玩具ありMINI! 第11回 TAKARA
 トランスフォーマー・バイナルテックシリーズ「ランボル」
後藤夕貴
更新日:2004年5月20日
 タカラが放つ、車フェチ鼻血モノの精密玩具「トランスフォーマー・バイナルテック」シリーズ。
 今回取り上げるのは、この第二弾・ランボル
 ダイムラー・クライスラー社の赤いダッヂヴァイパーが、ロボットに変形!
 もう辛抱たまりませぬ。

 今日もハアハアしながらハアハアしていきたいと思いまする。

バイナルテック・ランボル。横向きに銃を構える姿勢がなぜか異様に決まるっ! TRANSFORMERS
 バイナルテック
 『ランボル』


 定価 \4,980

 1/24SCALE


ランボル本体
エンジンパーツ(銃に変形)
取扱説明書

●概要:

 さて、前回「スモークスクリーン」で説明したように、この「ランボル」も、リアルダイキャストミニカーの外観と変形機構の共存というテーマを見事に昇華させている。
 基本的な事は前回記した通りなのだが、今回は「オープンカー」「車高が低い」「2ドアカー」というあらたな注目点があった。
ダッヂヴァイパー。いわゆるビークル形態。こうしてみるととても変形するようには…
 考えてみれば、ロボットに限らず「オープンカー」から他のメカに変形する例は、そんなに多くなかったりする。
 筆者がパッと思いつくのは「ナイトライダー」のナイト2000だが、あれはノーマルルーフからオープンに変化するだけなので、かなりテイストの違うものだ。

 車型のメカからロボットに変形する場合、いわゆる居住スペース部分が大変大きな意味を持つ。
 なぜなら、この「人が乗るべき部分」に多くの部品を収納させて外観を整える事ができたり、あるいは変形後のロボットのボディに厚みを持たせる事が出来るからだ。
 勇者シリーズ玩具で車から変形するロボットを見てもらえればわかるが、エクスカイザー、ダ・ガーン、デッカード、ドラン、ダグファイヤーなどは、すべてこの居住スペースが胴体全体を構成していると言っても過言ではない。
 車型トランスフォーマーがこのパターンに殉じているわけではないが、とにかく居住スペースは活かし方によって色々な活用が出来る部分なのだ。

 ところが、このランボルはその大切なスペースを完全に切り捨ててしまっているのだ。
 その上、ダッヂヴァイパーそのものの車体の厚みがないため、ロボット時のボディの厚みをどうやって稼ぐのか疑問が生まれてくる。
 さらに、ダッヂヴァイパーの妙に分厚いドアが二つ、しかも開閉ギミックまで付いているというやっかいな材料まで揃っている。
 これらは、どう見ても「ロボットになるには不利な条件」のように感じられてならない。
 だが、この問題を綺麗に解決した上でロボットの姿にさせてしまうアイデアとギミック、そしてデザインセンスには脱帽させられる。
 この「ランボル」は、パッと見た製品の印象は地味なものの、実際に手に取って動かしてみる事でそのとんでもない魅力がわかるという、奥深いものだ。


 さて、前回はまずロボット形態から説明してビークル形態へと移行したが、今回は逆に辿ってみたいと思う。


リアビュー。ホント、ミニチュアカーとしても大変よく出来てます。テールランプ周辺なんか、直接見るとため息モノよあなた♪
 ビークル形態の“ダッヂヴァイパーSRT-10”は、低い車高に対して4tトラック並の車幅を持ち、総排気量8277cc・最高出力5600rpm/500PSにも及ぶパワーを発揮する。
 どうも、元々はトラック用に開発されたエンジンを搭載しているそうで、まさにモンスターマシンと言えるだろう。
 筆者も、叶うものなら是非一度運転してみたい。

 先の通り、その外観は「走るために必要な要素」に満ちており、空力抵抗軽減のための低車高、がっしりした足回り、レザーシートが走り屋の衝動を掻き立ててくれる。
(注:筆者は走り屋ではありません。あくまで便宜上の表現です)
 とにかく、大変完成度の高い「走るための車」である事がわかる。
 そして、この商品はこの姿を本当に忠実に再現してくれているのだ。

 フロントノーズからフェンダー、バンパーにかけての微妙なカーブラインは絶妙で、最近の丸っこいデザインの車が嫌いという人にも是非見ていただきたい程。
 ロングノーズスタイルが実にかっこよく、また足元も大変素晴らしくまとまっている。
 よく見ると、ホイールの奥にはディスクブレーキまで設定されているのがわかる。
 この時点で車フェチには鼻血モノなのだが、その前にこのタイヤ…ぶっとくてしっかりしていて何万キロ走ってもビクともしなさそうな(笑)頼り甲斐のある足回りを愛でておきたい。
 相変わらずドレッドパターンにまで細心の注意が払われているようで、見ているだけでうっとりする。
 リアタイアだけでなく、フロントタイヤも情け容赦なくぶっといというのは、凄まじくえっちぃぽい。
 これが、左右連動して可動してくれるのだから益々たまらない。
 …ここ、ちょっと覚えといてね
エンジンルーム内。前方に覗いているグレーのパーツは、ロボットのかかと部分。…そう、なぜかこんなところに踵があるんですばい。
運転席。画像調整していますが、まだわかりにくいかな…? ステアリングが左方向に曲げられているのがわかると嬉しい…
あんなところに目立つサイバトロンマーク。ああっ、よく見るとナンバープレートにまで♪

 ちょっと変わった開き方をする大型ボンネットの下には銀メッキのエンジンが搭載されている。
 スモークスクリーン同様、ロボット時には銃になる構造のため、エンジン周りはさすがにスカスカなのだが、とにかく嬉しいではないか。
 ドアもきちんと左右展開し、ちょっと大きめな造型のドアミラーもしっかり作られている。
 ドアを開ける際、気をつけていないとフロントフェンダー部分に接触して塗装を剥がしてしまいかねない問題があるので、ここは注意したい。
 室内は、シート・コンパネ・ステアリングギアだけでなく、両シート間にあるスピーカーまで再現されている。
 よくよく見ると、フロントウインドウ上部にはサンバイザーまで付いている。
 トドメは、なんと回転するステアリング!
 ここまでやられてしまったら、もはやグゥの音も出ない。
 このバイナルテックシリーズは、どうも実車メーカーの監修を受けているとの話なのだが、なるほど納得である。
 こういうさりげない部分にこだわってもらってこそ、ダイキャストミニカーのミリキが引き立つというものなのだ。


 ……が。
 ここまでやってもらって大変嬉しいものの、ビークル形態にはたった一つだけ強烈な不満があったりする。
 それは、シート後部・オープンカーのソフトルーフカバー部分に燦然と輝く「サイバトロンマーク」
 こりゃないでしょ。
 スモークスクリーンはビークル形態時はどこにもマークがなくて、変形すると表面に出てくるという事でものすごい感動を与えられたのだが、今回のこれはあまりにも大胆すぎるでしょ。
 変形前にはTFの意匠をまったく表面化させないというのがコンセプトだと思いこんでいたもので、これは大変痛い。
 すべてが台無しになってしまうほどではないものの、「これさえなければ」という気持ちは拭えない。
 しかもご丁寧に、シールなどではなくペイントなのだ(タンポ印刷の一種?!)。
 シールだったら丁寧に剥がしてしまう事も可能なのだが、これだとさすがに削り取るしかない。
 まったく困った物である。



 さて、このままの調子で進むと「ダイキャストミニカーレビュー」に終わってしまいそうなので、断腸の思いで(笑)ロボット形態の方を見てみよう。

 まず変形プロセスだが、ロボット時のそれぞれのボディパーツを構成する部位が、スモークスクリーンのそれとまったく異なっている所に注目したい。
 フロントノーズ部分が胸部、リア部分全体が脚部を構成していたスモークスクリーンに対して、ランボルは…

フロントノーズが両足に変形
リア部分の内側に頭部・腕部・肩部が収納されている

 という感じになっている。
 まるっきり反対向きなわけだ。

 まず、リアフェンダーからトランク部分全体を構成するカバーパーツのロック(両ドアのすぐ後ろ)を外し、次にフロントフェンダーとドア下部を繋ぐジョイントを左右共に外す。
 これがすべての変形の基点。
変形開始。物体Xのように、ぐわばっとイキましょう☆
 バンパーを開けてエンジンを取り外し、フロント部分全体を思い切り良く「縦に真っ二つ」に分ける。
 すると、エンジンルーム奥に太腿部分が折り畳み収納されているのがわかるので、これを引っ張って伸ばす。
 つまりこの時点では、「ものすごく極端なガニマタ状態」になっている事になる。

 次に、フロントグリル部分をぐるりと手前に回転させ、その奥に収納されている足首を出す。
 フロントグリル自体は踵の後ろ側に回る事になり、この段階ではしばらく邪魔だが我慢の子。
 さらに、足首が収納されていた部分に伸びている「マグネットの付いた棒状パーツ」を折り畳み、それから二つに分かれたフロントシャーシ全体を、内側に折り込む。
 さらに、足首の位置を微調整。
 これで、足および下半身全体が完成する。

黄色い丸部分が、前輪シャフト。同じ物が反対側にもあります。丸い銀色部分はマグネット。
 さて、この行程で折り畳んだ「マグネットの付いた棒状パーツ」だが、これはいったいなんだったのだろう?

 このページの最初の方の解説を思い出していただきたいが、この商品はフロント部分が左右に分かれる構造なのにも関わらず、前輪が左右連動する構造になっているのである。
 そう! このパーツは、フロントシャフトの役目を持っているものなのだ。

 こんなものを仕込んでまで車輪連動を再現する根性…恐るべし。
 足回りフェチの人なら、ここでも200ccくらいの鼻血を流しておきたい。

変形過程後部。下半身はほぼ完成しており、上半身構成中。後で触れるけど、上に上がっている部分は丸ごと余剰パーツに…
腕部分は、複雑な折りたたみ方で収納されているので伸ばさないと。でも、スムーズに動かせます。
上半身完成直前。この写真で、運転席全体がどういう処理をされているかわかります? …わかんねーだろうなあ、現物ないと。それくらい意外だもの。
 リアフェンダー・トランク部分・テール付近・リアバンパー部はすべて一体式のパーツになっていて、内部に収納されているロボパーツをカバーしているような構造になっている。
 このカバー全体を外し、後方に避けておく。
 そして、その下で随分複雑な折り畳み方をされている腕を引出し、伸ばしておく。
 さらに、タイヤ接合部にある「ドアパーツ全体の基部」を回転させて、両腕の横にドアが並ぶように位置調整。
 この段階で、必然的に肩なども構成されていく。
 頭はこの時点でちょっとだけ折り曲げておくが、まだ固定位置には到らない。

 さて、最大の疑問点だった「居住スペース」の処理はここから始まる。
 まず最初に、フロントウインドウ全体を(ビークル形態時にとっての)真上に引っ張る。
 するとずるりと引き上がるので、さらにこれをシート側に倒しておく。
 すると、最初に構成した下半身部分のロックが外れる状態になるので、ここで下半身全体を180度回転させる。
 これで、つま先がフロントウインドウ側に向く筈だ。
 引き上げたウインドウを戻し、今度は下へ押しこむ。
 すると、本来の位置よりも下にぐぐっとめり込んでいくのがわかる。
 ここで、ステアリングを真下に向けておく必要があるが、こんな所までしっかり動くのかと驚き、軽く50ccほど垂れ流す。

 続けて、居住スペース後部全体を、丸ごと前方向に押し倒す
 すると、シートが折れ曲がり居住スペース自体が綺麗に押し潰されるようになる。
 フロントウインドウのサンバイザー部分に開いている穴に、サイバトロンマークのあるルーフカバー裏の凸部分を差しこむと、ようやく腹部から胸部にかけてのラインが完成する。
 最後に頭部を折り、胸部全体の変形機構にロックをかけると、完成。
 本当は、リアカバーやバンパーの位置調整をしなきゃならないんだけど、まあだいたいのプロセスはこんなもの。
 複雑なギミックの果てに登場する、妙に牧歌的な顔立ちのランボルのフェイスは、日々の生活で荒んだ心を癒して…はくれないなあ。

 この変形プロセスで驚く事は、

前輪シャフトの構成
居住スペースを「押し潰す」という意外な行程
予想もしないパーツ移動を繰り返す

 こんな所だろうか。
 個人的には、フロントウインドウの処理に大変驚かされた。

 このランボル、変形行程から「足の関節ほとんど動かないんじゃないか」と思われがちだが、一応足の付け根は前方可動OKで、膝もちゃんと曲がる(中にはこれに気付かず、膝は無可動と思っている人もいるらしい)。
 また足首はボールジョイントになっているため、意外に設置性を稼ぎやすい。
 ただし、大きく動かそうとすると他のパーツが干渉しあってしまうため、結果的に可動範囲はかなり制約されてしまう。
 お世辞にも、色々な表情付けが楽しめるという事にはならない。
 これが、ロボット形態時の第一の問題点だろう。


 腕の付け根部分と手首にしか回転構造がないため、下腕全体を回転させる事が出来ないのは辛いが、これはスモークスクリーンも同様だし、ヘタにフレキシブルにしすぎて再変形時に支障を来すのも考え物だから、これはこれで正解なのかもしれない(個人的には残念だが)。
 ただし、首と上半身、肩から腕にかけてのラインはスモークスクリーン以上に良いバランスを保っているので、「変な所から腕が生えている」ように見える事はない。

 いや、そりゃ確かに“ヘンな所から生えている”事には変わりないんだけどさ(笑)。


 この辺で、ロボット形態時の大きな問題点に移ってみよう。

 ランボルは、その変形の都合上、スモークスクリーンとは比較にならないほどの「余剰パーツ」が発生する。
余剰パーツの寄せ集めとなってしまっている後ろ姿…
 リアカバー全体や、臀部から垂れ下がるボンネット部分などがそれだ。
 ボンネットが外れてシールドになる…などのギミックでもあればとか思う事もあるが、そういうキャラでもないし、ましてやそれではボンネット裏にモールドされたヴァイパー(ガラガラ蛇)のモールドが殺されてしまう。
 ただいずれにしても、ボディのほぼ後ろ全体を構成しているリアカバーが丸ごと余っているのはいただけない。
 背中からマジックアームで吊り下げているだけでもみっともないのに加え、さらに開口部(内部空間に通じる部分)が真上を向いているというのも困った物。
 これがせめて下向きになっているだけでも、ずいぶんと印象が変わったはずなんだが。
 さすがに、ダッヂヴァイパーのリア部分をロボットのパーツに活かすのには限界があったのか…

 頭部全体の作りが妙に浮いているのも、問題といえば問題だ。
 ランボルに限らず、スモークスクリーンも「頭部の出来は本体の精巧さと反比例している」ように思える。
 首の軸を作ってくれとはいわないが、せめてもう少しディテールを増やすとか、モールドを加えるかして「メカ的なりりしさ」を追求して欲しかった。
 特にランボルは純朴な田舎の好青年ってな感じの素朴な顔付き…悪く言えば「没個性」なので、益々そう感じてしまう。
 ここは、是非とも次回以降の課題としていただきたい所なんだけど…ゼータクなのかなあ。
  

●総評:

 ランボルは、スモークスクリーンと違って「胴体のスカスカ感」がほとんどなく、また四肢の配置も自然のため、ポージングラインがかなり良い感じにまとまる。
 あれだけしっかり車になっておきながら、ロボット形態もこれだけしっかりしているというのも大したものだ。
 やはり、色々な部分でスモークスクリーンの問題点をクリアしている事がわかる。
 とは言いつつも、元車の形状の制約のためか、可動範囲が制約をうけてしまったりしているのは無念だが…。


 さて、前回スモークスクリーンで散々叩いていた「変形難易度」についてだが、ランボルはこの辺限りなくオールグリーンで、問題らしい問題が見当たらない。
 もちろん難しい事には変わりないが、少なくとも「まともに車形態に戻れない」などという事はない。
 ロボット形態から変形させる場合、腕の折り畳み方や下半身の向き調整が充分でないと、最終的にロックがかかりにくくなってしまう事がありうるが、これはすぐに微調整できる範囲なので、何十分も悩まされる事はないだろう。
 そういう意味からも、筆者はこちらの方が完成度が高いと確信している。
 根本的なデザイン・造型の良し悪しを語ると、また違う話になっちゃうんだけど…

でもまあ、やっぱ良いアイテムですよこれは! …って、よく考えたらほとんどロボット形態の写真ないし(笑)。
 パッと見は没個性かもしれない「ランボル」だが、やはりバイナルテックとしての貫禄は充分に持っているように思える。
 スルーしようと思われている方も、もしゆとりがあるようならば、騙されたと思って手を出してみるのも一興ではないか? …と、真剣に思う次第。
 少なくとも、筆者はスモークスクリーンよりもこちらに軍配を上げたい
 当然、個人的な思い入れも含まれての事だけどね。


●追記:

 トランスフォーマー・バイナルテックシリーズのラインナップは、なかなか興味深い。
 まず、第三弾である「ハウンド」が三月に発売され、同時期に「ストリーク」が発売された。
 ハウンドは「ジープ・ラングラー」が変形し、なんとサスペンションギミックまで搭載されている。
 ここでまた100ccほど出血覚悟。

 ただしストリークは、ボディカラーが銀色になり、リアスポイラー部分が変更されたインプレッサで、スモークスクリーンのリデコ。
 一応ステアリングの位置が反対になっていたり、内装色やライトの数が変更されているみたいだが。

 その後、さらに「トラックス」と「デッドエンド」と続く予定らしい。
 デッドエンドは、ブラックボディにホワイトライン、紅い目が特徴的な……だ、ダッヂヴァイパー?!
 あらっ、これもリデコでしたか。
 しかし、今度のは「とにかく色が渋い」「屋根がある!」「リアスポイラーがある」「全然違う車に見える」という注目ポイントが沢山あり、ただのリデコではない様子。
 この危険な魅力に、そろそろ失血死直前だったり(笑)。


 とにかく、バイナルテックシリーズの今後の展開がとても楽しみだ。
 知人は、「ここでデストロン側の戦闘機モチーフのものも是非出して欲しい」と言っていたが、このグレードを見ればそう言いたくなる気持ちもよくわかる。
 とはいえ、よくわからないけれど戦闘機のメーカーの監修を受けつつ変形モデルなんて作れるのかな〜?
 いや、あった方がいいなと筆者も思うんだけど。

 はてさて…次回、ハウンド…レビューできるといいな☆
 とりあえず乞うご期待という事で!
 


 → NEXT COLUM
→「気分屋な記聞」トップページへ