第12回 ■ バンダイ 装着変身「仮面ライダー威吹鬼」
2005年6月10日 更新
今回は2005年4月発売分装着変身の三体目・威吹鬼です。
●バンダイ 装着変身「仮面ライダー威吹鬼」 定価2,100円(税込)
- 威吹鬼素体フィギュア
- 威吹鬼頭部(マスク)
- 威吹鬼胸アーマー(左右各×1)
- 威吹鬼胸アーマー(背面×1)
- 音撃鳴・鳴風(ベルトのバックル)
- 音撃管“烈風”本体
- 音撃管“烈風”先端部パーツ
- 音撃管“烈風”マウスピースパーツ
- 音笛(変身アイテム)・通常形態
- 音笛・収納形態
- ディスクアニマル(携帯時)×3
- ディスクアニマル用ホルスター
- ディスクアニマル用シール(3枚分裏表・計6枚)
- 取扱説明書
「仮面ライダー響鬼」より、現行ライダー二人目の装着変身化。
ほとんど共通のデザインなのに、響鬼とはまったく違った印象を与えているのはお見事。
●映像内のキャラクター
「仮面ライダー響鬼」は、2005年1月末から毎週日曜日朝八時、テレビ朝日系列で放送されている、現状最新の仮面ライダーシリーズ。
威吹鬼は、響鬼同様猛士に属する「人を守るために魔化魍と戦う鬼」で、音笛を使って変身する。
火炎鼓で清めの音を叩き込む響鬼と違って、威吹鬼は「音撃管“烈風”」という、トランペット型ハンドガンを使用。
まず、武器(銃)モードで魔化魍を撃ち、その体内に弾丸として「鬼石」を埋め込む。
次に、烈風を変形させ、先端部にベルトのバックル「鳴風」をはめ込む。
すると、烈風はトランペットのような形状になる。
これを吹き、魔化魍に向かって清めの音を発すると、先に埋め込んだ鬼石が共鳴現象を起こし、体内で爆発!
接近戦の響鬼に対して遠距離攻撃を得意とする威吹鬼は、主に飛行能力を持つ魔化魍退治に派遣されるようだ。
威吹鬼(変身前名称は「イブキ」とカナ表記)は、本名・和泉伊織。
猛士の中核をになう名家出身で、なんと20歳の若さで広尾に住んでいる(うまやらしい)。
響鬼より十歳以上年下で、彼とうまく共闘しているようだが、時折響鬼のとんでもない行動に辟易させられているようで、あまり尊敬しているようには見えない。
また、普段魔化魍退治の移動に使用する愛車「竜巻」というバイクを、響鬼にぶつけられたという経験があり、心の底では深く憎んでいる(嘘)。
イブキには、三年前から彼に師事している弟子・天美あきらという少女がおり、魔化魍退治の際に同行させている。
ただ、そのために彼女はせっかく合格したばかりの高校にろくに通えなくなっており、イブキ自身それを大変気にしている。
あきらは、変身能力はまだないもののディスクアニマル起動・使役及び情報受信が可能で、将来が大変有望のようだ。
●セールスポイント
威吹鬼は、基本的に装着響鬼とほとんど同じ構造になっている。
素体の造形や可動範囲については、ほぼ同様と考えて支障はない。
この様子だと、後に続く轟鬼なども、特に改修される事なく素体流用されそうな雰囲気だ。
威吹鬼の特徴として、まずマスクが挙げられる。
装着響鬼の時にも書いたが、響鬼系ライダーの顔は「のっぺらぼうの上に立体の隈取」が施されているような形状で、のっぺら部分には微妙なグラデーションがかかっている。
だが、装着響鬼はこれがあまり良く再現されておらず、顔の中心部に僅かにパールが吹かれているだけだった。
響鬼だけを見た場合は、それでも特に問題なかったのだが、装着威吹鬼が出てきて、ちょっと事情が変わった。
本商品では、パールではなく「顔面に銀色のスプレーを多めに吹きつけ」てあり、より明確なグラデーション効果が発揮されている。
よりメリハリが付いた感じだ。
やや吹きつけ面積が大きすぎるような気がするし、個体差で色のはみ出しのあるものも多いが、ここは改善点として捉えていいだろう。
音撃管「烈風」は、このサイズと材質の割には、とても完成度が高い。
ある程度オミットされたモールドや塗装はもちろんあるが、質感も充分にあり、これだけ細かく丁寧に作られていると文句を付ける気にならなくなる。
例によって、かなりオーバースケールになっている上、マウスピース部分の収納ギミックがオミットされてしまっているが、それを踏まえてもなお高く評価できる。
ただ、オーバースケールになってしまったため、先端部の「鳴風(ベルトのバックルが変形したもの)」はとてつもなく大きくなってしまっており、ベルトとの関連性は消滅してしまった。
まあでも、仮にサイズが同じだったとしても、あのサイズと材質で、劇中のような取り付けギミックを再現させるのは酷だからなあ。
これは素直に諦めるべきポイントなのかも。
ちなみに、「烈風」武器モード時のマウスピース収納は、ピンバイスで一部分に穴を開ければ一応可能になる。
だが実は、穴を開けなくてもマウスピースを収納位置にねじ込む事が出来たりする。
これは、材質の弾性に頼って無理矢理はめ込むというものなのであまりオススメはしないが、一応そういう事も可能という事で。
どちらにしても、穴開け改造をしてもマウスピースは綺麗に収まらず本体部分に干渉してしまうので、どちらの方法を取るかはユーザー次第だ。
おもちゃに手を加える気がないという人には、前者の方法を一応オススメする。
付属のディスクアニマルシールは、ルリオオカミ、リョクオオザル・ニビイロヘビの三種類が付属で、響鬼同様銀色円盤パーツの両面に貼り付けて楽しむ。
もちろん、あえてシールを貼らず未起動状態を演出するのもいいだろう。
この銀色円盤も、もちろん音笛に装備可能。
●問題点
問題点としてまず最初に思いつくのが、装備品のサイズ。
そして胸アーマー」と青色の明度だろうか。
装着響鬼同様、威吹鬼の各装備品は妙にスケールが大きい。
烈風は、その完成度の高さも手伝ってまだ我慢できるかもしれないが、音笛はそうもいかないだろう。
元々「笛」という、コンパクトであるべきアイテムが、遠足の水筒並(あるいはそれ以上)にデカいというのはどうか。
確かに、あまりコンパクトに作られると落下してなくしてしまいやすいし、子供も扱いづらいだろうけど、それでもこれはあんまりだ。
二種類付いてくるのはありがたいが、せめてもう少しだけでも小さくして欲しかった。
これでは、S-RHF版ファイズ&カイザの各ショット装備状態を連想してしまうじゃないのよ。
次に胸アーマーだが、これがまたやたらと取れやすい。
響鬼の時も、いつの間にかポロリと外れていたりする事があったが、今回はそんなものではない。
威吹鬼の胸アーマーは、前面二つ・背面一つのパーツを組み合わせる構成となっているが、この背面アーマーの保持力が弱すぎて、少しでも衝撃が加わるとすぐに外れて落ちてしまう。
このアーマーは、素体背面にある横二つ並びのジョイント穴だけで保持されており、他のパーツで支えられる事はない。
これは、何かしらの手段で口径を詰めればなんとかなると思われるが、結構困らせられる。
このページ用の写真撮影の最中も、何回も落下して本当に辟易させられた。
もし、お持ちの威吹鬼は全然外れないぞ、という人が居たら、それは大変良いものを選んだ結果だと思うので、是非大切にしていただきたい。
威吹鬼の頭部隈取や、手首部分の青色は、なぜかやたらと発色が良すぎて違和感がある。
もう少し明度と彩度を押さえた、地味目の青にしてもらった方がしっくり来るのだが。
バンダイ製品は、昔から「青系統」の色で問題が出る事が多いなあ。
これもまた、玩具っぽさをあえて演出した結果なのだろうか?
その他、細かな問題点はほとんど装着響鬼と同様のものとなる。
逆に言えば、響鬼で満足できる人にとって上記問題さえ納得できれば、あまり気になる事はなくなるかもしれない。
どちらにしても、スタイルモデルとしてはともかく、おもちゃとしては大変良く出来ているのだし。
●総合評価
左が説明書準拠、右が劇中準拠の持ち方。
色々気になる部分もあるにはあるが、個人的には、響鬼よりも引き締まった商品になったかな、という印象がある。
どこがどう引き締まったのか、と説明を求められると困ってしまうが。
ただ、響鬼よりはお気に入りという事。
この辺の感覚は人それぞれだろうが、響鬼系ライダーの装着変身に魅力を感じるなら、手に取っておくべきアイテムなのは間違いないだろう。
パーツの大きさがどうの、色がどうのと言ってても、烈風を構えて飾っておけば、もうそれであまり細かい事をいう気がなくなってしまうようだし。
って、その「烈風の持ち方」という問題が、まだ残っていた。
本商品の説明書では、音撃モードの烈風は左手で銃のグリップを握らせて持つように指示されているが、劇中では音管中央部分(縦に伸びたパイプ部分)を押さえている。
もし、劇中通りに持たせて飾りたいなら、ちょっと工夫してこの部分を持たせてみるといいだろう。
それにしても、この音管部分はとても持たせづらい。
はじめから、ここを掴ませる構造にする気なかったんだろうなあ。
ヘタな事やると、この部分の形状にも影響を及ぼすし。
■総括
響鬼系ライダーの装着変身は、2005年5月現在三体目までラインナップが公開されており、次は「仮面ライダー轟鬼」となる。
エレキギター型の音撃装備を持ち、ブレスレット型の変身アイテムを身に付けているという、ちょっと変わったスタイルになるのでひそかに楽しみなのだが、それ以外、あまり大きな変化は期待できないかもしれない。
というのも、響鬼系ライダーは共通項があまりにも多すぎるため、龍騎系ライダー以上に「玩具的な個性」を見出しにくくなっているからだ。
体表の占有面積の狭い胸アーマーに、マスクの違い。
あとは武器の違いがあるのみで、それ以外はほとんど同じだ。
これでは、各ライダーに特別な思い入れがない限り、集める目的意識が見出しにくくなるのではないか。
番組内に登場するすべてのライダーを揃えたいという目的意識を持つ人も当然居るとは思うが、響鬼の場合、すでに玩具化しない事が明確になっているライダーが大勢存在しているという問題があり、自主的な改造でもしない限り、完全に揃える事は出来ないわけだ。
そうなると、個人的に心配なのが「ターゲットユーザー層に飽きられた時」。
同じような物が連発すれば、劇中で人気があっても商品的に飽きられる危険が高い。
特に子供を持つ親の場合、似ている別物を指して「これと同じの持ってるでしょ!」という伝家の宝刀が使えるわけで。
そう考えていくと、やっぱりこの響鬼系ライダーの装着変身も、実質的にはマニアターゲットなのかなーと考えてしまう。
マニア層狙いなら、似通ったデザインのものでも自然に買ってもらえる事を見込めるだろうし。
しかし、そうかと思うと妙に子供向けっぽく造られているような部分も見えて、ちぐはぐな印象もある。
響鬼系ライダーの装着変身は、明らかに龍騎系・ファイズ系などとは違う位置付けにある商品群だ。
だから、目の付け所やこだわりの方向が、他番組系のものと微妙に異なっているのがわかる。
この辺が今後吉と出るか凶と出るか…ちょっとだけ心配な気がする。