SECRET 第46回 ■ ALTER Fate/hollow ataraxia「セイバーオルタ メイドVer.」

2010年5月24日 更新

 ここでは、タイトル画像に利用したフィギュアをご紹介。

 今回レビューするのは、2007年9月に発売され大人気を博した「セイバー メイドVer(以下メイドセイバーと表記)」のリデコ品「セイバー オルタ メイドVer.」です。
 こちらは一般販売ではなく、「とれたて!ほびーちゃんねる」限定通販商品でした。
 これの元になったセイバーオルタとは、「Fate/hollow ataraxia」のHeaven's Feelシナリオにおいて、従来とは異なる属性の存在として登場したセイバーの姿。
 メイドになっているのは、前作「メイドセイバー」に絡めてのお遊び的発想のようです。
 有名作品なんで、説明の必要はないとは思いますが、一応念の為。

 

 セイバーオルタ・メイドVer.(以下オルタと表記)。
 2009年9月25日〜11月10日の受付で、価格は8,000円+送料・手数料。
 当初の予定より一月ほど遅れ、配送開始は2010年5月14日からとなりました。
 原型師は、前作同様(当然)倉本育馬氏(ミリメートルモデリング)。
 付属品類はすべて新造で、オマケとして「セイバー メイドVer.」のちびキャラVerのフィギュアも付いてきます。
 仕様としては、前作とシチュエーションが同じだけで全くの別物と解釈しても良いほどです。
 これで本体価格は前作より若干安いわけですから、そう考えるとかなりお得感があります。

 

 まずは、オルタから見てみましょう。
 全高は約26センチで、メイドセイバーと同じ。
 モップとバケツは別パーツで、それぞれ取り外し可能。
 台座はかなり大型で、24×18センチ。
 フル仕様で飾ると、かなりのスペースを占有します。

 

 本体に対して台座はかなりの面積があるため、工夫すればメイドセイバーと並べて飾ることも可能です(このページでは撮影していませんが)。
 オルタの下半身はメイドセイバーと同じため、固定用ダボ穴の位置も同様。
 そのため、オルタと置き換えることも出来ますし、台座のダボを半分ずつ使用して二人を立たせるのもOKです。

 

 背面。
 特徴的だったオリジナル解釈「ガバッと開いた背中」は当然健在。
 色白な肌がフリルの色調と近いためなのか、これだけ露出しているのにいやらしさがあまりなく、妙に上品に感じられるのは面白いポイントです。

 

 次は上体をアップで。
 ブルー系のメイド服だったメイドセイバーに対し、オルタはブラウン系の同デザインメイド服になっています。
 メイドセイバーが、ややコスプレっぽい印象だったのに対し、こちらは実働メイドという雰囲気があります。
 スカートが短すぎて、実働的とは言い難い気もするけど。

 

 白い髪と肌、きつめの表情、担いだバケツと、よく見るとなんだか凄い組み合わせなんですが、妙に似合ってるのが面白いです。
 元キャラの印象を無視すると、真面目・実直・業務専念なベテランメイドさんってイメージすら感じられたり。
 オルタですから、目にハイライトは入ってません。

 

 斜め前から。
 この角度から見ると、きつい表情が前髪で隠れるせいか、可愛らしく見えます。
 後に触れますが、髪の毛の表現にご注目ください。

 

 反対側から。
 本商品で驚かされるポイントとして、髪の毛の色味・質感が挙げられます。
 メイドセイバーでもすごいなと思わされた部分ですが、今回はそれを更に上回っています。
 白い(正確にはやや乳白色寄り)の髪にグラデ塗装というと、一歩間違えたらものすごくチープな出来になりそうなものですが、オルタは色の吹き方が絶妙で髪の毛のモールドが良く引き立っています。
 これはちょっとした感動レベルで、完成品としては最高レベルなんじゃないかな、とすら思えたり。

 

 顔アップ。
 髪の毛の表現が秀逸すぎるため、本来ある筈のない透明感すら覚えてしまいそうです。
 モールドも割とシャープで、当然塗料ダマもほとんど見当たりません。
 また、ルージュの質感が素晴らしく、ふっくらと柔らかそうで、それでいて派手さはないという申し分のない出来に仕上がっています。
 表情の凛々しさとも相まって、本当に惚れ惚れします。

 

 斜め後ろから。
 アップにまとめられた髪は、前髪と違って色を濃い目に吹いてコントラストを作っています。
 こちらはメイドセイバーでも注目のポイントでしたが、今回も冴え渡っています。
 この写真だと解りづらいけど、首周りだけ肌色が濃いめになっています。

 

 髪をまとめているリボンも、メイド服に合わせたダークブラウン。
 控えめにまとめているのがいい感じです。
 驚いたことに、このリボンの縁にある丸い穴は末端部が全てヌキになっています。
 この細かさできっちり抜いてあるのはすごいなぁと、素直に感心。  
 おかげで今回画像加工する際にすっごく手間が増えたけど、それもまた良し。

 

 左側横から見ると、バケツで大部分が隠れてしまってアングルとしてはちょっと残念。
 けど特に問題となるほどではありません。
 髪のリボンがふわっと浮き上がっていて、微妙な躍動感を演出しているのも見逃せない点ですね。
 こういう細かい仕事が、すごく引き立っていて本当に素晴らしいです。

 

 メイドセイバーと同型の下半身に、ほぼ新造の上半身を乗せるという構造の割に、全く別物に見える妙が凄いです。
 微妙にしならせた身体のラインが、ほど良い色気とかっこよさに繋がっています。
 こういうエロかっこよさは大好物。

 

 メイドセイバーは、ただの突っ立ちじゃなく僅かに腰を横にスライドさせた所謂「かっこつけポーズ」なのですが、オルタも同様でありながら「気取った感」がまるでありません。
 これもまた、リデコなのにリデコ感を覚えさせない上手さなのでしょう。

 パンツについては今しばし待てい。

 

 どうしても目が向いてしまう「バケツ」ですが、こちらもなかなかの逸品です。
 ABS製で、本体とは別パーツ。
 グリップ部分からの取り外しも可能です。
 というか、梱包時では当然別添えになってるんですけど。

 

 バケツは、本体とグリップが別パーツで、全3パーツ構成。
 グリップは実物のバケツ同様の接続方式のため可動式で、こんな風に本体から浮かせることも可能です。
 可動させるためのパーツ分割というより、バケツのリアルな質感を演出するための構成ではないかと考えます。

 

 担いでいる手の周辺はこんな感じ。
 グリップは太い部分から二分割されていて、オルタの左手にある二箇所の穴にジョイントを差し込むスタイルです。
 角度調整が出来るというのが、表情付けに役立って地味にありがたかったり。

 

 ややサービス気味にローアングル。
 バケツ表面に浮いた赤錆まで再現されていて、本当に芸が細かい!
 サビつくってことは、ブリキ製でしょうか?

 

 バケツは中空のため、このように何かを入れることも可能です。
 付属のちびメイドセイバーが、まるでここにしまえといわんがばかりにピッタリ収まります。
 なんだか無理矢理詰め込まれて怒ってるみたいにも見えますね。

 

 バケツとモップを取り外してみました。
 左手がちょっと不自然になっちゃいますが、これはこれですっきりしていて悪くないかも?

 

 色々と視野を妨げていた?! バケツを取り除いたので、せっかくだしこのままサービスカットに行ってみましょう。
 相変わらずのフレンチメイド風ミニスカート、少し視線が下がるだけで下着が見えてしまいます。
 メイドセイバーの白に対して、オルタは黒!
 好対照であります。

 

 後方からローアングル。
 バケツがないので、下半身と丸出しの背中が両方見えて実にエロいです。
 つーか挑発ポーズっぽく見えるぞ俺。

 ちなみにこういう撮影の時、左手で足を持って右手でカメラ操作しているもので、実際は腕がプルプルして結構辛いです。
 下に置いてカメラの位置変更するのもありなんですが、光源の関係上こうするしかないのです。
 嗚呼、手ブレに強いカメラ欲しいなあ。

 

 前面アップ。
 メイドセイバーみたいなパール塗装のようなものはありませんが、これはこれで質素でいいかも。
 個人的にあまり黒下着は好きじゃないんですが、トータルバランス的に今回はこれで正解だろうと納得しています。
 左太股付け根辺りの黒い紐のように見えるのは、お尻の辺りのフリルです。

 

 後方ローアングル。
 肌が白いなあ本当に。
 形状はメイドセイバーと当然同じですが、肌とのコントラストの関係かこちらの方が面積が小さく感じられます。
 絶対領域が映えるのぅ。

 

 メイドセイバー同様、オルタも台座なしで自立させられます。
 安定度はかなり高く、きっちり立たせればふらつく事はほとんどありません。
 台座に接続=いつか足が湾曲、というのを恐れている人や、台座の面積の都合上飾れないという人は、自立させてみてはいかがでしょうか。
 筆者の自宅では、置いた場所の条件もあるでしょうが軽度の地震でも全く倒れませんでした。
 ただし、モップの持ち位置を間違えると後方につんのめるので、そこだけ注意です。

 

 付属品のモップとバケツです。
 恐ろしいことに、モップはこんな角度にも関わらず自立しています。
 雑巾部分はPVCで、それ以外はABS製。

 先述の通り、バケツのグリップは二分割式のため、単体ではちゃんとした形を保てません。
 途切れている部分を、オルタの手の穴に差し込むわけです。

 

 メイドセイバーのモップと比較。
 妙に綺麗なメイドセイバーのモップに対して、オルタ付属のものは使い込まれた感があります。
 一部では、仕事サボってるメイドセイバーと真面目に仕事しているオルタの対比、みたいな話も出ていましたがさて?!
 オルタのモップは、引っ掛け金具の部分が取り外し式になっていて、オルタに持たせる際はこの状態にして右手の穴に差し込む必要があります。
 それを知らないで、横方向から指の隙間を通そうとすると柄が折れてしまう可能性があるので注意です。

 

 メイドセイバーとの比較。
 いい感じで陽と陰になっています。
 こうして見ると、色っぽいとか可愛いというより、なんだかカッコイイですね。

 それでは、両者の形状の違いを細かく比較してみましょう。
 まず下半身は完全に同じ形で、塗装及び肌成形色などが変更されています。
 上半身も背中側はほぼ同じで、腋周辺の皺辺りから上にかけては新規造型。
 胸元周辺のフリルもほぼ同型で、肩上にかかる辺りまではどちらも同形状なのですが、胸元にさしかかる辺りからは形状が変化しています。
 腹部も、アンダーバストの辺りまでは同形状で、そこから上が新造型。
 首はチョーカーから上が丸々新造。
 それ以外の部分も、すべて新造型のようです。
 驚かされるのは、上半身が途中から別形状になっているという仕様。
 どの辺りまでが従来の形状で、どこからが新しいか、両者を細かく比較してみるまで全く解らない(違和感がない)というのは、さすがの一言に尽きます。

 

 ズームで。
 こうして比較すると、メイドセイバーの肌は黄色味が強すぎたんだなと実感させられます。
 最も比較対象が白肌のオルタですから、余計に黄色が引き立つのかもしれませんが。
 その他、やや細面っぽい印象のあったメイドセイバーに対して、オルタはそういうイメージがあまり感じられないのも特徴です(実際はオルタも結構細面なんですが)。
 それはそれとして、どっちも出来が良くて本当に素晴らしいです。
 両方買って本当に良かった!

 

 やや背中合わせ気味に飾ってみたり。
 メイドセイバーからオルタまで2年と8ヶ月という開きがあるわけですが、これが高評価だった前作を凌ぐ完成度を生んだと解釈すると、なんか納得してしまうかも?
 オルタは、受注開始前後はあまり評価は高くなく、リデコという触れ込みがあったためメイドセイバーで満足した人達の関心をあまり強く引けなかったようです。
 オルタを注文した人の中にも、前作が出来良かったから今回もついでに…といったノリの人が多かったのではないでしょうか(事実、筆者もそんなノリでした)?
 けど、届いてみたらリデコだのついでだの、そんなのはどーでもいい納得の出来になっていたわけです。
 あえて注文を見送って、後悔させられた人も多かったようですね。

 

 続けて、付属品というかオマケの「ちびメイドセイバー」です。
 全高約6センチ(アホ毛除く)で、全身PVC製。
 専用のミニモップは別パーツで、生意気にも(?!)専用台座つき。
 ねんどろいどぷち程度の大きさで、これだけで充分独立商品でいけそうです。

 

 別角度から。
 なぜかちょっと怒り顔で、床掃除中というシチュ。
 前作の標準頭身時、あまり真面目に仕事してなかったため強要されたのか、或いはオルタに監視されて渋々なのか、色々深読み出来そうです。
 コロコロしてて実に可愛らしいです。

 

 背面から。
 台座はオルタ同様足の裏にある穴に台座のジョイントを差込んで固定する方式で、二点支持。
 けどこの大きさ(足の短さ)なら、歪みは起きそうにない!?
 尚、台座は6センチ四方の正方形です。

 

 別パーツのモップは取り外し可能ですが、ちょっとだけ持たせづらいかもです。
 まあ支障が出るほどではありませんが。
 また、モップを上手く持たせると台座なしでも自立可能になります。
 ただしこの場合、自立オルタよりは安定性がなさそうです。
 突き出したお尻がぷりちー。

 

 台座・モップなしの本体のみ。
 以前よくガシャボンで売られていたPVC製キーチェーンマスコットよりは大きめ。
 しかし、チェーン流用して飾ってみたくなります。

 

 あんまり需要ないかもだけど、ひっくり返してお約束。
 メイドセイバー同様、白パンツでパール塗装あり。
 ちっこいけどムダに凝ってる!
 オムツみたいに見えるのもまた良きかな。

 

 オリジナルのメイドセイバーと比較。
 パンツだけでなく、メイド服のブルーをはじめ全体の色味もしっかり継承していることがわかります。
 この対比写真だと、小さすぎてわかりにくいかもしれないけど……

 

 今度は、オルタと台座なしで比較。
 それぞれの向いてる角度が違うので、ちょっと癖のある飾り方になってしまうのが難ともいえますが、オマケだし無理に足元に置く必要もないですよね。

 

 パッケージサイズは、約25×30×11センチ。
 通販品のせいか、ウインドウパッージではなく、またメイドセイバーほど体積も大きくありません。
 シルエット部分は他と違う加工でツヤツヤしています。
 ただし、側面部分はこれとは異なる加工です。

 

 右側面部はこんな感じ。
 オルタの全身像が印刷されています。

 

 左側側面。
 こちら側は、オルタの後姿。

 

 そして裏面は、表と同じ仕様でちびメイドセイバーのシルエットが用いられています。
 対比が表のシルエットと同じくらいだから、ちっこい!

▲ TOP ▲

【買ってみて一言】

 個人的な満足度としては、メイドセイバーを確実に超えるだけのものがありました。
 無論これはメイドセイバーが劣っているという意味ではなく、単にそれを上回る出来だったという意味です。
 同様の意見がネット上でも散見されましたし、同様の考えをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
 ともあれ、販売告知開始時の反応とは大きく異なる反応・評価のようで、大変面白いものがあります。

 さて散々リデコと表記しましたが、実際これはリデコというよりは「メイドセイバーを基本に再作成したもの」と表現してもいいくらいの別物です。
 本体の出来は更に高まり、オプションも増加し、更にちびメイドセイバーのオマケまで付属して本体価格はメイドセイバー以下というのも、よくよく考えたらすごいものがあります。
 普通なら、これだけ色々増やせば2,000円くらいアップされてもしょうがないような気もする昨今ですが、本当に大したものです。
 まあ元々の価格が8,000円台とかなり高額ですから、むしろ色々つけて欲しいと考える向きもあるでしょうけど……

 特に欠点らしい欠点も見当たらず、量産品とは思えないグレードの高さに驚かされるオルタですが、あえて難点を挙げるとするなら「肌が白すぎる」という事でしょうか。
 これは何かの変更によるものではなく、試作品発表の時点で明確化していた事なので、本来であれば問題とは言えず、実際筆者もまったく問題視してはいません。
 ですが、どうやらこの白肌がNGだったという購入者もそこそこいたようで、致命的な問題であると指摘していました。
 試作品どころか、原作のオルタセイバー自体白肌ですから、本来であればこの指摘は誤りですが、恐らくは「白肌にしたって徹底しすぎではないか?」的なニュアンスを含めて批判していた人もいるのではないか? とも考えられます。
 これらは改善すべき点ではなく、むしろ「好みでないなら見送るまたは諦めるべきポイント」なのですが、この辺の感覚は手にした人によって微妙に違うでしょうから、色々難しいでしょうね。

 ただ、あえて言うのなら。
 本商品のオルタは首周りに微妙にシャドーが吹かれているのか、そこだけ白肌っぽさがなく普通の肌色っぽく見えてしまいます。
 ともすれば部位によって肌の色が違うという、フィギュアであってはいけない問題にも見えてしまいがちです。
 こういうところが気になって仕方ないという人も、ひょっとしたらいるかもしれませんね、という程度のお話です。
 筆者にとっては、厚化粧で顔だけ白いメイドという風にも受け取れ、むしろご褒美なんですけどね。

 2010年5月下旬頃からヤフオクの相場は12,000〜15,000円程度まで上がり、後から欲しくなった人は涙を呑む羽目になったものですが、2012年2月になって突然再販が確定。
 HOBBYJAPANオンラインショップにて、2012年3月末日まで注文受け付け、7月発送でした。
 さらに、同じ7月にはこちらのリペ版「セイバー メイドVer. R」も発売されました。

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