第3回 ■ バンダイ 装着変身「仮面ライダーガイ」&「仮面ライダー王蛇」
2005年1月23日 更新
今回は、2005年度一番最初の装着変身「仮面ライダーガイ」と「仮面ライダー王蛇」。
R&Mシリーズ未発売ライダー三人目が登場し、装着龍騎ライダーもこれで六人!
一応、折り返し地点に達した訳だけど…この先も続くか?!
というわけで、祭の場所はここです。
●バンダイ 装着変身「仮面ライダーガイ」 定価2100円
- ガイ素体フィギュア
- ガイ頭部(マスク)
- ガイ肩アーマー右
- メタルバイザー(ガイ肩アーマー左)
- ガイ前腕アーマー×2
- ガイ胸アーマー×1
- Vバックル(ガイ用ベルト)
- 左肩のツノ
- サイドスカート×2(腰アーマー)
- メタルホーン(ストライクベント装備)×1
- 装着変身サイズ・アドベントカード×3
- アドベントカード用シール
(3枚分裏表・計6枚) - 取扱説明書
2005年1月20日、装着変身「仮面ライダー王蛇」と同時発売。
「仮面ライダー龍騎」系装着変身としては、5または6番目の商品。
別名・王蛇専用ガードベント。
●映像内のキャラクター
2002年度放送「仮面ライダー龍騎」に登場した、6番目の仮面ライダー。
明林大学経済学部の学生・芝浦淳が変身し、サイ型の契約モンスター「メタルゲラス」の力を借りて戦う。
大型の手甲型武器(ツノ付き)・メタルホーンを召喚するストライクベントをメインに、相手のカード効果を後追いで無効化させてしまう「コンファインベント」を使う。
どうも、これらのカードを複数所有しているようで、連続使用した時に「一枚とは限らないんだよね〜」という名言も残している。
ファイナルベントは、メタルホーンを装備してメタルゲラスの肩に立ち、そのまま敵に向かって猛突進・激突する「ヘビープレッシャー」。
変身前の芝浦が細身で軽そうな体格なのに、変身後は正反対の重装甲で逞しいイメージになるのが面白い。
芝浦は、ネットゲームサークル「マトリックス」に所属し、そこで一番格下の扱いを受けているように見えるが、実は仮想戦闘ソフトを通じて部員達を操り、ライダーバトルを模した殺し合いをさせている黒幕のような存在だった。
後に、コンピューターウイルスを購読者に流すとOREジャーナルを脅迫し、全国で仮想戦闘ソフトを実行させようと画策。
一時はOREジャーナルの編集長の地位を乗っ取るが、島田奈々子の自作ウイルスによる反撃を受けてすべてが失敗、追い出されて、逮捕されてしまった。
だが、父が北岡の得意先だったことから、弁護を依頼して釈放される。
ちなみに、この時のコンピューターウイルス合戦は、脚本家がウイルスの知識を持たないで書いてしまったのがバレバレだったため、内容につっこみ所が大変多く、当時はかなりバカにされていた。
その後は浅倉威と接触し、ライダーバトルをヒートアップさせるために画策するが、ゾルダのファイナルベント「エンドオブワールド」の直撃から身を挺して浅倉の変身した王蛇を守り、更に彼からファイナルベント「ベノクラッシュ」までお見舞いされて爆砕。
ファイナルベントを立て続けに食らってようやく死んだという所から、防御力の高さは充分にアピールされた。
メタルゲラスは、その後王蛇の二番目の契約モンスターとなってしまう。
契約成立前、芝浦の仇を取るかのような浅倉追跡劇の様子は圧巻で、全国の芝浦ファンの涙を誘った。
2002年10月に放送されたスペシャルでは、ガイの死因は異なっており、他のライダー達と共に真司を取り囲んでリンチを敢行中、突如出現したディスパイダーにぱっくりと食いつかれ、絶叫しながらじわりじわりと呑み込まれてしまうという、前回をしのぐほど見事な死に様だった。
●概要
2004年6月から、毎月連続で出続けている「装着変身」シリーズの、第七期販売商品。
11月に発売された「仮面ライダーライア」に続く未R&M化ライダーで、商品化発表では絶賛を受け、さらに商品写真発表後には、その完成度の高さにマニアを感動させた。
ガイは、ライア同様「R&Mシリーズとして契約モンスターがすでに商品化している」ライダーであり、商品化を願っていた人は本当に多かった。
どうしてもガイが欲しかった人達は、ツインヒーローシリーズを購入してパーツを切り取り、それをR&M龍騎ブランクやリュウガに被せて改造し、溜飲を下げていた。
だが、当然ながら「可動を活かすためには難度の高い改造が必要」であり、誰もが満足できるガイを作り出せたわけではない。
まして、改造技術のない人や、玩具改造はしない主義の人などは、ただじっと我慢するしかなかったのだ。
で、雑誌などで発表された装着変身ガイは、メタルシルバーの映えまくった素敵な完成度で、重厚さもしっかり再現されている素晴らしい物だった。
理想通りか、あるいはそれ以上の出来に思えた訳だ。
一番心配されていたメタルホーンの装備状態(後述)についても問題なく、さらに、メタルバイザーの開閉まで行えるとあって、「ここまでしてもらって、むしろ申し訳ない」と思わされるくらいだった。
胸部装甲の表現が、ややのっぺりし過ぎている、という問題点指摘もあったが、それらはほとんど粗探しレベルの指摘に過ぎなかった。
そんな感じで、さんざん魅力を見せ付けられたファンは、発売日を今か今かと待ち続ける事になった。
●セールスポイント
結論から言って、装着変身ガイの完成度は、ほぼ予告の印象通りのものだった。
出来は、ものすごくいい!
すべてにおいて感嘆させられるが、とりあえず細かい部分から見て行こう。
まず各装甲だが、いずれも申し分ない出来で、装着後のフィット感も上々。
装着する事で体格が大きく変化するという特徴もきちんと踏まえられており、まさに「変身」した感じだ。
胸アーマーが、他の装着変身のものよりかなり重いようなのだが、よく見ると胸板の裏側辺りにバストアップの裏打ちがされている。
どうやら気のせいではなく、本当に使用合金量が多いみたいだ。
ガイは肩パーツが大きい都合上、マスクが比較的小さく見えるという特徴があるが、本商品は対比印象に頼らず本当にコンパクトに作られており、必要最低限のサイズにまとまっている。
555系の、素体頭部より肥大化したマスクなどと比べると、かなり驚かされる。
また、襟や喉元とマスクの形状から、あまり頭が回転しないような印象があるが、そんな事はない。
さすがに他のライダーほどは回らないが、目測で左右20度くらいはいけるようだ(正確に計ってないから、かなり適当だけど)。
ただし、上を向かせたり俯かせたりするのは、さすがに無理。
顔面の出来は溜息モノの秀逸な造形で、ライアなどにひけをとらない。
なにせ、涙ラインのように走っているリベット状モールドまでも、しっかり再現されているくらいなんだから。
素体の肩は555系の「突起付き」なので、肩アーマーは腕部可動に合わせて上に跳ね上がる。
そのため、見た目以上に腕の自由度は高く、表情付けが楽だ。
肩アーマーを跳ね上げたガイの姿は、テレビ本編で見るそれとはまた違った独特のかっこよさがあるので、是非一度手に取って見ていただきたい。
なお、パーツ構成表にあるように、左肩から伸びている赤いツノは、ジベットスレッドから引き抜く事が出来る。
これなら、安心してライドシューターにも乗せられるというものだ。
さて、ガイは龍騎ライダー中唯一、腰の横にスカート状の装甲があしらわれている。
発売前は、これをどのように処理するつもりなのかと気を揉んだものだ。
もし、腰のジベットスレッド直下に接着されているだけだったら、すぐに外れてしまいかねないし、意外と可動の邪魔になるだろう。
で、実際はどうだったか。
なんと、パッケージ封入の時点から素体の腰に引っ付いていた!
一瞬「え、ホントに接着?!」と思ったが、幸いそうではなかった。
腰アーマーは、ジベットスレッドと一体化した造形になっており、ガイ素体のベルト横から生えている小さな凸ジョイントに刺さって固定されていたのだ。
つまり、ガイ素体のみ、腰部分がオリジナル造形だという事。
このおかげで、腰アーマーはジベットスレッド部分を中心に可動するようになり、ポージングによっては装甲を後ろに回すことが可能になった。
なんとまあ、予想をただ裏切るだけじゃなく、さらに嬉しい構造にしてくれるとは!
このおかげで、ガイの全身は、見た目から判断できないくらいにフレキシブルに可動するようになってしまった。
だが、ガイの売りはそれだけではない。
左肩のアーマーと一体化しているメタルバイザーだが、これは蓋部分がスライドするようになっているので、アドベント直前のポーズが取れるようになっている。
さすがに、カードを差し込む事や左手で蓋を閉める動作は取れないが、そこまで求めるのは酷だろう。
本編のように、投げ入れるのなんかもっと無理。
こうしてみると、龍騎・ナイト・ライアにバイザー開閉機能がないのが、本当に悔やまれる。
武器のメタルホーンは、唯一の装備であるにも関わらず、かなりのボリュームがあるのでライアのエビルウィップやデルタのデルタムーバーような割高感がない。
さらに、R&M版メタルホーンは完全新造になっており、バランス的にもほとんど文句の付けようがない。
R&M版のものと比べると、装着版のメタルホーンはかなり小さめになっており、オーバースケール感が薄まった。
また、鼻先のツノの可動がなくなり、常にまっすぐ伸びた状態で固定されているので、本当に「武器」という感じが強くなっている。
さらに、内側にはジベットスレッド用の凸ジョイントがあり、加えてエビルバイザーのようなグリップパーツまで付いている。
これを併用すると、右腕全体でガッシリとホールドできるようになるわけだ。
R&M版のような、過剰サイズの上に固定箇所がジベットスレッドのみ、さらに接続用パーツまで使わなければならないという物とは、もはや比較にならない。
ここは一つ、R&M版王蛇をお持ちの方は、躊躇うことなくメタルゲラスの頭部(メタルホーンになるパーツ)を接着固定して、あの異常なまでのぐらつき感から開放されてみてはいかがだろうか?
だが、これで理想的な装備が揃ってしまった以上、残る願望は「ヘビープレッシャーの再現」のみだろう。
生憎、装着変身ガイの足の裏にはクウガやアギトのような穴がないので、メタルゲラスを改造して肩部分に固定用突起を設ける事はできない。
元々無理のある前屈姿勢? でガイを固定しなきゃならないわけだから、ここは素直に諦めるべきだろうか。
装着変身ガイにも、小さなアドベントカードのミニチュアが同梱されている。
今回は「ファイナルベント」「ストライクベント」「コンファインベント」の三種類。
カード自体の成形色は、黒になっている。
●問題点
こんなに旨味が詰まった装着変身ガイにも、やはり問題点はある。
一番目立つものは、マスクの固定の悪さではないだろうか?
ガイの頭部は思ったよりも横に回す事が出来るが、ある程度以上回そうとすると、マスクが外れてしまうようになっている。
しかも、これが結構ひんぱんに発生する。
マスクの固定が甘いというと、装着版ナイトが上げられるが、ヘタしたらアレ以上だ。
その後、ナイトのマスクパーツをよく確認してみたところ、頭頂部の凸ジョイントと凹ジョイントの位置が、パーツの厚みの中心線からわずかにズレていた事がわかった。
そのため、三箇所ある凹凸の組み合わせが微妙に食い違い、マスクの安定を悪くさせていたのだ。
今回のガイは、特にそういう事はないようで、マスク単体だとしっかり固定できる。
という事は、やっぱり襟部分の干渉なのだろう。
まあ、元々首の可動に期待する方がどうかしているようなデザインだから、どうでもいいと言えばいいんだけど…悩みどころだなあ。
メタルホーンのジョイントが、ちょっとはめ込みにくくなっているのも、問題だろうか。
内側にある凸ジョイントを前腕のジベットスレッドに差し込もうとすると、なぜか結構苦労する。
慣れれば大丈夫なのだが、最初の内は、しっかりとしたフィット感が得られない。
そのため、メタルホーンを装備させると「しっかり固定されているのかどうか」不安に思えて、グッと力を込めて接続する事が多くなる。
それでも、はまらない事もある。
それぞれのジョイント部分が角度的にはっきり見えないため、位置がずれている事に気づかず接続しようとしているケースも多く発生する。
これは一見どうしようもない問題だけど、実はジベットスレッド側の口径がもう少しだけ広く、メタルホーンの凸ジョイントを受け止めやすくなっていれば、あっさり解決したはずなのだ。
今回は、ガイの胸装甲部分に傷が入っているものが多く出回っているような印象を受ける。
装着変身・仮面ライダーカリスほど酷くはないと思うのだが、確かに、細かな傷がポチポチ付いているものをいくつか見かけた。
なるべく綺麗なものを選びたいものだ。
あと、これは筆者が買ったものだけかもしれないけど…
今回、ガイを箱から取り出したら、素体が「ねちょっ」とした。
びっくりして見てみたら、なんと、背中から後頭部、上腕部裏側にかけて“水濡れ”しているのだ!
しかも、正確には水ではなく、粘度の限りなく低い油のようなものだった。
異臭は、まったくなし。
最初は、何かの潤滑剤や可塑剤かとも思ったが、そうではないらしく、いまだに何が付いていたのかわかっていない。
その時点で筆者の手は汗ばんでいなかったし、手が濡れるようなものも触っていなかったから、外部要因によるものではない。
試しに内箱の内部をティッシュで拭ってみたら、結構な面積にわたって水分が吸収できた。
当然、素体だけじゃなく装甲のほとんどすべてに付着していたのは言うまでも無い。
また表面はまったく濡れておらず、すべて内箱側だけに発生している現象だった。
今ではすべて丁寧に拭き取ったが、めちゃくちゃ気味悪かった。
店頭に出ているものの中で、一番綺麗なものを買ってきたら、これだったのでかなりヘコんだが。
もちろん、開封済みや開封の痕跡のあるものだったというオチはない。
不思議な事もあるものだ。
なお、一緒に買ってきたR&M王蛇には、そんな事はまったくなかった。
●総合評価
個人的な印象で言わせてもらえれば、今現在までの龍騎系装着変身では、このガイが一番出来が良いように思えてならない。
というより、あまり非のうちどころがないのだ。
もちろん、長い間待ち焦がれていたものが出たせいで、多少目が曇っている部分もあるかもしれないが、どうしても完成度の高さが先に立ってしまう。
不満点もないわけではないが、本当に良い買い物をしたと思っている。
龍騎ライダーが好きだという人なら、迷わず手を出す価値があるものと思われる。
このガイを買って、ライアと王蛇を出してきて、さらにR&M版王蛇も引っ張り出して「契約モンスター勢ぞろい」とシャレるのもいいだろう。
もちろん、王蛇の前にガイを立たせ、ガイの後ろに王蛇の手をかざすようにして飾るのもいい。
素敵なガードベント状態が再現できる。
今回の素体ヘッドは草加タイプだが、顔の塗りが妙にもったりしていて、奇妙な純朴さを感じさせる。
芝浦というよりは、むしろ「仮面ライダーブレイド」の睦月を彷彿とさせるような気がする(って、みんなもそー思うよね、ね?!)。
装着ライアの時に触れた「首の長さ」だが、今回は王蛇素体共々、首が長めになっている。
つーか、龍騎ライダーで首が短いのは、これで龍騎とシザースだけになってしまったわけだが。
●バンダイ 装着変身「仮面ライダー王蛇」 定価2100円
- 王蛇素体フィギュア
- 王蛇頭部(マスク)
- 王蛇肩アーマー(&上半身A)×1
- 王蛇胸アーマー(上半身B)×1
- 王蛇前腕アーマー×2
- Vバックル(王蛇用ベルト)
- ベノバイザー
- ベノサーベル(ソードベント装備)×1
- 装着変身サイズ・アドベントカード×3
- アドベントカード用シール
(3枚分裏表・計6枚) - 取扱説明書
2005年1月20日、装着変身「仮面ライダーガイ」と同時発売。
「仮面ライダー龍騎」系装着変身としては、5または6番目の商品。
徹底した悪のライダーだが、ミラクルワールドの中では龍騎の大事な仲間だ!
●映像内のキャラクター
2002年度放送「仮面ライダー龍騎」に登場した、7番目の仮面ライダーにしてシリーズ初の「完全な悪のレギュラーライダー」。
「仮面ライダー龍騎」という番組内において、暗黒面を一手に引き受けていたような感すらある。
重犯罪者・浅倉威が、勾留中にカードデッキを手にして変身・脱走。
その後は、ライダーとしても、浅倉自身としても悪行を積み重ねていく。
杖型のベノバイザーを持ち、ここにカードを装填して戦う。
王蛇は、性格以外にもかなり変わった特徴を持っている。
最初は「ベノスネーカー」という蛇型モンスターと契約したが、後に、自らが手にかけたガイやライアの契約モンスターとも再契約を結んでしまい、同時に三体ものモンスターを従えるようになる。
複数のコントラクト(契約)カードを持っているというのもすごいが、さらにはモンスター達を合体させる「ユナイトベント」のカードを持ち、これを用いて最悪のモンスター「ジェノサイダー」を作り出す。
当然、モンスターが多いという事は装備やファイナルベントも複数ある事になり、自前のベノサーベル以外にも、ライアのエビルウィップやガイのメタルホーンも使用出来る。
ファイナルベントは、ベノスネーカーと繰り出す「ベノクラッシュ」と、メタルゲラスとの「ヘビープレッシャー」、エビルダイバーとの「ハイドベノン」、さらに、ジェノサイダーと行う「ドゥームズデイ」と、なんと四種類もある。
ただし、実際の戦果はほとんど「ベノクラッシュ」のみで得ていた感があり、「ドゥームズデイ」はほとんど使用されず、発動しても中断させられてばかりだったため、本放送当時は最後まで決まらないのではないかと、ファンを不安がらせていた。
一応最終回でやっと炸裂したのだが、ゾルダの契約モンスター「マグナギガ」を巻き込んだ、たった一回だけで終わってしまった。
「ベノクラッシュ」は、ベノスネーカーの吐き出す溶解液ブレスと共に、両足キックを連続で叩きつける技。
「ドゥームズデイ」は、ジェノサイダーと組んで相手を挟み、キックしてジェノサイダーの作り出したブラックホールへ叩き込むという恐るべき技。
ライアのコピーベントや、ガイのコンファインベントまで継承しているかどうかは不明。
実は、本編中まともに他のライダーを殺しているのは、こいつだけだったりする(スペシャルは除くと、だが)。
劇場版では、リュウガにジェノサイダーを倒されてしまったためブランク体になってしまったが、それでも体色以外はほとんど変わっていなかった。
なお、劇場公開当時、ブランク体だったにも関わらずカードデッキに紋章が存在していたのは、一部で有名な話(DVDやCS放送時は、修正されている)。
悪役とはいえ、その描かれ方・迫力・強さ共に文句のつけようがない存在で、大変な人気を誇っていた…のだが、なんと、実際には子供達の受けは最悪だったそうで、その影響からなのか、当時R&M王蛇は他に比べてほとんど売れなかったという。
販売形態・価格やギミック的魅力による問題もあったとは思うが、実に意外な話で驚かされた。
浅倉威は、犯罪・暴力行為を、まるで食事や睡眠と同じように考えている人物であり、何のためらいもなく他人を傷つけ、殺す事ができる上、後悔に苛まれる事もない。
自分の生き別れの弟を殺した事すらもあり、目障りな存在や気に入らないものがあると、その大小に関わらず牙を剥き、襲い掛かる。
かつて北岡弁護士(仮面ライダーゾルダ)に弁護をしてもらったものの、無罪に出来なかったという事を恨んでいる。
まさに「狂犬」の如き男だが、その性質と理念、そして独自の哲学の描写はとんでもなく濃厚で、ある意味では一番完成されたキャラクターとして描かれていた。
実質的には、真司・蓮・北岡に次ぐ四番目の主役ライダーだったのかもしれない。
北岡との決着を望み、最後にゾルダとの一騎打ちを行うが、それはすでに死亡してしまった北岡に代わり、付き人の吾郎が変身しているゾルダだった。
その事実に憤慨し、再び凶気を振り乱そうとした所で、現場を包囲していた警官隊によって射殺される。
数多くの名場面と名セリフを生んだが、代表的なものは、終盤辺りに唱えられたこの一言だろう。
「ここか…祭りの場所は」
●概要
仮面ライダー王蛇も、龍騎やナイト同様、過去にR&Mシリーズとして製品化した事がある。
R&M「仮面ライダー王蛇」と装着変身の、もっとも大きな違いは「契約モンスターが付いてこない」という事だ。
そりゃそうだ、と言われたらそこまでなのだが、R&M版が実質的に「DX凶暴合体ジェノサイダー(パイロット?の王蛇付き)」といった雰囲気だったのだから、仕方ない。
それはともかく、装着変身ではベノサーベルとベノバイザーだけを持たせ、コンパクトにまとめられている。
装着王蛇は、やはりR&M版との違いを最後まで気にされたアイテムだった。
R&M版では、赤紫の体色でこれが大変な不評を買っていた。
なので、今回の商品化でこれがどう修正されるかが、一番の注目点だったのだ。
その他、腕の可動に制限を与えてしまう、あの独特の肩アーマーがどうなるのか、とか。
結果的に、それぞれ面白い修正が施されることになった。
●セールスポイント
装着王蛇も、細かな注文さえ付けなければ、大変出来が良いと云えるだろう。
まず体色だが、なんとか本来のものに近い青紫色になってくれた。
だが、マスクや肩アーマーはなんと素材色そのままの色で、表面をよく見ると、マーブル状の素材の模様が見て取れる。
なんかこういうの、二昔前くらいの玩具でよく見たような記憶があるなあ。
これでかなり落ち着いた色見になったのだが、やはり理想の色には程遠いと苦言を述べる方もおられるので、「これが決定版!」と唱えるのはやめておこう。
ただし、R&M版よりもかなりマシになっているのは、間違いない。
筆者は、当時でもそんなに違和感を覚えなかったのだが、今回ので深く反省しました、ハイ。
王蛇の上半身装甲は、新生装着変身シリーズとしては初の、上下分割構成になっている。
これは、かつて発売された「装着変身 仮面ライダーストロンガー」と似たような感じで、胸の下側を包む装甲を先に装備させ、その後、肩〜胸までの一体式装甲を頭から被るのである。
肩アーマーの後ろ裏側に突起があり、これが胸下アーマー裏側の凹部に食い込むため、二つの装甲がずれる事はない。
大変画期的なのだが、結局、腕の可動率向上はほとんど見られず、若干よく動くようになったかな? と感じる程度の差しかない。
まっすぐに腕を上に伸ばすのは、やはり完全に無理だ。
だがこのパーツ構成のおかげで、襟周りにかなりのゆとりが出来ている。
そう、つまり…本編で王蛇がよくやっていた「ダルそうな首回し」が再現できる!
しかも、王蛇のマスクはかなり安定感があって外れにくいので、グリグリ回しても問題ない。
これは物凄く嬉しい事だ。
ベノサーベルは、今回もR&Mのものの流用ではなく、微妙に改修されたものが入っている。
パッと見は同じなのだが、グリップ付近の輪っか(ナックルガード)の形状が著しく異なっている。
今回の方が、いかにも武器という感じだ。
それ以外の部分は、R&Mとほぼ変わりない。
ちなみに装着版ベノサーベルは、R&Mのベノスネーカーの尻尾にしっかり固定する事が出来る。
このようなシッポ型武器の中で、ライアのエビルウィップだけが固定できなかったという理由は、いったい何なのだろう?!(ナイトは例外として)
ベノバイザーは、開閉機能付きになり、さらに大型化した。
なんと、ベノサーベルよりも長い!
R&Mのものも、あれ単体で見た場合は特に文句もなかったのだが、今回のような作りこまれたものを出されると、もう比べる事すら馬鹿馬鹿しくなってしまう。
それにしても、龍騎・ナイトとR&M組がバイザーパーツをそのまま流用していた事を考えると、このベノバイザーの新規造形はとても嬉しい事だ。
さて、今後続くゾルダや、はたまたいつか出るかもしれないタイガやオーディンがどうなるかも、気になるところである。
リュウガ?
あー、改修なんかとっくに諦めてます。
王蛇に付属するアドベントカードのミニチュアは、「王蛇ファイナルベント」「ソードベント」「ユナイトベント」の三枚。
残念ながら、ジェノサイダーのファイナルベントカードは入らなかった。
●問題点
実は、王蛇は結構無難にまとまっているため、先の色見や肩の可動の件以外、特にこれと言った大きな難点が見当たらない。
ただ、色味が正常?になったため、R&Mのベノスネーカーとの色の差が激しくなってしまい、とても関連があるようには見えなくなってしまった。
とはいえ、R&Mとの関連プレイバリューは本来考慮されていないだろうから、比較すること自体が間違いなんだけどね。
そういえば、よくよく見ると、なんだか王蛇の顔にシャープさが足りない気がする。
最初はかなり良い出来のように思えるのだが、じっくり見ているうちに、少しずつ違和感が大きくなっていくような気がするのだ。
別に、造形は悪くないのに。
実際に撮影に使われていた王蛇のマスクは、ゴーグル部分に細いラインの縁取りがある。
これのおかげで、あの独特の形状のフェイスが引き締まって見えていたのだ。
装着王蛇は、造形が整いすぎているためか、そういう「僅かに足りない要素」が目立ってしまっているのかもしれない。
だが、そんな細かなモールドを、こんな小さな装着変身に求めるのは酷だ。
なので、これも我慢するしかないのかなあ…などと思う。
R&Mの時は、装着変身よりもゴーグル一つひとつの幅が広く作られていたようで、表情がまったく違う。
ならばR&Mの方がいいようにも思えるが、妙に太すぎる首や色、また彩色されていない額のシグナルなどの問題点もあるので、結局はどっちもどっちのようだ。
せっかく開閉機能のついたベノバイザーなのだが、蓋?がやたらと外れやすいという問題があり、恐らくこれが一番神経に障るものだろう。
ベノバイザーの蓋は、杖の後頭部にぽっかり開けられた穴にあてがわれているだけで、パーツを滑らせるためのガイドや溝は一応あるものの、サイズが合っていないためにほとんど意味を成していない。
なので、ベントインを再現しようと思って蓋を開き、それを手で押し込むようなポーズを取らせようとすると「ぽろっ」と外れてしまうのだ。
これは、本当になんとかして欲しい。
開閉機能が付いてないよりは確かにマシなんだけど、いつかパーツをなくしてしまいそうで怖いよ。
…と、これで終わろうと思ったら、うちのスタッフのきょろら氏から、きつーい指摘が届いた。
「王蛇のデッキ、紋章の四方に有るはずの意匠がないじゃん!」
●総合評価
より豪華になって帰ってきた王蛇は、さすがに単体だとプレイバリューに限界があるためか、注目度を大きくガイに譲る結果になったようだ。
だが、こちらの方に魅力を感じるマニアさんも、きっと多いはずだ。
実際、R&Mよりも単体の豪華さは飛躍的に高まっている。
個人的には、もう少しメタリック感が欲しかったのだが、そんなに強く求めるつもりはない。
確実な仕事をこなしてもらって、大変満足というところだろうか。
パーツが外れやすいベノバイザーにしても、R&Mとは比べ物にならないくらい大型化して大迫力になっているし、細かいところに粋な気配りが成されている。
これは、早く三月発売予定のゾルダと対峙させて並べてみたいものだ。
龍騎・ナイトと続き、元R&M組ライダーも、確実に進化しているようだ。
装着変身ゾルダは、すでに手持ち武器が新規造形になるというアナウンスが出ている。
これが最終進化形になるか、はたまた、タイガやオーディンなどは、それを上回る意外な進化を遂げるのか、とっても気になってくる。
■総括
今後の装着変身販売スケジュールで、確定情報として述べられているのは、「仮面ライダーゾルダ」「仮面ライダーインペラー」「仮面ライダー響鬼」の三体で、いずれも三月に同時発売だ。
この時期は、他にもS.I.Cゾルダが発売されたりと、大変お財布に厳しい時期となるようだ。
二月のスケジュールは特にないようだが、また何かの再販が行われるのだろうか?
いずれにしても、これを書いている1月中旬現在、四月以降のラインナップがまったく聞こえて来ていないのが気にかかる。
なんとなくだが、龍騎系のみならず、555系もブレイド系も、後を続けるのがなんとなく難しそうなものしか残っていないような感がある。
ましてブレイド系玩具は、今回致命的な売り上げ不振を起こしてしまったため、バンダイとしても、関連アイテムを出す事にためらいを覚えている可能性はある(確定ではないが)。
それでも、キングフォームくらいは出して欲しいんだけどなあ…あとワイルドカリスも。
まあ、それを言い始めると、他にも出して欲しいライダーは一杯あるんだけど。
とにかく、今後の装着変身シリーズの展開に期待していきたいと、真剣に思う。
さっき書いた「王蛇不人気」の話は、旧・玩具ありの「R&M王蛇」ページに理由を追記していますので、そちらを参照のこと。
残念ながら確定情報なので、「そんな事はない」と反論されても、申し訳ないが返答できませぬ。
ま、当時は筆者も信じられなかったほどの情報なんだから、びっくりなのはお互い様という方向で。
でも、やっぱり愛されていたよなあ、王蛇って…