第5回 ■ バンダイ 特捜変形「DXデカバイクロボ」」

2005年2月6日 更新

 今回は、2004年5月に「気分屋な記聞・玩具ありMINI」でレビューしたまま放置状態になっていた「DXデカレンジャーロボ」に続き、「DXデカバイクロボ」などを。

 デカウイングロボもデカベースロボもブラストバギーもぶっ飛ばし、超巨大バイクについて語ってみたいと思います。

バンダイ 特捜戦隊デカレンジャー「DX特捜変形デカバイクロボ」 定価5,775円(税込)

  • デカバイクロボ本体
  • ショルダーアーマー(側面部)
  • フロントカウル
  • ハンドル部分×2
  • スーパーデカレンジャーロボ
    頭部パーツ
  • シール
  • 取扱説明書

●映像内のメカニック

 こちらを訪れる方々には説明は不要かもしれないけれど、一応デカバイクロボについて触れておこう。

 デカバイクは、2004年度のスーパー戦隊シリーズ「特捜戦隊デカレンジャー」に登場するメカで、番組の途中(夏前くらい)からSPD地球署のメンバーになった、宇宙警察本部特別指定凶悪犯罪対策捜査官・姶良鉄幹(あいらてっかん)ことデカブレイクの専用巨大マシン。
 その名の通り、とてつもなく巨大なバイク型のメカなのだが、単独で飛行・走行する事が可能で、いったい何のためにバイク型をしているのか、よくわからなかった。
 だが、ある事件でアリエナイザーの怪重機を追跡する際、デカレンジャーロボが無理矢理搭乗!
 以降、これをきっかけに「ライディングデカレンジャーロボ」形態で活躍するようになった(毎回ではないが)。
 この状態で、デカブレイクとデカレンジャー五名のどちらが、メカ全体を操縦しているのかは不明(というか、描写が結構いい加減)。

 デカバイクは、単体で走行・飛行できるだけでなく、なんと恒星間航行も可能で、しかも画面で見る限り光速レベル或いはそれ以上の短時間長距離移動も可能のようだ。
 ワープが出来るかどうかは定かではないが、ちょっとご近所まで、といった感覚でとんでもない所まで移動するようなので、機能として搭載されている可能性は高い。
 バイク形態時は主に移動・追跡しかできず、特筆すべき戦闘能力は持っていないらしいが、「特捜変形」により全体のパーツを組み替え、デカバイクロボに変形する。
 この形態でのメイン武器は、両腕に一本ずつ仕込まれたスリーブソード。
 これを真横に伸ばし、高速で回転しつつ相手に突進・斬撃を繰り出す、「ソードトルネード」が必殺技。
 この技を出すときに限り、ロボとバイクの中間形態のような姿に変わる。

 このデカバイクロボは、特別凶悪犯罪捜査官専用のメカという事で、基本的には単独行動用らしく、他のメカとの連携・合体能力はまったく持っていなかった。
 だが、地球署勤務のメカニック・白鳥スワンによって勝手に改造され、なんとデカレンジャーロボとの合体能力を授けられてしまう。
 ちょっと位置付けが違うが、ジェットガルーダや轟雷神みたいなものと思って良い。

 元々胸についているパーツが拳にしか見えないとか、最初からスーパーデカレンジャーロボの頭としか思えないパーツがあるとか、そんな細かい事は気にしてはいけない。
 きっとスワンの手にかかってしまえば、デカレンジャーロボクラスのメカが五体くらい居ても、全部合体可能にしてしまうに違いないきっとそうだうん決まった。
 なんだか、ファイヤーシャトルを無理矢理グランバード化させてしまった火鳥の兄ちゃんみたいな言い方だが、まあいいだろう。

 なお、このデカバイクロボ、実際にはほとんど活躍していない。
 一応、メインで出張るエピソードもあるにはあるが、インパクトに欠けるせいか今ひとつ心に残らない。
 スーパーデカレンジャーロボ大活躍の展開が中心になった頃には、合体前にチラリと登場するだけになってしまい、むしろ出動直後のデカバイクの方が良く映っていた。
 こうして考えると、デカレンジャー登場ロボの中で、最も不遇な扱いを受けているように思えてならない。

 なお番組途中で、デカバイクロボは一度デカレンジャーロボもろとも爆砕・炎上してしまったが、数週間後何の断りもなしに突然復活を果たしてしまった。

●概要

 「DXデカバイクロボ」は、その画像が初めて公開された直後から「かっこ悪い!」という罵詈雑言を浴びせられた。

 アメリカンポリスを思わせる妙に人間的な造りの頭に、バランスの悪い巨大な胴体とぶっとい脚、ごてごてした背中、そして胸から露出した車輪と、その周囲に設置された「金色の拳」。
 これでカッコイイとは、お世辞にも言い切れない。
 デカレンジャーロボが、比較的まとまった完成度の高いデザインだった事もあり、このゴテゴテ感はすさまじい違和感を、見る者に与えたようだ。
 当然、胸にある「どう見ても拳にしか見えない」謎のパーツのせいで、スーパー合体の事はバレバレに。
 画像を見た人は、ゼロコンマ数秒で「このパーツが、パトジャイラーとパトレーラーの底にくっつくんだな」と理解した。
 無論、すでにスーパー合体の事は暗黙の了解となっており、玩具ファンは、合体した後の形態の方に興味を移していたのだが。

 デカバイク形態については、もはやおおかたの予想通り「全然バイクじゃない」という、半分諦めにも似た感想がよく聞こえた。
 さもありなん。
 カウルと二つのタイヤがある以外、ほとんどバイクとの共通点がないんだから。
 そんな訳で、ビークルモードの完成度を求める声は、ほとんどなかったのだ。

 ところが、これにデカレンジャーロボが乗せられるという事実が判明してから、評価は微妙に変わってきた。

 戦隊ロボがバイクに乗るなどという事は、これまでの展開からとても考えられない事だったし、また、あの四角い身体のデカレンジャーロボが乗るというのが、信じられなかったからだ。
 ましてや、すでにデカレンジャーロボを持っている人にとっては、それがどれだけ無茶なのかがよくわかっている分、乗せ方の見当すら付かなかっただろう。
 なにせ、デカレンジャーロボの関節可動範囲は、腕と脚の付け根が前後に回転するだけ。
 もちろん、まともな乗せ方ではない事は充分わかっていただろうが、実際に観てみないと判断が付かなかったと思われる。
 筆者も実際その通りで、ライディングデカレンジャーロボの画像を見てようやく納得した。

 次に、スーパーデカレンジャーロボへの合体が期待された。
 画像が発表された当時、よく目にした感想は、「デカレンジャーロボの姿がガラッと変わって、なかなか良い」「両肩のパトシグナーとパトアーマーは、向きが間違っているんじゃないのか?」「この腕は、何の冗談?」「とにかくデカくて、バランスも悪くないから良い感じ」といったもので、デカバイクロボ単体の時よりも好印象なものが多かったように思われた。
 ただ、とにかく肩と腕…パトストライカーを除く四台のマシンの処理に、納得できない人が多かったのも事実だ。

 パトジャイラーとパトレーラーの機首が前方を向いているデザイン。
 正面を向いているため、肩アーマーになりきれず、ただ乗っかっているだけという感が強いパトシグナーとパトアーマー。
 デカレンジャーロボの「謎の穴」の件から、腕の形状は予想していた人も多かったようだが、まさか四台マシンすべてが腕に来るとまでは思わなかったようで、その辺は様々な議論を呼び、挙句には発表された画像自体が“組み間違えているのでは?”とまで疑われた。
 気持ちは、大変よくわかる。
 パトアーマーとシグナーは、横を向いていた方が自然な肩のラインを作れると思っていたし。
 ジャッジメント板だって、回転できるんだから別に不具合ないはずだし。

 しかし、テレビにて初合体が披露された直後、これがすべて現実のものであったという事を、ファンは思い知らされる。
 結果的に、それはそれで慣れてしまったという人も多かったようだが、当時は「肩議論・肘議論」が大変多かったものだ。
 肘…そう、合体の理屈上、上腕が存在しない形状なので、肘なしロボとまで言われたのだ。
 ちなみに、本編ではパトジャイラーとパトレーラーの中間部分が不自然に折れ曲がって、上腕と前腕に分かれるようになっている。

 そんなこんなで、様々な議論に火をつけたデカバイクロボだったが、その後に登場した「ある物」が話題をかっさらったせいで、このDX版は大変不遇な扱いを受ける事になる。
 また、それとは関連がないが、番組終盤頃には大変な値崩れを起こし、色々なところで叩き売られる結果になった。
 そのおかげで、このページがあるんだけど。

●セールスポイント

 「DXデカバイクロボ」は、とにかく大きさと安定感、そして耐久性が売りだ。

 全11個のパーツで構成されたこの玩具は、デカバイク時で全長約40センチ(かなりアバウト)、高さ最大13センチほどにもなり、デカバイクロボでは高さ約24センチほどになる。
 デカレンジャーロボの全高がだいたい22.5センチほどなので、二つ並べると相当なボリュームになる。
 筆者は、ガオレンジャー関連までしか戦隊ロボを買っていなかったのだが、あの頃のものと比べると、タテヨコ奥行きすべてのボリュームが、すごい事になっている事に気づく。
 この、サイズから来る圧倒的な存在感は、やはり嬉しいものがある。
 ライディングデカレンジャーロボ形態の場合は、高さ約19.5センチ。
 その上、幅が約24センチ(これはデカバイクのみの時と同じ)もあるものだから、相当なサイズになる。
 大の大人でも、片手で持つのがためらわれるほどだから、子供にとっては凄まじいボリューム。
 これだけでも、有無を言わさぬ魅力になっている。

 ちなみにデカバイクは、見た目は二輪車なのだが、実際は四輪になっている。
 横に伸びている銀メッキのパーツの下部に、接地用の補助車輪が一つずつ付いているのだ。
 この補助輪のおかげで、デカバイクはあのスタイルを維持できるようになっている。

 各所に配置されたパトライトも、なかなかオサレ。
 デカバイクロボには電飾機能がないため、すべてがダミーなのだが、適度に散らばっているのがなんとなくかっこいい。
 脚部のライトが小さいのだけは、残念でしょうがない。
 ここは、パトストライカーの電飾を活かせる数少ないポイントなので、もう少し大きく面積を取ってほしかったところ。

 なおデカバイクロボは、ちょっとした反則技でソードトルネード形態を取る事ができる。
 足を閉じ、腕を肩アーマーごと外してしまい、肩アーマー側のジョイントを胴体に接続し直すのだ。
 これにより、一応両腕は真横に向かせる事ができる。
 この姿勢でコロ走行させても、胸パーツなどが路面に干渉しないのは、結構感激モノ。
 大きな武器は付属していないが、これができるだけでも、ものすごくありがたい。
 本商品の、立派な売りの一つではないだろうか。

 変形の都合上、デカバイクロボは、戦隊ロボには珍しくデフォルトで首が回る。
 これも結構嬉しい。

 デカバイクロボ形態時、またはスーパーデカレンジャーロボ形態時は、足首の側面部にある小さな「ロックパーツ」を立てる事で、転倒防止ができるようになっている。
 なかなかイカした配慮だ。
 デカバイクロボの足首は、意外と後ろに倒れやすいからね。

●問題点

 というか、デカバイクロボの難点のほとんどは「元々のデザイン」にかかっているようにしか思えない。
 筆者の場合、デザイン単位からの悪い部分と玩具のそれはまったくの別物だと認識しているので、正直、責めるのが心苦しかったりする。
 
 一応先に述べておくが、玩具としてのデカバイクロボの出来は、かなり良い
 パーツの形状・接合・安定も良く、ほとんど文句のつけようがない。
 あえて何か言うとしたら…こちらにも電飾が欲しかったかな、という程度のものだが、パーツ構成からそれが無理だという事もよくわかるし。
 むむむ、判断が難しい。
 というわけで、ものすごーく表面的な部分だけなぞってみるとしよう。

 全体のスタイルだが、とにかくぶっとくてスマートさがなく、画面上のものとの違和感が激しい。
 着ぐるみと玩具の形状を直接比較するのは、確かにナンセンスだ。
 だが、それを見越しても、あまりに広すぎる横幅は、何かいいたくなってしまう。

 スーパーデカレンジャーロボ時、ある程度大きな脚部が必要になるため、デカバイクロボの太股から下は相当大きな対比で作られている。
 また、肩アーマーは合体時にパトジャイラー・パトレーラーを吊るし、さらに上にパトアーマーとパトシグナーを乗せる都合上、かなりの大きさと表面積が必要になる。
 さらに、合体後背中側に回り込む上半身は、極力シルエットを崩さないように小型化する必要がある。
 最後に、一番目立ち、かつスーパーデカレンジャーロボの主力武器である「拳」も、それなりに大きなサイズで作らなければならない。
 …その結果、小さめな胴体の周りに、異様にデカい対比のパーツが寄せ集められるという、恐るべき事態が発生する。
 これが、デカバイクロボの全体バランスの悪さの原因に思えてならない。
 要は、スーパー合体時の問題箇所がもっとも目立つ形で集中しているのが、ロボット形態だと。
 バイク形態の時は、パーツの対比の悪さはそんなに目立たないからなあ。

 デカバイクといえば、ライディングデカレンジャーロボ形態の時、デカレンジャーロボがどこに掴まっているのかという疑問がある。
 結論から言うと、どこにも掴まっていない。
 ハンドルグリップがあるだろう位置に、なんとなく手が届いているだけ。

▲ 青い矢印は、脚部全体が接続されているジョイントの位置

 だから、真横や真上から見ると、手がむなしく浮いているのがわかる。
 これは、出来ればなんとかしてほしかった。
 何かを握らせる必要はないと思うが、せめて手首がどこかのパーツに隠れるとか、あるいは手首を折りたたみ、パトアーマーとシグナーの後面部分をぴったりくっつけられるようにするとか。
 とにかくこれのおかげで、全然バイクに乗っている感じがしないというのは、とっても困る。 
 
 その他、細かい部分に難点が散らばっている。
 一度デカバイクロボ形態にすると、その体勢を維持したまま、つま先を伸ばせない(デカバイクのカウルに戻せない)のはかなり痛い。
 デカバイクロボの腰の後ろ辺りからぶら下がっている部分に、かかとが引っかかってしまうためだ。
 このため、ソードトルネード体勢にするためには、一度脚部を取り外さなければならないという、間抜けな事態が発生する。
 これさえなければ、ソードトルネードは完璧なのに。

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●超特捜合体!!

 スーパーデカレンジャーロボは、デカレンジャーロボの四肢の編成を変え、パトストライカーを中心に各メカのパーツが合体する事で完成する。
 不完全とはいえ、ライディングデカレンジャーロボ体勢から合体に移行できるというのは、とても面白い。
 ちょっと違うかもしれないが、ジュウレンジャーのダイノタンカーを彷彿とさせるギミックだ。
 この変形は、物のデカさも手伝ってすごい迫力!
 手にとって変形・合体させていくと本当に面白い。
 何がどう面白いかは説明できないが、大きなパーツがガシガシ組み上がっていく快感とでもいおうか。
 そういう感覚が大好きな人なら、是非一度いじっていただきたい。
 特に、この巨大な腕を接続する時などは、感激すら覚えるだろう。

 スーパーデカレンジャーロボは、デカレンジャーロボの胴体と頭部(パトストライカーパーツ)にデカバイクロボの脚部を履かせ、肩アーマーを接続し、その上下にかつての手足(パトシグナーやパトレーラー等)をくっつけ、マスクを被ってデカバイクの胴体を背負って完成する。
 全高は約32センチ、横幅最大約29センチ。
 「忍風戦隊ハリケンジャー」の轟雷旋風神は、頭頂部で約36.5センチで、肩のツノまで含めると約40センチに至る。
 さすがに、あのデッカイのには及ばなかったようだが、それでもこの迫力はなかなかのものだ。

 二台のロボットが合体する際、よく行われる「もう一体のロボの胴体を背負う」パターンを踏襲しているが、実はこれ、正面から見る限りだと大型のバックパックにしか見えないようになっていて、そんなに違和感を与えないように工夫されている。
 デカバイクロボ背面の謎のモールドは、この時活かされるわけだ。
 残念ながら、真後ろから見るとただの胴体ぶら〜りなのだが、スーパーファイブロボやグレートダ・ガーンGX等よりは遙かにマシ。
 デカバイクロボの腕が転じたブースターも、本編でちゃんと活用しているもんね。
 散々言われた豪腕も、見慣れてしまえば立派なハッタリ。
 なぜか右手側(パトレーラーの方)の拳が回転できないのが辛いが、関節可動率が求められている玩具じゃないんだから、こんなんで充分でしょう。
 ちなみに、拳はジャッジメントソードやシグナルキャノンを持たせる事は可能だが、なぜかジャイロワッパーだけは持たせる事が出来ない。
 微妙に口径が合わないのだ。
 まあ…持たせて似合うかどうか、大変微妙だが。
 
 これだけ巨大なマスクパーツなのにもかかわらず、いざ合体させると、頭がデカくなりすぎず程よくこぢんまりとまとまっているのは素晴らしい。
 個人的には、デカレンジャーロボの口周辺が露出しないのが残念だが。
 でもまあ、実際の口とスーパーデカレンジャーロボの口までの距離が、約1センチも離れているから無茶かなあ。
 この口周辺が、デカバイク等の形態の時にはしっかり覆い隠されるようになっているのは、なかなか芸コマ。

 さて、大迫力スーパーデカレンロボだが、これはこれで問題点を結構抱えている。

 まず、せっかくの電飾機能が活かされていない。
 否、胴体発光&サイレンはしっかりやってくれるので、静止状態での光と音の演出はいいのだが、こと合体になると全然ダメになってしまうのだ。
 以前「DXデカレンジャーロボ」を紹介した時、振動センサーについて触れた。
 パーツが合体したり、強く揺らしたりすると、その振動に反応して音がするというものなのだが、当然このスーパーデカレンジャーロボに合体する時も、「ガシーン!」と鳴ってくれる。
 ところが、合体の最中はいいのだが合体後…つまり、スーパーデカレンジャーロボ自体に振動を与えようとすると、なぜかセンサーが反応しなくなるのだ。
 これは恐らく、増加パーツの接続によって、振動がパトストライカーヘまで伝わりにくくなってしまっているためではないかと思われる。
 スーパーデカレンジャーロボでズシーン音を出すためには、相当強い衝撃を与えなければならないため、結構危ない。

▲ 胸部はいいんだけど、脚部の発光がこの程度

 その他、脚部の電飾がほとんど殺されているというのもいただけない。
 デカバイクロボの脚部根本にある赤い透明パーツは、パトランプにしては妙に小さい上に、周囲のパーツの暗い色を透かしてしまっているため沈んだ色合いになっており、はっきり言って「あってもなくてもどーでもいい」というお粗末なものになってしまっている。
 全体のパーツのバランスの都合で、こんな小さなパーツしか付けられなかった事情はわかるのだが…せめてもう少しなんとかしてほしい。
 デカレンジャーロボ時に一番大きな面積を誇っていた電飾部分は脚部だったが、スーパー時はこれが腕になってしまったため、電飾の魅力が半減してしまっている。

 ――ここで、全体的な事を考えてみよう。

 以前にも書いたが、「爆竜戦隊アバレンジャー」の爆竜合体DXアバレンオーなどのように、胴体に大きな電動ギミックを搭載しているロボットが核となって合体する場合、スタイルが大きく崩れたりプレイバリューに制約が発生したりしてしまう。
 それはモーター以外でも同様で、デカレンジャーロボのような電飾・センサー系の機器も例外ではない。
 結局、パトストライカー自体に大きな変形機構や合体機能を設定する事が出来なくなり、結果的にギミックが簡略化される。
 もちろん、それでも電飾が活かされていればいいのだが、デカバイクロボのパーツを合体させる事で、パトストライカーへのしわ寄せが強まっていく事になる。
 外観変化を強調する胸パーツの増加によりランプの大部分が覆われ、脚部パーツが移動するために光る部分が減少する。
 しかも、デカバイクロボ自体に電飾機能の補助を行う能力がまったくないため、腕になったパトジャイラーやパトレーラーを光らせる事すらも出来ない。
 さらに、スーパーデカレンジャーロボにも当然デザインモチーフが継承されるため、身体の各所には「光らないパトランプ」モールドが無駄に増える。
 ましてや、身体全体が大きくなればなるほど、パトストライカーが光らせられる面積比率は低下する訳だから、もう迫力も何もあったものじゃない。
 結果、超特捜合体で誕生するデカブツには、「電飾は(実質的に)忘れてくれ」といわんがばかりの結果が与えられる。

 …つまり、電飾つけたのはいいけど、二台目ロボとの合体後の事はほとんど考えられていないって事じゃないか。
 
 電気を使うギミックを持つ合体ロボットの場合、超合体などで大型化した場合は、そのギミックがさらにブーストアップされるものという期待を、だいたいの人が抱くと思う。
 ただし、それを叶えるのは相当難しい事で、なにもこれはスーパーデカレンジャーロボに限った話ではない。
 タカラの某ロボットのように、増加装甲などにも個別で電飾を設けるという、一番単純な方法もない訳ではないが、デカレンジャーロボのように、連動発光を求めるような玩具には難しい選択だろう。
 結局のところ、このデカレンジャーロボも、一年前のアバレンオー同様「電気系ギミックを入れてしまった」がために罠にはまってしまったと言い切って良い。
 これはメーカーも考慮したのか、次作「魔法戦隊マジレンジャー」の主役ロボ・マジキングには、こういった電飾や電動系ギミックは一切盛り込まれていない。
 ようやく過ちに気づいてくれたか、バンダイ…といったところか。

 電飾以外の問題点についても、触れておこう。
 実はデカバイクロボの説明書には、「スーパーデカレンジャーロボの状態で持ち運びしないでください」という、奇妙な事が書いてある。
 これは、普通に考えれば「スーパーデカレンジャーロボはデカいから、落下時の事故を避けるため、念のために書かれている事」だと思われるだろう。
 ところが、スーパーデカレンジャーロボを実際に手に取ってみるとわかるのだが、意外にバラけやすくて危険なのがわかる。

 これは、二つ折りにされているパトストライカーに原因がある。

 頭部を取り出すために後ろに回される車体の、固定パーツの保持力が弱いのだ。
 DXデカレンジャーロボ単体で遊んでいる分には、まったく問題はない。
 だが合体してしまうと、追加パーツのせいで負担がかかりすぎるらしい。
 スーパーデカレンジャーロボは、普通なら正面から腹部分を押さえて持ちたいところだが、なんとなく背中のデカバイクロボパーツを鷲掴みにして、持ち上げてしまう事もある。
 だが、これをやると腕や足を含めた重量がパトストライカーの固定パーツに負担をかけ、一気に外れてしまうのだ。
 はっきり言って、危ない!
 もちろん、きちんと持つべき所を見計らって、負担のかからないように運べば問題がないのだが、すべての人が、常にそれを意識して持ち運べるわけではない。
 説明書には、さらに「持ち運ぶ場合は、デカレンジャーロボかデカバイクロボの状態にしてから運んでください」と書いてあるが、そのためにも一度は持ち上げないとならないような気がするんだが…

 実は前から思ってはいたんだけどね。
 もう少し、ガッチリ固定できるようにした方が良かったんでない?

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■総括

 「DXデカバイクロボ」は、戦隊シリーズ玩具として見た場合、出来はかなり良く他製品との関連プレイバリューも良好だ。
 デザインの好き嫌いはあるだろうが、昔の製品に比べて塗装や部分的な造形はかなり向上しており、特に胸の拳パーツなどを見ると、ここまで細かいモールドを施してくれるようになったかと、感動すらしてしまう。

 だが、単体ではほとんど遊べず、本格的に楽しむためにはさらに7,000円も出して「DXデカレンジャーロボ」を買わなくてはならず、「DXデカウイングロボ」とでは関連づけて遊ぶ事すらもできないのだ。

 あまり居ないとは思うが、ひょっとしたら、デカバイクとデカウイングロボしか持っていないという人も居るかもしれないし、メーカーだって、そういう購入パターンを考慮する事は出来た筈だ。
 デカウイングロボの合体構造・ギミックは、デカレンジャーロボとほぼ同じだから、デカウイングロボをデカバイクに乗せたり、合体させてみたいという発想は自然に出てくるだろう。
 にも関わらず、そういった「あと一歩の工夫」が足りなかったがために、デカバイクは遊びの幅を狭められてしまったようにも思える(この場合はデカウイングロボが悪いわけだが)。
 飛行用ロボをバイクに乗せてどーする、という意見もあるだろうが、そんな事は小さなことだ。
 そういう場面がありえなくても、玩具上で再現できればそれだけで面白いじゃないか。

 とにかくこんな感じで、今年は「(デカベースロボを除いて)三体もメインロボが居るにも関わらず、それぞれの玩具的魅力があとちょっとだけ足りない」という、不可思議な印象を与えてしまった。
 単体でのギミックは、それぞれかなりがんばっていたんだけどね…って、電飾もないデカバイクロボは、それよりさらに見劣りしてしまっていたわけだが。

 だが、こういうパターンは、別に「デカレンジャー」に限った話ではない。
 今までだって、似たような展開に陥って魅力を発揮できなかったロボットは沢山あった。
 しかしデカバイクロボだけは、過去の戦隊ロボットとは大きく違うマイナス要素があったのだ。

 そのマイナス要素とは、同じくバンダイのキャンディートイ事業部から発売した「ミニプラシリーズ」
 デカバイクロボは、こいつと比較されたため、その価値を貶められたと言っても過言ではないだろう(少なくともマニアの間では)。

 これは、デカレンジャー以前からずっと続いている「戦隊ロボのキャンディートイ」シリーズで、その名の通り安価なプラモデル商品(ラムネ一粒入)なのだが、近年の物はキャンディートイとは思えないほどに出来が良く、物によっては、DX版をも遥かにしのぐギミックを持っていた。
 「デカレンジャー」関連商品として、ミニプラ版の各ロボットも当然発売されたのだが…これが、いずれもぶっ飛びすぎた“トンでもない”出来だったのだ。

 各マシンの合体・変形、可能な限り再現された細かなモールド、安っぽさをまったく感じさせないプラの材質と表面処理、ステッカーなど、あらゆる方面に気が配られている上、スーパーデカレンジャーロボやフルブラストカスタムにも合体が可能。
 さらに、DX版では出来なかった「ライディングデカウイングロボ」まで、あっさりと再現できてしまう。

 それだけでも大したものなのだが、このミニプラシリーズは、DX版がどんなにあがいても絶対にたどり着けないギミックとして、関節可動まで組み込んでしまった。
 もちろん、可動と言ってもすべての関節がフル可動するわけではない。
 しかし、合体ギミックを内蔵しつつ、股関節・膝・足首・首・肩(上下だけでなく前後に動く!)が可動するなんて、普通は想像できないだろう!
 そのため、各ロボットは「八の字立ち」がごく普通に行えるし、片足を前に出して重心を下げ、前方に向かって何かを構える姿勢なども楽に取れ、しかもきっちり自立する。
 デカウイングロボに至っては、片膝立ち姿勢の射撃ポーズまで取れてしまうのだ!!
 これで、五体合体まできちんとクリアしているんだから…もはや恐ろしさすら感じさせる。

 デカベースロボなどは、上半身・下半身と別売りにされ、可能な限り「大きさ」を再現しようと試みた。
 各モードへの変形や収納ギミックは当然として、なんと付属のミニデカマシンは、それぞれ小指の先に乗るほどのサイズにも関わらず、きっちりデカレンジャーロボに合体してしまう!

 スーパーデカレンジャーロボなどはさらに脅威で、あの外観にも関わらず、脚部関節はほぼフル可動、前屈姿勢で自立したり、ややあおった姿勢で立つ事も可能だ。

 さらに、マスクパーツの口元は、基本になるデカレンジャーロボの顔をそのまま流用しているため、DX版のような「ニセモノの口」になっていない。

 単に遊ぶだけならば、実はDX版よりも、このミニプラ版を買った方が遥かにお得なのだ。
 購入者のほとんどをそう思わせ、疑いを抱かせないほどの完成度…「ミニプラ・デカレンジャーロボ」他は、ある意味キャンディートイの理想を極めたような商品だったのだ。

 デカレンジャーロボは各300円×3(ブラストバギーを加えるとさらにプラス1)、デカベースロボは300円×2、デカウイングロボは300円×4と、フルで集めるとかなりの金額になる上、現時点ではいずれも入手が大変困難になっている。
 しかし、それでも集めるだけの価値がある、素晴らしい商品だ。

 話を、デカバイクロボに戻そう。

 当然、このミニプラでもデカバイクロボが発売されているのだが、これも、他と同様凄まじい出来の良さだった。
 なんと、バンダイのキャンディートイとしては前代未聞の800円という価格にも関わらず、商品は大人気になりあっさり売り切れた。

 スタイルはDX版とほぼ変わらず、パーツ構成や合体形式などは(当然)DXに劣っているにも関わらず、肘以外の関節可動と変形ギミックの両立を果たし、前述の「デカウイングロボの搭乗」をも可能ならしめ、デカレンジャーロボとのコラボレーションも当然のようにこなし、さらには、オリジナル合体の可能性すらも見出せるほど懐が広かった。
 800円という、食玩としては異常な価格も、ヘタなプラモデルよりもデカい外箱も、この溢れる魅力の前には障害にならなかった。

 発売前より評判になっていたミニプラ版デカバイクロボは、発売開始と共に各地で漁られ、あっという間に店頭から姿を消した。
 ただし、無闇にデカい箱のサイズの都合で、あまり出したがらない店舗も多かったそうで、いつもミニプラが売られている店にも、これだけは入荷しなかったという事態が続発した。
 結局、発売直後にいきなり入手困難になり、元々ミニプラ派だった人だけでなく、商品の噂を聞いて話題に乗りたがった人達まで出てきたために、あっさりプレミアが付いてしまった。
 ヤフーオークションなどでは、定価の二倍弱程度の価格が定着しつつある。

 で、こちらを先にいじってしまうと…残念ながらDX版は、本当につまらないとしか思えなくなる。
 筆者は、初めてDX版を取り出した時、一通り合体させてすぐに片付けてしまった。
 あれだけしっかりと作られていて、重量感も安定感もスケール感もあり、デカレンジャーロボと組み合わせれば電飾ギミックだって楽しめるというのに、それでもミニプラの魅力には、遠く及ばないのだ。
 もはや、デカレンジャー関連のミニプラは、神懸りの域に達してしまったのかもしれない。
 本来なら、DXの廉価版に準じる程度の位置付けだった筈の食玩に、魅力のほとんどを奪われてしまったのだから。
 そんな比較商品が登場した事が、DXデカバイクロボ最大の悲劇だったのかもしれない。

 とはいえ、DXと食玩は別物と割り切る人は多いし、食玩にはまったく手を出さない人もいるので、決して致命的なマイナス要素であったわけではない。
 ただどちらにしろ、こういう「同じ姿をしたライバル商品」があったという不幸な事実は、紛れもなく存在したのだ。

 最後に。
 以前「DXデカレンジャーロボ」のレビューを書いてしばらくしてから気付いたのだが、実はDXデカレンジャーロボの第二期版は、第一期版に比べて「耳(ツノ?)が短い」という大きな変更が加えられたらしい。
 残念ながら、第二期版は手にとっていないので伝聞になってしまうのだが、この変更によってかなり印象が変化してしまったそうだ。
 もちろん、第一期版の方が良いという意味で。
 あまり鮮明でない写真を見た事はあるのだが、なんとなく、頭部側面の「S.P.D」の文字が、第二期版のものにはなかったような気がする…どうなんだろう?

 ただし、第二期版は「パトアーマーの投光器のジャッキアップ」の固定がしっかりしており、第一期版のようなスカスカ感がないらしい。

 つまり理想としては、両方を購入して第二期パトアーマーを第一期のものと交換すればいいと。
 …なんだか、ものすご〜くムダが多いような気もしなくもないけど。
 なお、耳(ツノ)の長さに関係なく、デカバイクロボとの合体は行えるので、ご心配なく。
  

 ここで紹介していないが、「デカレンジャー」関連のロボット系玩具は、この他「DXデカベースロボ」「DXデカウイングロボ」「DXブラストバギー」がある。

 デカベースロボは、そのスケール感・ギミック・迫力どれをとっても秀逸で、あまり売れないというジンクスのある基地ロボの割には、そこそこ好評だったようだ(安売りはされたけど)。

 デカウイングロボは、基本的な構造はデカレンジャーロボと同じで、飛行メカ五体が合体する上、「デカウイングキャノン」という巨大武器に変形する。
 当然音声ギミックもあり、デザインもかっこよく黒をベースとした色合いも良好なのだが、とにかく「遊べない」という事で酷評に晒された。
 ちなみにこちらも、かのミニプラの完成度の前に挫折してしまった感がある。

 ブラストバギーは、劇場版に登場したビークル型単独兵器で、ブラストシールドとブラストランチャーになる。
 これをデカレンジャーロボと組み合わせる事で「デカレンジャーロボ・フルブラストカスタム」や「ファイナルモード」になる。
 設定と武器の持ち方が異なる以外は、なかなか良くまとまったアイテムなのだが、あまりにもぺったんこな車体に、イマイチ食指が動かない。

 あまりロボットが沢山出てきた印象がなかった「特捜戦隊デカレンジャー」だったけど、こうして振り返ってみると、決してそんな事なかったんだなあと、思い知らされる。

 「魔法戦隊マジレンジャー」では、どんな玩具展開が待っているのだろう?!

 なんて書いてると、ここで取り扱ったずーっと後で、「こんな事も言ってたっけなぁ」とほくそ笑む事になるんだろぉなあ、きっと

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