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更新日:2004年4月8日 | |||||||||||||||||||||||||||||
すでに本家よりも回数が増えてしまった「玩具ありMINI」だけど…どこまで行くのでしょう?!
今回はちょっと趣向を変えて、これまであまり筆者が話題に出さなかった「トランスフォーマーシリーズ」の玩具に触れてみたい。 2003年に発売されたこの「バイナルテックシリーズ」は、いわば「タカラ版超合金魂」とも言えるようなこだわりの逸品で、筆者はそのコンセプトと完成品写真に完全に魅了されてしまい、相当時期をずらしてしまったもののなんとかこれを入手。 飾られている姿を見て、毎日ハアハアしている次第だったりする。 …つか、このシリーズ、車フェチにはたまりません。 精神衛生上大変よろしくないほどに、美し過ぎ。 トランスフォーマーに詳しくない人でも、充分過ぎるほど手に取る価値がある…ような気がする。 という訳で、以下は(他所でよくある)トランスフォーマーファンとしての見解ではなく、「カーマニア」「メカフェチ」の視点でじっくり観察してみたいと思う。 ハアハア。
「バイナルテック」とは、これまでのトランスフォーマーとはかなり異なる造型と設計コンセプト、ギミックを持ち合わせたシリーズで、この原稿を書いている2004年1月現在、今回ご紹介する「スモークスクリーン」と「ランボル」のニ種が発売されている。 (編注:その後「ストリーク」「ハウンド」「トラックス」「デッドエンド」などの発売が決定しています) これまでのTF系玩具は、基本的に硬質プラスチック製で独特のギミックを内包し、乗り物形態の時はそこそこのスタイルを持っているものの、ロボット形態になると著しくプロポーションが崩れるという特徴を持っており、愛好者は「映像作品のスタイルと玩具は別物」と割り切って楽しんできた。 とはいえ、それは当然だろう。 元々ロボット形態に変形するつもりで設計された訳ではないメカを、無理矢理ロボットにしているのだから。 ビークル形態の出来が良ければ、益々ロボットの方にしわ寄せが行ってしまうのは仕方のない事。 バンダイのオリジナルメカ系玩具でも頻繁に起こる事だから、ここに難癖をつけるのは大人げない事だろうと筆者は思う。 ただし、その部分が鼻についてどうしても手を出す気にならないという人が多いというのも、また事実なのだ。 つまり、今までの玩具ではオミットされる事が暗黙の了解になっていた部分にあえて触れ込み、究極の完成度を追及したのだ。 勇者シリーズからの引用で恐縮だが、たとえばエクスカイザーやダ・ガーン、デッカードなどの「乗用車からロボットへ変形」するタイプのロボの玩具の場合、車のフロント部分が足になったり、ドアとくっついた腕が生えてきたり、トランク部分が折れ曲がってその下から小さな首がちょこんと出てきたりした。 となると当然、運転席やエンジンルームには上腕やら肩やら太腿が詰まっている事になり、本来の自動車としてあるべき姿の再現などまったくと言っていいほどされなかった。 ダイアクロンからの継承でスタートした初期のトランスフォーマーは、中にフィギュアを搭乗させる事ができるという優れもので、全体的にかなり作りこまれていたのだが、後のシリーズまでそれは継承されなかった。 ところがこのバイナルテックは、きちんとコンパネやバケットシート、ステアリングやギアスティック、サイドブレーキまで作られている上、なんとシートまで倒せてしまう(バケットなんだけどね)。 さらに四つのドアはすべて開閉可能の上、トランクやボンネットも開けてしまい、あまつさえその中にはエンジンが鎮座ましましている。 その上でロボットに変形し、しかもそこそこ大きな可動率を誇るため、ポーズも色々と取れてしまう。 さすがにロボット形態のスタイルには多少の無理があるものの、今までのコンセプトからすれば充分に説得力のあるロボットの姿であり、またこれまでのトランスフォーマーの雰囲気も崩していない。 イメージイラストの方も、玩具の形状とそんなに大きな違いのないものが描かれているため、デフォルトでこういうスタイルなのだと割り切る事も出来る。 「トランスフォーマーG2」辺りから目立ち始めた「スタイルの割にやたらとよく動く関節」というコンセプトは、きっちり昇華して反映されているようだ。 さて、「スモークスクリーン」を見てみよう。 元車はスバルのインプレッサWRC2003。 現実に存在する元車を忠実に再現しており、ドライバーによって異なるナンバー「7(ペター・ソルベルグ)」「8(トミ・マキネン)」それぞれのバージョンの商品が存在している(このページの画像はすべて「7」バージョン)。 これだけだと、普通のダイキャストミニカーにしか見えない。 知らない人が見たら、これが変形してロボットになるなどとは絶対想像できないだろう。 まず、フェイスを見てみよう。 インプレッサの特徴的な丸顔をしっかり再現していて、なかなか愛くるしい顔をしている。 先の通り、ボンネットは開閉可能で、中に覗くエンジンは変形時には取り外し、専用の銃になる。 このパーツをエンジンルーム内に固定するのにはちょっとコツがいるが、しっかり収納してくれる。 フロントフェンダー部分に、わずかな穴が空いていて内部のシャフトが覗いているが、決して全体のイメージを損ねるようなものではない。 変形時には肩の裏側に回りこみ、やや自己主張が弱くなるフロントタイヤも、なかなかかっこいい太さのバランスを保っている。 もちろん、これは両輪連動で左右に動かす事が出来る。 ちょっとだけフェンダーからはみ出しているが、それがまたいい! 人間に例えるなら、コンパクトすぎる服から溢れんばかりのナイスバディといった風情だ(笑)。 マッハロッドAタイプにも通じる色気である。 さらに、タイヤの溝…ドレッドパターンまでしっかり再現されている上に、ブランドロゴまで刻まれている。 タイヤフェチに失禁しろとでもいわんがばかりのサービスぶりである。 筆者は鼻血が出そうである。 まったく困ったものである。ぷんぷん。 サイドからリアにかけてのラインは、実にお見事としか言い様がない。 変形行程でこれが中央から真っ二つに折れてしまうのだが、変形前はとてもそんな事は想像できない。 リアフェンダーからテールランプ、リアスポイラーからトランクを経由してバンパーへと流れるスタイルなどは、ため息が出るほどに美しい。 リアバンパーは下方向にスライドしてつま先に変形する都合上、その内側に折り畳まれたシャフトを収納しているし、リアタイヤの奥には踵が収納されている。 リアウインドウはグリーブ(すね保護の防具)状のパーツになるし、足の本体(太腿からすねにかけて)も意外と長いのだが、それもしっかり折り畳まれてスペースに収められている。 パッと見た印象よりはかなり長い足が拝める事になるのだが、この時点ではまったく見当がつかない。 さすがである。 ついでに、ここでもタイヤで鼻血を吹いておこう。 後輪の太さが、ホイールインチの割合が…ああああ、もう辛抱たまりません。 筆者はここでもハアハアしちゃいます。 運転席・助手席にはバケットシートが設置され、ステアリングは左、コンパネもしっかり再現されている。 さすがに後部座席部分にはロボットの足が覗いているが、これも座席の形状に近付けるような折れ方で収容されているため、大きな違和感は感じられない。 …けど、この元車ってそもそも後部座席なんかなかったっけ?! よくわからんけど、取っぱらっちゃってるでしょ、どーせ。 ドアも単なる一枚の合金板ではなく、ちゃんと内側部分も別パーツで作られている。 さらに後部ドアには、ウインドウもあしらわれている。 ドアのペイントも当然分割されるわけだが、ドアを閉じるとちゃんとマークが綺麗に繋がるのは嬉しい。 こういうので、ドア部分だけペイントがズレているのって悲しいからね。 で、ここまで来るとひっくり返してみたくなるのが人情(笑)。 シャーシ部分は、さすがにロボットの情報が詰まっている。 フロントノーズ下に折り込まれた腕と脚…しかし、ボディ中央部にはそういう露骨な部分はさほどなく、せいぜいサイドステップ(?)部分の裏側にメカニックなモールドが刻まれている程度だ。 ここまで眺めてみてロボットの頭とおぼしきものも見あたらなければ、サイバトロンマークすらどこにも見つからない。 さらに、よく考えてみると室内は屋根・ウインドウ・シャーシによってしっかり封じられた立方空間を形成しているのがわかる。 こんなまとまりきった状態から、一体どうやってロボットへと変形するのか? 次に、脅威の変形システムを見てみよう。 先に説明してしまうと、スモークスクリーン本体は前面部(フロントノーズからフロントウインドウ手前まで)と中央部(フロントウインドウからリアウインドウ手前まで)、そして後部(リアウインドウ以降)の三部門に分かれて変形を行い、すべて変形完了すると、ロボット形態にまとまるようになっている。 まず、運転席と助手席のドアを開け、天井と床のロックを外し、車体全体を前後に真っ二つにへし折る! そのまま後部を引っ張り、後部座席位置に収納されていた脚を伸ばしつつ、後部ドアからリアフェンダー、リアバンパーまでの後部全体を「足」に変形させてしまう。 運転席と助手席のすぐ後ろ辺りに、ロボットの腰関節が隠されている。 つまり、そこから後ろはすべて下半身になるのだ。 フロントシャーシから収納されている腕を取りだし、フェンダー真横に伸ばす。 そして向きを調整しておく。 腕が外側に出て、前輪が肩の裏側に回りこむように調整する。 フロントサスペンションパーツがやたらとそこらに干渉しまくるが、ここは間違って折らないように注意したい。 ここで、左右の前輪がマグネットサス接続によって連動している構造が把握できる。 中の腕がなくなったフロントノーズは、すべてロボット時の胸になる。 腕のあった所の奥から、ようやくスモークスクリーンの頭が覗いている事がわかる。 次に、シートを前に倒してコクピットを中央から下方向へ折る! すると、サイドステップ部分が外側に折れ曲がる構造になっている事に気付く。 シャーシ裏側で左右合体するシートの底部分とサイドステップ。 これが、ロボット時の腹になる。 わき腹に座席をぶら下げる形になるわけで、もし人間が乗ったままだったらどうなってしまうのか大変興味深い(笑)。 腹が完成したら、フロントウインドウからトップにかけてのパーツを後方に折り、あらかじめ調整しておいた首部分がボンネットを突き抜ける(ボンネット中央部分が個別で展開するようになっているのはこれのため)。 ノーズ部分と腹部分が合体し、首がきちんと外に露出すればOK。 下半身も、きちんと変形を済ませて向きを180度くるりと回転させれば、完成。 肩の後ろから開いているドアの向きを調整し、エンジンを変形させた銃を持たせれば、変形は完了! なんと首はこんな形状なのにも関わらずボールジョイント内蔵で、ぐりんぐりん動くぞ! 首の軸がないのは残念だけど、ゼータク言っちゃいけない! 足の関節がやや固過ぎるためちょっとならさないとポーズ付けは難しいが、かなりの可動範囲を持っている。 個人的には屋根はシールドか何かにして欲しかった所だが、このキャラクターって、そういう装備するようなものなの?(笑) ●問題点: さて、大変完成度の高いこのバイナルテック・スモークスクリーンだが、実は結構大きな問題点を抱えている。 しかも、プレイバリューにかなりの支障を来すものでもあるため、無視はできない。 この商品、デフォルトのビークル形態からの変形は説明書通りにやれば問題なくクリアしていけるものの、そこから元に戻そうとすると、凄まじい手間がかかってしまうという難点がある。 筆者の感覚では、車→ロボットの変形にかかる時間の数倍はゆうにかかる。 説明書にはただ「逆の手順で戻してください」としか書かれていないのだが、それがわかっていても相当な労力を強いられる。 ある程度コツを掴んだ人ならさほど苦にはならないと思うが、少なくとも最初は誰もが難儀な思いをする事だろう。 なぜか? 実は、スモークスクリーンはそれぞれのパーツが特定の状態で収納されていないと、他のパーツのかみ合いに影響が及んでしまうためだ。 つまりそれは、多少の遊びすら許してもらえないという事に通じる。
また、脚の折り曲げが不充分の状態で後部を組んでしまうと、いつまでたっても前部と後部を接続させる事が出来ず、屋根は固定できないわシャーシに隙間ができるわドアは閉じないわと、大変な事に発展する。 特に問題が集中するのが下半身・脚の付け根部分から膝にかけてで、ここの折り曲げ角度が本体後部の合体をスムーズに行えるかどうかを決定する重要ポイントになる。 逆にいえば、ここが異常に固過ぎるため、スムーズな合体を阻害しているとも言える。 スモークスクリーンの場合、ボディ表面の塗装が他のパーツの干渉によって擦れたり剥がれたりするのはなんとしても避けたい所だ。 だが、ちょっとしたパーツの収納ミスでドアや屋根が色々な所にぶつけてしまいやすく、とても心臓に悪い。 そういった見方からも、スムーズな変形が出来ないというのは致命的な問題であると言ってもいいだろう。 否、もはや玩具としては失格レベルと言い切って良い。 これは、変形が難しいなどという単純なものではない。 明らかな設計ミスか、あるいは試作段階のものと実商品との落差を確認し損ねていた結果だろう。 一応その理由の裏付けとして、同シリーズの「ランボル」を挙げておこう。 ランボルは、スモークスクリーンと変形コンセプトが異なりフロント部分が下半身、リア部分が上半身になるというものだが、多少クセはあるもののどちら方向での変形も比較的スムーズに行う事が可能で、また変形過程のパーツ同士の干渉も少なく、大変よくまとまっている。 ドアを開く時、フロントフェンダーパーツにやや接触してしまいそうになるのが際どいが、スモークスクリーンの下半身パーツ問題に比べれば可愛いものだ。 同シリーズ内で変形難易度をきちんとクリアしている物がしっかり出ている以上、スモークスクリーンの変形困難という問題指摘は決して的外れではない筈だ。 (もっとも、スモークスクリーンの問題を改善して結果ランボルのように落ち着いたという見方もできなくはないが) もう少しゆとりを持って変形が行えれば、もっと気軽に変形プロセスを楽しめるのだが、それが出来ないとなってはやはり玩具としてはどうかと思われ、そしてそれは高年齢向けアイテムだからという言い訳は通用しない。 筆者はこれまでも相当数の玩具の変形・合体を行いそのほとんどを記憶しているが、これほどてこずった事は過去に覚えがない。 超合金魂ダンクーガでも相当な組み立て時間を要したが、それでも一度組めばプロセスはすぐに暗記でき、その後はスムーズに組み立てる事が出来たものだ。 そういった問題があったため、筆者はこの記事用の撮影を行うまで、ずっとビークル形態で飾っていた。 さらに、スムーズに行える変形部分にも難点がある。 シャーシとフロント部分の結合の際は、なんとパーツの弾性に頼った組み込みをしなくてはならない。 つまり、パーツを一時的に歪めて、それを元に戻す事ではめ込むという奴だ。 はっきり言って「なんだそりゃ」状態である。 ここだけ、突然チープトイの感覚を求められるようですらある。 これは、残念ながら次のランボルにも部分的に継承されてしまっていた。 このバイナルテックシリーズ、実はパーツ同士の結合の際に明確なラチェット感を得られる部分がほとんどない。 超合金魂でも言える事なのだが、ある程度以上パーツ構成が複雑化してしまうと、これはどうしてもオミットされてしまうものなのだろうか… ●総評: 特にトランスフォーマーや変形ロボット玩具に興味のない人にも、「一種のシャレ的アイテム」として奨める事ができるかもしれない。 そのリアルな造型から、ミニチュアの話題のタネにする事も出来そうだし、そういう意味では大変な存在価値があるように思える。 不満点は大きいが、筆者は買って良かったと思っている。 総合的には、ランボルの方が高ポイントだと思うけど。 さて、今回は「車のノーズが胸/リア部分が脚」という変形パターンを行い、ランボルでは「ノーズ部分が脚/リア部分が上半身」というパターンを成功させた。 どうやら写真を見る限りでは、ジープ(一応、車種ではなくタイプの意ね)から変形するハウンドはスモークスクリーンと同じようなタイプの変形のようだ。 これの前に国内発売されるストリークの方は、筆者が形状を知らないため例に出せないんだけど。 ここは是非、新作として「ノーズ先端部がひざになる勇者主役ロボタイプ」にも挑戦してほしい気がする。 その場合、フロントウインドウ縦に真っ二つだけどさ。 あ〜、こうなってくるとハウンドもトラックスも全部欲しいなあ。 ストリークは…いまだ迷ってます(笑)。 → NEXT COLUM |
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