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更新日:2004年7月22日 | |||||||||||||||||||||||||
最新玩具情報に踊らされる事もなく(踊りたくても金銭事情で踊れない)、独自の道を突き進む(筆者の財政に左右される)「玩具ありMINI」…すでに本家『嗚呼、人生に玩具あり』より規模も内容の種類も大きくなっているような気がするけど、気にしないで第12回。 今回は、またまたトランスフォーマー・バイナルテックの「ハウンド」でハアハアしたいと思う。 もう次の「デッドエンド」が発売されているというのに、である。 パッと見の内容はともかく、根源的趣旨がものすごく不健全なような気がするのは、単にシリーズを重ねるごとに筆者のフェチ度が高まっているからと推測される。 細かい事は気にしないで、流してくだちゃい。 それ、ハアハアハアハア。
●概要: インプレッサ、ダッヂヴァイパーと続き、今度のバイナルテックのモチーフはなんと「ジープ」。 正確には、ダイムラー・クライスラー社のジープ・ラングラーTJ。 軽オフロード4WD車の始祖でもあり、自動車史を語る上では外せない存在…その正当後継車種が、モチーフとなったわけだ。 で、ジープというとだいたいの人は、「暗濃緑色のボディカラー」「丸二灯ライト」「幌の屋根」「ロールバー」「台形のフェンダー」などのイメージを持っているだろう。 そして、この車もそれらのイメージをほぼ忠実に再現している(幌の屋根はないけれど)。 …そう、こうやって特徴を並べると、過去モチーフになった二車種とはまた違った特徴を備えている事に気付かされる。 「地味」で、かつ複雑そうな構造のジープをロボットに変形…しかも、車としてのスタイルにこだわって行う事など可能だろうか? 「ハウンド」は、それを見事に実現させてしまった。 その脅威の変形システムを、ハアハアしながら見て行こう。 では、まずビークル形態から。 ああそう、よくこれを「ビー“グ”ル」と表記する人がいるけれど、それでは「犬」になっちゃうのでご注意を。 ジープは、「屋根がなく」「後部ウインドウがなく」「リアハッチもなく」「側面部と天井がロールバーで形作られている」という、一般車両との大きな違いがある。 そして、これらはいずれもロボットに変形する材料を生み出す際に不利な条件となるものばかりだ。 前回紹介した「ランボル」の元車・ダッヂヴァイパーはオープンカーで、構造的・体積的にも「ロボットに変形」するには不向きな条件を多く抱えていたものだったが、実にうまく問題をクリアしていた。 なにせ、車の中心部分をつかさどる室内部分が天地左右共にスッカスカになっている上、後ろ半分がフレーム(ロールバー)だけの構成で、ほとんど何も無いに等しい状態だからだ。 ジープの後部座席やその周辺は、ロールバーやタイヤを除けば、シート(または荷台)とスペアタイア、そして外周を囲むフェンダーと床部分しかない。 サスペンションなどを別にしたら、ロボットのパーツを構成するための体積が、圧倒的に乏しいのだ。 にも関わらず「ハウンド」は、この後部から「両足」を作り出してしまう。 その工程がとんでもなく見事なのだが、「そういう意外な仕掛けが組み込まれている」という前提に立ってビークル形態をみていくと、とても面白いものが見えてくる。 これは、変形過程で生まれた副産的なものではなく、なんとわざわざそれだけのために組み込まれたギミックだ。 なので、本来車輪が伸縮しようがしまいが、変形に影響がほとんどない。 それでも組み込まれたサスペンション…良いこだわりではないか。 この「ぱゆんぱゆん」というバウンド機構は、サスペンションフェチにはたまらないものがある。 実際はちと柔らかすぎるような感もあるが、ここはこの「ぱゆんぱゆん」を心行くまで堪能したい所。 他のシリーズと大きく違うポイントの一つとして、「エンジン」がある。 以前までは、エンジンパーツは完全独立していて変形後は銃になるというシステムだったが、「ハウンド」は肘の裏側に銀色のモールドがあり、腕が収納される際にこれがボンネット内で上を向き、エンジンを構成するようになっている。 つまり、エンジンスペースには両腕が丸々収まっている訳で、他の物が入り込む余地はなくなっている。 では、武器はどこにあるかというと、これがびっくり、なんと「スペアタイヤ」の中に収納されているのだ。 正確には、スペアタイヤケースの中が空洞になっていて、スライド式に飛び出したトレイの中で折りたたまれた銃(ホログラムガン)が収納されているというスタイルだ。 当然、スペアタイヤのサイズの関係でかなり小型の銃になってしまっているが、こういう意外性は嬉しいもの。 室内は、コンソールパネルからシート、ドアの裏側までしっかり再現されているが、実はあまり緻密な造りではない。 運転席は、ステアリング下の足が入るスペースが足りなかったり、リアシートの背もたれの比率が小さすぎたりと疑問点も多いが、これはどうも変形時の干渉を避けるための対処のようで、やむをえないだろう。 ただそれは別にしても、せめて色はもう少しなんとかして欲しかった気がする。 白っぽいグレー単色だと、なんとなく安っぽいイメージなんだよね。 ボンネットにも工夫がある。 「ランボル」の時、疑問点として「常時露出しっ放しのサイバトロンマーク」というものがあったが、今回はボンネット中央の一部が回転し、裏側からマークが出てくるように工夫されている。 これは他のパーツの変形に関連していない機構のため、ビークル時・ロボット時を問わずどんな時でも出したり隠したり出来る。 なかなかに面白い対策だと思ったのだが、よくよく見ると、ナンバープレートには隠しようのないサイバトロンマークが堂々と…(笑)。 でもまあ、これくらいなら…いいかな♪ 次に、ロボット形態への変形を見てみよう。 今回も、基本的な変形の理屈は「ボディ中央部付近のロックを外し、各部を展開・伸縮させる」というもの。 ただし、最初に腕部分の変形から始めた方が、他パーツとの干渉がなくてスムーズだ。 まずボンネットを開け、中にみっちり詰まっている腕パーツを取り出し、関節を伸ばす。 ここでいったんボンネットを閉じ(邪魔だし)、次にドア下と後部ロールバーに計四箇所設定されたジョイントロックを外す。 すると、この時点で車の前半分が上半身、後ろ半分が下半身になる事がわかる。 コンパネ下部にあるジョイントに腰部分の突起をはめ込み、180度向きを回転させる事で腰周りが完成。 ちなみに、ロールバー内部に仕込まれている凸ジョイントは金属パーツになっていて、強度が確保されている。 こういう気配りはめちゃくちゃ嬉しい! 次に、サイドステップと後部ロールバーを折りたたみ、リアシートの背もたれを後ろに倒す。 そして、スペアタイヤケースごとリアハッチを右側に回転させて避け、さらに車の後ろ半分を真っ二つに割る。 二分化されたリアバンパーを左右それぞれ180度回転させ、あらかじめロボット時の「つま先」を作っておく。 次は足…正確には脛部分を形成するのだが、ここでちょっと驚きのギミックが楽しめる。 なんと、リアシートとその下の床部分がその場で180度転回し、シートがふくらはぎの位置に移動する。 そして、それまで床下部分に折り畳まれていた足首部分を引き伸ばし、つま先とを結ぶジョイントを起こせば、見事に膝下の足パーツ全体が完成する。 文章にすると味気ないかもしれないが、ほとんど体積らしい体積のない部分から見事に足が形成されていく工程は、ちょっとした衝撃だ。 これに匹敵する特殊変形は、スモークスクリーンやランボルには見られなかった。 立派な独自性と言えるだろう。 ついでに、変形工程の事情から膝が二重関節になっているのもすごい。 この辺りの可動範囲の広さは、感動すら覚える。 下半身が完成したら、今度は上半身の仕上げ。 ドアを両方開き、ステップを僅かに外側に開いたら、前部ロールバーやフロントシートなどを折り畳んでいく。 この時、前シリーズの二体のようにステアリングを下方向に折り込む事を忘れずに。 フロントウインドウを後部に倒し、再びボンネットを開いて首パーツを取り出せば、ハウンド・ロボット形態の完成だ。 ボンネットの下の空間に宙ぶらりん状態の生首(笑)は結構なインパクトだが、根元のボールジョイントのおかげで結構色々な角度に動かす事が可能。 とはいえ、スモークスクリーンのような無茶な自由さまではない。 だって、ボールジョイントの接合部が、なぜか首の付け根の裏側部分になるんだもの。 ごっついイメージのジープから変形した割に、ハウンドのロボット形態は妙にスマートな印象を受ける。 下半身が細く、足が長いせいだろうか。 ハウンドは、その構造上以前の二体とは比較にならないほどの下半身可動範囲を持っており、うまくすればかなり自然な飛び蹴りの姿勢も取る事ができる。 また足首部分にロック機構のある関節が施されているためか、横方向に大きく足を開いても、足の裏がしっかり接地してくれるようになっている。 無論、関節保持力も高いので、これを利用すれば、スモークスクリーンやランボルでは到底叶わなかったアクションポーズが取れる。 反面、上半身には問題が多い。 バイナルテックシリーズは、なぜか上腕が回転しないという難点があるのだが、今回はそれに加え、肩が外側に回らないという問題点がある。 これは、単純なポーズ制限だけに留まらず、腕そのものの可動に大きな支障を与えるレベルのものになっている。 肩が前後方向にしか回転せず、後は肘が曲がり、手首が回るだけなので、せっかくの武器もほとんど真正面にしか構える事ができず、首の角度との釣合いが取りにくい。 結果的に、カッコイイポーズがほとんど取れないという事になるのだ。 また、ボンネットの中で浮かんでいるような状態の首も、問題が多い。 横方向にはある程度曲がるのだが、なんとなく座りが悪く首全体が沈み込んでしまうような感じになりやすい。 これは、先の通り首の付け根の後ろ側を押さえられている形状になっているせいで、小首をかしげるような曲げ方や、真横を向く事が困難なためだ。
せめて、上腕が回転してくれればそれだけでも違ったのだが…と思い、構造をじっくり見てみるが、ハウンドに限っては上腕回転ギミックがあっても、さほど変形に支障が出るようには見えない。 ハウンドの腕は、取り出す時も収納時もうまくコンパクトにまとまるため、腕の回転に多少の誤差が生じていても問題なく扱えるように思えてならないのだ。 単純に「手抜きだ」と責めるつもりはないのだが、ここはなんとかならなかったものなのだろうか…。 ハウンドのロボット形態は、大変な“角度美人”的性質を持っている事にも触れておこう。 実は、ハウンドはその構造から、上半身の「身」がほとんどない状態なのだ。 これはぐだぐだ説明するよりも、写真を見ていただいた方が早いだろう。
ジープのノーズ部分の装甲を取っ払ったら、そこには広大な空間が覗くだけ。 気分はほとんど「悪魔将軍」である(笑)。 当然、腕の基部もか細いフレームのみで支えられている。
こういう「しわ寄せ」が結構きついため、ハウンドのロボット形態は、「あおり」と「俯瞰」の撮影はご法度なんである(笑)。 …え、ランボルの後姿も結構すごいだろうって? ま、そりゃそうなんだけどね。 でも、あれはただ空っぽの余りパーツ背負ってるだけだから…。 ●総評: ハウンドは、ランボル以上に快適に変形が楽しめる上、ポージングの幅も広がり、またギミックの意外性も盛り込んで大変高い完成度と注目度を得ているアイテムだ。 だが、可動範囲の制約やスカスカの胴体、難のある身体構造などの問題もあるため、ロボット形態で飾る事を主とする人の場合は、これらの欠点を理解した上で購入する方がいいのではないかと考えられる。 もちろん、これらはハウンドというキャラクター性に対する思い入れで充分フォローできる範囲かもしれない。 しかし、ある程度リアルモデル的なテイストを求められているモデルでもあるため、こういった難点は結構目立ってくるものと思われる。 要は、それぞれのスタイルをじっくり見て、その上で納得して購入すればいいだけの話なのだが。 あ、サスペンションフェチの人には、「無条件購入」をオススメするけど(笑)。 全身がスキャナ機能を持っているとか、外部情報収集性能が優れているとか…他のバイナルテックにも様々な面白い新設定があるが、このハウンドには驚かされた。 人間に憧れるTFかあ。 だから、人間の感覚に近いような機能が搭載されている? …などと勘ぐってみたり。 設定マニアの筆者には、ちょっと良い勉強になった。 …えー、さて。 バイナルテックは、この他に「ストリーク」という“スモークスクリーンのリデコ”が存在するのだが、こちらについてはスモークスクリーンの項を参照していただく事にして、今回はオミット。 なので、「トラックス」「デッドエンド」が発売され、購入できたら、また再びこちらで紹介してみたいと思う次第。 え、デッドエンドもランボルのリデコだろうって? ああ、アレについてはちょっと思う事がありますので(笑)。 つか、もう買ったんだけどさ(気分屋トップページ参照)♪ とりあえず、次は…装着変身かな、やっぱり?! → NEXT COLUM |
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