基本ストーリー
山吹雪子(田中規子)、月子(現:石橋けい)、花子(広瀬仁美)の三姉妹は、十二支の1人:お酉様から、夫婦喧嘩の絶えない両親を仲良くすることと引き替えに1年間平和を守るよう命じられる。
本来、十二支は自分の担当する年の平和と幸せを守らなければならず、今年(酉年)はお酉様の番なのだが、カラオケに熱中しすぎたお酉様は酉年の平和と幸せを守ることができなくなってしまったのだ。
変身ペンダント:バルミラクルを与えられ、有言実行三姉妹シュシュトリアンとなった3人は、お酉様の使いであるフライドチキン男と共に酉年の平和と幸せを守るため、事件を解決していく。
傾向と対策
『シュシュトリアン』は、『美少女仮面ポワトリン』『不思議少女ナイルなトトメス』に続く変身美少女系で、不思議コメディーシリーズ最終作となった作品だ。
この3作は、いずれもふとした理由からいきなり平和を守るよう強要された主人公が、“正体がばれたらペナルティを受ける”という条件の下、正義の美少女戦士に変身してご町内の平和を乱す怪人(正に怪しい人が多い)と戦うというのがストーリーベースになっている。
この『シュシュトリアン』では、両親を仲良くさせてもらうことを条件に、三人姉妹がシュシュトリアンに変身して酉年の平和と幸せを守る勤めを負うという形になっており、一般人に正体がばれるとローストチキンになってしまうというペナルティが課されている。
タイトルは、フランス語で「可愛い」という意味の「chouchou」と「守(しゅ)」、トリオと「酉」を引っかけ、語尾に「アン」をつけたものだそうだ。
基本的なパターンでは、フライドチキン男がお酉様からの指令を持ってきて、今街で起きている怪事件を解決するよう命じて、雪子達が活動を開始する。
誰か1人が怪人を見つけ、バルミラクルに念じると、他の2人の頭に「コケコッコー!」と鶏の鳴き声が響いて事件が起きたこと、今どこにいるかなどが分かり、集結した3人は、バルミラクルを合わせて「雪」「月」「花」「シュシュトリアン!」のかけ声で変身し、鼓の音と共に白い薄衣をまとって現れる。
2クール目からは
- 雪子「乙女盛りに命を懸けて」
- 月子「風に逆らう三姉妹」
- 花子「花と散ろうか咲かせよか」
- 3人「有言実行三姉妹シュシュトリアン!」
と名乗りを上げるようになった。
変身後は、紅のバトンを使って戦い、初期必殺技は3つのバトンを合わせて花吹雪を起こすシュシュファイナル、後期必殺技は有言実行紅つむじ風。
紅のバトンが力の源であり、奪われると普通の女の子程度の力になってしまう。
また、毎回怪人を倒した後、
- 雪子「古人曰く『過ぎたるは猶及ばざるが如し』」
- 月花「『過ぎたるは猶及ばざるが如し』」
という具合にその怪人にちなんだ諺などを言い、フライドチキン男がその諺の意味を解説する。
たまに誰かの言葉そのものの時もあり、その場合
- 「ガガーリン曰く『地球は青かった』」
- 「『地球は青かった』」
などとなる。
こうして、シュシュトリアンが家電製品と自動販売機の戦争を止めたり、不景気でお年玉の額が減って粗末に扱われたお年玉袋を操る妖怪を懲らしめたりする、シュールな戦いが毎回繰り広げられた。
鷹羽は特に、後始末が面倒で使ってもらえないことに腹を立てて家出したジューサーが、家電製品と自動販売機の戦争に巻き込まれていくという21話『いじけたジューサー』が好きだ。
ピアノ線で吊られ操演で動く電気掃除機や電子レンジなどを蹴飛ばしてたりしてやっつけるシュシュトリアンのシュールさは、普通のヒーロー物とは違う世界を構築した番組なのだと再認識させてくれる。
この回では、事件解決後、ジューサーが自分を鍛え直すために修行の旅に出るのだが、ジューサーが滝に打たれているシーンがあって、
立派なジューサー、立派なジューサー、鍛え直して立派なジューサー、立派なジューサー
とお経のように唱えているのが印象的だった。
更に、ラストに修行僧のような服装で戸棚に戻っているジューサーを姉妹の母が見つけて「誰? ジューサーにいたずらしたの?」と言うオチが付いているところも素晴らしい。
また、最後の敵が“十二支に入れなかった猫”だったというのも、いかにも十二支絡みの作品らしくていい。
花子の同級生でカメラ好きの3人組の名前が、荒木、加藤、篠山と、それぞれ著明な写真家の名前を使っていたりと、名前の遊びも楽しい。
不思議コメディーシリーズに毎度出演している柴田理恵氏は、今回はETおばさんとして登場している。
なお、円谷プロの円谷一社長(当時)がこの番組のファンだったため、40話『ウルトラマンに逢いたい』では、東映作品だというのに、円谷プロ全面協力の下、巨大化したシュシュトリアンがウルトラマンと一緒になって、バルタン星人と巨大化戦を繰り広げるという凄いことをやっている。
このときウルトラマンに変身したのは、円谷プロの守衛のような立場で登場した黒部進氏演じる怪獣おじさんで、恐らくハヤタその人がこっそり地球に来ていたのだろうという含みを持たせた展開にしている。
この縁でか、石橋けい氏は平成7年放送の『ウルトラマンティガ』にシンジョウ・マユミ役でセミレギュラー出演しているほか、続く『ウルトラマンダイナ』『ウルトラマンガイア』にもゲスト出演している。
また、『ティガ』29話『蒼い夜の記憶』には田中規子氏もゲスト出演しており、直接対面こそないものの共演を果たしている。