第6回 ■ バンダイ ウルトラマンネクサスマシンシリーズ「クロムチェスター」
2005年2月13日 更新
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2004年9月に発売された「ウルトラマンネクサスマシンシリーズ クロムチェスター」三機。
これはもう発売されて結構な時間が経過しているものなのだが、近々四機目の「δ(デルタ)」が発売されるので、その手前にやってしまおうという魂胆。
今のところ、筆者が掛け値なしでオススメする名玩具なので、是非ともお付き合いください。
バンダイ ウルトラマンネクサスマシンシリーズ1・2・3「クロムチェスターα・β・γ」
●概要
まずは、クロムチェスターとは何か、という所から。
実写版「美少女戦士セーラームーン」の後番組としてスタートしたTBS系列「ウルトラマンネクサス」は、これまでのウルトラシリーズと大きく異なる設定を内包した意欲作で、既存のウルトラ的世界観を期待して観た人の夢も希望も粉々に打ち砕く、とんでもないほどダークな作品だ。
主人公がウルトラマンに変身しない、ウルトラマンの正体が防衛軍側にすでにバレている、防衛軍の行動目的が「怪獣の極秘殲滅・被害拡大の抑制」であり、人々の平和や命を守る事が最優先とは限らない(状況判断によっては人でも撃つ!)、本当に邪悪な意思を持っている敵のウルトラマンが居る、等…色々な意味で目を見張る設定のオンパレードだ。
この方向性については賛否両論で、熱烈な支持派も居れば、「こんなものウルトラマンなんかじゃない!」と切り捨てる否定派も多い。
そんな作品世界のダーク面のほとんどを取り仕切っているのが、本作での防衛軍組織にあたるTLT(Terrestrial
Liberation Trust…地球解放機構)内の特殊任務班「ナイトレイダー」だ。
本作の主人公・弧門一輝は、ここに所属する隊員で、メンバーの中では比較的まともなタイプで描かれている。
この弧門をはじめとする、ナイトレイダーAユニットのメンバーが搭乗するメカが「クロムチェスター」だ。
このクロムチェスターも、過去のシリーズに登場したウルトラメカとは一線を画する存在で、なんと「三機のタイプ別戦闘機が様々なフォーメーションを組む事によって、まったく用途の異なる複数種のメカになる」というコンセプトを持っている。
つまり、今までならば「戦闘機」「地底戦車」「陸上兵器」などと分類され、それぞれが個別のメカとして登場していたのだが、今回はそれをたった一組の戦闘機ですべてまかなおうとしているのだ。
まさに「戦闘機が戦車に! あんた信じるか」状態だ。
これに近いコンセプトを持っている、もっとも有名なものが「ゲッターロボ」だろう。
三機の戦闘機が複数のフォーメーションを取る事で、陸・海・空のロボットに合体するという、アレ。
もちろん、クロムチェスターは「ゲッP線でガンガンガンガンな合体」はしないけど。
とにかく、大変面白いアイデアを盛り込まれているわけだ。
さらに、「オプチカムフラージュ」システムという機能で姿を消し、目的地まで秘密裏に行動する事が可能。
だから、これだけ目立つ外観でも隠密行動が出来る。
「UNM1 クロムチェスターα(アルファ)」 定価:\1,890
- クロムチェスターα本体
- ミサイルランチャーパーツ×2
- キャノン砲(ランディングギア)×1
- シール×1
- 取扱説明書
(ストライクチェスター合体方法記述)
クロムチェスターα(以下アルファと表記)は、多目的小型高速戦闘機。
弧門と西条凪副隊長が搭乗する。
マッハ2で飛行。
一番スタンダードな形状をしている機体。
三機の中では一番形状変化に乏しいが、その分、それぞれのメカの「顔」や「特徴的な部分」を司っているのが面白い。
サイド部分のミサイルランチャーと、底部のキャノン砲ブロックは、脱着可能。
特にキャノン砲は、各機をジョイントする重要な橋渡しパーツでもある。
ジョイントの部位は、機体側面部(ミサイルランチャー接続部分)、底部(キャノン砲接続部分)に二箇所、後部メインブースターに一箇所(凹ジョイント二つ)存在する。
キャノン砲自体には、合計五つものジョイントがある(上面・凹2つ/下面・凸3つ)。
●セールスポイント
アルファは、ちょっとノーズが短くて、スマートさに欠ける形状の戦闘機で、スラリとしたボディラインのメカが好きな人には抵抗があるかもしれない。
しかし実際にいじってみると、この形状が実に絶妙なバランスの下に成り立っている事がわかる筈だ。
クロムチェスターは、いずれも機体のリーチが短く、ヘタするとSDっぽくも見えてしまうメカばかりなのだが、これは合体時の全体フォルムを計算しているためではないかと考えられる。
もし、アルファのノーズがもっと長かったり、全体のリーチが大きかったりしたら、ストライクチェスター時はともかく、メガキャノンチェスターやディグチェスター時に大きな影響が出てしまうことだろう。
アルファのギミックは、機体の横幅変更(スライド式に、側面装甲が外側に広がる)と、ミサイルランチャーに付いている主翼? の折りたたみ、そして前部ランディングギアの収納のみ。
これは、キャノン砲を外したさらに内側にあり、後述するストライクチェスター時に利用する。
●問題点
「合金外装パーツが皆無」「キャノピーが透明パーツではない」「軽くて重量感に乏しい」といったものが思いつくが、これらはクロムチェスターシリーズ本来のプレイバリューを崩すようなものでは、決してない。
あえて何か見出すのだとしたら、キャノン砲下面の凸ジョイントだろうか。
設定通りの合体を行う際にはまったく問題がないのだが、後に触れる「オレオレ合体(仮称)」を楽しんでいる時、ジョイント間の幅の関係でパーツがうまく合わず、望んでいた形にまとめづらい場合がある。
これは、凸ジョイントが主に「アルファ・ベータ・ガンマを直列に繋ぐ事」を基本として設計されているため、各機体上面の凹ジョイントの幅に合わせているから起こる難点なのだが、オレオレ合体の場合は、先に提示されている条件の範囲内で独自のプレイバリューを楽しむべきだから、本来これは問題点とは言わない。
せいぜい「こうしてくれれば、もっとよかったのになぁ」という程度が関の山だ。
ただ一つだけ、どうしても見過ごし難い点がある。
ストライクチェスター形態時、ランディングギアを出してコロ走行させると、すぐに倒れて元に戻ってしまう事。
手前に引き出すパーツなものだから、せいぜいボディを支えるくらいの役にしか立たず、前に転がせない。
これだけは、大変なストレスをもたらす要因になっている。
「UNM2 クロムチェスターβ(ベータ)」 定価:\1,890
- クロムチェスターβ本体
- シール×1
- 取扱説明書
(メガキャノンチェスター合体方法記述)
クロムチェスターβ(以下ベータと表記)は、隊長の乗る指揮官機。
マッハ1.5で飛行。
もっともパーツ数が少ない商品である。
ものすごく独特な形状で、なんとなく「縦尺を思い切り縮めたパトジャイラー」的メカニックにも見えるが、ヘリタイプマシンではないようだ。
両翼? の丸いローター部は、メガキャノンチェスター形態時の主力兵器に変形する。
三段スライド式のキャノン砲が格納されているのだ。
ジョイントの位置は、本体上部(尾翼裏側)、本体下部、機首周辺に存在。
上部と下部のジョイントは、アルファのキャノン砲パーツと接続して使用される事が多い。
主翼のローター部分にはジョイントがないが、後方に折りたたむ事が出来る。
また、ローター外装部は手動で回転させる事が可能で、ディグチェスター形態時は、コロ走行時に一緒に回ってくれる。
●セールスポイント
「これ単体だとどーしようもないが、ないと困るアイテム」。
それがベータだろう。
クロムチェスターの各形態において、もっとも戦闘機らしからぬ部分を司っているためか、形状だけでなく合体時の配置もかなり特異。
ストライクチェスター時には胴体部延長パーツとエンジン部分になり、メガキャノンチェスター時は主砲、ディグチェスター時には後部車輪?! になる。
一台で、こんなに用途が変わるメカというのは、面白い。
ローター部分は上下にスライド移動・固定が可能で、これも、オレオレ合体時には面白いアレンジの材料になりそうだ。
胴体部分は、輪切りにされた飛行機の一部といった感じでスマートさに欠けるが、その分どこにでも配置できるメリットがある。
尾翼部分は、胴体上面を覆うフードになる。
機首は胴体内に完全収納可能で、出す場合は、反対側のブースターノズルを指で押してやる。
●問題点
全体的に、パーツの固定が甘いような印象がある。
機首を伸ばした時や、ローター内のキャノンパーツを縮めていると、なんだかカタカタしてしまう。
キャノンパーツは、縮めたときにさらに押し込むとカチッと固定できるようになっていて、勝手に伸びたりしないようになっているのだが、ロックされるのは根本だけなので、それ以外の部分はローター内で遊んでしまうのだ。
これが、よく見ると結構格好悪い。
できれば、パーツ間は均等な幅を維持して固定出来るようにして欲しかったものだ。
さらに、尾翼がやたらと外れやすいのも困る。
ストライクチェスターなどのように、アルファのキャノン砲を上面に合体させた際、これを取り外そうとすると、ベータの尾翼まで釣れてしまうのだ。
幸い、尾翼パーツは外れてもすぐに戻せるので破損の心配はないが、はめ直すのがちょっと面倒なので、困ってしまう。
もう少しだけ、尾翼の基部の固定を強める事はできないものだろうか…。
ベータも、合金装甲パーツ未使用なので、とっても軽い。
しかも、見た目がかなり小さいので、これでアルファと同価格と言われると、少し割高感が拭えない。
まあ、価格については、それ以前の問題があるんだけど。
「UNM3 クロムチェスターγ(ガンマ)」 定価:\2,730
- クロムチェスターγ本体
- シール×1
- 取扱説明書
(ディグチェスター合体方法記述)
設定では爆撃機という事になっているらしい。
主に、石堀隊員・平木隊員が搭乗する。
戦闘機としては、かなり異質なデザイン。
合体・変形時は地上メカとしての特徴部分を司るせいか、巨大な横向きキャタピラがついていたり、不自然に横に長かったりする。
全翼型飛行機として見るにしても、無理があるだろう。
だが、そこが飛びぬけた個性になっていて、ある意味とても魅力的かも。
現状、クロムチェスター最大の大きさを誇っているため、商品サイズ・パーツ数・ギミック・価格も最高。
デザインのアクさえ認める事ができれば、ある意味でもっとも遊べるアイテムになっている上、他の二機との組み合わせが本当に面白く感じられてくる。
なお、こんな特異な形しているくせにマッハ5も出るらしい。
クロムチェスターγ(以下、ガンマと表記)は、その性質上複数のパーツに分離できる。
コクピット、主翼部分、各エアーインテークが取り外せる上、本体も中央・右・左部分に分ける事ができる。
ただしこのうち、主翼と本体分割については、破損防止対策的な意味合いが強い。
特に、主翼には不意に強い力がかかってしまう事があるため、根元から外れるようになっているのは本当にありがたい。
ジョイントの数も一番多く、コクピットだけでも下部・左右と計三箇所あり、本体にも左右各パーツ前面部・後面部に各一箇所(凸ジョイント二つずつ)、さらに主翼付近に左右各一つ(凸ジョイント)があり、トドメに上面部と底面部にも、一つずつジョイントがある(上面・凹/底面・凸)。
ここからもわかる通り、実質的に合体時の中枢になるのは、この機体なのだ。
●セールスポイント
ガンマは、面白いところに工夫が成されている。
まず、この独特の形状を支えるランディングギアだが、これは本体左右のキャタピラパーツ側面部(ガンマ本体から見ると、前面と後面にあたる)に、それぞれ二つずつ・計四つの車輪が設定されている。
ちょっと主軸が短いような気がするが、この車輪で、本体の前後転倒を防ぐわけだ。
さらに、キャタピラ自体にも別な車輪が内蔵されている(キャタピラそのものは、さすがにダミー)。
これは、キャタピラをメインとする形態にする際、コロ走行を可能にするためのもの。
キャタピラの底面部に、左右各二つ・計四つの車輪が、どんでん返し型収納されている。
飛行形態の時は、ランディングギアのみを出してキャタピラの車輪を収納し、ディグチェスター等の地上合体時は、それを逆にする。
これは、ちょっと感動モノの配慮で、とても嬉しい。
ガンマのエアーインテークは、軽快に回転する割に外れにくく、しかも、内部には銀メッキを施されたドリルが内蔵されている。
銀の螺旋に思いを込めて、唸りを上げて大回転する、漢の兵器!
その形状から、実用性が皆無に近いと誰もがわかっているにも関わらず、強引にねじこみすべてを貫く、まさに正義のウェポン!
ここからは個人的な感想だが、実は筆者は、アルファやガンマのように「変形の都合でパーツが分離・再合体する」タイプのメカは、あまり好きじゃない。
デカレンジャーのデカバイクロボなどはその典型なんだけど、このクロムチェスターも、しょっちゅうアルファのキャノン砲やガンマのコクピックの位置が入れ替わるので、「なぜそこまでする」という感が拭えなかったりする。
特に、ストライクチェスター時、アルファの底面部に張り付くガンマのコクピットには、壮絶な違和感があったりする。
…が。
一度割り切ってさえしまえば、この無茶なコクピット移動は、逆に面白く感じられる気がする。
ガンマを、ディグチェスター用に変形させた状態にしておくと、なんとなくそれ単体で戦車っぽくも見えてくる。
この場合、コクピットは本来の位置より下のほうに来るのだが、そんなに違和感がない。
いっそ、こちらが通常形態で、飛行時のみあの姿になるようにした方がいいんじゃないかとすら思ってしまう。
だって、それだけガンマの外観って、バランス悪いんだもん。
●問題点
ガンマの問題点として、一番目立つのはやはり「形状」なのだろうが、こればっかりは「設定が悪い」というしかない事なので、玩具自体の問題とは言えない。
これは個人的主観だが、もう少し主翼の長さを伸ばして欲しい気がする。
確かに、これ以上長いと折りたたむ時に邪魔になってしまうのだが。
なんとなく、機体の端に申し訳程度に付いているような感じがして、好きになれない。
スライドして内部に収納するようにすればって、そりゃ無茶か。
…と、いくつか挙げてはみたものの、実は致命的にまずい問題点というのは、ほとんど思い当たらない。
結構完成度が高いのだ、これは。
ドリルが回転しないけど。
●合体!!
先に記した通り、アルファ・ベータ・ガンマは、複数の合体形態を取る事で、まったく用途と外観の異なるメカになる事ができる。
三機それぞれが中心になる形態があるので、まずはそれから紹介しよう。
1.ストライクチェスター:
ウルトラマンネクサスが戦闘時に発生させる「メタフィールド」に突入する事ができる形態で、高速戦闘機。
クロムチェスターの代表的な姿で、ウルトラホークから続く「合体戦闘機」テイストの、正当継承機だ。
アルファを中心に構成される。
先頭から、アルファ→ベータ→ガンマの順にドッキングする。
全体上面部にアルファのキャノン砲をはめ込み、アルファの機首底面部にガンマのコクピットを接続すると完成。
三機とも、あまり大きな形態変化をしないで合体させる事ができる。
個人的には、ガンマのコクピット位置がものすごーく納得できない。
どうして、キャノン砲の上だとダメだったんだろう?
推進力がガンマのものだけになっちゃうのが気になるんだけど。
まあ、設定上の問題はないから、いいか。
2.メガキャノンチェスター:
ベータを中心に構成される事になっているが、とてもそうは思えない陸上攻撃用戦車。
先頭から、アルファ→ガンマ(戦車型に変形)と連結させ、ガンマの上部にベータを接続。
ベータのローター内のキャノン砲身を伸ばして完成。
アルファのキャノン砲と、ガンマのキャタピラだけで移動し、しかもベータの砲身の向きを変更できないという、実用性に疑問を感じてしまう兵器。
だが、掛け値なしでかっこいいから、細かい所は無視しよう。
3.ディグチェスター:
ガンマを中心に構成する、地中潜行用戦車。
先頭から、ガンマ(戦車型に変形)→ベータ(ローターを後部に移動)と連結させ、その上部にアルファを接続して完成。
エアーインテークの裏側から飛び出したドリルで、地中を掘り進む。
…らしいのだが、見たとおり、とても地面に潜れるような姿に思えない。
どう考えても、アルファの機体に負担がかかり過ぎるようにしか見えないが、そこがいい!
あからさまに潜れっこない形のメカを、無理矢理地中に潜らせるというのが、漢の(以下略)
とにかく、先頭部分にガンマが来る唯一の形態のせいか、一番外観が変わって見える。
これでドリルが回転すれば、なぁ。>
以上が、この三機で構成できるオフィシャルな合体。
しかし、見てわかる通り「空メカ1に対して陸メカ2」という、なんかとってもバランスの悪い組み合わせである。
もっと色々変化させられないのか? とも思えてしまうのだが…さあ、ここからが、このクロムチェスターの本領発揮。
多数存在する各ジョイントをふんだんに用いれば、様々なオリジナル・クロムチェスターを作り出す事が出来る。
ここでは、これに「オレオレ合体」と名づけよう。
オフィシャル以外にも、好きな合体を楽しめるようにと開発された商品として「ムゲンバインシリーズ」というものがあるが、このクロムチェスターも、その感覚を用いて遊ぶ事が考慮されている。
その証拠に、シリーズ四つ目の商品「ストーンフリューゲル」にも共通のジョイントが用いられており、そのパッケージにも、クロムチェスターとのオリジナル合体写真が多数掲載されている。
スケールも用途も存在意義もまったく違うモノ同士、合体させても違和感あるだけのような気がするが細かい事はおいておこう。
というわけなんで、本来「オレオレ合体」が嫌いな筆者も、色々作ってみた。
なお、筆者は余りパーツを出す合体が大嫌いなので、以下はすべて、一つの部品も残さず合体させている。
かっこいいかどうかはともかくとして、色々いじり倒せるという事がおわかりいただければ幸い。
ウルトラメカ系で合体する物として、以前「ガッツイーグル」(ウルトラマンダイナ)があり、その組み合わせバリエーションは大変面白かったのだが、それらは結局「外観ではなく、装備の一部を入れ替えるだけ」という程度のプレイバリューに留まっていた。
そう考えると、このクロムチェスターのアイデアとプレイバリューの幅広さは、目を見張るものがある。
さすが、過去の自社商品を参考にして進化するバンダイだけの事はある。
久々に、心の底から「買って良かった」と思わされたアイテムだった。
■総括
このクロムチェスター、素晴らしいアイデアとギミックで楽しませてくれる良アイテムなのは間違いないが、どうしてそんなメカを設定したのかという部分を考察してみると、複雑な事情が見えてくるようだ。
一部では有名な話だが、どうも「ウルトラマンネクサス」は、かなり低予算で製作されている番組らしい。
具体的なデータを見た訳ではないので明確な事は言えないのだが、言われてみれば、なんとなくそんな片鱗が見てとれる気がする。
4話毎で1エピソード完結という展開(怪獣の着ぐるみが使い回せる)、大規模な市街地戦がない(ミニチュアセットを設置する必要がない)、ネクサスが発生させるメタフィールドで戦闘(画面がパターン化しても言い訳が成り立つ)…等々、他のウルトラマン作品を基準にして見てみると、確かに疑問に思えるところがある。
もっとも、それらマイナス要因をうまくフォローした設定や描写は見事で、その点は掛け値なしで褒めたい所である。
さて、クロムチェスターも、そういう視点で見ると「複数種類のメカニックを登場させる必要がない」という“低予算への貢献?!”がしっかり成されている事がわかる。
たとえば、戦闘機系と地上メカが別に存在する場合、それぞれ別々な発進シーンや活躍バンクのCGを作らなくてはならない。
ところが、メカの使い回しが利くならば、発進シーンや通常の活躍バンクは必要最低限で済む訳だし、その他色々と無駄が省ける。
「ウルトラマンコスモス」のテックサンダーシリーズも似たようなコンセプトだったが、今回はよりシェイプアップされ、徹底的に無駄が省かれたように思える。
その上で、これだけプレイバリューのあるアイテムに仕上がっているのだから、これは大した物ではないだろうか。
もっとも、本編内でこの合体がそんなに活かし切れていないところが…
さてこの辺で、クロムチェスター最大の問題点に触れておこう。
それは「価格が高すぎる」という事だ。
一台あたりの価格を見ているとピンと来ないかもしれないが、三機全部合計した価格は6,500円ほどにまでなり、2005年2月発売予定の「クロムチェスターδ」の予定価格を加えると、9,000円を超えてしまう。
δもなかなかの大型機で、ガンマと同価格帯なのはいいのだが……そんなお金を払ってまで納得できるものなのか、と言われてしまうと、正直なところかなり微妙な気分になってしまう。
幸い、筆者はこの三機を定価の2/3以下で購入する事が出来たが、上記でさんざん褒めてきたギミックをすべて考慮したとしても、それ以上の代金を払うのは、かなり抵抗を感じる。
商品自体の質感の関係もあって、せいぜい4000円台がいいところだろう。
δは玩具オリジナルのビークルモード(という名称の、車形態)があり、一応他の三体と色々組み合わせられる機構があるそうなのだが、総合計9,000円台でも高すぎると思わせないほどの魅力を発揮できるかは、正直ものすごく疑問だ。
せっかく良い玩具なのだから、もっと手軽に手に取れるような値段にしてほしいものだ。
版権料? そういう事情もあるのかも。
なお、「クロムチェスターいぢりたい! でも、お金ないっ」とお嘆きの方に朗報。
実は、ガシャポンで合体可能なクロムチェスターが販売されている。
このページの画像で、ちょこちょこ映っている小さいものが、それだ。
バンダイ「合体ネクサスマシン」という、200円のガシャポンで、ストーンフリューゲルを含めた全4種類。
ストーンフリューゲルは合体できず、ただ発光ギミックがあるだけ。
ただし他の三機は、それぞれ5センチにも満たない大きさにも関わらず、なんと三通りの合体をこなしてしまうのだ。
差し替えはベータのキャノンのみで、もちろん、ある程度ならオレオレ合体も可能。
残念ながらあまりジョイントの応用が利かないが、この価格でこれだけこなせるのは大したものだ。
ネットオークションなどをチェックすれば、結構お安く手に入るのも嬉しい。
真面目に回すと、出費がかさむかもしれないが。
話を、ウルトラマンネクサスマシンシリーズに戻そう。
最終的な結論を出すなら、「組み替え合体好きな人なら、格安品を見つけたら迷わず即ゲット」という感じかと。
発売からちょっと時間が経っているせいか、そろそろ手頃な割引も目立ってきたようだ。
納得のいく価格帯のものを見つけたなら、試しに買ってみるのもいいだろう。
多分、それなら損した気にはならないんじゃないかな?
番組終了後に、価格暴落の可能性もないとは言えないが…どうだろうね。
※その後すごいことになっちゃいました。
最後に。
3DCGで描かれた取り扱い説明書は、すごくわかりやすくて好感が持てる。
フレームだけじゃなくて、ちゃんと彩色された物からモノクロ印刷しているから、質感もばっちり。
これはとってもいいアイデア。
他でもあったかもしれないけど。
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