古物倉庫 第16回 ■ 増田屋コーポレーション「クレイジーホース」
2025年10月4日 更新
なんと「古物倉庫」、ほぼぴったり十年ぶりの更新となります!
どんだけ放置してんだよってな話ですけど、今回ちょっと珍しいものが手に入りましたので、軽くレビューしてみたいと思います。
というか、さっと検索した範囲だと、ネットオークションのページばっかりヒットしてレビューページが全く見当たらないんだけど……もしかして初だったりする?!

というわけで、今回は今や懐かしい玩具メーカー・増田屋の商品「クレイジーホース」を取り扱ってみたいと思います。
……え、何コレ知らないって?
う〜ん、そうだろうなあ、なんせ昭和の、しかも五十年代の玩具だし…
■マスダヤ クレイジーホース:

メーカー名;増田屋コーポレーション
発売日:不明(昭和五十年代頃?)
当時価格:不明
※当時商品の情報が殆ど見当たらず、手掛かりが掴めていない状況です。
もし詳細をご存じの方がおられましたら、是非情報をお寄せください。

「クレイジーホース」とは、享保9年(西暦1724年)から現在まで尚続く超ウルトラ老舗の玩具メーカーで、かつては「モーラー」という玩具で注目を集めたことがあります。
バンダイやタカラトミーのようなキャラクター製品やその関連ブランド商品などは手がけていませんが、1950年代にラジコンを出したり、70年代にはトーキング人形(紐を引っ張ると喋るギミック付き)等で一世を風靡し、現在も幼児向け玩具や知育玩具等を手がけておられる会社となります。
そんな増田屋ですが、70年代から80年代にかけて(今の路線と比較すると)結構はっちゃけていた時期がありまして、80年代のLCDゲームブーム時には液晶ゲーム(所謂ゲーム&ウオッチテイストのもの)を出したりもしていました。
そんな時代に出たのが、今回扱う「クレイジーホース」!
ぶっといタイヤが一個だけ!
しかも、パッケージから半分本体が飛び出てる!
果たしてこれは、いったいどんな玩具なんでしょう?!
……というところから、触れてみたいと思います。

まずは、パッケージ。
今時絶対なさそうな、ぶっといタイヤの上半分が露出し、下半分が紙パッケージ覆われているという独特のスタイル。
しかもパッケージには、まるでどこかの惑星の地表を疾走するような、謎のイメージビジュアルが。
そう、実はこの玩具は、タイヤ一個だけで自走するという非常に変わったプレイバリューを持っているのです!
……誰だよ、そこで「ジャイアントローラーだろw」とか考えたのは?!
あれは走らせるのに別途メカが必要だろうが!
こっちゃあ単独で走るんだぞ! すげーんだぞ!!

この商品、付属品は一切ないので、パッケージの一部側面がそのまま説明書を兼ねます。
要は、ホイール中央の赤い突起を指で摘まんで回すことで内部のゼンマイが巻かれて、手を離すと走り出すというギミックです。
実際は、タイヤの中に仕込まれてるゼンマイボックスをタイヤ越しに指で押さえながらゼンマイを回す感じになります。
そうしないと、ゼンマイボックス自体が空転してしまいます。

パッケージを俯瞰で。
タイヤの表面には紙製の帯が巻かれていいます。
「クレイジーホース」のロゴと一緒に、「BRIDGESTONE」の文字が沢山!
この帯は、千切ったりテープを切らなくても取り外しが可能です。

パッケージを底から見るとこうなります。

パッケージから本体を取り外します。
なお、これはデッドストック品だったので、この商品は数十年の時を経て初めて開封されたことになります!
多分だけど、45年ぶりくらいじゃないかな?

クレイジーホース、フロントビュー。
なんせタイヤなんで、どうしてもこうなります。
なお、リアビューは両端の赤い部分が入れ替わるだけなんで割愛しますね。


サイドビュー。
ホイールの中央の赤い突起は、左右で形状が異なります。
これは、大きい方がゼンマイ回しを兼ねているためです。

斜め上方から。
これがある意味、タイヤのベストポジションかもしれないですね。

内部構造は、こんな感じです。
ゴムタイヤを取り外すと、ホイールのプレートを挟むようにゼンマイボックスが配置されてるのがわかります。
飛び出しているのはゼンマイで、巻くとたるみが引き締まって縮まります。
なお、ゼンマイの力で回転するのは、この画像で正面を向いているホイールのプレートのみになります。

内部構造を別角度から。
これはゼンマイを一杯まで巻いた状態です。
向かって右側の幅が広い赤い部分がつまみで、ここを摘まんでゼンマイを回します。
ある程度ゼンマイを回すとロックがかかり、この状態で安定します。
ここからゼンマイを解放するには、つまみを逆回転させる必要があります。

ゼンマイ解放状態。
ここまでゼンマイが跳ね上がります。
当然、この状態ではタイヤの中に収まらないわけで、あくまで参考映像に過ぎませんが。
巻かれたゼンマイを解放すると、その力が画像左側下部にある薄いギヤに伝わり、回転。
そのギヤが左側中央の大きなギヤを回すことで、左のホイールが回転します。
そして、そのホイールが(本来被さっている)タイヤに伝わり、タイヤ全体を走らせるという構造です。
右側のホイールは、回転機構自体はあるもののゼンマイの力では直接動きません。

ゼンマイを巻いて自走させるのがメインのプレイバリューですが、こうやって傾けて斜め回転させることも可能です。
というか、可能……だった筈です。
実はこの現物、経年劣化なのか初期不良なのかわかりませんが、自走してくれませんでした!
なので、当時弄った記憶に基づく話になります。
ちなみに、先のようにタイヤを外した状態なら猛烈に回転するので、実際はどうなのかよくわからんのです。
タイヤ装着した途端、走らなくなるなんて……何か問題あるのかなあ?

たまたま傍に飾られていた「真骨彫製法 S.H.フィギュアーツ ウイングマン」との比較。
商品の大きさは、直径約6.3センチ、最大幅約5.7センチ。
重量約90グラム。
ウイングマンの大きさが約15.2センチなので、だいたいの大きさのイメージが伝われば幸いです。

以上、クレイジーホースでした!
【総括】
残念ながら、当時の様に軽快な自走は行えない個体でしたが、それでも個人的に満足出来る商品でした。
たぶん四十年以上ぶりの入手だと思いますが、ぶっといタイヤ好きにはある意味ダイレクトヒットなんじゃないかなと思います。
昭和の時代、安価で個性的なギミックを搭載した面白玩具が、複数のメーカーから発売されました。
その中でメジャー化してその後シリーズ化した物の中に「チョロQ」などがあるわけですが、ぶっちゃけた話スポットライトが当たらず終いで今や知る人ぞ知るアイテムとなった商品も沢山あるわけです。
今回のクレイジーホースもその一つで、実を言うと筆者もごく最近まで存在を失念していました。
ふと思い出し、その時点では商品名すらハッキリ思い出せない状況だったんですが、SNS上で情報を募ったところ、親切なフォロワーさんからの情報提供により判明したという顛末です。
現在となってはなかなか入手機会も多くありませんが、当時何となく知っていたという人、或いは筆者のように「あ〜、こんなのあった!」と古い想い出を刺激された方にこのレビューがぶっ刺さればいいなと思います♪
…ところで増田屋さん、昔出されていたLSDゲームやコレみたいなの、復刻とかしてみる気はございませんか?!