第8回 ■ バンダイ ウルトラマンネクサスマシンシリーズ 「クロムチェスターδ(デルタ)」
2005年3月24日 更新
四機目のクロムチェスター、ついに登場!!
というわけで、前回長すぎたので、今回は短めに単体レビューでまとめたいと思います。
「UNM5 クロムチェスターδ(デルタ)」 定価\2,730(税込)
- クロムチェスターδ本体
- ブースターパーツ×2
- 主砲(ブラスター)×2
- 機首パーツ×1
- シール×1
- 取扱説明書
(ハイパーストライクチェスター合体方法記述)
全長約17センチ、全幅最大約14センチ。
これだけで、ストライクチェスターに迫るほどのサイズというのが、実にダイナミック。
●概要
2005年2月19日発売。
なんとこれはデルタのテレビ初登場日であり、これ以上ないほど完全な同時お披露目になった。
時空間移動能力を持つゴルゴレム追撃のために開発された機体で、フェイズシンクロナイザー搭載による単独での位相空間突入能力を持っている。
メイン武装は、主砲のコアドラブラスター。
以前に紹介した「クロムチェスターα・β・γ」の三機と合体する機能を持ち、最強形態「ハイパーストライクチェスター」になる事が出来る。
搭乗者は孤門隊員で、いわゆる「主人公専用マシン」。
他のクロムチェスターと明確に異なるポイントが多く、ホワイトを基調にブルーのライン(本来のクロムチェスターのベースカラー)が入っていたり、ノーズが長めのスマートなデザインだったりと、個性放ちまくり。
一部では、スターウォーズのXウイングにクリソツだと囁かれている様子。
それも確かにわかる気はするけど…アレを踏襲したデザインのメカなんか、他にも沢山あるんだから、今更目くじら立てんでも、という気がする。
なんで、筆者はこれについては、特に問題点だとは解釈していない。
本商品も、これまでのクロムチェスターシリーズ同様組み替え合体を楽しむ事が出来るが、単独でも、玩具オリジナル形態の「ビークルモード(車型)」になる事ができる。
変形ギミックも、基本的に組み換えが中心で、その性格はアルファやガンマなどより強まっている。
各パーツをバラバラにして配置や向きを変えるパターンで、おおまかに三つの姿(通常・ビークル・ハイパー合体時)を持っている。
そのため、よりパズル要素が強まったが、「一体のメカがバラバラになって組み直される合体が嫌いな人」には、この点が鼻について仕方ないんじゃないかな、と想像。
とりあえず、過去に発売された三機のプレイバリューをさらに盛り上げるアイテムなのは、間違いない。
●セールスポイント
クロムチェスターδ(以下デルタと統一呼称)は、前三機のクロムチェスターとの合体ギミックを搭載しつつ、単体でもスタイリッシュな魅力を発揮している。
これだけで、ストライクチェスターとほぼ同じ全長があるというのもすごいが、さらにこれらが合体して「ハイパーストライクチェスター」という、巨大主砲を備えた高速戦闘機に進化するというのも凄い。
体積が妙に大きい飛行メカが好きな人には、注目の逸品になるだろう。
先の通り、本商品のデルタは玩具オリジナルギミックとして、ビークルモードという車形態にする事ができる。
このビークルモード、どちらかというとバギー型で、なんとなく「特捜戦隊デカレンジャー」のブラストバギーに近いノリがあるような気がする(用途は全然違うんだけどさ)。
このギミックのおかげで、クルマスキーの目をも引くようになったわけだが、実はこれ、それ以外にも「合体時、オリジナル地上メカ形態を増やす材料にもなる」という、より大きなメリットがあるのだ。
前三機の合体の際、地上メカ風味の材料となるのは「ガンマのキャタピラパーツ」だけであり、ここに「ベータのローター」を補助輪のように利用するのが精一杯だった。
これだけでは、あまり大したバリエーションが作れない。
作れたとしても、似たようなシルエットばかりになってしまうだろう。
ところが、このデルタを用いる事で一気に四つものタイヤパーツが増えるわけだから、選択肢が増え、よりオリジナル地上メカの組み立てが楽しくなる。
これで、ディグチェスターやメガキャノンチェスターに次ぐ、より危険な地表ドリドリ兵器完成への糸口が見えてくるはずだ。
さらに加えて、オレオレ系飛行メカのバリエーション展開も広がる。
今回のデルタは、四連ブースターという面白いパーツを持ってきている上、砲塔の取り外しが可能な機銃(つか、キャノン砲か)がある。
メインの機体も、前後に二連の共通ジョイントがあるため、各機体の橋渡し的役目も果たす。
さらに、アルファに代わってノーズパーツを提供できるため、よりスマートな機体を作成する事もできる。
ガンマの幅広いボディとうまく組み合わせれば、大きな翼に鋭く長い機首を備えた、いかにも速そうなマシンが作れるだろう。
メインギミックである、ハイパーストライクチェスターの合体を見てみよう。
まず、ストライクチェスターの本体上面部にまたがる(アルファの)キャノン砲を外し、本来あるべき位置に戻す。
アルファの機首下に潜り込んでいたガンマのコクピットを外しておく。
そして、ガンマの翼の巨大なエアインテークを取り外し、左右交換する。
これにより、ストライクチェスター中央部に、デルタの入り込む隙間が確保される。
次に、デルタの四連ブースターを取り外し、上下二つに分ける。
これを、それぞれデルタ本体の左右に接続するのだが、その前に、各ブースターパーツを90度折り曲げ、全体を一文字状にまとめておく。
デルタ本体にこれを接続し、機首についているキャノンの砲塔を起こす。
すると、ブースターの中央部とキャノン砲塔の後部が接続され、まっすぐに繋がる。
この状態でストライクチェスターの上に乗せ、さらに最頂部にガンマのコクピットを接続すれば、完成。
いきなり全体が二倍近くボリュームアップする様は、壮観の一言だ。
●問題点
さて、ここまでいい感じに書いてきたが、実は本商品は問題点の方が圧倒的に多い。
というか、過去の三商品(※ストーンフリューゲル除く)と比較すると、あまりにも酷すぎるポイントが目立つ。
まず、一番気になるのは、あからさまな「品質低下」。
本商品はクロムチェスターガンマと同じ価格なのだが、とてもそうは思えないほどのお粗末な造りには、呆然とさせられる。
あまりにも重みを感じないボディに、徹底的に金属部品が取り除かれたかのようなパーツ構成(ランディングギアの車輪すらプラ製!)に驚く。
デルタは、白色プラを未塗装のまま利用しているが、そのため余計な透明感が生まれ、安っぽく見えてしまう部分もある。
よくわからない人は、各種ガンダムのプラモ等、白いパーツが多い物を素組してみるといい。
最近かなり完成度が高まった筈のガンプラですら、どことなく安っぽさが感じられてしまう。
その後、白パーツの裏側に「黒」を塗装して、再び組み立ててみる。
すると、透明感がなくなって重みが増したような雰囲気になる。
こんな風に、一部の素材色はそのまま使用されると、材質の良し悪し関係なく安っぽく見えてしまうものなのだ。
それをあえて見逃したとしても、白くない部分…例えば四基のブースター周辺にもチャチっぽさが感じられるのはどうか。
このデルタ、大きさだけなら立派なのだが、細かく見ていくとだんだん割高感が強まってくるというので、本当にいただけない。
でもこの辺までは、ユーザーが納得すれば済むだけの話で、そんなにヘビーな問題とは言えないかもしれない。
実際、こう書いてはいるものの筆者もすぐ慣れたし。
それよりまずいのは、一番の売りであるはずの「合体」に多くの支障が発生する事だろう。
このデルタ、しばらくいじくり回していて気付いたのだが、どうやら「四機すべてのパーツをバラバラにして、めちゃくちゃに組み立て直す」というプレイバリューを優先している反面、ストライクチェスター化のような“スマートな合体”は、あまり重要視されていない感がある。
ちょっとわかりにくいかもしれないが、つまり、レゴブロック等を使ってまったく新しい形のものを構築するが如く、無規則な合体を中心に考えられているという意味だ。
「ムゲンバイン」のような遊び方が提唱されている、というべきか。
そんな印象を受けるのだ。
もちろん、それだけなら何の問題もないし、そういう楽しみ方をする事は自然な成り行きだから、悪い事は何もない。
しかし、中には余剰パーツは絶対に許さない、あるいは不必要にパーツをバラけさせるのを良しとしない「合体に法則性を求める」人達というのも居て、デルタは、そちらのニーズに“まったく合っていない”。
具体的なポイントを見てみよう。
デルタは、先端部の機銃部分、機首部分、本体後部に“横二つのジョイント”が設定されており、この幅は、アルファの後部やベータの前部、またガンマの先端部と同一の規格になっている。
にも関わらず、なぜか合体できないケースが多い。
▲ 形状の問題で接続不能なパターン
デルタ本体は比較的汎用性が広く、デルタ→ベータやアルファ→デルタ、デルタ→ベータのように繋げる事が出来るのだが、後ろのブースター部分は、こういった合体に対してほとんど拡張性がない。
ベータ→デルタ・ブースター、ガンマ→デルタ・ブースターといった接続は「ボディ形状」の干渉があるため、無理だったりする。
またデルタ・ブースターのジョイント部分は、デルタ本体後部(凹ジョイント周辺)の形状に合わせて成形されているため、それ以外の機体のジョイント接合を妨げている。
アルファ本体を接続させる事だけはスムーズに行えるが、この場合ミサイルポッドの行き場所を工夫しなくてはならない。
どうしてもデルタのブースターをどこかに付けたい場合は、二分割してどこか別な場所に用いるしか手段がない。
せっかくの増加ブースターパーツなのに、汎用性が皆無に近いとは、大変もったいない。
▲ ジョイントの問題で片方だけ接続不能なパターン
ブースターパーツには、さらなる問題がある。
デルタのブースターは横一文字型に二分割され、それぞれが本体の左右に回り込んでビークル時のタイヤとサイド部分を構成するが、なんと、本体との接続ジョイントが“互い違い”になっている。
つまり、左側車輪部のジョイントは、前から見て凹・凸の順に並んでいるとすると、右側は前から凸・凹の順になっている訳だ。
要は、一つの金型から左右両方のパーツを取っているためなのだが、これが合体の際に大きな支障を来す。
ジョイントが互い違いという事は、このサイド部分を本体横に均等に合体させられるのは、全クロムチェスターパーツの中で、デルタ本体しかないという事になる。
他のクロムチェスターは、横に位置するジョイントがすべて均等配置になっているため、例えば「別のクロムチェスターのボディに、デルタのタイヤを接続」などといった合体が出来なくなる事を意味する。
もちろん、タイヤ化を諦めればこのパーツを活用させる応用法はある。
だが、以前のように気軽に組み替えを楽しむパーツではもはやなくなってしまっているのは確かだ。
また、本体底部の凸ジョイントにも独特のクセがあり、今ひとつ拡張性に乏しいのは泣ける。
なんと、他のクロムチェスターのパーツを特定の方法でつなげない限り、デルタ本体を上に乗せる事が出来ないのだ。
同様の理屈で、デルタをアルファのキャノン砲の上に乗せる事も不可能。
▲ 上左:ジョイントの位置が合わないため接続不能。上右:ジョイントの位置が合わないため接続不能
まあ、でもこれは別な応用が利きそうだから、まだいいか。
キャノン砲底部のジョイントは、あまりにも応用が利き過ぎる名パーツだったが、アレと同じくらいでなければ意味がない! と思ってしまうのは、筆者だけだろうか?
でも、タンク?形態のガンマの上に乗せようとすると、機首がエアインテークに干渉してしまい、みっともなくなるというのも悲しいなあ。
それ以外にも、ジョイントの付き方に疑問がある部分が多すぎる。
二門の主砲を繋いでいる先端パーツ底部のジョイントは、各マシン本体の後ろ寄りに接続される事しか前提とされておらず、前方部分に配置する事はほとんどできなかったり、デルタ本体に他のクロムチェスターのパーツを接続しづらかったり…
なんというか、あまりにも配慮がないというか。
このため、四機すべてのクロムチェスターを、余剰パーツなしで合体させようとすると、途端にバリエーションが作りづらくなってしまう。
以下に、いくつか「合体の不具合パターン」を示した写真を掲載する。
これが、合体に法則性を求める人にとっての難点と表現した理由だ。
▲ 上左:機首部分が干渉してガンマに接続不能。上右:ビークルモード形態をガンマと連結させるのも不可能
▲ 上左:ミサイルボッドが片方だけ接続不能。上右:凸ジョイントがあるために挟み込みも不可能
もちろん、ここまでに挙げてきたものは、すべてのユーザーに対する問題となりえない事は充分承知している。
余剰パーツが出ようが、法則性がなかろうが、とにかくおおまかに一体化できればそれで良しとする人は多いし、テレビ本編ではありえない合体をさせている以上、「合体するためのルールや法則性」などがあるわけでもない。
そもそも、何のためのルールや法則性なのか、という気もするわけで。
筆者自身、こういう無軌道な楽しみ方も充分アリだとは思うのだが、まずいのは「そちらばっかりに偏り過ぎ」という現実があることだ。
確かに合体遊びにルールなどないが、逆に、ルールを設定・付加するのもアリなのだ。
余剰パーツが出る合体を、無条件でダメなものと判断する人だっているし、パーツの配置を入れ替えたり、全然違う所から別な部品を引っ張って来たりするのは反則だと感じる人だって、同様に多い。
筆者も、どちらかというとこっち寄りの考えなので、今回と前回掲載したクロムチェスター「オレオレ合体」は、一切余剰パーツを出さないで組み立てる事をテーマにしてみた(一つだけ、ガンマのコクピックが逆向きに付いている反則技があるが)。
だがこのデルタは、こういった視点で見た場合、前回以上に無理が発生する構成となってしまっている。
これは、偏り以外の何物だというのだろうか。
せめてもう少し、ジョイントの拡張性を高めてくれれば、それだけで良い玩具になれたものをと、筆者は思う。
大変惜しい。
ここからは、デルタのデザインに対する疑問になるので、本来「玩具についての良し悪しを語る」事を旨とするこのページに趣旨に反するが、ちょっとだけ触れてみたい。
デルタをしばらくいじって、各所のパーツやジョイントのあり方を見ていて感じたことは、「これはクロムチェスターに合わないデザイン」であるというものだ。
この場合のクロムチェスターとは、当然アルファからガンマまでの三機を指す。
なんというか、統一感がなさ過ぎるのだ。
どちらかというとずんぐりむっくり形の前三機に対して、妙にスマートすぎる本体は、合体させた時に部分的な違和感を生むだけだし、第一カラーリングが合ってない。
見方を変えれば、ハイパーストライクチェスター時などに「どの部分がパワーアップパーツなのか」を明確に理解させるために、今のようなスタイルになったとも考えられるが、だとすると今度は「別形態の合体についてはまったく考慮されていない」という事にもなる。
実際、デルタは「ストライクチェスターに合体させる」という事が主目的で、それ以外の合体についてはオマケ的なものでしかないという事は、かなり明白だ。
その一例が、「デルタ本来のデザインラインを活かした合体スタイルがオフィシャルで(または組み立て例として)存在しない」という事実だ。
前三機は、ストライクチェスターという機体を三分割したものからデザインやギミック、ジョイントを構築して、それぞれの機体を完成させている。
つまり、初めから「三機で一機」という感覚でデザインされているわけで、結果的に、あれほどの異形にも関わらずものすごい統一感があった。
ところが、デルタはそのストライクチェスターのブーストアップパーツとして…つまり「元々一部だったもの」としてのデザインが成されていない。
だから、ストライクチェスターと合体する時には、わざわざ大幅に機体形状を変える必要がある。
ビークル形態にしても、デルタ通常形態とストライクチェスターとの合体形態のみでは、あまりにギミックが不足すると感じられたため導入された「でっちあげ」だろう。
でっちあげとはいえプレイバリューが増えるのだから、それはそれで嬉しい配慮ではある。
だがいかんせん「生まれた時からよそ者」状態であったデルタは、結果的に、どんな工夫をしても他の機体との一体感が生み出せないという悲劇を背負ってしまった。
こう書くと、「何を言ってるのか、一体感はとってもあるじゃないか!」とおっしゃる方も出てくるだろう。
だが、よく考えていただきたい。
デルタは後出商品という事もあり、それ単体で前三機全体に並ぶ魅力導入が求められる立場だ。
わかりやすく言うなら、戦隊ロボで二体目以降の商品を出す場合、すでに広く知られた一体目ロボの魅力に匹敵するデザインやギミック要素を検討・導入されるのと同じようなものと考えればいい。
デルタの場合、それが「全体スタイルのデザイン」に求められたようだ。
決して、変形・合体後のデザインに、ではない。
その理由の一つに、最初に触れた「Xウイングに似ている」というポイントがある。
難しい事は抜きにして、単体でかっこいいと思えるデザインなら、それだけで商品的魅力となり、売れる見込みが出てくる。
しかし、対してアルファ以下前三機は、全体で一つであり、単体で目を引くようなデザインではない。
三つでようやく一つの魅力を発揮できるものなのだ。
そんな三位一体のものにさらにプラスワンするわけだから、バランスを崩しこそすれ、一体感なんか出るわけがない。
悪い言い方をするなら、「完全な後付だからこそのアンバランス」。
メーカーは、それがわかっているからこそ別なアプローチとして、「単一デザインの追及」という選択を行ったのだろう。
もし、アルファからデルタまでが、すべて同一コンセプトの基にデザインや販売が成されていたら、絶対すべて似た様な印象の形状にまとめられる筈だ。
そうならなかったという事は、デルタはやはり「独立したコンセプト」の下にあったわけで、前三機との協調性は重要視されていなかった可能性も見えてくる。
やっぱりデルタは「後付け」以外の何物にもなり得ず、そのための不具合が露骨に表面化してしまっているのだ。
でも、もし「実はデルタは、クロムチェスターの最初のデザイン時から考慮されていたものなんですよ」なんていわれたら、筆者は悶絶してしまうだろう。
■総括
先に挙げてきた問題点などを含め、本商品に対して感じる事は、ただ一つ。
「軽い」
全体的に中途半端で旨味に乏しく、期待していたギミックも大した事がなく、造りも安っぽく、その上妙に高い。
ものすごく個人的な意見をあえて言わせていただけるなら、「2730円の価値は、まったくない」。
せいぜい、1500円前後が関の山なのではないかとも思う。
それだけ、このアイテムは「ハズレ感」が強い。
せめて、もう少ししっかりした造りになっていて、重量感があっただけでも、印象は好転した筈である。
ものすごく期待して買った分、筆者の落胆が大きいだけなのかもしれないが、いずれにしても、前三機の魅力には遠く及ばないアイテムだったと断言して構わないだろう。
とはいえ、デルタという機体の存在意義そのものは、大変意味があるとも思う。
後出する主人公機、しかも、ネクサスの適合者入れ替わりが近い時期の登場で、物語をうまく盛り上げる要素の一つになっている事は確かだし、ハイパーストライクチェスター時の大迫力は、もはや完全にウルトラ系マシンの領域を大きく逸脱しているし、何より「高速戦闘機が、超大型光学兵器を搭載」しているというシチュエーションは、メカフェチ泣かせな所がある。
散々バランスについて文句を唱えていてアレだが、ハイパーストライクチェスターの場合は、バランスが崩れているからこそのインパクトが武器になっており、四の五の言わさぬ迫力があるのは確かだ(それを狙っていたのかは疑問だが)。
第一、機体とほぼ同じリーチの主砲搭載って、いったい何を考えているのよって感じだ。
この、良い意味でのむちゃくちゃさをしっかり再現出来る本商品は、そういう意味では大変価値がある。
決して、すべてが駄目というわけではないのだ。
残念ながら、先に何度も述べた通り「筆者的にはお奨めしかねるアイテム」ではあるが、ウルトラマンネクサス本編での活躍に燃えて、思い入れマックス状態になっている人には、その限りではない。
問題点が多く目立ったという事と、魅力がまったくないというのはイコールじゃないのだ。
また、オリジナル合体も幅が狭まっているとはいえ、決してまったく遊べなくなったわけでもない。
つまりは、そういう難点も含めて、その人が納得できるなら手を出す価値は充分にあるという事だ。
欠点をあらかじめ踏まえた上で購入するのなら、上記までに挙げてきた粗や問題点は、そんなに気にならなくなるかもしれない。
四機全部含めて9000円を越える価格を払うという、それ以前の難関を乗り越える必要はあるが。