第170回 ■ BANDAINAMCO S.H.フィギュアーツ(真骨彫製法)「ウイングマン」

2025年11月8日 更新

 

 2024年10月23日から同年12月25日まで、特撮実写ドラマ「ウイングマン」が放送されました。
 皆さんご存じの通り、これは1983年から85年にかけて週刊少年ジャンプで連載された漫画「ウイングマン」が原作で、なんと四十年越しで叶えられた“正統なヒーロードラマ”である作品でした。

 1984年から約一年に渡り放送されたアニメ作品「夢戦士ウイングマン」は、ヒーロー物というより学園ラブコメ中心といういささか主旨を違えた作品であり、当時の原作ファンの多くを激怒させた事でも有名ですが、この時の鬱憤を晴らすが如く、最新の映像技術で令和に蘇ったウイングマンは、短い放送期間ながらファンに大きな影響を与えました。
 んで、この時代に再登場したとなれば、当然のように関連商品にも期待が及ぶわけで。

 だけどまさか、いきなり真骨彫製法で出てしまうなんて誰も予想してなかったわけで!

 

 というわけで、今回は(少々? 出遅れましたが)この“究極の理想的フィギュア”真骨彫ウイングマンをレビュ―して行きたいと思います。

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S.H.フィギュアーツ(真骨彫製法)ウイングマン:

 

「悪!」

 

「裂!」

 

「ウイングマン!!」

 魂ウェブ商店による受注生産商品。
 メーカー:BANDAINAMCO
 配送日:2025年8月26日(出荷日:8月25日)
      2025年9月25日(出荷日:9月24日)
 受注期間:2024年11月15日〜2024年11月18日(一次)
        2024年11月20日〜2025年3月2日(二次)
 価格:12,100円 (税込)

 

 2024年10月より、テレビ東京系列の深夜ドラマ枠「ドラマチューズ!」にて全10話放送。
 原作者・桂正和氏が各種デザイン、監修、構成に至るまで非常に多岐に渡り企画段階から参加。
 その為、実写化にあたり変更された様々な要素及び新規のアイデア全てに原作者の監修や意見が入っており、限りなく理想的な条件を整えた正統な映像化作品となった。

 私立コウ額高校(コウの字はにんべんに高。機種依存文字の為表示不可)に通う高校生にして重度の特撮ヒーローオタク広野健太は、ある日突然空中から落下して来た少女・アオイと出会い、彼女がもたらした“書き込んだことが何でも実現する”「ドリムノート」に、自身が考案したヒーロー「ウイングマン」の設定を書き込んだ為、本当にウイングマンに変身する能力を得た。

 

 「チェイング!」の掛け声で変身し、5分間だけウイングマンとして超人的な能力を発揮することが出来る。
 武装は両腰に装着した剣「クロムレイバー」と、頭の飾りをブーメランの様に飛ばす「スパイラルカット」。
 必殺技は胸から射出する「ファイナルビーム」や、三体に分身して放つ「デルタエンド」。
 その他「コンティニパンチ」「ウイングルクラッシュ」などの技も持つ。
 強化形態「ガーダー シルエット」も存在する。
 変身解除コードは「リ・チェイング」。
※実写版設定。

 

 さて、ウイングマンです。
 実写放送開始後の話題沸騰の中、僅か三週間程度でいきなり予約開始した影響もあってか一次予約はほぼ瞬殺、二次予約でようやく行き渡ったという凄いスピード展開を見せた本商品です。
 初回の瞬殺ぶりはかなりのもので、当時は凄く驚いたものでしたが、話題性ピークだったこともあり納得する部分もありました。
 後に二次受注が開始されましたが、そちらは非常に長い間受注期間があり、殆どの人はこちらで入手が叶ったのではないかと推測されます(筆者もその一人)。

 いつもの真骨彫お馴染みにスーツアクター&スーツ装着状態のスキャンに加え、桂正和氏による監修(実写版スーツへのデザインアレンジもご担当)が入り、更には「実際に撮影用スーツの色ではなく、映像で見える色に合わせて調整した」というやりすぎなくらいのこだわりが結実し、正直とんでもない完成度に至っています。

 

 もう総評を待つまでもなく、この時点で「立体物・可動フィギュアとして最高傑作間違いなしのウイングマン」であると早々に断言しちゃいます。
 そのくらい、この真骨彫ウイングマンは本当にとんでもないシロモノです。

 

 真骨彫ウイングマン。
 全高約15.2センチ、重量約50グラム。
 スタンダードな真骨彫サイズです。

 

 後に細かく触れますが、一部可動に癖があるものの非常に良く動き、何よりポーズを決めた時の違和感がなさすぎてもうやんなっちゃうってくらいほれぼれします。
 スーツアクター・橋渡竜馬氏のスタイルがバッチリ再現されていて、可動フィギュアもとうとうここまで来たかぁと感動すら覚えます。

 

 ウイングマン・フロントビュ―。
 黒に水色のカラーが映えるシンプルなデザインですが、実は撮影用スーツは実際は“紫がかった青色”だったそうです。
 しかし実際にテレビに映ると水色っぽい色合いになってしまうそうで、本商品はそちらに合わせたカラーリングを選択したとの、桂正和氏のコメントが存在します。

 胸のプレートは他の部分と異なり、より淡い色合いになっています。

 

 サイドビュー。
 この角度から見ると、ホントに人が入っている感じがして凄い気がします。

 

 バックビュー。
 背面の複雑な模様もしっかりと再現されています。

 

 頭部アップ。
 額の飾り(ツノ)と両肩の飾りはクリアパーツに着色されたもので、透明感が素晴らしいです。
 一見ゴーグルに見える(けど違う)目の辺りのマット感、頭頂部のモールドが素敵。

 

 頭部側面。
 目の部分がグラスではなく、側頭部と一体化している(境界線がない)という、正統派に見えてかなり異質なデザイン構成ですが、個人的にそこが大好物。
 意外と複雑な面構成もバッチリです。

 

 頭部可動範囲、上下幅はこのくらい。
 俯くのはかなり深いところまでいけるのですが、意外と見上げるのは苦手。
 これは頭部後方のでっぱりが干渉してしまうためです。
 なお、横方向には360度回転可能です。

 

 改めて背面。
 後頭部の模様、背中の青いラインはタンポ印刷……ではなく、なんと全て浮彫り部分への塗装で再現されています。
 凄い塗装精度!

 

 続いて可動を見て行きます。
 まず両肩と腕ですが、肩アーマーは上腕側に接続された跳ね上げ式で、水平以上まで上げられます。
 肘は非常に深く曲がり、目測135度くらいは行けています。
 この可動とは別に、肩関節そのものは回転可能なので、両腕を真上に上げることも出来ます。

 

 両肩は引き出し式で前方にせり出すことが出来ます。
 腰は、左右に45度まではやや届かずといったくらいまで回せます。

 

 画像だとあまり動いていない印象ですが、普通の人間が動かせる範囲と同じくらいなので、違和感はあまり感じられません。

 

 腰の前後可動。
 まずは背面方向ですが、結構凄い所まで反らせることが出来ます。
 ちなみに背中から腰にかけて伸びている部分は軟質樹脂製で、可動に合わせて曲がってくれます。

 

 逆に前屈はあまり得意でない感じです。
 ベルトのバックル周辺が、腹部に干渉するためのようです。

 

 脚部可動。
 両脚は横方向にここまで曲げることが出来ます。
 しかし足首の横方向の曲がり幅はそこまでは対応してないので、(自立は出来るものの)こんな角度になってしまいます。

 

 足首を限界まで動かし、足の裏がちゃんと接地する状態だと、ここまでの展開が限界です。

 両腰のクロムレイバーのホルダーは可動式で、若干ですが回転や角度変更が可能です。
 旨く調整すれば、脚の動きの邪魔になりません。

 

 前後方向にもかなり動かせます。
 また、足首の前後可動もこのくらいが限界です。
 良く見ると、ブーツの靴部分って運動靴みたいなデザインなんだなあ。

 

 一応、片足立ちも可能です。
 足首関節がそれなりの固さを誇っているおかげなんですが、ぶっちゃけかなり絶妙なバランス感覚が必要です。
 少なくとも、こんな片足立ちでいつまでも飾るのはリスキーなんで、どうしてもキックポーズで飾りたいなら魂STAGE使ってください。

 

 続けて、作中では綺麗なCGで表現されていた翼。
 こちらは差し替えで再現されますが、造形、彩色、大きさ、ボリューム共に良いバランスになっています。
 微妙につけられたグラデーションが実に良い質感。

 

 翼は、背面のこのパーツを交換して差し替えます。
 ちなみにこのパーツ、接続力は結構強めで勝手に脱落はしません。

 

 これを、翼付きの同型パーツに差し替えることでもう一つのスタイルになります。
 翼は大小各二枚ずつの合計四枚構成。

 

 ウイング展開状態・フロントビュ―。
 この画像の状態だと、全高約18.8センチ、最大幅約21.2センチ。
 翼パーツ装着時の重量約60グラム。

 

 バックビュー。
 この翼パーツは非常に安定性が悪く、しょっちゅうポロリします。
 これが、本商品の数少ない問題点。
 ついでに、これを着けた状態だと魂STAGEに固定がしづらくなります(出来なくはないけど難しくなる)。

 

 大小翼の基部はそれぞれ回転可能な構造で、こんなありえない向きにすることも出来ます。
 大きな翼がほぼ反転するくらいまで回せるってのも凄いもんです。
 意味の有無はともかく。

 

 翼の角度を変えてサイドビュー。
 翼は意外に分厚く頑丈な造りになっているのですが、その割にさほど重くないのはさすが。
 少々前屈みにする必要がありますが、一応魂STAGEなしでちゃんと立たせられます。

 

 先の通り、翼の角度変更はかなり自由度が高いので、好きな位置に動かすことが可能です。
 ただ、小さいほうの翼は位置的な問題で可動範囲はそこまで大きくはないので、そこは工夫が必要になるかもしれません。

 

 それにしても、ツノや翼の透明感が本当に美しい……
 カッコ良くて更に美しいなんて、もう最高かよってなります。

 

 ここからは装備について。
 スパイラルカットは、パーツ差し替えで再現可能です。
 頭頂部のパーツを外して、分離したスパイラルカットを持たせ、頭にはツノが外れたパーツを接続します。
 スパイラルカットを持つ手首も当然左右付属します。

 

 魂STAGEにスパイラルカットを固定させ、投擲シーンを再現するためのパーツが付属します。
 写真では分かりにくいですが、アームの先端に付けられる透明なパーツがそれです。

 ちなみに魂STAGEがなくても、figma付属のスタンドでも使えます(写真のアームはそれ)。

 

 反対になってしまったスパイラルカットVer.もあります。
 よくわかってらっしゃる。

 

 片桐彩子さんです。

 

 スパイラルカット全パーツ構成。
 左から、

・通常パーツ(ウイングマンに元々着いているもの)
・逆さまスパイラルカット
・スパイラルカットが外れた状態の頭頂部パーツ
・スパイラルカット単体
・スパイラルカット固定用パーツ

 いずれも、黒く細いラインがきっちり彩色されているのはお見事です。

 

 続いて「クロムレイバー」。
 ウイングマンの主力武器は、腰から直接取り外して使うことが出来ます。
 このまま持たせることでショートバージョンになります。

 

 クロムレイバー・ロングバージョン……というか本来の方。
 全長は約9センチと結構長めで、ブリスターの中でも少し斜めになって入っています。
 これを握る為の手首は二種類(計四個)ありますが、いずれも握らせるための穴の口径が小さく、握らせたり取り外したりするのがかなり困難です。
 下手するとクロムレイバーを折ってしまいかねないので、くれぐれも注意が必要です。

 

 クロムレイバーUP。
 裏表でモールドが違っています。

 

 当然、クロムレイバーは二本付属。
 先の通り、持ち手も角度違いで二種類あります。

 

 角度を変えるとより分かりやすいかと。
 武器持ち手は左右共にあるので、自由度はかなり高いです。

 というか、ウイングマンの付属手首、物凄く種類と数が多い……

 

 以下、適当なポージングなど。

   

 しかし、どんなポーズもバシバシ決まって心地良いなあ♪
 さすがに翼を着けると自立させるのが困難になるけど。

 

 クロムレイバーは大小共に非常に細いパーツなので、とにかく破損しないように常に注意を払う必要があります。
 腰に装着している時も、転倒や落下により折れる可能性もあるので、出来るなら魂STAGEなどでしっかり支えて飾る方が賢明だと思われます。

 

 ドリムノートも付属します。
 長さ約2.2センチ、最大幅約1.9センチ。
 当然、これを持つための手首も左右共に付属します。

 

 ドリムノートは展開可能で、しかもペンも取り外し可能です。
 ペンはノートの背表紙側に取り付けられるようになっています。
 ページはこの見開きだけしかありませんが、健太の書き込み内容がかなり細かく記されていて驚きます。

 

 ペンの持ち手は、右手一つだけになります(左右揃っていないのはこの手首だけ)。
 このペンもかなり細かい&細い上に、持たせるのにコツが要るので、こちらも破損や紛失に要注意です。

 

 ドリムノートUP。
 表と裏は同じデザインです。
 左側のペンは、側面部にある凸ジョイントで接続します。

 ペンは全長約1.5センチ。
 それなのに、こんなに細かい塗装が……

 

 ドリムノート内容UP。
 もうこうやって拡大でもしないと読めないくらい、記述内容が細かいです。
 ホント、よくここまで再現したもんだなあ。

 

 交換用手首はこんなに付属します。
 左列の一番下の一個だけのものがペン持ち手首。
 中列一番下がスパイラルカット持ち手。
 右列の上寄り二種が武器持ち手二種になります。

 

 ウイングマンは特に比較するようなものが思い当たらなかったので、たまたま手近になった「仮面ライダーファイズ・アクセルフォーム」と。
 こうして見ると、案外体格差あるんだなあと思わされます。

 

 以上、真骨彫ウイングマンでした!

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【総括】

 

 もう最初の方で散々書いたので今更書き足すことはないのですが、とにかくシンプルに「理想的なほど出来が良い」の一言です。
 固定フィギュア並の完成度、動かしても違和感が仕事してくれないボディラインの自然さ、アップで見ても粗が見当たらない塗装精度、そこに加えて可動範囲の広さ。
 四十年待った甲斐のある、決定版のウイングマンがここにあります。

 実写版のデザインが好きではないという人でなければ、あらゆるウイングマンファンに手に取って頂きたいと思わされる完成度と断言して間違いないでしょう。

 なお、既に予約期間は終了しましたが「ガーダーシルエット」版も2026年3月に発売されます。
 また2025年11月現在正式な発表はされていませんが、どうやら赤・黄Ver.のウイングマン発売を示唆する告知画像も出ています。
 このグレードのウイングマンでデルタエンドを再現出来るとなったら、もう言う事なし! という感じですね。
 ……デルタエンドの「ショック!」で飾れるのか、甚だ疑問ではありますがw

 ちょっと思う事があり、メルカリで相場を調べてみたところ、どうやら定価+送料くらいの価格で購入されるケースが多いようです。
 しかし2025年11月初旬現在、15,000円以上の出品が殆どのようです。
 今から最適価格で入手するのなら、結構運任せになりそうですね。

 

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