玩具ありMINI! 第9回
バンダイ「RCジェットスライガー」「S-RHF仮面ライダーデルタ」
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更新日:2004年3月25日 | ||||
元締・後藤夕貴、生まれて初めてラジコンを買う。
元々、車好き&カーモデル好きだったのだが、なぜかラジコン関係にはまったく興味が起こらず、どんなに好きな車でもラジコンであるとわかった途端敬遠してきた。 どうも、高価すぎる上に自分の手を離れた所で自走するというシチュエーションが気に入らなかったようだ。 だが、そんな筆者にも、とうとうラジコンに手を出す日がやって来た。 それが、「ジェットスライガー」。 いきなり架空のマシン、しかも二輪車。 どうしてこんな物を、今更買ってしまったのか… という訳で、「玩具ありMINI・仮面ライダーファイズ編」のラストを飾るジェットスライガーと、そのメイン搭乗者(笑)・仮面ライダーデルタをご紹介。 ブラスターファイズは、やっぱりご勘弁という方向でよろしく! ではまず、ジェットスライガーから。
●前評判: 具体的な初出の時期はもう定かではないが、本編初登場の29話放送日が8/17で、これよりもかなり前の時期だったと記憶している。 玩具関係のショーにて発表された、次期新商品画像として広まったものだったようなのだが、その異形の姿はファンの度肝を抜いた。 タイヤが変。 形が変(すでにバイクと言える形じゃない)。 搭乗しているファイズに対して、本体比率が無茶なくらいデカすぎる。 怪し過ぎる無数のジェットノズル。 二輪車である事と、ライダーが乗っているという事以外、すべてにおいて過去のライダーマシンとの共通項が見つからない。 さらに加えて、本体価格が税込みで一万円を越えるのだ。 よくよく見たら、ラジコンだという! なるほど、どうりで高いわけだ…とココで一端納得し、その直後「待てよ、どうしてS-RHFとのプレイバリューがある商品なのに、ラジコンなんだ?」という疑問が湧いてくる。 それからしばらくして、「ジェットスライガーは、どうやら色々な方向に移動できる機能があるらしい」という話が出てくる。 どうやら、その独特の動きを再現するためにラジコンである必要性が出てくるようなのだが、それでもまだ明確な理解は得られない。 そんな複雑な思いを抱いていたファンは、29話での初起動、そして続く30話でのジェットスライガー同士の対決場面を見て、唖然とさせられた。 空を飛ぶ! タイヤが横方向に回転する! 真横に走る! その場で回転する! 突然、ヘンな方向に移動する! なるほど! なんてヘンテコリンな動き(注:誉め言葉)をするんだ! このミステリアス極まりない動きをラジコンで再現できるというのなら、確かに面白そうだし、大変魅力あるアイテムになりそうだ。 そんな経緯で、これまでのヒーローマシンの常識を完全に打ち破る事に成功したジェットスライガーは、俄然注目を浴びる事になる。…のだが… やっぱり、高いよねえ。 ●概要: そもそも、ジェットスライガーってどういうメカなのか? ジェットスライガーは、スマートブレインモータースで開発されたジェット推進で走行・飛行できる一人乗りの戦闘メカで、バイクというよりは「大きな車輪が二つ付いた小型の戦闘機」と表現した方がしっくり来るかもしれない。 短距離移動後の急上昇や、ホバーリングに近い状態での方向転換なども自由自在。 こんなとんでもない移動システムを山ほど搭載しているためか、ものすごく限られた戦闘エリア内で縦横無尽に動き回れる。 燃料や推進剤などの仕組みが大変気になる所だが、ここに突っ込むのはヤボってものだろう。 この巨大な推進力と連動して90度回転する車軸を備え、前輪と後輪を真横に倒した状態で滑るようにスライド移動する事も可能。 フロント部分には大型のミサイルランチャー(上下二段式・計四段)を内蔵し、これが主な攻撃兵器になる。 ライトは、正面部に黄色いものが一つだけで、本体の大きさに対してかなり小さい。 各ライダーのドライバーフォン入力コード3821によって召喚され、その際は自動操縦で飛来する。 同型のものがニ台存在しており、そのうちの一体は巧ファイズ対北崎デルタの戦闘時に破壊されてしまう。 三台目以降が存在するかどうかは不明。 本来どのような用途で製作されたのかも不明瞭だが、とりあえずライダー専用兵器の一環として考えて問題はないようだ。 「RCジェットスライガー」は、はっきり言ってしまうと“ほとんど玩具ではない”。 やはり主旨がラジコンの部分にかかっているため、玩具的なギミックはまったく搭載されていないのだ。 本編では、フロント部分のサイドがスライドし、内蔵されていたミサイルランチャーが露出するギミックを披露していたが、当然そんなものは組みこまれていない。 そもそも、あのギミック自体物理的に無理がありすぎなんだが。 という訳で、この商品のプレイバリューは「(S-RHFを)乗せる」「走らせる」以外にないと断言できる。 だが、その「走る」という部分に想像以上の幅があるため、決して楽しめないアイテムという訳ではない。 左手親指側の2つのボタンが「前進」「後退」、右手親指側の2つが「左移動」「右移動」となる。 これらのボタンは、それ単体で押すとその方向にまっすぐ進むようになっている。 前進と後退はそのまんまだが、左右移動ボタンを押すと、機首の向きを維持した状態でその方向にスライドしていくのだ。 まず、この動きだけでかなりの感激が生まれる。 右折・左折の場合は、前進・後退ボタンの片方と左右移動ボタンのいずれかを同時押しすればいい。 バイオハザードなどのキャラクターの動きを、離れたボタン配置で行うようなものだと言えば伝わるだろうか? 後ろ向きで左右にグイグイ曲がりつつ猛進する姿は、なかなか滑稽で楽しい。 コントローラーには、さらに人差し指の位置にあたるボタンが左右に一つずつ存在する。 これは「回転」ボタンで、左人差し指側なら左回転、右人差し指側なら右回転させる事ができる。 この場合の回転とは、その場でぐるぐる回るというもの。 180度ターンなんてケチな事は言わず、360度720度でも、1080度1440度でもボタンを押し続ける限りいくらでも回り続ける。 うまく前進ボタンと組み合わせれば、スピン状態から急激に発進とか、前進後に突然スピンターンをかけるとか、トリッキーな動きが楽しめる(筆者は試してないが)。 さすがに「左右移動」と「左右回転」の同時押しは無駄だと思うけど…というか、なんか機械に負担かかりそうだ(笑)。 で、誰? 上上下下左右左右BAとか試している人は?!(そもそもBAって何だ)
左折前進…前輪前進方向・後輪前進方向・前輪右に傾倒
ここで、ジェットスライガーの移動の理屈を説明しておこう。右折前進…前輪前進方向・後輪前進方向・前輪左に傾倒 左折後退…前輪後退方向・後輪後退方向・後輪右に傾倒 右折後退…前輪後退方向・後輪後退方向・後輪左に傾倒 左進行時…前輪前進方向・後輪後退方向・両輪共左側に傾倒 右進行時…前輪前進方向・後輪後退方向・両輪共右側に傾倒 左方向回転… 前輪後退方向・後輪前進方向・前輪右&後輪左に傾倒 右方向回転… 前輪後退方向・後輪前進方向・前輪左&後輪右に傾倒 まず、前進・後退の場合は普通に二つのタイヤが回転する。 左右移動の場合は、前後のタイヤが同じ向きに90度倒れてホイール面が接地し、その向きに進むという理屈だ。 前進・後退と左右移動を同時押しすると、片方のタイヤは正常位置をキープし、もう片方だけが90度倒れるようになる。 たとえば左前進の場合は、前輪が倒れて反時計回りに回転し、後輪はそのまま正常位置で回転する。 左後退の場合は、後輪が倒れて時計回りに回転、前輪は正常位置で逆回転する。 その場でスピンする場合は、タイヤが両方とも別々な方向に90度倒れ、それぞれが特定の方向に回転する事で対応する。 わかりやすくまとめると、右の写真のようになる。 すげー、よく制御しているんだなあ。 だが、驚きなのはこれだけではない。 実は後輪だけは、傾倒時ピッタリ90度は倒れず、僅かに片側を持ち上げた状態を維持して回転しているのだ。 どうしてか? それは、もし後輪が前輪同様90度ピッタリになってしまうと、シャーシ部分が床面に接近しすぎてしまい、コクピット後部下に配置されている小型バーニヤパーツが損傷してしまうからだ。 つまり、後輪接地面に角度をつける事で微妙にホットロッド状態にして、シャーシの後ろ側を持ち上げている訳だ。 無論、これは後輪がどちらの向きに倒れても必ず行われるようになっている。 うわー、益々感心。 このように、タイヤの回転と向きを変化させる事によって、様々な動きのバリエーションを生み出す仕組みになっているのだ。 なるほど、よく考えたものである。 この制御機構だけでも、筆者はものすごく感激した。 で、ここまで読んでいてピンと来た人も多いと思われるが、この動きはある物にとても良く似ている。 そう、「キャタピラ」だ。 キャタピラの稼動理念を、タイヤに反映させたという事なのだ。 これは、結構すごいアイデアなのではないかと思う。 残念ながらラジコンには詳しくないため、過去にこういう理屈の商品があったかどうかまでは考察できないが、少なくともこれだけ見た限りではかなり興味深いポイントなのは間違いないだろう。 では、実際に動かしてみる事にしよう。 いくら構造を説明しても、動かしてみないとその凄さは実感できないからね。 なんでも、この手のラジコンはアスファルトの道路上などで動かしたら最後、ズダズダになってしまうという話を聞いた事がある。 タイヨーの「RCビートチェイサー」をはじめとするバイクラジコンなどは、たいがいこんな目にあってしまうらしい。 なるほど、ジェットスライガーも構造が違うとはいえ、やはり同様の被害がありうるだろう。…って、その前に説明書に「屋内で使用してください」と書かれているじゃん。 パッケージにも「屋内専用」ってあるし。 ていう訳で、自宅のフローリング床の上にジェットスライガーを置いて、それスイッチョン! ガガガ… ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!!!! ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ!!!! ズガガガガガガガガガガカ!!! 「うわぎゃあ〜〜〜っ!!!」 ――うるせーぞ、こらぁ! ――ちょっと、赤ちゃん起きちゃったじゃないのっ!! あ〜、ビックリした! なんと、スイッチを入れた瞬間に凄まじい轟音と震動が響き渡り、音響被害が広がっていく! こりゃあ、ちょっとうかつには動かせないかも… どうやらこのジェットスライガー、前輪と後輪の内部にそれぞれモーターが仕込まれている様子で、これの回転の影響がダイレクトに床面に伝わるようなのだ。 ちょっとタイヤ部分の構造を説明しよう。 ジェットスライガーのタイヤは既存のバイクのような構造ではなく、本体から伸びているシャフトの先端部両側に、皿のような形状のタイヤが計4枚(注)貼りついている形になっているのだ。 タイヤを真正面から見て、そのまま縦に3枚におろし、中央部分(本来のタイヤにとっての接地面)だけが本体に固定されていて、この中にあるモーターの力で左右の2枚だけが回転する構造、といえばおわかりだろうか。 左右両側の2枚が円盤型状のため、「4輪」ではなく「4枚」という表現の方がしっくり来るという事だ。 結果的に、このジェットスライガーは「4枚のタイヤで走るバイク」という、ちょっと変わった表現ができてしまう。 で、こういった形状で回転するものが床に接地するのだから、もはや理念的には「床を削るグラインダー」と同じ。 凄まじい勢いで回転するモーターの音に加え、タイヤが床を削る(笑)音と震動がプラスされるのだから、そりゃあものすごい音がするのも当然。 なーるほど、うるさいわけだ。わっはっは。 …って、そんなとんでもない物、どうやって家の中で自由に走らせろというのか?! そんなものが、モーターの力で回転し、その力で本体を回すのだ。 畳やフローリングへの影響は計り知れない。 まず、フローリングのワックス面は結構なダメージを受けるのではないか? 通常走行時でも、今度は円盤の端部分が接地して回転するため、薄い回転盤によるグラインド処理が成されるようなものだ。 借家やアパートでは、とても恐ろしくて走らせる事ができない! とりあえず、どうしても走らせたければ、床の上に何かを敷き、その上で走行させるのが賢明だろう。 また、可能ならカーペットか畳のように、床そのものがある程度柔らかい物の上で行うべきかと思われる。 フローリングだと、上に何かを敷いても震動を抑制できない。 なので、もしアパートの2階などで動かした場合、階下の人はとんでもなく迷惑がる事だろう。 筆者の家はメゾネットタイプで、最上階の部屋の真下にまた自分の部屋があるため、ここに柏木悠里を待機させて、上でジェットスライガーをスピンさせてみた。 そうしたら、やっぱり震動はダイレクトに伝わってきたようで、かなりやかましかったそうだ。 ちなみに、比較的築年数も新しく各部屋の天井・床部分の厚みがかなりある我が家ですら、そうなのである。 築年数の古い木造建築のアパートなどでは、こんなものでは済まない事だろう。 それでもめげずに、もっと走らせてみる。 すると…あっと言う間に部屋の反対側まですっ飛んでしまった。 筆者茫然。 これ、屋内で使用するにはスピードが早過ぎない? それとも、ラジコンってみんなこんなもの?! 全長約40センチクラスのジェットスライガーは、二つのパワフルな駆動輪によって、結構な加速力を得て走る。 縦長の八畳間の半分くらいの距離なら、一瞬で駆け抜けてしまうほどだ。 もちろん初速はゆっくりだが、ある程度すると急にスピードを上げる。 これが屋外でもガンガン使えるものだったら良いのだが、仮にも屋内使用を前提とされているものとしては、パワーが強すぎに思えてならないのだが… これは、どうしても屋内でというのなら、公民館や小さな体育館を借り切ってしまわないとダメかも。 ましてや、そうするとしても床面への影響もあるから、あまりオススメはできない。 こう考えていくと、とっても「日本の家庭環境に優しくない」アイテムにしか思えないが… 本棚にぶつかると、まず間違いなく本がドサドサ落ちてきそう。 そんなとんでもない勢いで突っ走るんだけど…(汗)。 もし、走行中の写真を撮りたい場合は、撮影係と運転係を別に分けた方がいいだろう。 さもないと、とんでもない事になってしまうかもしれない(笑)。 このジェットスライガーには、別売のS-RHFシリーズライダーを搭乗させる事が出来る。 付属のファイズフィギュアを取り外し、代わりにコクピットに乗せて走らせる事が出来るというなら、やっぱりそちらの方がいいだろう。 だが、こんなに狂暴な動きを見せるマシンに搭乗させたら、外れたりぶっ飛んだりしないだろうか? という疑問は当然つきまとう。 結論から言えば、それについてはまったく無問題。 予想以上のガッチリホールドによって、たとえ本体を何度スピンさせようと、遠心力のエジキになる事はない。 両足は深くステップ奥に入り込むし、胴体を左右から挟むアームが伸びている上、このアームをまたぐようにシートベルトが設置されている。 さらに、S-RHFフィギュアにハンドルグリップを掴ませれば、安定度はものすごく向上する。 残念ながら、アームの位置がベルトの横に被さる都合上ファイズポインターやデルタムーバー(&ホルスター)などのパーツは完全に取り外さないといけない。 ただ手首をハンドルドラムに突っ込ませるだけでも安定度は上がるのだが、どうしてもグリップを掴ませたいのであれば、ハンドルドラム部分に手を差し込んだ後に先の細いマイナスドライバーなどで指を折り曲げてやるといい。 外すときにてこずるけれど、これでかなりしっくり来る筈だ。 これでハンドルドラム全体が、劇中のように回転してくれれば…ゼータクか(笑)。 電源周りについても少しだけ。 電池関係が一通り揃っているのはやはりとてもありがたいが、当然ながらニカド電池は充電してからでないと使用できない。 フル充電には4時間を要するが、それでも一回の走行時間は8分だという。 よくわからないけれど、ものすごいパワーを発揮する分消費電力もデカイのだろうか? 平均的な走行時間なのかどうかもわからないが、とりあえず、遊び倒す人はバッテリー残量に注意といったところか。 なお、本体側の電源は写真の通り、コンソールパネル部分にデカデカと設置されている。 もっと別な場所でもよかったんじゃないかな…。 「RCジェットスライガー」のパッケージについても触れておこう。 この商品は、今流行りの(笑)ハリガネ巻きつけ固定で内箱にガッチリホールドされているウインドウパッケージで、取り出す時には相当な苦労を味わわされた上、元通りに戻すのはほぼ不可能というくらいややこしい。 本体は、5本以上にも及ぶハリガネで各所を拘束されている。 特にタイヤ付近ではハリガネがシャフトをぐるりと一周している念の入れ様だ。 このため、箱全体が激しくシャッフルされたとしても、まずビクともしない。 箱の中にしまう場合は、そのハリガネを完全な状態で巻きつけるのは諦めた方が賢明だろう。 空間部分に緩衝材を詰めまくるか、ハリガネ固定を部分的に留めるか…いずれにしても、開封前からある程度の収納シミュレーションをしておくといいだろう。 あの拘束状況は、はっきり言って一度は驚愕させられる筈だから… ●総評: 「RCジェットスライガー」は、とにかく購入する前に考慮すべき事が沢山ある。 もちろん、このページを発表する頃にはほとんど店頭に残っていないだろうが、もし購入する機会に恵まれたとしても、自分の求めるプレイバリューにどこまで沿った物なのかを見極めるべきだろう。 とにかく、先の通り「走らせる」事に対しての物理的犠牲が大き過ぎる。 よほど走行に適した環境に恵まれていない限り、飽きるほど走らせて楽しむのは難しいだろう。 東京などの過密住居事情では、かなりきつい。 周りに対する迷惑を考えなければガリガリギャリギャリやる事もできるだろうが、とにかく騒音については最低限の考慮が欲しいところだ。 走行以外ギミックがないとは書いたものの、これをディスプレイモデルと割り切った場合は、また事情が変わってくる。 とにかく、この大きさとディテール、そして総合的な迫力は圧倒的で、これだけでも充分な魅力がある。 前回紹介した「サイドバッシャー」すらもちみっちゃく思えてしまうほどのバカでかさ…飾る場所さえ確保できるなら、この迫力は是非堪能していただきたい。 本体サイドステップ(?)部分には補助輪がついており横転する危険もまずないから、その点についての問題は気にしなくてもいい。 付属のファイズを乗せるのもいいのだが、やはりジェットスライガーといえばデルタである。 唯一バイクとセット販売されなかった「S-RHF仮面ライダーデルタ」をお持ちの方は、やはり揃えたい所ではないだろうか。 で、この商品…当然というか、あまり売れなかったらしい。 価格もさる事ながら、やはり大きさが災いしたのか、小規模店舗などでは取扱に苦労したらしく、またかつてタイヨーのRCシリーズをもてあましてしまった個人店舗などでは、最初から入荷を見送ったという所もあったようだ。 事実(あまり威張れた事ではないが)、筆者はこれをかなりとんでもない激安価格で購入している。 場所によっては処分に困るほどの扱いだったようで、ちょっと悲しくなってしまう。 しかし、こんな大きな玩具が発売されたという、その背景自体は評価したい。 最近、結構驚くくらい大きな玩具が発売されるようになってきており、ファイズ関係商品も、従来のシリーズ物と比較するとかなり大型化している。 もちろん、それぞれに大型化の理由が存在するのだが、こういう「大きな物」が嬉しい人も確実に存在するのだから、そういう方面の需要が満たされるというのはいい事ではないだろうか。 RCジェットスライガーは、元々搭乗フィギュアが大きかったため対比的に巨大化しただろう事は間違いないと思うが、今後の他番組商品展開にも期待させられる一因ではないかと、筆者は思うわけである。 …え、「マシンロボレスキュー」のトランスポーター各種? 「忍風戦隊ハリケンジャー」のリボルバーマンモス? KKファクトリー?! …いいじゃん、そんなに突っ込まないでよ(笑)。 最後に、実際に撮影に使用されたジェットスライガーについて触れてみよう。 本編内で活躍した二台のジェットスライガーは、そのほとんどの動きがCG合成によって表現されていたのだが、実は本体そのものがCGで、現実に存在しているのはコクピット周りだけだった。 つまりジェットスライガー全体を前部・中央・後部と切り分け、前部と後部をCGでまかなっていたのだ。 これは、戦隊ロボットで搭乗者を撮影する場合に用意する「コクピットのセット」に近い発想だ。 これにより、ライダーシリーズ初の「実車がまったく存在しないライダーマシン」が生まれたことになる。 毎年夏にやる「仮面ライダーワールド」では、どういう風に飾られるのかな? ひょっとしたら、このイベントのために全体をでっちあげたりして… さて次は、ジェットスライガー真の所有者について(笑)。
この商品は、2003年10月31日発売。 そう、いわゆる「11月頃に少数だけ売り出すタイプ」の商品の一つだ。 これとほぼ同時期に、「S-RHF05 仮面ライダーファイズ・ブラスターフォーム」も発売されたが、このデルタ共々かなり早くに見かけなくなってしまった。 やはり11月販売商品は、買うと決めたらすぐ動かないとダメだね…という訳で、筆者は奇跡に恵まれてなんとかデルタの入手が叶ったのだが、さすがにブラスターまでは無理そうだった(暗闇葬魔様、ご協力本当にありがとうございました)。 まあ、番組終わり直前になってやっと買う気になったんだもんなあ。 さて、そんなデルタだが、実は発売当時の評判はすこぶる悪かった。 なにせ、プレイバリューがないのだ。 デルタといえば、特徴はデルタドライバーの音声入力(ACT-56 なりきり玩具から見た『仮面ライダー555』参照)とデルタムーバーによる銃メインの戦闘、そして白い円錐状のエネルギーフィールドを発生させてのキック技「ルシファーズハンマー」などで、いずれもこのサイズの可動フィギュアでは再現不可能なポイントばかり。 となると、当然商品の方はただ銃を持たせてポーズを取るだけ…となってしまう。 S-RHFファイズは武器が4種類あった上にオートバジンとセットで、S-RHFカイザは武器3種類の上にサイドバッシャーがあった。 S-RHFファイズ・アクセルフォームは武器4種の上にフルメタルラングの開閉ギミックがあり、S-RHFファイズ・ブラスターは武器3種(内、ファイズブラスター変形後も合わせると計5種)の上、本体肩部にブラッディキャノンが装備されている。 こうやって比較すると、デルタだけがあまりにつまらない構成なのが良くわかるだろう。 さらに加えて、塗装もよろしくない。 顔の塗りは全ライダー中もっとも単調で劇中の雰囲気はあまり再現されておらず、また全身を走るフォトンストリームも、塗料膜が厚ぼったいせいか重苦しい雰囲気を与えてしまっており、あまりスマートなイメージが湧かない。 こういった部分は、発売直後すぐに問題視され、結構叩かれていたように記憶しているが、やっぱり最後のライダーとして揃えたいという気持ちもある訳で、購入者は「慣れる」か「諦める」かしかなかったようだ(笑)。 もちろん、これはこれで満足できた人も多くいただろう事を、付け加えておきたい。 あくまで、目立った問題点指摘を挙げただけなので念のため。 なお、発売時期とその品数については、やはりというかさすがに皆覚悟は出来ていたようで、品薄を心配するような声はほとんど聞こえなかった。 つまり、遡る事一年前の「R&M 仮面ライダータイガ」みたいな事にはならなかったという事だ。 そりゃまあ、「DXガオゴッド」の大騒ぎから数えて3度目だものね。 誰も学習するって(笑)。 仮面ライダーデルタは、デルタムーバーという銃をメイン武器に戦うライダーなのだが、装着経験者の北崎などのイメージも合わさって、結構格闘戦主体というイメージが強かった。 なぜデルタの装備だけがこんなに少ないのかという理由については、先にも挙げた「ACT-56 なりきり玩具から見た『仮面ライダー555』」の鷹羽氏の分析を参照していただきたいが、さすがに唯一の主力武器だけあって、そこそこ丁寧に作られているようだ。 デルタムーバーは、デルタフォン部分の分離ギミックはなく、通常使用形態とミッションメモリー挿入形態がそれぞれ入っている。 遊ぶときは、脳内場面に合わせて持ち替えさせるという事だ。 腰には板状のホルスターを下げ、そこに空けられた穴に、デルタムーバー側面部の凸部を差し込んで固定する。 幸い、ホルスターもデルタムーバーもそんなに厚みがないので、ファイズショット(またはカイザショット)のような悲惨な結果にはならない。 ただ、よくよく考えたら…ミッションメモリー装着後のデルタムーバーにまで凸部を設定する必要性はなかったんじゃないかい? どーせルシファーズハンマー発動中、デルタムーバーは手に持ったままなんだから。 ただこのデルタムーバー、ちょっと出来に問題がある。 というのも、グリップ部分が下方向ではなくななめ横方向に向いているので、デルタに持たせた場合、かっこよく銃口を正面に向けるのが難しい。 結果、かなり不自然な腕の伸ばし方をさせなくてはならない。 ファイズ等のフォンブラスターの時点から予想できた事とはいえ、これはあまりにきつい。 トリガーに指がかからないというのは仕方ないと諦めるにしても、グリップをここまで横方向に伸ばす理由はわからない。 別に、銃本体に対して90度近い角度で付けていてもいいような気がするんだけど…と書いていて、なんとなくDXデルタドライバーのデルタフォンの写真を見てみたら、なんだ、本物もこんな角度になっていたのね。 ▲これでやっと銃口が真正面を向く あと、それとは別に相変わらず指の保持力が甘く、デルタムーバーが手の中で回転してしまう。 この欠点は、とうとう解決される事はなかったのね。 なお、変身完了直後の「デルタムーバーを腰に収めたままグリップを握っている」という姿勢も取る事は不可能。 うむ、実に制約が多い! 悪口ばっかりというのも何なので、良い部分も拾っていこう。 デルタは、そのデザインの都合上フォトンストリームがファイズやカイザ以上に複雑に走っており、そのため必然的に体表のモールドがすごい事になっている。 また、デルタドライバーの複雑な面取りもかなり正確に行われているため、塗装で損はしているものの、決して造形そのものは悪くない。 よって、手にしてしばらく眺めてくると、独特の良さが感じられるようになる筈だ。 これで、目の色がもっと濃く暗い色だったら、より雰囲気が出ていた事だろう。 そこはちょっと残念だ。 ちなみに、どうしてファイズ登場のライダーのフォトンストリームが赤と黄色と白なのかというと、実はコレ、アップ用スーツに使用されている発光体の原型色の制約があったためらしい。 だから、フォトンストリームが銀色になっているアクセルフォームは暗闇で発光するスーツが作られなかったし、ブラスターフォームはそもそもフォトンストリームが体表部分と反転してしまっている設定になっている。 劇場版登場の3ライダー(サイガ・オーガ・ライオトルーパー)にも発光スーツがなかった事を考えると、なるほどという気がする。 もし、原型色にもっとバリエーションがあり、デルタが別な色をしていたとしたら…どんなのが似合っただろう? って、あれっ? その前に、デルタの暗闇発光スーツって、登場してたっけ?! …ああ、書く事がない…(笑)。 ●総評: このS-RHFに限った話ではないのだが、デルタ関係の商品はいずれも本当に恵まれていない。 一番注目を浴びた「DXデルタドライバー」も、番組終了時には一番品余りしており、意外にさばけた印象がない。 音声入力は結構遊べるのにもったいない…とは思うが、これはどちらかというと本編でのデルタの扱いに問題があったのではないかという説が有力だ。 そして、第二のデルタ関連アイテムは先に紹介した「ジェットスライガー」で、第三が本商品…評判については先の通りだ。 まるで、劇中の三原を連想させるような「何か」にとらわれている感覚を覚えるのは、筆者だけだろうか?!(笑) この原稿を書いている3月中旬現在、オークションではじわりじわりと「S-RHFデルタ」の値段が上がり始めているようだが、やはり需要はそんなに高くないようにも映り、どちらかというとブラスターフォームの方が人気を集めている感がある。 とはいえ、やはりファイズとカイザを持っている人にとって、このデルタはどうしても揃えたい物である事には変わりない。 三人ライダーそろい踏みの説得力は、やはり何物にも代え難いものがあるからねえ…。 さて、3回に渡って「仮面ライダーファイズ」関連商品を紹介してきた『玩具ありMINI』。 次回からは、また別なアイテムを用意してお送りする予定です。 残念ながら最新のアイテムではないけど、また無駄に色々分析しつつ書き連ねていきたいと考えています。 あ、当分ガシャポンネタには流れませんので、そちらがニガテという方はご安心を(笑)。 次回は、一時期掲示板上でも話題にしていた、あのアイテムに迫ります。 もうすぐ新作が発売されるのだけど、今から追いかけて間に合うのか後藤夕貴?! という訳で、また次回お目にかかりましょう☆ → NEXT COLUM |
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