第18回 ■ バンダイ 装着変身「仮面ライダー装甲響鬼」

2005年11月6日 更新

 2005年度10月分の装着変身、最後の一体は、仮面ライダー響鬼の最終形態「装甲響鬼(アームドヒビキ)」。
 「仮面ライダー剣キングフォーム」「宇宙刑事ギャバン」に次ぐ、全身メッキ&アーマー数増加アイテムで、装着変身シリーズの中でも異彩を放っている。
 「仮面ライダー響鬼」という番組には、(恐らく皆様もご存知であろう)大論争が発生し、その影響から関連商品にも良いイメージを抱けなくなった方がおられると思うが…今回のは、マジでいいよ!
 くだらない偏見で買い逃すなんて、あまりにももったいない!!

●バンダイ 装着変身「装甲響鬼」 定価2,310円(税込)

  • 装甲響鬼素体フィギュア
  • 装甲響鬼頭部(マスク)
  • 装甲響鬼肩アーマー×2
  • 装甲響鬼前腕アーマー×2
  • 装甲響鬼胸アーマー×1
  • 装甲響鬼太腿アーマー×左右各2(計4)
  • 装甲響鬼脛アーマー×左右各2(計4)
  • 音撃鼓・火炎鼓(ベルトのバックル)×1
  • 音撃棒×2
  • 鬼石(音撃棒の先端部)×2
  • ディスクアニマル(携帯時)×3
  • ディスクアニマル用ホルスター
  • ディスクアニマル用シール(3枚分裏表・計6枚)
  • 取扱説明書

 2005年10月22日、装着変身「仮面ライダータイガ」「オルタナティブ」と同時発売。
 「装着変身 仮面ライダー威吹鬼」以来の、他作品ライダー商品との同時発売となった。
 「仮面ライダー響鬼」系装着変身としては、6番目の商品で、恐らくラストと思われる。

●映像内のキャラクター

 「装甲響鬼」はちょっと変わった存在で、実は二種類の初登場シーンを持っている。

 一つは、TV本編の三十二之巻「弾ける歌」、三十三之巻「装甲う刃」に登場した木暮耕之助(演じるのは、主題歌を歌う布施明氏)が作り出した、新型音撃武器「装甲声刃(アームドセイバーと読む。以降この呼称で統一)」を響鬼が用いて変身したというバージョン。
 もう一つは、9月3日公開「劇場版 仮面ライダー響鬼と七人の戦鬼」にて、戦国時代のヒビキの弟子・猛士(注:劇中の組織名ではなく、個人名)が作った古い小刀が変型したアームドセイバーの力で、現代の響鬼が変身したもの。
 この二つの演出の整合性や関連を考慮するのはこのページの本意ではないので割愛するが、露出としては「劇場版」→「TV本編」の順になる。
 劇場版では、アームドセイバーや装甲響鬼についての具体的な説明が皆無なので、以降はTV本編のみに枠を絞って説明。

 吉野から突然来訪した、元伝説の鬼だった銀・木暮開発局長は、自身が開発した新武器・アームドセイバーを鬼達に実験的に使わせていたが、波動が強すぎるために誰にも扱えず、弾鬼・勝鬼・轟鬼・響鬼の四人は変身能力を一時的に失ってしまうほどのダメージを受けた。
 最後に轟鬼が使用した際、取り落としたアームドセイバーはスーパー童子と姫に奪われ、洋館の「身なりの良い男女」の手に渡る。
 あまりに強すぎる波動のせいで洋館の男にすら扱えないため、彼は波動を弱める事にする。
 後に、スーパー童子達がこれを勝手に持ち出してしまうが、独特の特訓で変身能力を取り戻した響鬼により、再び取り返される。
 波動が弱まったために、ようやくまともに扱えるようになったアームドセイバーは、響鬼の身体を変化させ、真紅の鎧をまとう新戦士を生み出した。

 響鬼がアームドセイバーを構え、柄部分にあるマイク(後述)に向かって「響鬼、装甲」と唱えると、突然各所から無数のディスクアニマルが押し寄せ、響鬼の身体にまとわりつき、次々に鎧化していく。

 この時、よく見ると響鬼は一時的に紅状態になっており、装甲響鬼が紅からの進化形態扱いである事が窺える(でも、変身完了するとなぜかスーツ部分は黒一色になるんだよね)。
 装甲響鬼は、背中の音撃棒での音撃攻撃の他、アームドセイバーを変型させ、内蔵されたマイクに声を送り込んで「清めの音」を飛ばす「鬼神覚声」という新技を使う。
 また、ディスクアニマルをグリップ下部分にスラッシュすることで強化形態に変化させ、アームドディスクアニマルとして使役する事ができるようになる。

 アームドセイバー自体の切断力は物凄く、魔化魍カマイタチやオロチ(劇場版)を一刀の下に両断してしまうほどだ。
 ちなみにこの切断攻撃は、「清めの音ではない筈なのに、魔化魍を殺してしまっている(ようにしか見えない)」ため、ファンからツッコミを受けまくっている。
 また、音撃武器の最大特徴とも言える「鬼石」が、どこにも見当たらない。

 なお、装甲響鬼の音撃鼓使用時アクションは、劇場版同様「音撃鼓を相手に投げつける」というスタイルに変わっている。
 この時、火花を撒き散らしながら回転して飛んでいく音撃鼓が、妙にかっこいい。

 なお、装甲響鬼やアームドセイバーは、それまでの作品イメージに反する外観から、30話以降の新体制スタッフにより創作されたものであると解釈する人が多いが、実は前体制時から準備されていたもので、二十七之巻「伝える絆」のみどりの研究室内では脚部装甲の図面がはっきり映っている上、新しいアームドディスクアニマルまできっちり登場している。
 また、劇場版の企画がスタートしたとされる三月の時点で、響鬼最終形態登場というネタの仕込みは行われていた筈なので、前体制スタッフがそれをまったく意識していなかった(しようとしなかった)事は考えられない。
 まあ、普通に考えて、前プロデューサーが更迭された後に企画を考えて、それを映像に出すなんて経緯は、時間的に不可能なんだけどね。

●セールスポイント

 今回は、概要がちょっと長くなるので後回しにして、先に商品に触れてみよう。

 装甲響鬼は、それまでの響鬼系とはコンセプトが違うため、まるで他作品装着変身シリーズの素体のように見える。
 これまでは、素体がほぼそのまま各ライダーの外観デザインとイコールになっており、装着するべきパーツは少なかったわけだから、当然だろう。

 だが実は、さりげに「上半身スイング機能」が生きていたり、前腕部の回転もあったりする。
 また、前腕部の造形も響鬼系そのまま。

 だから、見方を変えれば他作品装着と響鬼系装着の良い所取りをしているようなものなのだ。
 さらに加えて、手首がボールジョイントになった。
 これは微妙な変更のようで、実際はかなり大きな効果がある。
 このおかげで、手首の表情付けがより豊かになっただけでなく、背中に刺した音撃棒を掴む動作もスムーズに行えるようになった。
 というより、これをやらせるために、ボールジョイント化させたのかな?
 もっとも、背中の音激棒を握らせようとすると、若干棒が曲がってしまうんだが。

 各部アーマーは、全体的にメタルレッドで塗装されており、大変綺麗に仕上げられている。
 多色塗装されている部品も、メタルレッドと並んで違和感のない色が選択されていて、大変見事にまとめられている。
 ブレイド・キングフォームの金や、宇宙刑事ギャバンの銀のような派手な色味ではないのだが、メタリックなのにしっとりと落ち着いた色調なので、大変趣き深い。
 劇中の着ぐるみとはまた違った印象を抱かせるが、これはこれで独自の高級感があっていい。
 また、その形状からキングフォーム等とも違った存在感がある。
 メッキ装着系を並べてみると…おお、ハデだ派手。

 マスクは、装甲響鬼のデコボコ感を巧く再現してはいるが、ちょっと縦に潰れている感があり、さらにエラの辺りの肉厚が寂しいように見える。
 しかし、造形自体はなかなか気合が入っているし、外れやすいという事もないので、慣れればなかなか良い印象を与えてくれるかも。
 面白いことに、今回は目の黒い部分がつや消しブラックで塗装されており、もはや完全に「ゴーグル」として解釈されてしまっているかのようだ。
 うーん、やっぱり目の位置がはっきりしないと受けないという話は、本当なのかなあ。
 個人的には、隈取取るとノッペラボーってデザインが大好きだったんだけど(特に弾鬼)。
 あと、過去の装着響鬼二体で問題視されていた「鼻部分の隈取のつながり」は、これでようやく解消された。
 しかし、これだけはっきり目と口元部分の差がはっきりしたデザインのもので、鼻先が離れてしまうと、今度は別な違和感が出るような…え、気にしない?

 肩アーマーは、基部が素体固定の跳ね上げ式。
 他と同様プラ製だが、キングフォームの時のような材質の違いが目立つ事はなく、違和感は少ない。
 今回は上腕アーマーがなく、前腕アーマーのみだが、これは肘から見た場合外側に付着する形になっており、肘のとがった部分の延長線上に配置されていない。
 だから、龍騎系ライダーのジベットスレッドのような“わずかにズレた”感じになってしまい、武器を構えさせる時、ポージングによってはアーマーが奇妙な位置に来てしまう。
 しかし、これは元デザインの問題だから、この商品の問題ではないだろう。
 前腕アーマー自体はかなり肉厚の合金パーツなので、小さいながらもどっしり感がある。

 装着変身オルタナティブの脹脛アーマーとは、まったく違う。

 脚部のアーマーは、初めて導入された装着方になった。
 パッと見は、G3-Xなどであった「蝶番式」が採用されているかのように感じるのだが、実はこれ蝶番ではなく、前後(または左右)挟み込み式になっている。
 太腿は前後分割、脛は左右分割で計4つのパーツに分かれ、それぞれ素体の脚部を挟む。
 固定方法は、ギャバンやオルタナティブの手足同様、板状装甲接続型。
 これだとなんとなくポロポロ落ちてしまいそうに感じるが、意外にしっかり固定されるようで、勝手に外れてしまう事は少ない。
 ひょっとしたら個体差があるかもしれないので断言は出来ないが、こういうタイプの接続アーマーとしては、今のところもっとも優秀なのではないだろうか。

 背中の音撃棒だが、これは流用ではなく完全新造形で、全体的に小振りに作られている。

 さらに、先端部の鬼石が取り外せるようになっており、無理なく背中に収納できるようになっている。
 ただし小振りになってしまった影響で、指を通すための穴はもはや完全なダミーとなってしまった。

 まあこれは…前の音撃棒がオーバースケールだったわけで、スタイル重視のために起きてしまった不具合と解釈するしかないだろうか。
 先端部の鬼石は、阿吽の区別(口が開いているか閉じているか)がないようだ。

 ある意味で本商品最大の特徴となるアームドセイバーだが、こちらもかなり完成度が高い。

 やや刀身が短いのが難点ではあるものの、各モールドの再現や塗装がかなり丁寧で、しかも差し替えなしで変型ギミックを再現している。

 柄部分のマイクは猛士マーク入りの蓋が作りこまれ、その下のモールドもしっかり造形されている。
 スピーカー部分も蓋の開閉は完璧で、内部も丁寧な造り。

 さすがにスピーカー部分の塗装はオミットされてはいるが、このサイズできちんと作られているという事は、大変ありがたい。
 しかも、スピーカーの盤面部分は、このサイズなのに別パーツ構成だ。
 まー、なんて細かい!

 刀身は短いとはいえ、全体のボリューム感がかなりあるので、対比的に小振りに見えることもないのが嬉しい。
 グリップ下のスラッシャー部分も当然あるので、アームドディスクアニマル化のアクションも再現できる。
 ただし、素体の関節の都合で、「鬼神覚声」時のあのポーズが取り辛いのは、かなり残念。
 劇中で、アームドセイバーを横倒しにして使用してくれれば、なんとか再現できたと思うんだけど。
 ああ、なんか惜しい…。
 ちなみに、材質はすべてPVC製。

 付属のディスクアニマルシールは、アームドバージョンの三体(カブトオオザル、ヨロイガニ、ハガネタカ)の三体。

 ただし、これまでの印刷パターンの流用のせいか、本来アームドバージョンにはない筈のレインボーグラデーションが施されている。
 そのため、かなり印象が異なってしまっている。
 ディスク自体の成型色は、黒。

●問題点

 いい所づくめの装甲響鬼にも、当然いくつか難点がある。

 まず一番大きいのは、「腰が回らない」ということだろうか。
 響鬼系装着変身の素体は、上半身スイング機構のために元々あまり大きく回らないようになっているが、今回はほぼ完全に回転機構が死んでおり、(装着変身クウガシリーズを除けば)過去最悪の可動範囲だ。

 個人的には、スイング機構を殺してでも回転ギミックを生かして欲しかった気がする。
 大型の剣を持つ可動フィギュアにとって、腰が回らないのはかなり致命的だ。
 このため、ポージングの幅が狭められてしまうのは大変に悔しい。

 もう一つは、右膝の可動範囲問題。
 これは発売直後から各所で指摘されていたものなのだが、実は装甲響鬼の素体は、左膝と右膝の可動範囲がかなり違う。
 具体的には、完全に90度曲がる左膝に対して、右膝は直角にならないのだ。
 これは、右膝第一関節部に問題があるようで、第二関節部分だけを使うと、左右の膝はほぼ同じくらいに曲げられる。
 右膝上関節をよく見てみると、どうやら軸穴の位置が上後方に若干ズレているようで、そのため回転の支点もズレ、結果的に脹脛が太腿裏側に干渉してしまうようになるのだ。
 写真は、それぞれの膝を限界まで曲げたものだ。
 真正面から見ると、膝アーマーの角度が違うので、よりはっきりわかる。

 要するに、R&Mの時にもよく指摘されていた「軸穴ズレ」と同様のパターンだ。
 どうもこれは個体差ではないらしく、似たような状態のものが多く出回っている様子なので、恐らくパーツ生産時から発生していた問題なのだろう。

 だとしたら、これは再販で修正される可能性にかけるしかないのかもしれない。

 この膝部分の問題は、実際はほとんど気にならない程度のものなのだが、気にする人はかなり気にすると思うし、明確な製造ミスなので、指摘しない訳にはいかない。
 恐らく、2005年10月現在はメーカー交換をしても大差ない状況だと考えられるので、気にならない人はそのままスルーしておくのも手かもしれない。

 もう一つ、パーツが足りないという問題もある。
 実は、本商品には「音角」が付いてない
 冒頭部の部品一覧に書かれていないのも、決して記入漏れではないのだ。

 左腰のディスクアニマルホルダーはあるのに、右腰はスカスカだ。
 本来なら、ここには折りたたまれた音角が吊るされている筈。
 もちろん、響鬼は変身後にこれを利用する事はまずないし、紅以降は完全に飾りと化している。
 だから、装甲響鬼に音角がなくても、プレイバリュー的にはまったく支障がない。…んだけど、やはり元デザインでは付いているものが、商品にないというのは、気になるだろう。
 ところが、ここが結構な考えどころでもあり、本商品の装甲響鬼に、これまでのような巨大な音角をブラ下げる必要があるのだろうか。
 以前にも書いてきた通り、装着変身の音角はかなりオーバースケールで、腰に下げるとかなり邪魔になる。
 装甲響鬼でもかなり邪魔者に見えるのではないか…と思って実際に装備させてみたら、案の定バランスは悪いわスタイルの調和を崩すわで、ろくなことがない。
 個人的には、これならなくて正解だろうとすら思わされる。
 ちなみに、筆者は諸事情で音角を都合3セット持っているため、今回の撮影では、三個目の音角を装甲響鬼に持たせてみた
 写真を見て、音角が付いているべきかどうか、見定めていただきたい。

 なお、なぜ音角がそんなに沢山あるのかというと、メーカーにパーツ請求をしたためである。
 筆者は、以前装着響鬼のレビューを書いた後に音角(伸びた方)を紛失してしまったのだが、これを通販する際、こんな事を担当者に言われた。

 「音角のパーツは、伸びた物・折りたたまれた物、そして音撃鼓がセットとなってしまうのですが、よろしいですか?」
 
 実際に申し込んでみたら、本当に折りたたみ音角と音撃鼓が付いてきた。
 ふーん、こういう取り扱いもあるのか、と、なぜか妙に感心してしまった。
 その結果、うちには折りたたみ音角が一つ余分に存在していたわけである。
 それにしても、まさかこんなところで利用できるとは、夢にも思わなかった。

▲ TOP ▲

●総評:

 大変良くできた商品だと思われる。
 パーツ構成や見た目の豪華さの割に、キングフォームやギャバンよりも価格が安いというのもすごい。
 ところどころ問題点はあるものの、装着変身ファンなら手に取る価値は充分にある。
 それどころか、これはある意味装着変身の頂点に近い位置にある商品なのではないか、とすら思わされる。
 装甲響鬼よりもアーマーパーツの多い商品は過去にもあったが、合金パーツの多用や、蝶番問題など(可能な限りの)をクリア&グレードアップしており、進化形態として評価する余地は多分にある。
 また、素体の変化によって、これだけゴテゴテにアーマーをまとっているにも関わらず、ポージング制約が少ないというのも嬉しい。
 そんな理由で、筆者は2005年10月現在の時点で、この装甲響鬼が、すべての装着変身の中で最高の完成度だと思っている。

 だが、この「装着変身 装甲響鬼」は、なんとなく不当な評価をされているようにも感じる。
 いや、不当という表現は正しくないかも。
 正確には、作品に対する思い入れの延長として商品を買うタイプの人からは、不自然に敬遠されているような空気を感じるのだ。

 これはどうやら、2005年9月以降に始まった、TV本編「仮面ライダー響鬼」を巡るネット大論争が影響しているようだ。

 本作は、29話以降、メインプロデューサーが「仮面ライダークウガ」の高寺氏から、「同アギト」〜「555」までプロデューサーを担当した白倉氏に変わっている。
 それに伴い、メイン脚本もきだ・大石両氏から井上氏他に変更され、結果的に作品の雰囲気を大きく変えてしまった。
 これは、東映特撮番組としては大変異例な事態であり、加えて高寺前プロデューサーは実質的に更迭(要するにクビ)されたという情報も飛び交った事もあり、単なる路線変更とは違うものとしてファンに受け止められた。

 この「雰囲気の変化」を受け入れられた人とそうでない人の論争、また29話までの本編を過剰に神格化している人達による「無差別な(ネット各所の)荒らし行為」が各所で見られ、大変醜悪な事態に発展した。
 特に、劇場版公式ブログのコメント欄に、なぜかTV本編についての文句が書き込まれるという異常事態が発生、運営側はこれに対し、「文句を書き込む専用のページ」を用意してこれを隔離したが、閲覧者の一部は、なぜかこれを「自分達の意見を受け止めるために準備してくれたもの」と誤解し、さらに状況を悪化させた。
 あげくには、前体制スタッフを一時的に復活させ、「真の最終回を(TV本編とは)別に製作、これをDVD化して欲しい」などという驚天動地な発想の企画を「たのみこむ」に掲げる始末。
 さらには、各方面の業界人までもが新体制を否定し始め、中には、週刊誌のコメント欄や出版社の公式コメント部に、新体制スタッフ批判を書き込む作家まで出現した(しかも複数)。

 「仮面ライダー響鬼」本編についての論争の起源や、見解の相違については、こちらを参照していただきたい

 これらの暴走は、すべて新体制スタッフ…白倉氏と井上氏への過剰な個人バッシングへと繋がっていた。
 要するに、29話までの響鬼に相応しくない要素を大量に導入して、作品の雰囲気をぶち壊しにしてしまった、というのだ。
 その「相応しくない要素」として槍玉に挙げられたのが、30話から登場した新キャラクター桐矢京介と、ここで紹介した「装甲響鬼(&アームドセイバー)」だった。
 実は、高寺前プロデューサーが桐矢のような性質のキャラクター導入を考慮していたという発言があった事や、アームドセイバー関連情報が29話以前から既出だったという事などは、新体制否定派の人達は知らないようだ。

 とにかく、そんな捩れた大論争、醜い荒らし行為が想像を絶する規模で発生したため、その中心にあった装甲響鬼関連は、大変悪いイメージを背負わされてしまった感がある。
 だから、実際の完成度は関係なく、イメージが悪いからというだけで手を出さない「装着変身ファン」も居たことだろう(いや、身近には実際に居たんだけど)。
 本商品を子供向け玩具と解釈すれば、このネット上の論争は商品人気に直結しない=売り上げには影響しないと考えられるだろうが、現在の装着変身は実質的に高年齢層をターゲットとしている部分もあるため、一概にそう言いまとめられない。

 とにかく、難しい話は抜きにしても、「本編の評価のせいで、食わず嫌いを生んでしまった」風潮はある。
 これが、本商品最大の不幸だったのかもしれない。
 まあ、実際はそれなりに売れていると思うし、決して人気がないとは思わないが。
 でも、装着変身ファンなら、食わず嫌いするのは本当に大損だと思うなあ…これは。

 なお蛇足だが、一部では「仮面ライダークウガの時点でも、実は一度プロデューサー更迭&交代が行われている」という説があり、ある方面では業界関係者からの関連発言も提示された。
 無論、素直に受け止めるには無理を感じる部分も多々あるのだが、もしこれが本当だったとしたら、今回の更迭は「東映特撮初ではなかった」という事になる。
 これについては、語ると無駄に長くなってしまうためここでの記載はしないが、興味のある人はネット上で調べていただきたい。
 筆者も、この件についてはおおまかな概要しか聞いていないため、問合せをされても返答は一切できないので、予めご了承を。

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