第165回 ■ wave「戦国魔神ゴーショーグン(進械研) 初回限定版」01
2025年7月5日 更新
高年齢層向け玩具の価格が、上がる上がる!
以前は一点三万円で驚いていたものですが、それも今や生易しい領域となり。
現在では一点五万円から、中には八万、十万単位に至るものもざらになって来ました。
そんな状況の中、かつては高額帯であった一万円代で買えるものも本当に少なくなり、あのS.H.フィギュアーツもどさくさ紛れに値上げしまくりやがって一万円越えが珍しくなくなりました。
そんな中一万円台で買える合金フィギュアが発売されるという、にわかには信じ難い話が突然飛び込んできました。

2024年12月4日、株式会社ウェーブ(wave)が発信した情報は、定価15,000円台で合体可能・発光ギミック付きのゴーショーグン発売! という内容。
ゴーショーグンは、近年海外のメーカーによる立体化が増えてきたIPではありますが、それにしてもこの価格は安すぎる!
なんだかすっかり調教が行き届いてるような気もしなくもないのですが、そんな低価格の合体ロボ合金玩具なんて、本当に今のご時世に出せるのか? という疑問を持った人も多かったのではないかと。
そんなわけで、今回はこの「進械研ゴーショーグン」をレビューしてみたいと思います。
■ 戦国魔神ゴーショーグン(進械研) 初回限定版:

メーカー:進械研「茶虎文化創意(上海)有限公司」
輸入販売元:株式会社ウェーブ
発売日:2025年4月25日
価格:15,400円 (税込)

戦国魔神ゴーショーグン。
1981年7月3日から12月28日まで東京12チャンネル(現・テレビ東京)他で全26話が放送されたロボットアニメ。
2001年、全世界を支配掌握せんとするネオネロス皇帝率いる秘密結社ドクーガに対抗する為、サバラスという謎の男が組織したグッドサンダー隊が活躍する物語。
移動要塞グッドサンダーに所属する北条真吾、キリー・ギャグレー、レミー島田の三人が合体ロボ「トライスリー」を駆り、更にゴーショーグンに合体して闘う。
(ただし、主人公は彼らではなく真田ケン太という少年)

2024年12月4日、X(旧Twitter)にて株式会社ウェーブが情報を公開&受注予約開始。
中国企業「茶虎文化創意(上海)有限公司」の“進械研”が制作した商品で、国内ではウェーブが輸入販売。
当初は2025年3月発売をアナウンスしていたが、2025年3月14日のツイートで4月への延期を発表。
事前情報としては、2024年7月開催の「ワンダーフェスティバル2024夏」及び2024年10月開催「ワンダーフェスティバル2024上海」、「第62回 全日本模型ホビーショー」にて展示あり。
その際の情報によると、当初は2024年12月発売、価格も12,000円の予定だった。
何 故 上 げ た し

さて、ゴーショーグンです。
ご覧の通り、かなりアレンジが入った如何にも海外品といった風情ですが、塗装の精度や各部の造形、そしてギミックなどはかなりのもので、この価格帯の製品としては非常に楽しめる良いものです。
詳しくは後述しますが、説明書にない大がかりな隠しギミックも搭載されている為、作中再現以外のオリジナルな楽しみ方も出来るというのは、非常にポイントが高いと思われます。
ただ、予想通りというか精度がかなり怪しい部分も目立ち、全てが全て手放しで褒められるようなものではなく……いえ、ハッキリ言ってしまうと「個人的にはあまりオススメ出来ない」完成度です。
この辺の理由に関しても、後にしっかり触れて参ります。
それでは一旦ゴーショーグンは置いておいて、まずはトライスリーから見て行きましょう。
■トライスリー:

トライスリー。
全高23メートル、全重135トンの小型合体ロボ。
キングアローとジャックナイト、クイーンローズの三体が合体することで完成する。
メインパイロットが女性で、しかも脚部を構成するマシンの操縦者という非常に珍しいロボット。
特に武器は持っておらず、一応ビームや両肩から発射するミサイルなどはあるものの戦闘力は非常に低く、作中でもドクーガのロボットにまともに太刀打ち出来ず、しかもそれを敵側に知られているという少々情けない性能。
その真価はゴーショーグンに合体した際に発揮される。

まずはトライスリーに合体する三機のマシンを見て行きます。
左から、両腕と頭部を構成する「ジャックナイト」。
胴体を構成する「キングアロー」。
脚部を構成する「クイーンローズ」。
先の通り、メイン機はクイーンロースになります。
この時期のロボットアニメで、頭部を構成するマシンに主役クラスのキャラが乗らず、しかも作中でも触れられてるように、操縦者が最後までどのメインパイロットにもならないというのはちょっと珍しい気がします。
■ジャックナイト:

如何にも主役機クラスの部位配分なのに、一番地味な役回りというジャックナイト。
ここではあえて、トップバッターで紹介してみます。

全長は約3センチ、最大幅約2.1センチ、重量約2グラム。
物凄い極小サイズです。

非常に小さいジャックナイトですが、塗装のはみ出しはなく造りもしっかりしているので、安っぽさは全然感じられません。

裏面。
顔の幅はたったの8ミリ!

表面。
作中だと赤い機首と腕は同じくらいの大きさ(長さ)なんですが、まあそこはご愛敬。

フロントビュ―。

リアビュー。
まん丸いブースター(?)がなんかカワイイ。
上部の「T」字型の突起は合体用ジョイントです。

サイドビュー。
ジャックナイトは、トライスリーとしての肩・腕部分の可動を活かした変型のみで、それ以外特に独自のギミックはありません。
■キングアロー:

キングアロー。
作中ではリーダー機、しかしてメインマシンではなく、それでいて合身時はメインになるという、なんだかよくわからない位置づけのメカ。
どことなくパルサバーンを彷彿とさせるデザイン。

全長約2.8センチ、最大幅約2.8センチ、重量約2グラム。
これもかなり小さいですね。

小さい割に非常に精度が高く、カッチリした構造……のように見えますが、実際は結構スッカスカです。
ですがこの大きさだとっさほど気になるものではなく、旨くコストダウンしていると思います。

表面。
十字マークは金メッキです。
ジャックナイトもですが、青い部分はメタリックブルーで安っぽさを感じません。
それ以外の細かい部分も、丁寧な塗装が施されています。

裏面。
先程触れたスカスカ感は、これで良くわかると思います。
ちなみにここは変型時に機首が回り込むので、結果的に埋まります。

フロントビュ―。

リアビュー。
この大きな横穴にジャックナイトが収まります。

サイドビュー。
他の二機も同様ですが、ランディングギア等は一切ないため本体直置きになります。

ちなみにキングアローの機首は、折り畳んだ状態から戻す場合、非常に苦労します。
爪などを差し込むスペースが殆どない為、後部の穴から何かを差し込んで押し出す必要があります。
固すぎない、尚且つ先がある程度細くて丸みを帯びたものを使うと良いのですが、ここでゴーフラッシャーのパーツが役に立ちます。
■クイーンローズ:

クイーンローズ。
ドリミンパしたミンキーモモレミー島田が操縦するメインマシン。
前方の下部にちょっぴり飛び出してる黒い丸っこい部分がコクピットです。

全長約3.7センチ、最大幅約3.7センチ、重量約5グラム。
三機の中では一番大きく重い機体です。
これは後述の理由で、双胴内に磁石が内蔵されているためでもあります。

この角度から見ると本当にただの脚(下半身)ですが、合体時にはちょっと大胆な変型をします。

表面。

裏面。
コクピットに繋がっている黒いパーツは、トライスリーのお尻にあたる部分です。

フロントビュ―。

リアビュー。

サイドビュー。

キングアローと同様、変型時に内部に収納する主翼を取り出す場合、指や爪で取り出すことは最初はかなり厳しいです。
何回か出し入れしていればいずれ取り出しやすくなりますが、初めは何かしらの道具を使った方がいいと思われます。
先の少し尖った硬い何かを足の裏側から差し込んで主翼を押す必要がありますが、ここでもまたゴーフラッシャーのパーツが利用できます。

三大マシンと、ROBOT魂「Gアーマー Ver.A.N.I.M.E」付属のコアファイターとの比較。
コアファイターの全長が6.3センチなので、持ってる人にはどのくらい小さいか伝わるかなと。
■トライスリー合体GO!!:

それではトライスリーへの合体。
まずはジャックナイトの機首? に手首を取り付けます。
まあ、面倒ならいちいち取り外さないでつけっぱなしにするのもアリかもしれませんが。

腕を左右に大きく開きます。

根本が二重関節になっているので、位置調整をして画像の位置にします。


キングアローの機首を折り畳み、本体下部に回し込みます。

主翼を本体下部に向けて折り畳みます。

クイーンローズの機首(コクピット)と主翼を折り畳みます。

続いて、ボディを大きく開いて180度向きを変更します。

具体的には、折り畳んだ主翼のある面が内側に来るように調整します。

変型完了した三機を、縦に連結していくわけですが……

キングアローとクイーンローズの合体は、上下の差し込みではなく前後合わせになっています。
クイーンローズにある凹ジョイントに、キングアローの凸ジョイントを前から押し込む形ですが、この接続が非常に固く、取り外す時にとても苦労する羽目になります。
無理に力ずくで外そうとすると破損する危険もあるので、取扱いには注意を要します。

ジャックナイトは、そのまま普通に差し込みます。
引き抜くのも何の問題もありません。

完成、トライスリー!
全高約6.6センチ、最大幅約3.2センチ(肩幅)、全重約10グラム。
物凄く小さいですが、しっかり合体してガタつくこともありません。

塗装が非常に細やかで、成形色が大半を占めているにも関わらず安っぽさがなく、更にはメッキパーツもあるので小さいながらもかなりの重厚感があります。
これで大人の小指くらいの大きさしかないってのは、本当に脅威!

可動部分は、首・肩・上腕(ロールあり)・肘・手首(捻り)、股関節、膝、足首となります。
腰は非可動です。

膝はなんと二重関節! なんですが、うちのは不良品で左太腿側の関節がビクともしません。
まあ、それでも充分な可動範囲なんで放置してますが……

足首は、横方向(内側)に向けてかなり広い可動範囲を誇ります。
というか、足首は90度近く倒せるので八の字立ちさせる分にはもういくらでも行けます。

しかし太腿にロール軸がなく、股関節部分での捻りも不可能な上、足首も前後スイングが出来ない為、ポージングにはかなりの制約がかかります。
厳密には、股関節基部で若干脚を回すことは可能ではあるんですが、微々たるもので効果的ではありません。
これは、クイーンローズの変型構造が大きく影響している為ですね。

まぁ、とはいえ、このサイズのロボットフィギュアとしては充分過ぎるくらい動くし、特に腕の可動についてはほぼ文句なしと云えるので、そこまで致命的な問題ということにはならないのですが。
ちなみに首は横回転可能、若干であれば顎の上げ下げも出来ますが、とにかく関節が固い!
ここはシリコンスプレーを吹くことを個人的にオススメしときます。

各部可動範囲参考。
先の通り、6センチという小ささの割には本当に良く動きます。
どうでもいいけど、可動範囲参照用に取ったポーズなのに妙にカワイイな。

なんと、片膝立ちも出来てしまうという。

トライスリー、フロントビュ―。

リアビュー。

サイドビュー。

唯一のオプションパーツとして、開き手が左右一個ずつ付属します。
交換はとても簡単かつ手軽に出来る上、すっぽ抜ける心配もないので安心。

しかし何故か、交換用手首はこのように小袋に入れられてブリスター外に添付されています。
もう一つの大きな袋は、初回特典のゴーフラッシャー(青)。
特典パーツならまだわからなくもないけど、この手首はデフォルトパーツなんだからブリスターに入れときなさいよとしか思えない……

ROBOT魂「機動戦士ガンダム Ver.A.N.I.M.E」とカプセル超合金版「マッハバロン」との比較。
ちなみに設定上は、トライスリーの方がガンダムより5メートルくらい背が高いです。

以上、トライスリーでした。

引き続き、ゴーショーグンへの合体とゴーショーグン本体を見て参ります。
■ゴーショーグン合身GO!!:

それでは、トライスリーとゴーショーグンの合体に移ります。
トライスリーは三機に分離した状態から始めます。

ゴーショーグンの胸部・両脛部のハッチを展開します。

両脛部分の展開がやりづらいという場合は、黄色い矢印で指している部分を軽く引っ張り上げるようにすると、簡単に開けるようになります。
この時、この部分の装甲が何故か大きくずれてしまいますが、これも簡単に戻せますので安心です。
んで、何故こんな部分に可動が? とお思いの方もおられると思いますが、そちらも後述します。

ジャックナイト、キングアロー、クイーンアローはこの状態にしておきます。
厳密には、ジャックナイトは手首をつけたままでも行けます。
クイーンローズは、トライスリーの下半身形態ではなく、主翼と機首を折り畳んだ状態です。

胸部にキングアローを収納します。
劇中では、機首をゴーショーグンの頭部に向けて画像とは反対向きに収納されるのですが、これは180度向きが逆ですね。
なんとか劇中の向きで収納できないものか頑張ってみましたが、無理でした。
なおこの胸のハッチは非常に嵌りが緩く、ちょっとでも肩を動かすと干渉して隙間が生じてしまいます。

右脛部分には、クイーンローズを収納します。
これも、劇中とは反対向きですね。

左脛部分にはジャックナイトを収納します。
こちらのみ、劇中と同じ向きでの収納が出来ちゃいます。
あと、手首付けたままでもOKです。

ゴーショーグン合体完了!
……といっても、見た目の変化は全くないわけですが。
次ページでは、ゴーショーグンについてレビューしていきます。