第154回 ■ BANDAI SPIRITS 超合金魂 GX-97「超惑星戦闘巨人ダイレオン」
2021年11月7日 更新
「巨獣特捜ジャスピオン」。
宇宙刑事シリーズの最終作「宇宙刑事シャイダー」の後番組として、1985年3月15日から1986年3月24日までテレビ朝日系列で放送された特撮番組。
人間の主人公が大型母艦から転送されたメタリックなスーツを瞬時に纏い、複数のメカを乗りこなし、また母艦を変型させて巨大な敵と闘うシチュエーションを継続しながらも、「主人公が野生児」「舞台が地球ではない(ただし序盤のみ)」「巨大な怪獣(巨獣)が登場」「メタルヒーロー然とした姿の敵レギュラーが居る」など、それまでなかった新機軸を盛り込んだ意欲的な作品でした。
残念ながら国内の人気はイマイチで、宇宙刑事シリーズに並ぶほどではなかったのですが、何故かブラジルでかなりの大人気を博しました(目を見張るような完成度の、現地ファン達によるオリジナル映像が撮影されるほど)。
「ダイレオン」とは、そのジャスピオンが駆る戦闘母艦です。
メタルヒーローシリーズに登場する可変戦闘母艦は、そのデザインがあまり人間的とは言いがたいデザインだった事情もあり、基本的に操演等で表現されていました。
ごく稀に着ぐるみが登場することもあるものの、その頻度は非常に少ないものでした。
しかしこのダイレオンは、変型後の超惑星戦闘巨人は着ぐるみメインで撮影され、しかも“巨大ロボットとは思えない派手なアクション”を売りにしており、非常に人気がありました。
恐らく、メタルヒーローシリーズに登場する戦闘母艦系メカとしては、一番の人気を誇るものではないでしょうか。
加えて、85年に発売された「DX超合金ダイレオン」が、当時のみならず今の基準でも優れた完成度であったこともあり、一部の玩具マニアによる人気と需要は高いものがありました。
そんな存在が、ようやく超合金魂に!
となると、注目せざるを得ません。
というわけで、今回はこの「超合金魂ダイレオン」をレビューしたいと思います。
■ 超合金魂 GX-97 超惑星戦闘巨人ダイレオン
2021年4月23日プレミアムバンダイにて予約開始、同年8月1日予約終了。
2021年10月25日発送。
価格は、18,700円(税込)。
- 交換用左手首1種、交換用右手首2種 付属
- 黄金の剣 付属
- 超惑星戦車「ガービン」 付属
- 超惑星マシン「アイアンウルフ」 付属
- ジャスピオンミニフィギュア 付属
- 戦闘母艦モード専用ディスプレイ支柱 付属
超合金魂ダイレオンの初出情報は、2020年11月6日から8日の3日間、オンライン上で開催された「TAMASHII NATION 2020」によります。
この中では、その後商品化が確定する商品を含め、いくつもの新作サンプルが展示されていました。
ダイレオンはその中の一つで、「宇宙刑事ギャバン」の「電子星獣ドル&ドルギラン」と共に展示されておりました。
尚、2021年11月現在、「電子星獣ドル」はいまだ商品化のアナウンスがありません。
その後、特にこれといった大きな動きはなく、翌年21年の4月より予約が開始されました。
今回もボックスから紹介。
初期のDX超合金版パッケージを意識したと思われる、コンパクトにまとまった馴染みの深い感じのするデザインです。
サイズは、縦約26×横約15×奥行約9センチ。
側面デザイン。
いい感じに昭和の超合金玩具っぽさが出ていて、私は大好きです。
裏面。
ちなみに、ここに写っているサタンゴースは商品化検討中とのことで(取扱説明書内にその旨表記あり)、立体物が実在するようです。
こちらのデザインも、かつての超合金パッケージ再現っぽくて、いい感じです。
内容のブリスターは、こんな風に二段式です。
個人的には、ここも発泡スチロールで行って欲しかったところですが。
下のブリスターは、交換用手首と、後述する「ディスプレイ支柱」が収められています。
■超惑星戦闘母艦ダイレオン:
それでは、ようやく本体に触れて行きます。
本来なら、超惑星戦闘巨人モードから触れるべきなんでしょうけど、やっぱりここは超惑星戦闘母艦から紹介していきたいと思います。
超惑星戦闘母艦ダイレオン。
全長52メートル、全高21.3メートル、全幅26.7メートル、重量12,000トン。
ジャスピオンとアンリらの移動基地及び生活拠点であり、同時に最大の戦闘装備。
ワープ航法が可能で、他にも自動操縦、瞬間移動電送装置などを備える。
ダイレオンレーザー砲やエクスプロージョンミサイルなどの攻撃用武装もあり。
本商品の戦闘母艦モードは、全長約17.3センチ、最大幅約8.3センチ、全高約5.8センチ、重さ約471グラム。
機首部分から後部(戦闘巨人モードの脚部)にかけて、近年の超合金玩具にしては非常にダイキャストパーツ使用率が高く、かなりズッシリとした手応えがあります。
全体のカラーは、劇中同様渋めのシルバーで統一されていて、DX超合金版の配色とは大きく異なります。
フロントビューとリアビュー。
サイドビュー。
画像はランディングギアを展開した状態。
ランディングギアは、DX超合金版と異なり、収納が可能です。
尚、本体後部のランディングギアは、戦闘巨人モードの右足首側面部だけで、左足首側面の同様のパーツはダミーとなります。
こちらは、開くことが出来ません。
しかし、左側同様まるで展開出来そうな造型で、これはこれで結構凝っています。
機首部分アップ。
後部アップ。
機首先頭部分が展開し、内部に小型マシンを収納し、発進シークエンスを再現出来ます。
といっても、特に固定は出来ないので、蓋を閉じると内部でカラカラ言います。
こちらは、アイアンウルフを搭載した状態。
ガービンを搭載した状態。
こちらは、上下に幅があるため、蓋を閉じても中であまりカラカラしません(しないとは言ってない)。
尚、ここにマシンを同時に二体突っ込むのは、空いた空間に押し込むという無理矢理な手段を使わない限りは難しいです。
また、マシンを搭載したまま、以降の変型を行うことは可能です。
戦闘母艦モード専用の「ディスプレイ支柱」。
全4パーツ構成で、戦闘母艦の後部(戦闘巨人モードの右脚の膝横部分)を中心に覆い支えるようになっています。
そこそこ安定はするのですが、カッチリ固定するものではなく、ただ単に上から乗っけてるだけなので、耐震性は非常に低いと思われます。
■戦闘巨人ダイレオンに変型:
ここからは、変型について触れて行きます。
まず、機首の上部(キャノピー)を閉じます。
以降は、実際の変型プロセスとは一部異なります。
母艦側面部の後部(戦闘巨人の腕を押さえている)板状のパーツを外し、ロックを解除します。
その後、側面部のブロックを少々横に引き出し、ダイレオンの拳を少し引っ張り出しておきます。
こうしないと、後述の変型時に拳が引っ掛かって、変型が出来ません。
本体後部を、後ろにスライドさせます。
更に後部を二段階目のスライドを行い、太もも部分を露出させます。
その後、後部全体を時計と逆回りで90度回転させます。
後部末端、上の突起状部分を前方に折り曲げます。
それに連動して、バーニヤ部分が自動的に引き込まれます。
これは驚きのギミック!
本体上面のハッチを、左右に広げます。
その後、右側のハッチに折り込まれている長方形の板状パーツを展開します。
機首を展開、そのまま腹側・背中側に折り畳み、胴体に空いた大きな空間を埋めます。
機首を折り込んだ後、先ほど開いたハッチを右→左の順番で再び閉じます。
こちらは、腹部(前面)側の展開。
こっちは特別な工程はありません。
上向きになっていた頭部を一旦上方に引っ張り、その後、顔を正面に向けます。
その後、首を押し縮めます。
ここは、劇中の変型プロセスと大きく異なり賛否が分かれるポイントです。
本来なら、機首を開いた時点で頭部は既に定位置になっているんですよね。
両肩を開いて腕を伸ばし、更に手首の角度を調整して更に押し縮めます。
最後に、腰横部分の板状パーツを畳みます。
■超惑星戦闘巨人ダイレオン:
超惑星戦闘巨人ダイレオン。
全高60メートル。
両目、頭部の砲門、胸の赤い四角の放熱板からそれぞれダイレオンビームを発射可能。
また両足のホバーによる高速移動が可能。
基本的な戦闘方法は徒手空拳で、必殺技は両拳による「コズミック・クラッシュ」。
非常に身軽なロボでもあり、通常の動きも非常に素早く、またワイヤーアクションによる前方・後方宙返りやバックドロップによる攻撃など、(着ぐるみ特撮ロボとしては)非常に個性的な戦闘を行っていた。
本商品の戦闘巨人モードは、全高約18.6センチ、最大幅約8.3センチ、奥行約6.2センチ。
そこそこの大きさではあるものの、そこまで大きくはありません。
DX超合金版よりも小さいです。
フロントビュー、リアビュー。
劇中の着ぐるみと昨今の可動フィギュアの中間的なスタイルに感じられます。
上腕や太もものメッキ仕様が、本当に良く判っている感じでとても素敵です。
サイドビュー。
ボディは意外と薄っぺらです。
しかし、これが宇宙船に変型するとは、これだけ見るとちょっと信じられません。
ダイレオンといえばごっつい握り拳ですが、手を開いた交換用手首が一組だけ付属します。
あまり需要はなさそうに感じますけど。
可動範囲について。
まず両肩ですが、最大でここまで開けます。
目測でおおよそ130度くらいでしょうか?
肘は見たまんまの可動で、だいたい90度くらい曲がります。
脚の付け根は、前後にこのくらい可動します。
そこまで大きな可動範囲ではないですが、これ変型ロボ玩具ですから。
脚の横方向可動は、かなり広いです。
最大でこのくらいですが、クリック式関節なので、保持力は問題ありません。
反面、足首はあまり大きな可動がなく、こちらも最大でこのくらいの可動範囲です。
とはいえ、大きく動きすぎると母艦時に支障が出そうですけど。
変なポーズですが、膝の可動範囲もしっかりです。
こちらもクリック式関節なので、保持力はバッチリ。
今回は、全体的に関節が緩くなることはなさそうです。
首の可動範囲は、先の変型過程の通り、構造的には真上に顔を向けるくらい動かせます。
しかし、最後に首を縮める都合上、普通に動かす分にはこれが限界です。
反面、下方向へ向けることは全く出来ません。
横方向へは、360度回せます。
超合金魂「レオパルドン(マーベラー召喚セットVer.)」との比較。
ダイレオンの方が、ちょっと背が高いですね。
2021年9月発売の、超合金魂「ゲッターロボ號(ゲッター號)」との比較。
ソーサーやバックパック(ゲッター2)のせいで、ゲッター號の方が大きく感じますが、実際にはだいたい同じくらいの背の高さです。
超合金魂ではないですが、S.H.フィギュアーツ真骨彫「仮面ライダーBLACK」との比較。
BLACKは、スタンダードな1/12サイズフィギュア(としてはちょっと大きいけど)の例として並べています。
「黄金の剣」。
番組序盤辺りから作中にてその存在を追及されて来た“黄金の鳥”が、最終回にて登場。
五羽の黄金の鳥が合体し、その姿を変えたもので、大サタンゴースを倒す為に必要となった物の一つ。
これも付属するってのが、嬉しいものです。
黄金の剣は、長さ約13(刀身約9.3)センチ。
刀身部分が金メッキになっていて、非常に豪華な雰囲気になっています。
黄金の剣を握る為の右手首が付属します。
逆に言うと、同様の左手首はありません。
最終回に見せた「ダイレオン・コズミックハーレー」も、これでそれっぽく再現可能です。
元々装備が少ないので、付属武器はこれだけと、ちょっと寂しい内訳となります。
その代わりというわけではないですが、武器以外の付属品がもう少しだけ付属しています。
シンプルな構成で、個人的にはそれで充分だとは思いますけど。
小さなジャスピオンフィギュアも付属します。
PVC製で、高さは約5.3センチ(刀身含まず)。
台座は別パーツで、こちらは約4.9×約2.2センチの大きさ。
別角度から。
小さい割に、塗装が非常に細かくて見惚れます。
これらの画像は相当アップになっているわけですが、塗りミスやはみ出しが全く見受けられません。
超惑星マシン・アイアンウルフ。
特徴的なサークルウィングが展開しているモードで、こちらは可変はせず固定です。
先で紹介したように、戦闘母艦ダイレオンの機首に搭載可能です。
大きさは約1.3センチで、非常に細かいながらも、これまた非常に細かい塗装が施されています。
超惑星戦車ガービン。
大きさは長さ約1.6センチ(幅約1.1センチ)で、先述のアイアンウルフとは対比が合ってませんが、いんだよ細けぇことは。
当然ながら、ガービンジェットとガービンタンクに分離は出来ませんが、他同様塗装が非常に丁寧です。
アイアンウルフとガービン、そして「超合金魂レオパルドン」付属の「スパイダーマシンGP-7」との比較。
GP-7とアイアンウルフは、丁度良いくらいの対比ですかね。
以上、超合金魂「ダイレオン」でした。
【総評】
非常に満足度の高い、まさに超合金! という完成度です。
一部、変型ギミックがオリジナル解釈となっていますが、それも極力少ない範囲でまとめられています。
変型をこなし、その上可動範囲もなかなか広く、更には驚きのギミックも内包されていて実に唸らされます。
あと、ここまでのレビューで触れていませんでしたが、こういった構造のため戦闘巨人ダイレオンは腰が回らないのですが、これは股関節全体が回転することでフォローされています。
このように、非常に凝った構造になっていて、それでいてダイキャスト使用率も高いものですから、高評価こそすれ文句の言いようがありません。
あえて難点を挙げるなら、オリジナル解釈の変型プロセスに賛否が分かれる点。
また、超合金魂独自の「パーツを収納出来る台座」ではなく、戦闘母艦モードしか飾れない仕様のため、些かもったいない気がする程度です。
小さい! という旨の意見もあるかもしれませんが、個人的にはこの大きさで丁度良い感じがします。
(ただ正直、これで約2万円って、本当に高くなったもんだなぁ…という気はします)
尚、本商品は仕様的に大きな問題は見受けられませんが、別な問題がありました。
母艦への変型が出来ないというトラブル報告が、ツイッター上で散見されました。
それによると、ボディを押し縮めることが完全に出来ないため、拳の収納が不完全にしか行えず、戦闘母艦にならないという内容。
メチャクチャ多く見られたわけではありませんが、同じトラブルが複数呟かれていたため、そういうこともあったという程度に捉えておくと良いのかもしれません。
ただし、中古購入したものにこういう問題があった場合、交換が行えず泣き寝入りするしかないので、これから買うなら覚悟は必要です。
現在、BANDAI SPIRITSの交換修理依頼は、BANDAI時代とは打って変わってシビアになっていまして、一般販売なら購入店舗の報告、プレミアムバンダイならマイページ上から印刷できる納品書をプリントして発送時に添付する必要がある上、取り扱い不備による破損の修理交換はNGとなっています。
他にも色々あるのですが、つまり会社が代わったことによりルールが厳格化し、正規ルート以外の購入の場合はサポートが受け難い状況となっているわけです。
それ自体はやむなしという気もするんですが、であるなら、より品質には注意を払って頂きたいという感はあります。
プレミアムバンダイ限定の為、今後入手する方法は極めて難しく、また評価が高めの為、値段も高騰する可能性がありそうですが、これは一般販売して欲しかったものですねー。
出来るなら二体目欲しいですよ、ホント。
そんくらい、これはイチオシの名玩具ですよ、マジでマジで。