着ぐるみを使ったそうです。 『ハリケンジャー』で、サーガインの巨大ロボ:メガタガメがIIとかIIIになって登場したのもそういった流れでしょう。 この点、『デカレンジャー』では、怪重機はアブレラの所属する組織が作った同系列のメカとして無理なくIIやIIIが出せるわけですし、これにより、等身大怪人と巨大怪人を別物として登場させても違和感がなくなります。 そして、前述のバーツロイドに操縦させることにより、操縦者込みでの購入として、納得しやすい形で等身大戦闘と巨大戦を同時に行えるようになりました。 また、単純に戦闘シーンを入れるためだけで特に怪人を使う必要がない場合など、イーガロイドを使えば節約できます。 これには、軽装なため、アクションがしやすいというメリットもありますから、戦い方次第で十分強く見せることが可能です。 実際、バンの「あいつ、滅茶苦茶強い奴だ」という一言に違和感を持った人はいなかったでしょう? 以前にも、『時空戦士スピルバン』では、怪人が登場しない回において、とりあえず見せ場を作るため、戦闘員のキンクロン数体を必殺技アークインパルスで斬りまくることがよくありましたが、あれはたかが戦闘員になぜ必殺技? という疑問が拭えませんでした。 その意味では、『デカレンジャー』の戦闘員クラス、パイロットクラス、怪人クラスと3段階のドロイドを用意したのは、非常に巧い手でした。 ちなみに、こうした効果は、テレビを離れたところでもあるに違いありません。 鷹羽は『デカレンジャー』のショーを見たことはありませんが、デパートの屋上ショーでは、きっとアーナロイドやバーツロイドが大暴れしていることでしょう。 鷹羽がショー関係の仕事をしていた時代、先輩が言った「RXは戦闘員いてくれて助かるよ。BLACKは(ショーの)構成大変だったもんな〜」という言葉が忘れられません。 後楽園辺りならともかく、一般のショーでは、ヒーローと怪人の戦いばかりやっていたらスーツアクターがへばってしまうので、間を持たせるための戦闘員によるお遊びや悪ボスのおしゃべりが必須なのです。 ですから、戦闘員不在の番組でも番組には出てこない戦闘員を必要とします。 『特警ウインスペクター』のような“特定の敵”すらいない番組のショーでは、オリジナルの戦闘員と戦闘員もどきの怪人が用意されていましたが、何せ自分で悪側の設定を作らなければならないので、ショーの構成を考えるときに相当苦労したものでした。 つまり、ドロイド達の存在は、
さらにさらに、今後も新必殺武器などが登場するでしょうが、それで敵味方ともに強くなっていけば、今はもの凄く強いイーガロイドが戦闘員クラスになってわらわら登場するかもしれません。 そうしたら、視覚的にもデカレンジャーの強さが納得できそうですよねぇ。 元々、重さではなく早さを主体として描けるスーパー戦隊では、スリムな戦闘員タイプのキャラクターでも十分強敵にできるという利点があります。 極端な言い方をすれば、ヒーロー自体が戦闘員になれるくらいスリムですから。 『超新星フラッシュマン』の戦闘員ゾローの衣装など、ちょっとしたヒーローみたいですし。 要は見せ方の問題で、バリバリのアクションで“身軽で手強い敵”にすることも、攻撃をバンバン跳ね返して“細いくせに妙にタフな敵”にすることもできるのです。 外見ではなく、演出でいかようにも変化を付けられるというスタッフの発想は、実に巧いんですよね。 だてに長く続いてるシリーズじゃありません。 今後とも、だてじゃないところを見せ続けてもらいたいと思います。 期待してるよ〜、今後の展開♪ → NEXT COLUM |
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