第35回 ■ バンダイ 超合金魂「ガンバスター」2 &コトブキヤ「タカヤノリコ」

2007年1月3日 更新

「合体したガンバスターを、ただのマシンと思わないでよ!!」

「コーチの……コーチの! コーチの心が! こもってるんだからぁぁぁぁっっ!!」

   

●ガンバスター

 ガンバスター。
 玩具では合体再現は絶対不可能とされ、過去幾多ものメーカー・ブランドが「合体後の再現」のみに尽力せざるをえなかった最強スーパーロボット。
 それが、合体とギミック、可動を両立させまくり過ぎて、今、ここに存在する!

 商品全長約30センチ、頭頂部約24センチ。
 首・肩(突起状パーツ・本体肩両方)・肘・胸・股関節・膝・足首が可動。
 上腕・腰・膝・足首に回転機構あり。
 股関節と突起状肩パーツはクリックが設けられており、勝手に回転・展開はしない。
 肘・膝はさすがに二重関節ではない。

 両脚は、予想以上に可動幅が広い。
 横方向はこんなところまで広げられる。
 さらに腰横のパーツも横に動くので、もう少し可動幅を確保できる。

 構造上、背面に回される余剰パーツは取り外しも可能。
 全部外すとこんな感じに。
 ずいぶんすっきりする。

 両肩は、巨大な邪魔物があるにも関わらず、かなり上の方まで上げられる。
 後述するが、実際にはほぼ真上まで上げる事が出来てしまう。
 しかも、肩パーツはそれぞれ別可動(構造上当然だと言ってしまえばそこまでだけど)。
 肩装甲の前面部と背面部のプレートも前後方向に可動。
 腕の動きの制約を緩めている。

 ここまで動くのだけでも脅威なのに、さらに! 肩は前方向スイングが可能!
 そりゃまあ、そうでなくては困るわけなんだけど…(後述)

 ガンバスターの基本体勢・腕組み!
 しかも、手首以外差し替えなし!
 ここまでやるかあっ!!
 …といっても、実はこれにはタネがあったり。

 前腕の装甲を二枚取り外し、微妙に角度を調整して組み合わせる必要あり。
 一応説明書でも記されているデフォルト機能なんだけど、装甲取り外し・再接続の際はくれぐれも基部破損に注意。

 この腕組みは微調整が可能なので、工夫次第でさらにきっちりした腕組みが可能になる。
 と言っても、さすがにある程度の妥協は必要だけどね。

 ガンバスターのテーマが、脳内で演奏されるような…素晴らしい迫力!
 もし、この製品が低価格化を狙ってもっと小型になっていたら、きっとこんな迫力は生まれなかったことだろう。

 OVA第4話の発進シーンを思い出し、漢泣きにむせぶが良い!  交換用手首を色々つけてみる。

 平手は、OVA5話で見せた宇宙怪獣の光線を弾くシーンや、「ダブルバスターコレダー」のシーン再現に使用したいところ。

 両腕と両脚の装甲を展開すると、内側にシャフトが内蔵されている。
 これを立てて……

 「ダブルバスター・コレダアァァァッッ!!!」

 さすがに、シャフト自体の伸縮はナシ。

 腕と脚の装甲は、元に戻す時におかしなクセがつく場合があり、綺麗にまとまりにくくなる事があるので、取扱は慎重に。
 基部は意外に薄いパーツで構成されている上に、はめ込む時はパーツ材質の弾性に頼る必要があるので、くれぐれも破損だけは起こさないように(すでに割ってしまった人も居るらしいので)。

「バスター・ミサイル!」

 “マ゛ッシ!”と思わず言いたくなる、指先のアレ。
 光速戦闘兵器なのに宇宙空間でミサイルをぶっ放す豪快さが良い。

 手の側面部のつまみをスライドさせることで、発射直前の弾頭部露出再現可能。
 もう、やりすぎ♪
 材質は、これと可動指拳のみプラ製。
 それ以外はPVC。

 握り拳。
 可動指拳が結構大きいせいか、実は意外に使い道がなかったり。
 スーパーイナズマキックの時にでも使用するべきか?
 しかし、大きくて迫力があるから着ける事は無駄にはならない。

 なおデフォルトの可動指拳は、なんと親指を除く四本が独立可動!
 武器の保持力も充分で、もうホントやりすぎ!
 もちろん、これを接続したまま変型可能。
 というより、こちらが収まっている方が基本スタイルだよね。

 OVA第4話ラストで印象的な、ジゼルを右手に乗せたスタイル。
 これも、専用の手首で再現。

 当然、掌にはナビゲート用のアイコン表示も印刷されている。
 やっぱり、これがないとね。
 へこんでいる部分は、ジゼルの足を置く所。
 ただ、これを利用しても設置安定度は低い。

 ジゼル。
 アマノカズミが途中まで使用していたマシーン兵器RX-7。
 本当はもっと対比的に小さい筈なんだけど、手の中に立たせる都合上ちょっと大きめになっていたり。
 ちなみに、自立性はほとんどなし。
 後ろに倒れやすく、絶妙な調整をしないと立たせられないので、無理して飾るメリットは少ないかも。

 次に、ポージング。

 「両脚を開ける」「上体を屈める」「腰が回転する」「肩の自由度が(意外に)高い」などの特徴により、想像以上に派手なポーズが取れる。

 というか、ポーズを調整しているうちに、これが複雑な変型経て合体したものだとは信じられなくなってくる!
 
 ただ、この可動幅が広すぎるせいで若干問題が発生してしまうのだけど。
 これについては後述。

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●各種武装

 今度は、付属の武器を装備して色々と。

「バスター・トマホーク!」

 OVAでは、5話の合体シーンでちらっとだけ登場(武器としては未使用)。

 左肩装甲内に収納されている武器。
 この武器庫はなかなかの驚き。
 後述のバスターホームラン収納形態も、同時に入れられる。

 ハッチの内側には「努力」の文字が!
 ジゼルの身長よりデカい文字で刻まれている!

 なるほど、強いわけだぜガンバスター。

 右手で持っているのは、収納形態のバスタートマホーク
 どう見てもゲッター1のアレ。
 この状態だと、ちと保持が難しい上に迫力不足。

 左手のはスタイル重視版? バスタートマホーク。
 こちらはゲッタードラゴン風味の形状。
 二本付いているのだけでもありがたいのに…

 シャフトを繋ぐことで、合体も可能!
 シャフトは金属製。
 トマホークは、それだけで結構重量感がある。
 しかし、保持については単体・合体時共に問題なし。

 「バスター・ホームラン!」

 OVAでは、バスタートマホーク同様変型時に一瞬だけ画面に登場(武器としては未使用)。
 一見打撃武器に見えて、実は敵光弾を弾き返す防御用武器だという意外な用途が燃え所。

 収納形態はシャフト?部が伸縮可能。
 ただ、伸ばしても小さすぎてあんまり持たせる意味がなかったり。

 スタイル重視版。
 でっかい撲殺バットそのもの!
 敵光弾がないから、これだけだとちょっと寂しいかも。
 金属製だったらシャレが効いてたんだけど、さすがにプラ製。

 大リーグボール一号「バットに当たる魔球」返し!

 「バスターシールド!」

 まさか、これまで再現するとは!

 右肩ハッチ内に収納されている、マント状の防御幕。
 5話で使用。

 三角型に幾重にも折りたたんで、ハッチ内にちょっと強引に押し込んで収納。
 おおかたの予想通り、こちらの収納庫内には「根性」の文字!

 布の角についたプラパーツで固定し、手で持ち支える装備法。
 ただ、ちょっと対比が小さいので劇中とイメージが異なる。
 
 ちなみに、布の性質上説明書の指定通りにたたんで収納していると、折り目がついてしまうので注意。
 これが我慢ならないという人は、収納はせずに梱包時のように広げて付属のビニール袋に収納しておくといいかも。

「バスター・ミサイルマイト!」

 設定上の武器でまったくの未使用。
 確認してないけど、ひょっとしたら初の立体化かも?!
 元ネタは「流星人間ゾーン」でゾーンファイターが使う「流星ミサイルマイト」。
 だったら二つ欲しいところなんだけど、残念ながら一つしかない。

 腕の装甲を展開し、バスターコレダーのシャフトを取り外してから、手首を中に通す形で装備。
 ジョイントは各装甲の基部の凹みに接合させて固定。
 かっちりはまらず固定もやや甘いが、圧倒的な大きさ(本来の腕より太い!)で存在感は抜群。
 ただ、前腕装甲が思いっきり全開状態になるので、装着後はあまり大きなポーズがつけられないかも。
 シャフトパーツの破損には、くれぐれも注意を。
 結構丁寧に扱わないと…

 そして、真打…

「スゥパァァァァ!!」「イナズマァァァァッ!!」
「「キイィィィッッック!!!」」

 これが出来ずして、ガンバスターにあらず!
 「トップをねらえ!」の世界ではもはや伝統とされている、究極必殺技。
 もはや説明の必要なし!

 基本的にスーパーイナズマキックはガンバスター本体のポージングによるものだが、脚部にオプションパーツが存在する。

 まず、スタイル重視用の足首。
 デフォルトで付いている可変足は、かかと内部(バスターマシン2号最先端パーツの手前に位置している)のスイッチで分離が可能で、足を交換できる。
 スタイル重視用足首は劇中イメージ通りの形状の上、足裏にはきちんとノーマル状態のキャタピラがある。
 このキャタピラはサスペンション構造になっており、接地させると内側に引っ込む。

 次に、各足首とそれぞれのトゲキャタピラパーツ。

 変形用足首パーツ用のものは、変形によって生じた溝にパーツをはめ込む形になっていて、保持力は問題なし。
 こちらは、前後のキャタピラがまとまっている一体式。

 スタイル重視用足首のトゲキャタピラは、サスペンションを利用して引っ込んだキャタピラの上から強引に組み込むスタイルになっている。
 こちらは、前後がパーツ構成で、変型用足首用のように一体化はしていない。

 よくよく考えると、この装備は(破壊規模に対して)余り意味がないように思えるが、もはや理屈など無用なのである。

 言うまでもないけど、これを装着したままで直立させないように。


 ディスプレイ台最上部のジョイントを腰にはめて…

 「スーパーイナズマキック」体勢で飾る事も可能!

 …なんだけど、いくら太い凸ジョイントとはいえたった一本の短い棒だけで全重を支えているので、あまりやらない方がいいかも…
 実際、やってみるとかなり不安タラタラな状態だし。
 せめて二点保持だったらねえ。

 そして、ガンバスターならこれがなければ…という、胸装甲離脱ギミック。
 謎の肋骨風フレームも、きっちり再現されている。
 胸装甲はプラ製で、肋骨風フレームは合金製。

 次は当然縮退炉露出。
 PVC製の縮退炉パーツの末端がコの字型になっていて、それを肋骨風フレームにはめ込んで固定。
 いわゆるなんちゃって固定なんだけど、なかなかいい感じにディスプレイ出来る。

 上半身アップで。  最後に、ディスプレイ台。

OVA第5話で印象的な発進準備シーンを模したディスプレイ台が付属。
 一見ものすごくあっさりしている構成ですが、この状態ですべてのパーツが収納可能な上、バスターマシンでもガンバスターでも飾れるようになっている。
 ジゼルの配置に注目。

 ディスプレイ台の底に、付属パーツを収納可能。
 武器やオプションだけでなく、バスターマシン1号2号用のディテールアップパーツまで収められる。
 倒れやすいジゼルは、なくしたくないならこの中に放り込んでおくのが吉。

 一件単なる1号の支えにしか見えないタワーの裏側は、実はオプション拳パーツ収納庫になっている。
 縮退炉もここに固定。
 後述するアームを巻きつけてロックをかける。  逆に言うと、アームで固定しないと縮退炉はいつ倒れるかわからない。

 タワーの位置をずらして、ガンバスター用ディスプレイモードに。
 バスターマシン1号の噴射口を固定するブロックは、タワーの下に隠れる形になる。
 タワーには二本のアームが巻き付けられていて、これを伸ばしてガンバスターの前面を支える。
 前のめりになりやすいガンバスターは、これでかなり安定度が稼げる。

 

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●問題点

 出来の良い魂ガンバスターにも、当然いくつかの難点がある。

  • 首があまり回らない
  • 両手足の装甲のまとまりが悪い
  • コレダーシャフトや腕装甲など、本来はずすべきではなさそうなパーツの差し替えがある
  • 上半身が前屈みになりやすい
  • 意外に自立性が悪い
  • 手首を交換させ辛い
  • 背面余剰パーツのまとまりが悪い
  • ディスプレイ台にもっと安定性が欲しい

 ガンバスターの首は下向きのツノが干渉するせいで、どうしてもうまく動かす事ができない。
 しかし、よく見るとこれはデザイン上の問題ではなく、ツノパーツの接続方法によって発生している問題だとわかる。
 ツノの開き幅があともう少し稼げるだけでも、かなり変わった筈なので、本当に残念だ。
 このレビューの撮影時は、片方のツノを少したたんで可動幅を確保したりしている。
 なんとなく、左右のツノが逆についているようにも見えるのだが…。
 また、上を向けない構造なのもちょっとつらい。
 これも、特に問題なく出来そうな気がするんだけどなあ…。

 ダブルバスターコレダーや腕組み、バスターミサイルマイト等を行った時、一度開いた手足の装甲が妙にまとまりにくくなったりする事がある。
 これは、根本でジョイントが僅かにズレていたり、微妙な角度をつけて閉められてしまったせいで綺麗に収まらなくなっているようだ。
 こういう事が結構ひんぱんに起こるので、人によってはかなりイライラさせられるかもしれない。
 また各装甲のジョイントはものすごくモロそうなので、乱暴に扱うとポッキリ逝きそうでめちゃくちゃ怖い!
 実際はそこそこ耐久力があるのかもしれないが、装甲のハメ込みと取り外しはパーツ素材の弾性に頼っているので、出来る限り繊細に扱わないとならない。
 これはかなり神経を使う。
 また、腕装甲は配置が決まっているので腕組みを戻す時に装甲を着け間違えると、バスターマシン1号形態時に問題が生じる(バーニア付近のラインが狂う)。

 バスターミサイルマイトの場合は、腕装甲からコレダーのシャフトだけを取り外す必要があるため、益々ストレスがたまってしまう。
 装甲の根本だけではなく、シャフトの根本にも負担がかかるので、ものすごく怖い。
 いっそのこと、ミサイルマイトはなくても良かったんじゃないかなあ…と思わされるくらい。
 まして、ミサイルマイトパーツ自体(シャフトを外しても)安定が悪い上にサイズの問題でポージングが限られてしまうので、益々たちが悪い。
 少なくとも、筆者はあんまりこれを装備させたくない。  上半身が前屈みになりやすいというのは、二重の意味でまずい。

 これは、バスターマシン1号の胴体内部・ガンバスター腹部の回転ギミックの固さに関する問題で、個体差があるかもしれないが、かなり安定が悪い。
 このため、気をつけないとすぐにバランスが崩れてしまうわけだ。

 もう一つ、これによって胸装甲が破損する可能性がある。

 上体が前屈みになった際、時々胸装甲が下半身の装甲(股間部から伸びている中央の突起)の内側にめり込んでしまい、表面を削ってしまう事がある。

 筆者のはモロにこの状態になってしまい、泣かされた。
 本来なら、前屈みになって胸装甲が内側に食い込む事はないのだが、たまにそうなる時がある。
 だから、動かす時は上体の角度に注意を払わなくてはならないだろう。
 いやホント、ものすごく目立つ位置に傷が付くから、気をつけないとホントまずい。  これらに連動するという訳ではないが、魂ガンバスターはとにかく自立性が悪い。
 足首関節はかなり可動幅があるので接地性はいいのだが、いかんせん形状のせいで重心が高いのか、前のめりに倒れやすい。
 重い上に結構デカい物だから、とにかく色々な意味で転倒には注意されたし。
 ディスプレイ台に「前のめり防止」のバーが付いている事を考えると、これは製作段階でわかっていた問題なのかもしれないが…

 ちなみに足首だが、これは可変用・スタイル重視用のどちらも立たせ辛い。
 可変用はつま先が短くかかと側が長いせいか、元々前のめりになりやすいガンバスターの姿勢補助の役に立ちにくい。
 またスタイル重視用の方は、つま先のリーチはいいものの足の裏にあるキャタピラが災いして、スマートに立たせてくれない。
 足の裏のキャタピラは引っ込んだ状態でロックがかからない構造になっているので、常に足裏を浮かせようとする力がかかる。
 そのせいで、でこぼこした場に立たせているような状況になってしまう訳だ。  手首交換させ辛いというのも、きつい問題だ。
 ただ、これは実は本体側の問題ではない。
 むしろ交換用手首の問題だ。

 交換用手首は根本部分が妙に固く、スムーズに取り外せない。
 それだけならまだしも、「腕組み用」手首等は手首関節部分がスポッと抜けてしまう事が多く、外すのに手間がかかってしまう。
 本体側手首のボールジョイントは金属製のため、多少の負荷には耐えられるようだからいいが、とにかくかなり力とコツを加えないと取り外しが出来ないため、ここも大変神経を使わされる。
 いつかバキッと逝きそうで怖いのなんのって…  ガンバスター形態時、余剰パーツがすべて背中側に回るという「バンダイ方式」が用いられているが、処理手段そのものはともかく、あまり綺麗にまとまらずプランプランしちゃうのは、なんとかして欲しいところ。
 特に、下半身から伸びている2号機上面部を包む装甲のぶらつき加減は、かなりイラつかされる。
 これは、背面の処理そのものに納得している人でもムカつくかも。
 まー、合体時に取り外せばいいだけの話なのだが、せめてもう少しプラつかずに済むような工夫があれば、ストレスなく遊べると思うのだが…。
 なお、パッと見は背面スラスターで両脇を支えられそうに思えるが、スラスター基部の可動幅の問題でこれは不可能になっている。
 だから、もし装甲の根本がさらにプラついたら、補強しない限りストレスは続く。
 ぬう〜…

 ディスプレイ台だが、これにも若干不満がある。
 まずタワー最上部の「スーパーイナズマキック固定用ジョイント」だが、先の通り一点支持では怖すぎてとてもじゃないが利用できない。

 もう一つ、タワー裏側の拳収納部だが、ここに収められる「大型縮退炉」パーツのロックがほとんどないに等しいため、「ガンバスター前のめり転倒防止パーツ(アーム)」を巻きつけていない限り勝手に外れて倒れる事が多い。
 これも、もう少しなんとかして欲しかった点だ。

 最後に、台座。
 底面部に各種パーツを詰め込めるのはいいのだが、蓋がロックされないのはかなり厳しい。
 簡単な仕掛け(スライドロック等)でもいいから、固定できるようにしてほしかったものだ。
 予備知識がない人がヘタに持ち上げようとすると、中身ぶちまけるんだよなあ…実際やられかけたし。  細かい部分で気付くのは以上だが、おおまかに見ると、やはり先で述べてきた「変型合体のアレンジの仕方」や「一部ギミックの変更処理」は、人によって受け入れ辛いものがあると思う。
 特に、理由の如何を問わず原作に忠実じゃないと納得できない人や、先述のハーフアイ版に先に触れてしまった人等は、不満を漏らすかもしれない。
 この辺は、「新しいアイデアで無茶なギミックを乗り越えた」と解釈・納得できるか否かが重要なのかもしれない。

 個人的に、このあたりはまったく問題だとは思わないのだが、一部で強烈に糾弾する声もあるようなので、一応挙げておきたいと思う。  もう一つ、スタイル面の不満として「太腿が細すぎる」という意見を耳にする。
 これは、2号機の変型行程が変更された影響によるもので、ふくらはぎ内部に太腿が収納される上にバスターコレダーのギミックまで搭載された故の弊害だ。

 本来なら、2号機には脚部伸縮ギミックは存在しないので、太腿は太くなりようがない。
 しかし、原作通りに作ると今度は2号機の機首が極端に短くなり、原作のようなスマートなラインが再現できなくなってしまう。
 結局、これも二次元の嘘が生み出してしまった矛盾なのだ。

 ただ、実際に手にしてみると、この太腿の細さはさほど気にならない。
 写真で見るとものすごくアンバランスに見えてしまうのだが、実際はそうでもない。
 むしろ気になるのは、可動幅確保のために広げられた脚の付け根と膝部分の幅広さだ。
 これにより、太腿装甲がやたら短くなってしまい、また別な違和感を発している。
 筆者は(処理上仕方ないとわかってはいるものの)、こっちの方が気になって仕方ない。

 また、太腿が細すぎるように見える理由の本当の原因は、ふくらはぎが太すぎるせいでもある。
 ここで、「どうせ伸縮させるならもっとパーツを薄くして、その文太腿を太くすれば…」と考える人も居るだろうが、もしそうしたら今度はパーツの耐久性が下がり、別な不満が出てくる事になるだろう。
 パーツ強度の確保を考えると、どうしてもある程度の厚みの差は生じてしまう。
 ここは我慢するしかないポイントだろう。

 ただ、原作のガンバスターは、言われるほど太腿は太くないという点にも注意しておきたい。
 画面をよく見ると、太腿は(対比的に魂版よりは太いけど)意外にスマートで、むしろふくらはぎとの段差が少ない事に気付かされる。
 この点から「ガンバスターの太腿はもっと太く、力強くあるべき」と考える人は、原作ではなく別なガンバスター商品のイメージを引き摺っている可能性もある。
 例えば、海洋堂の山口版ガンバスターとか…

 むしろここは「太腿がやや細い程度の違和感で抑えられた」という点を評価したいと考えたい。

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●総合評価

 「よく出した」「よくここまでやった」「安心していじれるのが良い」「多少の難はあるけど、良い部分がそれを充分にフォローしている」と、当初想定していたよりもかなり評判が良い商品になったようだ。
 もちろん、その意見の中には思い入れパワーで良く感じているという部分もあるだろうけど、少なくとも合体・変型・武器装備のすべてをこなし、しかも気軽にいじれて楽しめるというグレードを立派に維持出来ているのは凄い。
 この先はどうかわからないが、少なくとも現時点までで、上記の条件をある程度以上の基準で満たしているアイテムは他にない。
 先から例に挙げているハーフアイの「完全合体版」は玩具カテゴリではなくガレージキットのため除外して考慮しているが、どちらにしろあちらはキャスト製という事もあり耐久度に問題が多すぎ、とても気軽には扱えない(まして高すぎる!)。
 超合金魂ガンバスターは、18,900円という安価(注)の割に充実度が高いという点で、優れているわけだ。
 ガンバスター好きな人で、合体シチュエーションを楽しみたいという人は、是非とも手に取って欲しいと、強く願う。
 「こういう解釈もありか」と割り切れれば、必ず高い満足度が得られるだろうと予想する。
 逆に、あくまで原作に忠実じゃないと納得出来ないという人には勧められないが…その原作の無茶さ加減がどれほどのものかは、先に細かく述べた。

 結局のところ、この商品は「合体というシチュエーションを、とにかく成立させた」という点をどこまで納得するか、その点にすべてがかかってるのかもしれない。

 いずれにしても、「バスターマシンとしてのスタイリング」と「合体変型」、「アクションポーズ」「各種武装」のすべてを追求した本商品は、ガンバスター関連の商品としては、現状最高峰に位置するものだと断言しても良いだろう。

 先に18,900円を「安価」と表現したのは、これだけの事をこなしつつこれだけの価格によく収めたなという感動があるからだ。
 買う前に感じる価格の高さは、実際に買った後にまったく気にならなくなる。
 それだけの商品だ。

 多少の問題点の存在も含めた上で、筆者は、自信を持ってこの商品をオススメする。
 買って絶対に損はない!

 ――のだが。

 やっぱり、出来る限り安く買いたいという心情はどーしても拭えないものなわけで。
 超合金魂ガンバスター現在の販売価格状況を、大雑把に眺めてみた。

 これはガンバスターに限った話ではないのだけど、超合金魂は仕切値が高めらしく、どの店舗もあまり大きな割引は行っていないようだ。
 大型専門店でも1割引前後という状況で、2割以上の割引はちょっと期待できそうにない。
 18,900円の2割引は15,120円。
 この辺りの価格で妥協できるなら、むしろ通販の方が安く済んだりする。
 まあ、それでも3,780円もの値引きだから、決してバカに出来ないんだけどね。

 これを書いている時点で楽天の検索を行ったところ、2割引の店が数件、2割越えの割引店が一点だけあり、そのすべてが完売。
 1.5割引の店舗も存在した。
 ところがYahooショッピングだと2.5割引(14,742円)の店が約三店あり、2割引の店もかなり発見された。
 また、楽天もYahooも10,000円越えの買い上げだと送料が無料になるサービスになるケースが多く、これなら(到着までのタイムラグさえ我慢すれば)かなり安価で手に入れられる事になるだろう。

 もっとも、これはあくまで2006年11月末現在の状況の話で、数ヵ月後にはもうわからなくなっているわけだが。
 もし購入を悩んでいて、あと少し金額に届かないと嘆いている方は、一度参考にしてみてはいかがだろうか。

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■ コトブキヤ トップをねらえ!「タカヤノリコ」

 さて、今回はいつもと少し趣向を変えて、本来シークレットのコーナーで扱う完成品フィギュアをここでご紹介。
 せっかくあるんだから、メインパイロットにもきちんと触れたいわけですな。

 こちらは、2004年7月中旬とかなり昔に発売されたPVC完成品で、定価は7,140円。
 ただし現在はかなり値段が下がっていて、2005年の時点で福袋要員になるほど。
 筆者は2005年夏イベントで2,500円で購入したけど、多分今でも(あれば)かなり安価で買えると思われる。

 ただし、安価=出来が悪いという事では決してなく、むしろ発売2年と半年近く経つ現在においてなお、出色の出来。
 2006年12月には、海洋堂より「BOMEコレクション タカヤノリコ」が発売されたが、完成度と元キャラ再現度については、こちらの方が段違いに上。
 もっとも、BOMEコレクションは原型師BOME氏の個性強調がメインで、元キャラ再現度が重要視されてるわけじゃないから、当然なんだけど(商品のグレードが低いわけではないし)。

 顔アップ。
 キャラクター原案・美樹本晴彦氏のイメージを残しつつ、更にブラッシュアップが施された見事な造形。
 髪型と超長ハチマキから、第四話〜第五話の時点の姿と想定。
 個人的には、より髪が伸びた第六話バージョンが好きなんだけど、なぜか立体化されるケースがないんだよねえ。

 以下は、シークレットコーナーでは定番の旋回撮影。
 様々な角度からどうぞ。

 正面から見ると少し「?」なディスプレイ方法も、角度を変えれば一目瞭然。
 要するに、台座に連結しているエクセリヲンから伸びている、ぶっとい軸が右脚側面に突き刺さっていると。
 軸や台座そのものはABS製で強固な造りになっているため、経年によるヘタレや転倒の恐れはなさそうに思えるけど……試したわけじゃないからなあ、確証に欠けるかも。
 色々な角度から楽しめる造形の割に、この台座のために見る角度が限定されてしまうような気もするので、この点がちょっとマイナスかな。
 せっかく凝ったデザインと造形の台座なんで、あまり悪く言いたくはないけど…

 タカヤノリコ。
 「るくしおん」艦長の娘で沖縄女子宇宙高校に通う女子高生。
 宇宙船とアニメージュを創刊から廃刊まで揃えていたり(当初、刊行中の書籍に対して“廃刊まで〜”というセリフを当てたせいか、後に発売されたソフト版では“創刊から揃えています!”に変更されたのは有名)、部屋に「スーパージャイアンツ」のポスターを貼っていたり、予告ではアニメ・特撮のマイナーネタを振りまくる超ディープなヲタ。
 大して大きくもないのに(むしろ貧乳)、豪快に胸を揺らしまくった事でも有名で、後のアニメに奇妙な影響を与えた。
 なお、一部ではノリコが「乳揺れの元祖」と言われる事もあるがそれは間違い。
 これより前に、「超音戦士ボーグマン」のアニス・ファームをはじめとする何人かの先駆者が居る。

 何の才能もなく落ちこぼれ同然だったのに、突然オオタコーチに抜擢され専門特訓を受け始めたため、校内でいじめの対象になりひたすらいじける情けない少女となっていたが、後にトップ部隊の一員に抜擢され、第四世代型超光速恒星間航行用超弩級万能宇宙戦艦エクセリヲンに搭乗して「宇宙怪獣火星沖大決戦」に参戦。
 艦内で親しくなったスミス・トーレンの死により極限の絶望感に打ちひしがれた後、突如覚醒。
 未完成の最終兵器・ガンバスターに無断で乗り込み、たった数分間の可動時間という制限下にも関わらず、超高速移動する敵母艦クラスの宇宙怪獣を見事単独撃破する事に成功する。
 以降、公式にガンバスターのメインパイロットとして認められ、「お姉さま」と慕う先輩・アマノカズミと組んでバスターマシンを駆り活躍。
 太陽系絶対防衛線でも絶大な戦果を上げ、その後「銀河中心殴りこみ艦隊」の主力メンバーとして「カルネアデス計画」に参加。
 その際の決死的活躍により、作戦を成功させるも、本人はウラシマ効果の影響を受けて12,000年後にようやく地球に帰還する。

 なんのとりえもない超弱虫の情けないヒロインが、たった三時間前後の間に「宇宙的英雄」になってしまうという、ともすれば奇想天外な過程は恐ろしいほどの説得力を発揮しており、「トップをねらえ!」という作品の中でも最大級のキモになっている。
 タカヤノリコは、「たとえヒロインが主役でも漢魂に火を着けて燃えさせる事が出来る」という事を見事に立証した、稀有なキャラクターなのだ。

 ちなみに誕生日は2006年9月12日なので、この原稿掲載の時点ではまだ1歳未満。
 「新世紀エヴァンゲリオン」や「ガメラ〜大怪獣空中決戦」などで有名な樋口真嗣氏の夫人・高屋法子氏の名前が用いられている。

 蛇足だが、LD-BOX「オカエリナサイボックス」版で新規追加された「新・トップをねらえ科学講座」では、太陽系の解説の際に「水金地火木土天海冥」の某美少女戦士に瞬間扮装するという妙技を披露し、そっちの方向にも造詣が深い事を無駄に立証した。
 言うまでもないが、その元ネタは「トップをねらえ!」より後年に製作された作品である。

 超合金魂ガンバスターとの対比。
 本体サイズは約23.5センチ(台座含む)、台座直径は12センチ。
 ただし、フィギュア自体はこの直径内からほんの少しだけはみ出しているので、ディスプレイスペースに注意。

 奇しくも、魂ガンバスターと並べて飾るのに丁度よいサイズだったりする。

 台座のエクセリヲン。
 エフェクトパーツまで付いてなかなかご立派。
 実は、台座に甘んじるにはもったいないほどの良い出来。
 ABS製でガッシリしている上にバランスも良いので、ノリコを接続させても安易に転倒する事はない。
 飛び出している黒い軸が、ノリコの右脚側面に刺さる構造。

 ややローアングルで見てみると。
 やっぱり美樹本キャラなんだなあ、という感覚が。

 外箱。
 パッケージサイズは、縦30.5センチ×横17.5センチ×奥行14.5センチ。
 最近の商品よりもウインドウ部分が広いような感じがするかな。
 見た目に反して実は箱そのものの耐久性はやや低め。
 保管時は注意が必要。

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【買ってみて一言】

 古いものだが、出来は現在の商品に充分迫るというもの。
 一時期は、ノリコの造形物としては決定版なのではないかと言われたほどなので、好きな人なら見つけた時に入手するのも悪くないかも。
 台座との独特の接続方法や、尻〜太腿にかけてのパーティングラインなどやや気になる点はあるが、それを含めても満足度は高いと思われる。
 魂ガンバスター発売によって、少しは需要が向上してもいいんじゃないかな〜…と思わされる逸品。

 ただ、いかんせん2年以上前の商品なので、必然的に発見確率が低下しているのが難点。
 恐らく、よほど運が良くないと店頭では見つからないかも。
 たまに、奇跡的に在庫が残っている場合があったりするけど、その場合は定価かほとんど値引きなしを覚悟するべきかと。
 むしろ、ワンダーフェスティバルやスーパーフェスティバル、トイフェスティバル等のようなトイ系イベントでのめぐり合わせの方が確率が高いかも?!

 この商品、発売時期が悪かったせいか(現在の完成品美少女フィギュアブームから僅かに外れた時期だし)、出来の良さに反して人気がない或いはないと判断されているようで、再販の見込みは現状かなり薄い。
 なので、イベントでの業者さん“余剰商品”持ち込みに期待するしかないかな、という感じ。
 もちろん、これは確定事項というわけではないが。

 なお、ヤフーオークションでは2006年10月頃までは3,000円台後半から4,000円台の範囲で比較的安くやりとりされていたが、11月以降は突如相場が上がり、いきなり5,000円台後半以上での取引が行われるようになった(それでも定価よりは安いけど)。
 その後、だんだん出品数が減少する傾向にあるため、今後益々お目にかかる機会が減少していくかも。

 ちなみに、2006年12月下旬現在商品情報を検索してみたら、「コトブキヤ」というキーワードを入れているにも関わらず引っかかるのは「BOME版タカヤノリコ」の関連情報のみ。
 違う、そうじゃない。

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