SECRET 第42回 ■ ALTER Fate/hollow ataraxia「セイバー/Maid Ver.」

2007年12月17日 更新

 ここでは、タイトル画像に利用したフィギュアをご紹介。

 2007年ラストの完成品フィギュアレビューは、ちょっとだけ古い商品です。
 アルターの「セイバー・メイドVer(通称メイドセイバー)」。
 2007年9月21日発売で、価格は8190円(税込)。
 原型師は倉本育馬氏(ミリメートルモデリング)。
 新作ではないのですが、話題作&完成度がとても高かった商品なので、こんなタイミングでレビューしてみます。

 有名すぎるので今更解説の必要はない気がするけど…。

 セイバーとは、TYPE-MOONのADV「Fate/stay night」の主人公・衛宮士郎と契約したサーバントで、その正体は英国の英雄・アーサー王本人(劇中では少女が性別を偽っていたという設定)。
 本来は剣を使いこなす優秀な騎士だが、色々とツッコミ所の多い性格と性質を持っており、特に有名なのが「大メシ食らい」という点。
 本商品は、「Fate/stay night」のファンディスクであり続編の「Fate/hollow ataraxia」に登場する“士郎の妄想”が大元になっている。

 あー、ちなみにうちでゲームレビューを扱わなくなった後の作品なので、残念ながらFateのレビューページはないです、ご容赦!

 基本姿勢は、本来のセイバーの基本?スタイルである「剣を前面に立てた状態」だが、その服装・様相がメイドに置き換わっています。

 顔アップ。
 筆者がここしばらく見て来たフィギュアの中でも、屈指のまとまりです。
 元の絵柄の好き嫌いを別にすれば、かなりの高水準。
 実は、筆者はあまり顔の出来には期待していなかったんですが、購入後に考えを改めました。
 これは、この表情あってこそなんだなあと。

 妄想のせいなのか、メイド服はミニスカート……所謂「フレンチメイド」風。
 というか、ぶっちゃけちょっと凝ったエロメイド衣装です。
 カフスやチョーカーの形状から「コスプレ」っぽく思えて仕方ない気がします。

 胸元に派手さはないのですが、代わりに背中がガバッと開いてます。
 一見地味なんだけど、なんだかジワジワくるエロさがあります。

 どう見てもブラ着けられないですな、これは。
 ただ露出を高めているだけじゃなくて、細かなフリル造形で周囲を彩っているのはポイント高し。
 斜めに腰を傾けているのが、いいアクセントになっています。

 横から見るとこんな感じ。
 単なる素立ちではなく、やや背を反っています。
 このフィギュアは、一見ごく普通のポーズなんだけど、よく見ると細かい所で様々な動きの表情を付けている事に気付かされます。
 真正面から気付きにくくても、こうして横から見る事で、この姿勢が「かっこつけ立ちポーズ」であるとわかるわけです。

 あおり構図で撮影。
 目にハイライトが入っちゃったけど、いい感じなのでわざと修正せずこのままで。

 スカートは、ふわっと膨らんだ上層部と端がギザついたインナー(下層部)の組み合わせが面白いです。
 残念ながら、スカートの取り外しは不可能。
 正しくは、無理矢理引っ張れば外れはしますけど、取り外してもなんら良い事はないです。
 ウエストには段差があるわ、腰全体が貧相になるわ……

 カチューシャのモールドの細かさに驚愕。
 セイバーの特徴的なアホ毛とも見事に両立しています。
 とって付けたような感じになっていないところがさすがというべきか。
 本商品は、こういう細かい所が実に良くまとめられています。

 背面部、腰にかけてのライン。
 エプロンの裏側はこんな感じで、シンプルだけどよく出来てます。
 衣装の塗装は、単なるベタ塗りではなく複雑な効果が施されています。
 それがまた妙に高級感を漂わせていて、飾り栄えします。
 ストッキングから靴にかけての質感表現は、ちょっとため息モノ。

 スカートの中身。
 お約束…と言いたいところなんだけど、こんな所にも異様なこだわりがあって別な意味で感心させられてしまいます。
 ボディにぴっちり密着した下着ではなく、ふっくら感のあるパンツってのも良い物ですね。
 …って、スジ掘りはちゃっかりある所がナニアレなんだ けどさ。

 お約束を後ろから。
 ややボリュームに乏しい感はありますが、その分バランスは絶妙かと。
 絶対領域の引き立ちが良い感じですね。
 私見ですが、画像で見るほどそんなにエロさは感じないような気がします。
 否、エロではあるんですが、なんというか「いやらしさ」という表現とはまた違うような。
 堂々とした、健康的? なお色気という感じでしょうか。
 うーむ、うまく表現できないなあ。

 少し角度を変えてみると、また違った表情が窺える。
 それが、完成度の高いフィギュアの絶対条件だと筆者は考えています。

 モップと手は接続されてませんから、取り外し?自由です。
 台座とかざした手の平でつっかい棒状態にしているわけですな。
 モップの柄は弾力があるので、少しなら曲げても折れる事はないようです。
 ただ、ちょっと位置合わせが微妙にズレやすく、うっかりするとモップがズレた位置で自立している事もあります。

 同時期に撮影していた、超合金魂バイカンフーと比較。
 合成っぽく見えますが、ちゃんと並べて写しています。
 セイバーの高さは、台座込みで約27センチ。
 バイカンフーの高さもツノ込みだと約27センチ(頭頂部までだと約25センチ強)なので、パッと見はだいたい同じくらいの大きさに見えます。
 セイバー単独の画像だとピンと来ませんが、実際に見てみると結構デカイです。

 大きさがほぼ同じなので、試しにセイバーのモップを持たせてみたら…おおっ!
 不気味なほど似合う!
 しかし、モップの力でパイルフォーメーションされても有り難味は感じないわけで。

 では、逆にしたら……
 さすがに剣狼(バイカンフーサイズ)は長すぎました。
 でも、これはこれでかっこいいんじゃないかなと一瞬思ってしまった貴方は、間違いなく「女の子に無闇に巨大な武器を持たせてハアハアするフェチ」であります。

 元絵の雰囲気を忠実に反映させた表情と、異様に細かく丁寧に造形された衣装と備品( モップ)が本商品の最大特徴。
 お色気もさることながら、そのスタイルのまとまり具合の絶妙さが売りなのではないでしょうか。

 パッケージサイズは、高さ約32センチ×横約22.5センチ、奥行約17.5センチ。
 本体のサイズがあれだけある上に、ブリスターの余白部分が大きいものだから、相当なボリュームになっています。
 箱を残しておく主義の人は、管理に手こずるかもしれません。

 オマケ・パッケージ側面。
 やっぱりいいなあ、後ろ姿。
 これが売りの一つなんでしょうかね。

 尚、撮影はしてませんが当然これの反対側は正面向きの写真が印刷されています。

▲ TOP ▲

【買ってみて一言】

 前回レビューした「イズルハ〜黄金の歌姫Ver.〜」が、2007年の締めとして最高の完成度だろうと(自分が購入した物の中では、と付きますが)思っていましたが、このメイドセイバーは判断を揺るがせました。
 キャストオフもなく、特に前面に押し出されたエロもなく、むしろ清楚なイメージの方が強い造形なのに、全体のバランスがかもし出す見事な魅力でユーザーの関心・興味を惹いたという、近年まれに見る真っ当勝負の商品でした。
 ぶっちゃけ、筆者はこの商品に目立つ難点は見出せませんでした。
 無理に挙げるなら、せいぜいモップの固定に難があるという程度ですが、そんなのあって無きが如しの難に過ぎないし。
 また筆者が原典をプレイしていないため大元の絵と比較していないという理由もあるかもしれませんが、とにかく「ぶっちぎりの完成度」であると言い切りたい心境です。
 8000円を超える高額商品で、しかもサイズがデカく飾る場所にも難儀させられる物ではありますが、それでもお買い得さはまったく損なわれていないのではないかと思います。
 うーむ、やっぱり発売直後にすぐ押さえるべきだったかなあ…。

 このメイドセイバー。
 元々はガレージキットだったため前評判は高く、PVC完成品になるという情報が流れた時点で即反応した人も多かったようです(筆者もその一人でした)。
 最初に情報が流れたのは、確か3月頃だったように記憶しているのですが(うろ覚え)、その頃の反応はかなりのものでした。
 ただ、2007年春頃というのは、それまでの完成品フィギュアバブルにやや陰りが見え始めた時期であり、またこの頃発売されていた他商品で「試作サンプル画像と実商品の完成度の落差が激しい」という問題が多々見えていた事もあり、一部では「実際に店頭で確認するまで手は出さない方がいいかも?」という警戒心も生まれていました。
 もっとも、製品完成度の安定性が比較的高いアルターですから、その心配は杞憂だったのですが……

 メイドセイバーは、予約期間もかなり長く、瞬殺現象などはまったく起きていませんでした。
 しかし、実販売され目立つ劣化がほとんどないという情報が知れ渡った途端、一気に店頭から在庫が消え、ネット通販は完売連発状態に陥りました。
 結果、様子見をしようとしていた人達は予想外? の展開に置いてけ堀を食らってしまい、難民が続出。
 その後は、ごく稀に在庫が復活する通販ショップの情報戦が展開していきました。
 …といっても、瞬殺が常識だった過度期に比べれば、実に可愛いレベルの 騒動だったのですが。
 筆者は、たまたま仕事の休み時間に携帯を覗いていて、某所で在庫復活情報を得て即予約を入れたのですが、その直後に在庫がなくなり、その後はこれを書いている現在に至ってなお復活していないようです。
 ものすごく運が良かったんだな…と、後からじわじわ感動したものです。
 こんな調子なので、2007年12月中旬現在、メイドセイバーはネットオークションでも定価前後の微妙な価格帯で取引されており、難民は再販の降臨を待ち続けている状態です。

 「セイバー メイドVer.」という同コンセプトの商品は、実はこれ以外にもありまして、そちらも既に発売済みですが、本商品に比べてイマイチパッとしない出来なせいか、人気は今ひとつのようです。
 もし、これからメイドセイバー(アルター版)を購入しようと思い立った際は、くれぐれもテキスト情報だけで判断せず、商品画像も確認した方がいいでしょう。

 なお、本商品は2012年8月下旬に「Ver.R」として再々販(実際はリカラー版)されました。
 2013年9月現在、まだ余裕で入手可能ですので、入手し損ねた人はお見逃しなく。

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