SECRET 第48回 ■ グッドスマイルカンパニー figma「這いよれ!ニャル子さん(ニャル子)」

2013年2月3日 更新

 このコーナーでは、大変なご無沙汰です。
 約二年半ぶりに、SECRET更新となります。
 実は、これまでひっそり購入していたfigmaですが、これまで全くレビューしてなかったので、この機会に扱ってみたいと思い立ちました。
 というわけで今回は、最近妙に評価が高まったニャル子です。

■ figma「這いよれ!ニャル子さん(ニャル子)」

 

 2013年1月25日発売。
 全高約13センチ(アホ毛除く)。
 全7種11個の手首付属。
 「名状しがたきバールのような物」付属
 「冒涜的な手榴弾」付属。
 figma用スタンド付属。
 付属品収納用袋付属。
 価格は税込3,500円。

 

 ニャル子。
 ラノベ原作の深夜アニメーション作品「這いよれ!ニャル子さん」(2012年4月9日から6月25日まで、テレビ東京系にて全12話放送)のメインヒロイン。
 主人公・八坂真尋を宇宙の人身売買組織から守るという名目で(これは第2話で解決)、地球にやって来た宇宙連合/惑星保護機構の一員。
 ニャルラトホテプ星人で、本名は人間には発音困難なため、「ニャル子」と自称する。
 一応は「クトゥルフ神話」に登場する邪神ニャルラトホテプ(ナイアルラトホテップ)そのものとされており、その気になればSAN値が下がるような姿(人間の精神に悪影響を与えるような)になることも可能らしい。
 性格は明朗活発にして残虐非道、同時にオタク。
 地球のエンターテイメント(要するにオタク文化)が宇宙規模で評価され、密輸の対象になっていたり、宇宙の青少年保護機関などから目をつけられていたりするような世界観において、宇宙犯罪を取り締まる立場にありながら「バレなきゃ犯罪じゃないんですよ♪」とのたまいつつ、それらを堂々と我が物にしようとするような性分。
 上げる悲鳴は、モビルアーマーや重機動メカ(伝説巨神イデオン)の名称など。
 真尋に対して一方的な思いを寄せており、しかしてかなり大胆かつ狡猾な手法を用いてしまう傾向がある。
 「宇宙CQC」という近接格闘技を使い、「名状しがたきバールのような物」や「冒涜的な手榴弾」といった武器を使いこなす。
 その他、様々な謎装備や謎メカを使いこなし、ペットの「シャンタッ君」をカプセル怪獣やファイナルフォームライドのように扱う(「ちょっとくすぐったいですよ! なに、痛みは一瞬です!」という台詞付き)。
 変身能力も持っており、本気を出すと特撮ヒーロー風の姿になる。

 

 というわけで、ニャル子さんです。
 所謂「うる星やつら」のラムに始まる“押しかけ女房タイプ”のヒロインです。
 可愛げのある外観に対して、度を越したハチャメチャぶりというギャップが売り なんですが、他にもオタ受けしそうな台詞や動作を良く見せる側面があり、非常に高い人気を誇ります。
 扱うネタは、JOJOや北斗の拳をはじめとする漫画作品から仮面ライダー、スーパー戦隊などの東映系特撮、ロボットアニメ、洋画作品や平成以降のあたらしめなアニメ作品までなんでもあり。
 その上、腐女子系ネタやネット用語までサポートするという徹底振り。
 特に、平成ライダーネタは、ニャル子以外のヒロインも多用してます(電王以降の決め台詞ネタが多い印象があります)。
 第一期放送は既に終了しましたが、2013年中に第二期開始のアナウンスがありました。

 

 そういえば、これまでfigmaを取り扱ったことがなかったので、(今更ではありますが)軽く概要を説明したいと思います。

 figmaとは、2008年2月発売「長門有希 制服ver.(涼宮ハルヒの憂鬱)」、同年4月発売「涼宮ハルヒ 制服ver.」「セイバー 甲冑ver.(Fate/stay night)」などを皮切りに始まった、グッドスマイルカンパニーによる可動フィギュアです。
 コンセプトは「よくうごく、キレイ。」
 代表のMAX渡辺氏と原型師・浅井真紀氏が中心となって開発されています。
 かつて、浅井氏が開発した「新世紀エヴァンゲリオン」のコミックスの特典などの綾波レイや惣流アスカ・ラングレーを更に発展させたようなイメージで、それまで固定姿勢が当たり前だった美少女フィギュアに、アクションフィギュア並の可動範囲を設けることで“好きなポーズで飾れる(かつフィギュアの良さは損なわない)”という独自の魅力を生み出すことに成功しました。

 

 可動する美少女フィギュアは、それ以前にもちょこちょこありはしましたが、企画統一されていなかったり出来がアレだったり、いずれもパッとしないまま消えていった感が強く、またその出来も決して良くはありませんでした。
 そういったものから来るマイナスイメージを払拭し、更には他社商品にまで大きな影響を与えているのが「figma」で、非常に高いクオリティと評価を維持して現在に至ります。
 figmaというと美少女の可動フィギュアというイメージが強いですが、実際には男キャラやヒーロー系も押さえていて(中にはサンレッドやヴァンプ将軍のようなのまで)、限定品やバリエーションブランドを含めて200種を超えるラインナップを誇ります。

 

 まぁそんなわけで、このニャル子さんはfigma No.160になります。
 ではそろそろ、商品仕様に触れていきます。
 これまでのSECRETとは趣旨を変えて、フィギュアーツのレビュー風に各部位を解説していきましょう。

 

 まずは、前後比較。
 ニャル子に限りませんが、基本的にPVCが中心のパーツ構成で、関節部位はプラ製。
 当然ですが、ダイキャストなどは使われてません。
 画像は、可能な限り素立ちにさせた状態。
 背中に開いてる穴は、後に触れるスタンド用のものです(賛否両論ある仕様ですが)。

 

 頭部アップ。
 顔パーツは3種類あり、こちらは「ニヤリ顔」。
 相変わらず、非常に高いクオリティです。

 

 表情変更は、前髪を外して行います。
 画像は、前髪と顔パーツを外した状態。
 以前どこかで見たような光景

 

 正面から。
 こちらは「怒り顔」ないしは「気合い顔」。
 ひょっとしたら、これが一番汎用性が高い顔かもしれません。

 

 ウィンク笑顔。
 残念ながら、普通の(両目を開けた)笑顔などは付属していません。
 それはともかく、これはこれで良い出来です。
 口を開いた笑顔の造型は難しいもんですが、実に見事です。

 

 大きく特徴的なアホ毛は、プラ製で根元から回転(取り外し)可能。
 残念ながら、感情で変わる別形状のものはありません。
 折れには注意したいところですが、よほどガサツに扱わなければ折れる気遣いはなさそうです(若干の弾性があります)。

 

 figmaの特徴として、首軸が共通仕様というものがあります。
 そのため、頭部を他のfigmaと入れ替えて遊んだりする楽しみも味わえます。
 まぁ、中には頭部と胴体のサイズが合わず、違和感しか生まれない組み合わせも生じますが(特に「らき☆すた」系)、それでも立派なプレイバリューとなっています。

 もっとも、装備品まできっちり身につけられるとは限りませんが。

 

 次に、各部関節可動について。
 figmaは確かに多くの関節可動箇所及び広い可動範囲を誇りますが、全体的に癖があり、決して「全てが良く動く」というわけではありません。
 それはともかく、まずは肩関節。
 関節付きボールジョイントで胴体と腕が繋がっているので、回転に加えて前後のスイングも可能。
 肩の襟部分は、胴体と上腕を繋ぐジョイントが貫通している構成です。

 

 両腕を、可能な限り後ろに反らせた状態。
 このアングルだとちょっと判りづらいですが、上から見ると45度以上行きます。

 

 画像は、精一杯腕を前方に寄せた状態。
 構造上しょうがないのですが、肘を前に伸ばしたまま両手を合わせることは出来ません。
 とはいえ、黒いエプロン部分はかなり柔らかい軟質樹脂製なので、襟部分が干渉してもさほど支障は出ません。

 

 腕はここまで上げられます。
 指で押さえれば、腕を側頭部につけることも可能です。

 

 ……と、一見素晴らしい構造なんですが、実は致命的な問題を抱えています。
 恐らくは初期出荷品のみかと思いますが、ニャル子の右肩(胴体接合部)のジョイントがガッチガチに固定化されています。
 これは、個人的には過去最悪の固まり具合で、シリコンスプレー吹いた程度では効果は皆無です。
 実際、あまりに硬くてジョイントをねじ切ってしまったという報告はかなり多く、またかなりの確率で発症しているようなので、注意が必要です。
 どうも、ボールジョイントと胴体部の口径が全く合っておらず、それなのに無理やりねじ込んだような感じです。
 筆者は、ドライヤーとシリコンスプレー十数回かけ&小刻み動かしで、十数分かけてやっと可動出来るようにしました。

 

 胴体可動は、胸を腹部の境で行えます。
 横方向の回転や、若干の反りが可能。
 前屈も可能ではありますが、エプロンの軟質樹脂の張力に負けるため、姿勢の固定は不可能です。

 

 身体を捻っても、エプロンに大きな歪みは生じません。
 ですが、材質が材質なんで、長時間の姿勢維持はクセが付きそうでちょっと怖いかもです。

 

 上半身は、デザインの都合やfigmaの基本仕様のため、お世辞にも良好な可動範囲ばかりとはいえませんが、代わりに下半身の可動は相当優秀です。

 

 下半身は、逆T字型のジョイントで両足を吊るすような構造で、ジョイントはパンツパーツで覆われます。
 いわば、ジョイント隠しのパンツそのものが、figmaの腰そのものを構成しているわけです。
 んで、ニャル子は黒いパンツ。
 そのため、黒いスカートと一体化している感じで、あまりえっちぃイメージは感じられ……いやそこは、人によるかな?

 

 下半身を後方から。
 最近のfigmaの傾向なのか、太股の付け根(この場合は尻)の造型が、やたらと気合い入りまくり。
 そのため、可動フィギュアにしてはかなりえっちぃお尻になりました。
 ただ、当然ながら大きく動かし過ぎると、関節の断面が丸見えになってしまいます。
 これは、「KOS-MOS ver.4」辺りで大きな注目を集めた仕様です。
 やっぱ尻だ、尻だよ! 尻に帰結するのさ!

 

 スカート及びエプロンの側面には、スリットが入っています。
 そのため、脚部の前後横方向への可動範囲が、大幅に拡張されています。

 

 具体的には、これくらい開脚自立が可能です。
 自立を考えなければ、180度開脚も出来ます。
 太股のロールは、付け根部分で角度調整を行う感じです。

 

 関節保持力もいい調子なので、スカートの張りに負けることなく、こんな姿勢もこなせます。
 なんと、目測45度以上まで上げて尚、その姿勢を維持出来ます。
 計三重の軟質パーツを曲げつつそれだけこなせるというのは、本当に凄いです。

 

 ニャル子は、こんなノリでも結構格闘アクションをするので、様々なポージングを楽しむ素地があります。
 正直、腰周辺の可動が弱い(これはfigma全体に当て嵌る特徴)ので、腰の捻りが重要なポーズ等はいささかいびつになって決まり切らないんですが、逆にそれがニャル子らしさとマッチする気がします。

 

 装備品について。
 ニャル子の代表的な武器「名状しがたきバールのような物」。
 これが正式名称のようです。
 実際のバールと比較すると、カーブが直角過ぎなんですが、これは劇中からしてこういう形状なので、間違いどころかむしろ忠実再現です。

 

 「名状しがたきバールのような物」はプラ製なんですが、他のABSより弱い材質のようで、下手に扱うと折れます。
 専用の手首に持たせる場合、ややきつめの指の隙間をくぐらせる必要があるので、先に手をドライヤーなどで軽く温めてから行うといいようです。
 ですが、「名状しがたきバールのような物」自体はドライヤーに当てすぎると曲がる(しかも戻らない)らしいので、取り外す際には充分な注意を要します。

 

 「名状しがたきバールのような物」は手首の指間より細いので、気を抜くと滑ってしまい、いつの間にか先端付近を握っているなんてことも。
 まぁ、とはいえ、深刻な問題というものではなく微笑ましいレベルのポイントですが。

 

 もう一つの装備「冒涜的な手榴弾」。
 近接格闘技「宇宙CQC」には欠かせない投棄兵器です。
 手榴弾を持つための専用手首(右手のみ)が付属します。

 

 「冒涜的な手榴弾」には、ピンクのリボンが巻かれています。
 裏側に大きなダボ穴があり、手のひらから伸びてるダボを差し込む形で固定します。

 

 投下直前のポーズで、適当なフィンファンネルを周囲に浮かせておけば、シチュとしては最高なんじゃないかなと思う次第。

 

 それ単体では特に用途はないんですが、バール持ち手以上に指の幅が広い持ち手が左右揃っています。
 これを利用すれば、バイクに搭乗させることも可能です。
 
 てな訳で、figma用バイク「ex:ride Spride.05 セイバー・モータード・キュイラッシェ」に乗せてみました。
 いうまでもなく、色移り対策は入念に。

 

 後ろ髪のせいで、ある程度までしか頭を上げられません。
 まぁ、元々これに乗せる前提の設計じゃないんで、しょうがないんだけど。

 

 とはいえ、実は尻が浮いてしまうんですけどね。
 構造上、きっちりとは乗れないです。
 これでもかなり無理やりかつギリギリ乗せてる状態なんで、凝ったライディングポジションなどはとても取らせられる余裕がありません。

 

 まぁ、ニャル子さんはなんでもアリなんで、こういう組み合わせもありかなという一例に過ぎませんが。
 ちなみにこのキュイラッシェ、当初はフィギュアーツの何かを乗せようと思って購入したんですが、残念ながら小さすぎて充分なライディングポジションが取れませんでした。
 ああー、シャドームーンなんかに合いそうなんだけどなぁ。

 

 さて、劇中では様々な「どこか見覚えのあるポーズ」を取るニャル子さんですが、実際どんなとこまでやれるものか、せっかくなんで試してみます。
 と、まずは第1話の初名乗り。

 

 劇中のポーズは、何かの制約があるのか、どこか若干違う感じでしたが……
 ではまず、1号の変身ポーズなぞ。

 

 肩の可動範囲や干渉箇所のため、斜め上に腕を伸ばすのが苦手なので、大きく腰を捻ることでそれっぽく出来ました。

 

 では次に、第1話終盤で全裸披露した、2号のポーズを。

 
 
 
 

 正直、腰の移動と決め時の右腕の位置調整がきつい感じです。
 一番様にならない印象でした。

 

 では次に、第2話にて披露して“本当に変身してしまった”あのポーズなぞ。

 
 
 
 
 

 上体をやや斜めに倒す姿勢は、正直再現不能ですが、可動範囲の広い下半身を活かして、それっぽく見せることが可能でした。

 

 最後までやると、とんでもなく長くなるのでここまでにしますが、劇中ではライダーマンやオーズのポーズなども取っていました(しかも後者は本当に変身)。

 

 今回も、figma用のスタンドが付属します。
 先端部は360度回転可能なので、自由な角度に調整出来ます。
 先端部を背中の穴に差し込んで使用します。
 髪の長いキャラの場合、後ろ髪の方に穴がある場合もあるんですが、今回はそういうのはありません。
 支柱の関節はそれなりに固く、浮かせて飾っても支障は出ません。

 

 とまぁ、おかしなポージングばかりではなく、普通に可愛らしいポーズなどを取らせることも可能です。
 というか、figmaは本来そういう方向でのポージングが向いてるんでしょうね。

 

 しかし、この絶対領域は、かなりのものだよね。
 実に良いものです。
 いんやマジでマジで。
 きっちりむっちり感まで再現してるのが、ポイント高いっす。

 

 というわけで、figmaニャル子さんでした。
 個人的には、外出用の赤い私服Ver.とかも出て欲しいものです。
 その際は、表情のバリエーションも増やして欲しい……

 え、制服?
 側面の二本線さえなきゃなぁ……

▲ TOP ▲

【買ってみて一言】

 

 キャラの性質的に、非常にポージングバリエーションの幅が広いアイテムで、かなり楽しめる商品です。
 これまで、何度か「可動範囲が狭い」と書きはしましたが、それはフィギュアーツをはじめとする他社製品と比較したらの話で、こういう形状のコスチュームのフィギュアとしては、むしろ割と動く方だとも解釈出来ます。
 その他、普通に良い出来なので、原作を知らなくても購買意欲はそそられそうな感じです。
 試作版からの劣化も殆どなく、これまでのfigmaの中でもかなり高水準なんじゃないかなと感じました。
 その分、右肩問題が本当に残念です。
 こちらは、(あればですが)再販などで改善されることを祈るのみですね。

 ちなみに、本商品は発売日の数日後(だいたい1/28頃)から、唐突に売り切れが多発し始め、それまでは容易だったWEBでの購入が2月前には困難になりました。
 また、Amazonでは定価以下→定価+1000円以上の切り替わりが数日のうちに行われ、これを書いてる現在では、4500円以上の価格提示が(マケプレですが)されています。
 リアル店舗でも、在庫切れが目立つようになってきたということで、まだ完全に入手不可というわけではないんですが、あまりに急速に需要が高まったという点は、重要な話題性として記憶しておきたいところです。
 これらが、二次出荷ないしは再販で「過去の笑い話」になればいいんですが……

 まさに、恐るべきは邪神なり!
 人心の惑わせ方がハンパないですな。

 
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