タイムスリップグリコCD第2弾って 後藤夕貴
更新日:2004年4月15日
「春咲小紅」…実は筆者は原盤を持っているのですが、相変わらず完璧な再現に頭が下がります。植木等の奴なんか、赤い半透明盤を再現しちゃってるし…
 2004年3月23日、関東方面で「タイムスリップグリコCD〜青春のメロディ 第2弾〜」が発売されました。

 品物自体は、これより3週間ほど以前から北海道・東北方面で先行販売されていたといいますが、こちらは「ようやく来た」といった感じでした。
 もちろん、これを書いている4月初旬現在、まだ西日本方面では発売されていないようです。
 一部マニアショップでは、先行で仕入れて発売している所もあったようですが…前回のブームから約8ヶ月後の新シリーズ…早過ぎだよぉっ(笑)。

 「タイムスリップグリコCD〜青春のメロディ〜」のコンセプトについては、昨年10月に筆者が書いたこちらを参照していただくとして、今回は色々脱線話などもしてみようかな、と。


 という訳で、今回のラインナップは以下の全25種類。


今回は、お陰様で全種類集める事が叶いました。ご協力いただいた皆様には、心から感謝しております。
だけど、実はいまだに第1弾の「危い土曜日」を入手していない筆者でありました(涙)
しかし、今回はなんだか全然盛り上がらなかったような気がします…なんででしょ?
ちなみに「時かけ」シークレットは、こすってもラベンダーの香りはしません(笑)。…このネタわかった人は「通」!!!
最難関とも“意外と簡単”とも言われる、シークレットの「およげ! たいやきくん」
・想い出のスクリーン/八神純子

・精霊流し/グレープ

・勝手にしやがれ/沢田研二

・マイ・ピュア・レディ/尾崎亜美

・タイムマシンにお願い/
サディスティック・ミカバンド

・スローモーション/中森明菜

・ギザギザハートの子守唄/チェッカーズ

・お嫁においで/加山雄三

・たそがれマイラブ/大橋純子

・季節の中で/松山千春

・太陽にほえろ!/井上尭行バンド

・ハイそれまでョ/植木等

・冬の稲妻/アリス

・港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ/
ダウンタウンブギウギバンド

・見上げてごらん夜の星を/坂本九

・春咲小紅/矢野顕子

・経験/辺見マリ

・モニカ/吉川晃司

・フィーリング/ハイ・ファイ・セット

・時をかける少女(ノーマル版)/原田知世



▼シークレット

・イメージの詩/吉田拓郎

・時の過ぎゆくままに/沢田研二

・卒業写真/ハイ・ファイ・セット

・時をかける少女(初期ジャケット版)/原田知世

・およげ! たいやきくん/子門正人



 今回は、ちとクセの強いものが集まっています。

 前回のコラムで希望していた「春咲小紅」が、ホントにラインナップされてしまってものすごく驚きましたが、何より嬉しい事です。
 あと、第3弾で河合奈保子を押さえていただければ(以下略)

 今回は「坂本九」や「加山雄三」から、比較的あたらしめの「チェッカーズ」まで様々で、その中間の時代のものも渋くまとめてはいます。
 とはいえ、ただでさえコンプ困難なのに全25種とラインナップを強化され、シークレットも5枚に増え、その上で「1カートン1枚だけ」というタイトルが妙に多いのは困りもの。

 筆者は、当初の予定ではそこそこ買ってとっとと切り上げるつもりでしたが、最終的に1万円ほど費やしてしまいました…って、実はそれでもかなり安くついた方らしいですけど。
 途中でまともに集める事を放棄し、他人様から譲ってもらうという方式に切り替えてしまいました。
 ええ、これはもう逃げですよ(笑)。
 でもね、前回結局フルコンプできませんでしたから、遺恨残すよりはよっぽどいいかと。

 シュウ様、その節は多大なるご協力をいただきまして、本当にありがとうございました!


 さて、今回は一部の情報によりますと「やっぱり1カートン(60枚)で1セットしか揃わない」状況だったようです。
 前回もそうだったのかもしれませんが、今回は先の通り「1/60の確率」の品が多数あり、そのために結構混乱が生じている様子です。
 
・フィーリング/ハイ・ファイ・セット

・時をかける少女(ノーマル版)/原田知世

・卒業写真/ハイファイセット

・時をかける少女(初期ジャケット版)/原田知世

・およげたいやきくん/子門正人


 これらがその「1/60」のようでして…
 ノーマルの中に2つも混じってやがります。

 なお、さらに別の情報によると「たいやきくん」「時かけ」以外の物は、1カートン中複数混じっている場合もあるようです(それでもせいぜい2枚)。
 また、ボックス(5枚ごとにまとめられた小箱状態)内ではダブりは絶対にないので、ボックス単位で購入していけば、犠牲は最小限で済む可能性も高くなるそうです。
 筆者は、最初に1ボックス購入したのですが、その際いきなり「イメージの詩」「時をかける少女(初期ジャケット版)」「卒業写真」が出てきてかなり好感触だったのですが…思い切り“罠”でした。
 その後は、引けども引けども「想い出のスクリーン」と「精霊流し」しか出ない始末…かえって前回より巡り会わせが悪かったように思えます。
 中身の直接購入に踏み切ったのも、7回連続で上の2つしか出なかったからなんですが…まあ、最後8回目で「時かけ(ノーマル)」出たから、まだ良かった方なのかもしれませんけど。

 すごいのは、「およげ! たいやきくん」。
 関東方面発売前、ヤフオクでは1枚に4,000円を越える価格が付いた事もあり、3,500円台というのもザラでした。
 筆者は2,000円で落札しましたが(ぉぃ)、とにかくものすごい扱いです。
 第2弾のフルセットの相場は、現状だいたい13,000〜15,000円くらいのようで。
 手に入れたのはいいけれど、怖くて開封できませんよ、もう(笑)。

 聞いた話によると、真っ当に全部集めようとした場合、推定2万円くらいかかるとかなんとか…
 種類が多いんだから、せめて混入率をもうちょっとなんとかして欲しいところだけど…これだから売れるんだろうなあ〜。

 と、思っていたら、なんだか今回は「買い方」というのがあるらしいです。
 先の通り、1ボックス内ではダブりがないのでこの単位で購入する事と、あるボックスの中で特定タイトルが出ると、同じ箱の中にシクレが高確率で混入しているとか…。
 中には「たいやきくん」を抜く方法というのもあったそうですが、これらについては詳しくはわかりませんでした(笑)。
 色々と工夫があるようで、どうやらそういう意味でも「前回よりは楽」だったそうです。
 …ショックデカイなあ、全部揃ってから知ったよ…(泣)
 道理で、今回は盛り上がりに欠けると思った。

 とはいえ、バラバラの時代の人気曲をセレクトしているせいか、相変わらず高い注目度を誇ってはいるようです。
 今となっては“懐かしい人(まだ活動中ですけど)”となってしまった八神純子や、さりげにYMOと絡んでいた時代の矢野顕子宇崎竜童谷村新司や、JAL123便事故で亡くなられた坂本九などもあって、見ているだけで壮観。
 沢田研二中森明菜辺りを押さえてくれるのも、ありがたいですね。
 個人的には、原田知世がすごく嬉しいんですよね!
 あの歌好きだったし♪ …そりゃ、まぁ、映画も原作も内容はボロボロだったけどさ(笑)

 ちなみにダブりまくった「想い出のスクリーン」も、八神純子の伸びの良い美声が思い切り堪能できる名盤なので、あまり損をした気持ちにならないのが不思議不思議。
 でも、欲を言えば「パープルタウン」「みずいろの雨」「Mr.ブルー」辺りが欲しかったかなーって(笑)。


 さて、このまま終わってしまうと単なる購入自慢なので、今回はもう少しだけ引っ張ります。


 この「タイムスリップグリコCD第2弾」が発売される前辺りから、似たような企画の商品をやたらと見かけるようになりました。
こちら、「お菓子CD」第1弾の一部。メグはおいらの宝物さっ☆
 前回ご紹介した「J'sポップスの巨人達」も第2弾が出ましたし(ラインナップはかなりビミョーでしたが)、他にも「お菓子CD(アニソン)」「同・PART-2」「同・ドラえもんシリーズ(セブンイレブンのドラえもんキャンペーン関連商品)」「8盤レコード(ポンキッキやおニャン子クラブ、まんがソノシート等)」「昭和おもひで歌謡」「懐かしのアニメソングコレクション」「ゲームサウンドミュージアム 〜ファミコン編」「ピンクレディー ヒットナンバーコレクション」「懐かしのオールナイトニッポンキャンディー」「メモリータイム(アメリカンポップス)」「ロッテ歌のアルバムガーナミルク」など、この短い期間の間に出るわ出るわ…。
 しかも、他にも「ミニDVD」で出る懐アニメ系の商品(もちろん映像もあり)まで…
 すごい世の中になってしまったものです。
 「8盤レコード」なんか、その名の如くレコードですからね!
 専用のちゃちいプレイヤーまで買わないとなりません。
 よくこんな企画通したなあと、感心すらしてしまいます(後述)。


 ですが、正直この中でいくつのタイトルが「タイムスリップグリコ」のようにメジャーになれたでしょうか?

 上記のものにはまだ発売されていないものや、発売後まもないものも含まれているのですが、いずれも雨の後のナントカのようにしか思えず、強い魅力を感じないのが正直な所です。
 比較的アニソンとか特ソンも欲しがる筆者ですが、それでも「お菓子CD」にはまったく魅力を感じません。
 というのも、これらと「タイムスリップグリコCD」には、大きな違いがあるように思えてなりません。

 以下では色々と好き勝手な事を書いていますが、あくまで筆者個人の印象論に過ぎません。
 一部正確なデータに基いていない表記もありますが、深く考えないで流し読みしていただければ幸いです。


 最近考えるのですが、8センチCD関係の他商品群は「購入層を絞り過ぎ」のように思えてなりません。

 実質的な元祖といえる「タイムスリップグリコCD」は、古い邦楽を中心にまとめられた“一見客層を限定しまくっている”ような企画に見えて、実はそうではありません
 ラインナップを見てみればわかりますが、ラインナップ内の時代枠が20年近く離れている物があったり、最も邦楽にパワーがあった時代のキャンペーンソングを引っ張って来たり、ドラマの主題歌を選択してきたり、あるいは今でも邦楽界で活躍している人の曲や、ふと口ずさむ事があるような定番曲など、大変おいしい所取りをしているのです。
 ただ特定時代のヒット曲ばかりを集めた企画とは、そこが大きく違います。

 あらゆる時代の名曲をランダム(?)にセレクトしておき、その中にお客にとってツボとなる曲が含まれていたとしたら、そこからフルコンプを目指すという目的意識が生まれる可能性があります。
 つまり「本来自分は好きではない曲なんだけど、ここまで来たら集めちゃおうか」という心理ですか。
 たとえば1/60混入率の「時をかける少女」だけを欲しい人がいた場合、その人が「時かけが出るまで買いまくった」としたら、よほど強運でもない限り不要な曲も大量に手に入ってしまうでしょう。
 だとしたら、それらに意味を持たせようとフルコンプを目指す(あるいは、次に興味のある曲を入手するまで粘る)人達は必ず出てきます。
 あるいは、欲しい曲が出るまで「もう少し、あと少し」というギャンブル性が発生するでしょう。
 そう考えると、極端に混入数が少ない物が混じっている事も、やたらと総数が多い事も納得が行きます。
 「タイムスリップグリコCD」がすごいのは、そういう「ポイント」を巧みに突いてくるからだと思うのです。

 ところが、そういう部分を踏襲した…悪い言い方をすれば「パクった」他商品は、筆者が見た限り一つもありません。
 良く言えば“独自路線の追求”、悪く言えば“表面的な部分しか見ていない”。
 例えば「お菓子CD」の場合、すべてがアニソンや特ソンというラインナップの上にいずれもとっくの昔にCD化されているものばかりですから、レコードのミニチュア化としての意味しかありません。
 またラインナップにしても、「マニアには物足りず」「一般人にはピンと来ない」ものばかりが選ばれており、いったいどういった層がターゲットなのかが見えません。
 もっとも、マニア納得のラインナップにしたら一般人が退くだろうし、逆に一般向けに徹したら益々売れなくなるでしょうから、結局難しい事は想像に難くありません。
 そのシリーズを丸ごと集めようと、はじめから的を絞っている食玩コレクターでもない限り、こういった商品を(本来)積極的に買おうとするのは、ある程度マニアックな客層でしょう。
 決して「あ、これ懐かしい」という気持ちを煽るだけで売れるものではありませんから。
 「J'sポップスの巨人達」のように、オープンボックスであればまだ話は違ったかもしれませんが、ラインナップ内の作品すべてに思い入れを強く持っているという人はまずいないでしょうし、いたとしたらその人は別な方向で欲求を満たそうとするのではないでしょうか(ビデオレンタルで主題歌集をちょっと借りてみるとか)。
 元々、一曲300円という割高感のある商品なんですから、それなりに消費者が納得できるようなものでなくてはならない筈。
 アニメ系オムニバスCDは、1枚3,000円のものだったら15曲は入ってますし、オープニングとエンディングもだいたい揃ってます。
 また「テレビまんが主題歌のあゆみ」シリーズのように、特定時期の作品の主題歌をまとめた物などもありますから、レンタルCDで借りれば相当割安(しかも確実に聴ける)です。
 「タイムスリップグリコCD」に入っている曲も、実はほとんど既存の邦楽CDから引っ張ってこれるのですが、もしこれを全部集めるとしたら、オムニバスだけでもどれだけ手を出さなきゃならないか全貌が掴めません。

洋楽の「メモリータイム」と、「ロッテ歌のアルバム」。メモリータイムの方は、12センチCDで2曲入り!!
 では、古い邦楽を集めた「昭和おもひで歌謡」「ロッテ歌のアルバムガーナミルク」などはどうかというと、こちらについてはもっと疑問です。
 というのも、両方ともセレクトされた曲の時代幅が古過ぎ&狭過ぎて、特定世代以上の人じゃないと欲しいと思わないだろう事に問題があります。
 両者は、だいたい60年代辺りの邦楽ヒット曲が選ばれていますが、当時最低でも10歳以上…すなわち現在なら55歳以上の人達向けという事になり、そうすると今度は「その世代の人達がこの商品の存在に気付き、なおかつお金を落としてくれるのか」という疑問が生じます。

 結論から言うと“難しい”でしょう。

 これを買うと当時の曲がCDで普通に聴けるという事にすら、ピンと来ない人もいるかもしれません。
 それどころか「お菓子のオマケなのに本物のCDが入っているわけがないだろ」みたいに考えてしまう人もいるでしょう。
 …いえ、というより、実際に身近にいましたよこういう人(笑)。
 その人に、一生懸命説明し、かつ現物を見せてやっと理解してくれたくらいです。
 時代の関係で、「お菓子のオマケ=安価なチープトイのみ」という刷り込みのある人は多いですから、そういう人達の認識を変えるためには、もっと極端な宣伝が必要でしょう。
 なのに、現在のこれらの状況を見ていると「古い邦楽モノを出せば、必ずコレクターが買ってくれる」という生ぬるい認識の上であぐらをかいているようにしか見えないんです。
 無論、もっと別な見込みがあってやっている可能性もありますが、一消費者としての印象はそんなものです。

 もちろん「古い邦楽=すべてダメ」とか、そんな事は絶対に言いませんが、きちんと的を絞って売り出さないと、タイムスリップグリコに追いつくどころか箸にも棒にもかからない状態のまま消え行く可能性も高いという事です。
 邦楽・アニソンに関わらず、何を出しても同じ事でしょう。

 ある程度以上の年齢の方は社会的立場の関係上懐が温かいので、そういった人達の興味を引きいくらお金を落とさせるか、というのが、ある方面の商売の基本です。
 ですが、そういった人達はよほどの事がない限り財布の紐を解かないのもまた事実。
 いくら興味を引く要素があっても、箱の中の、何のタイトルが出てくるかわからない物を買うという、「今の若い人向け」の概念を強要されて、紐をほどこうとする人がいるものでしょうか?
 私には、とてもそうとは思えないんですよね。


 とはいえ、現在さりげに「邦楽ブーム」であるという背景もありますから、まったく無意味でもないんです。
 たとえば『仮面ライダーファイズ』で主役・乾巧を演じた半田健人氏は“作詞・作曲家単位で古い邦楽のデータを記憶している”という凄腕のマニアさんなんですが、ご本人はまだ20歳にもなっていません。
 こんな感じで、最近、自分が生まれる前や物心付く前の時代の音楽に興味を持つ人は多いんです。
 ですから、そういった人達の関心を引くためのものとして「ピンクレディー ヒットナンバーコレクション」のように、ある時代にものすごくヒットしたアーティストの曲ばかりを集めた物には需要があるかもしれません。
 ピンクレディーは、かつて確固たる“時代”を築き上げた存在ですから、邦楽マニアには避けて通れない道でもあります。
 そういう「探求心」をそそるようなラインナップなら、タイムスリップグリコなどとはまた違った存在意義を構築できるかもわかりませんよね。
(でも、全曲集のCDを買ったら全部事足りてしまうというのはナイショ☆)


 「え、でも、それを言ったらさっきのロッテとか昭和おもひでも同様なんじゃない?」と思う人もいると思いますが、そう思った貴方は鋭いです

 しかし邦楽って不思議なものでして、必ずある時代に人気の「壁」があるんです。

 例えば、筆者のように80年代前半から70年代中盤頃の邦楽が最高と感じている人にとっては、60年代の邦楽の雰囲気はかなり鼻につき、苦手意識が出てしまいます。
 かと思うと、その80年代の“臭さ”がイヤで、どうしても90年代以前のものに遡れないという人もいます。
 同様に、60年代の高度成長期のヒット曲に慣れ親しんだ人達に、戦争直後の時代の曲は古めかし過ぎて辛いものかある。
 もちろん、中にはこれらを乗り越えて趣味の幅を広く持つ人もいますが、そういう人達はかなり稀です。
 それも当然で、邦楽には時代ごと独特の「タイプ」や「特色」があって、それがまるっきり違う雰囲気を持っているからなんです。
 筆者のように邦楽からアニソンに流れるという奇異な人もたまにいるのですが、そういう人は、「壁」の制約にとらわれないで色々な時代の曲調をベースにして作られる主題歌に魅力を感じるものなんです(だから本編を見ていなくても主題歌を集めたりします)。
 最近だと「ふたりはプリキュア」のオープニングが、バリバリの70年代風テイストを持ってきていて面白いですね。

 筆者が高校時代もっとも邦楽探求にハマっていた頃、こんな事がありました。
 学校で70年代初期のとある邦楽を聴いていたのですが、それをふと耳にしたクラスメート曰く「お前、演歌なんか聴いてるの?」
 当の本人は演歌とは違う普通の邦楽のつもりでしたから、言われてびっくりしました。

 つか、中村雅俊の曲を演歌と言う人間が居るとは思いませんでした。

 しかし、当の私も50〜60年代の曲で演歌と邦楽の区別がつかないものが多いです。
 これが「壁」の一種。
 そのクラスメートは「(実際は違うけど)演歌っぽく聞こえる」というだけで、その曲を“ダサい”と素直に捉えたわけです。
 という事は、(可能性論ではあるものの)少なくとも70年代以前の曲に難色を示す確率は高くなるわけです。

 閑話休題。 
 何が言いたいかと言うと、「昭和おもひで歌謡」「ロッテ歌のアルバムガーナミルク」などのシリーズは、そういう「壁」を思い切り良く前面に掲げ過ぎてしまっているのです。
 ですから、これを手に取ろうとする時点で、「壁」を乗り越えられるかという第一課題があります。
 それから300円前後の代金を支払う価値を見出せるか、他の曲もコレクションするか、という課題が次々に課せられます。
 無論これは「アニソン」も同様で、「8盤レコード・ソノシート復刻版」「懐かしのアニメソングコレクション」も「壁」の存在が明確にあると思われます。

 8センチCD食玩に限らず、アンティーク物を新しい時代に合わせた商売に絡める場合、こういった「壁」をどうやって崩すかが重要になります。
 どんなに良い物でも、消費者が一瞬考えこんでしまうようだったら終わり、と。
 そういう見方をしてみても、「壁」の存在を可能な限り消す事に成功した「タイムスリップグリコCD」は、大したものだな〜と思ってしまうわけです。

 そんな中、筆者がもっとも不思議に思っているのが「8盤レコード」。
 「ポンキッキ」「おニャン子クラブ」「ソノシート」と、3種類のラインナップを構築したのはいいですが、この時代に保存性の悪いレコードを、しかも専用の“良い音など決して出ない”プレイヤーで聴かせようという図式…ちょっと考えがわかりません。
 過去のレコードプレイヤーでは、8センチ幅なんて小さなものは再生できないですし、ましてやそんな狭い幅に音の情報を圧縮させた物に針が乗るのか走るのか…ちょっと無理そう(笑)。
 ともあれ、そこまでユーザーに手間をかけさせてまで買わせようとするこの販売戦略…私にはちょっと理解が及ばないのです。
 いえ、たしかに…ラインナップがすごいのはわかりますけどね。
 事実、ソノシートのラインナップは「うわ、こりゃすげえ」と思わせる物ばかりですし、叶うなら原版が欲しいと考えてしまいますが。
 ましてや、一度再生したらそれっきりのソノシート音源が、何回も聴けるというのはありがたい事ですし。
 しかし…だとしたら益々「CDで欲しい」と自然に思ってしまうんですよね。

 なんとなく「特殊な音源拾ってきたんだから、メディアが何であっても売れるだろ?」的な考えが透けて見えるような気がするんです。
 いえ、気がするだけですが。
 ただ、現実問題としてこの商品ほとんど売れていないようなので(笑)。


長文お疲れ様でした☆
 好き勝手書いて来ましたが、肝心の「タイムスリップグリコCD」自体も、決して万人に迎え入れられている訳ではないという事も、併せて記述しておきます。
 ただ、上記に出した例よりは、万人受けする要素が高かったという事で。

 もし、今後もこういう企画が乱立するようなら、ヘタにジャンルや時代を絞らず「消費者の需要」を前提として再考すべきではないかと思う次第です。
 素人考えですけどね。
 でも、そうじゃないと「タイムスリップグリコCDとは別に買いたい」という気が起こらないのも事実なんですもの。


 とかいいつつ、さりげに「懐かしのオールナイトニッポンキャンディー」の発売を楽しみにしている筆者でありました。
 「ビタースイートサンバ(ANNテーマソング)」が早く聴きたい♪


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