『仮面ライダー龍騎』
第1話 誕生秘話
2002/2/3 放映
(Story)
2月4日夜、OL飯田恵が自室で鏡の中から現れたクモのモンスターに引きずり込まれた。
それを建物の外から察知した1組の男女。
男の方は、ビルのガラス面に向かう。
一瞬の後、男の姿は人間のものではなくなっていた。
翌朝、OREジャーナルの記者:桃井令子は、その事件を嗅ぎつけて恵のアパートに向かっていた。
恵の隣人から話を聞いていた令子は、興奮して駆け込んできた新人の城戸真司が大声を出したため、現場検証中の刑事に睨まれてしまう。
アパートの前で様子を窺っていた昨夜の男女は、「まだ中にいる」と今後の対応を話し合っていた。
恵の失踪は、半年ほど前から多発している謎の失踪事件同様“動機なし・目撃者なし・密室”という特徴を持っていた。
被害者同士には何の関連もなく、事件性も認められていないが、そこには何か秘密があるに違いないこの事件が、OREジャーナルの次のテーマとなった。
「謎の失踪事件」という言葉に燃える真司に、令子は事務所で失踪事件の被害者リストに目を通すよう告げて恵のアパートへと向かう。
真司は、被害者の1人榊原耕一のアパートが事務所の近所だと気付き、コンビニに行くと嘘をついて榊原のアパートを訪ねた。
そこで、何かのカードが入ったケースを拾った真司は、耳鳴りを感じ、ブラインドの壊れた窓を開けてベランダに出た。
すると、向かいのビルから巨大な龍が飛び出して真司の方に向かって来て、何かにはじかれるように戻っていった。
そして、真司もまた部屋の中に吹き飛ばされた。
真司は令子を呼んで大家と割れた窓ガラスの弁償について話をしてもらうが、鏡に写った令子の首に白い紐が巻き付いているのを見付けて追い掛ける。
令子は、恵の部屋に行ったときにクモの糸を巻き付けられていたのだ。
令子を追い掛けた真士は、耳鳴りと共に何かの存在を察知し、駐車車両の表面に映っている巨大なクモのモンスターを見付けた。
そんな真司に、謎の女が走り寄り
あなたも仮面ライダーなの?
と問い掛ける。
そして、クモのモンスターが令子の車に近付いていることに気付いた真司が「令子さん、危ない!」と叫んだとき、手にしていたケースが輝いて真司の身体は脇の車に吸い込まれてしまった。
そして、再び車から放り出されたとき、真司の身体は暗青色の妙な姿(仮面ライダー龍騎ブランク体)になっていた。
敵が現れたことに気付いたクモはひとまず令子を襲うのをやめ、令子の車は動き出すが、状況の分からない真司は、クモから逃げまどう。
そこに謎の男(秋山蓮)が変身した戦士(仮面ライダーナイト)が現れ、真司を見て
驚いたな、まだモンスターと契約してないのか
と呆れたように言ってクモと戦い、これを倒した。
ナイトに説明を求める真司だったが、答える間もなく2人に先程の龍が襲い掛かる!
(傾向と対策)
さすがに第1話だけあって丁寧な作りをしている。
ほとんどCGで表現されていたクモのモンスターの動きも結構良かったし、歪んだり波打ったりする鏡面の表現もそこそこだった。
ミラーワールドの表現も、左右逆版という簡単な方法の割に効果的に裏返しの世界を表現している。
スーツアクターは大変だろうけど。
OPで、左右対称にものが映っているとき、無機物は左側に裏返しの像が移るのに、動物は左に変身後の姿(ライダー)しか映らず、魚や鳥、変身しない女性などの左側は空白なのは、鏡の世界では普通の生物は存在せず、人間は仮面ライダーになった状態でしかいられないということを端的に表しているのだろう。
この設定により、無人の街で戦うということに違和感を感じさせることなく町中で戦闘シーンを撮影することができるようになったわけだ。
鏡に限らず、ものが映り込む鏡面を持つものなら、車のボディでも窓ガラスでも出入口になるという自由度の高さも評価できる。
敵も味方も自在に出入口を見付けられるというのは、話の幅を広げてくれるからだ。
世界観もリアルな世界を維持しつつ、孤立した人知れぬ戦いを生み出しそうだし、暫く暖かく見守るとしよう。
そうそう、OPといえば、既に4人の仮面ライダーらしき男女が映っていた。
顔やカードが見えないようになっていたが、子供や女のライダーもいるということだろうか。
テレビ版の仮面ライダーで初めて歌詞に「仮面ライダー」の名が出てこないOPだけど、歌詞の中で
憎しみを映し出す鏡なんて壊すほど
なんて歌ってるから、一応内容とは繋がっているのかも。
でも、歌ってる松本梨香って声優の人でしょ? 龍騎に出演予定でもあるの? どういう関係で起用されたのかしら?
さて、真司が拾った龍騎のカードホルダーを持っていた榊原耕一は、あらゆる鏡面体から龍(ドラグレッダー)が襲い掛かってくるために、部屋中のガラスを新聞紙で覆っていたようだが、どうして自分自身が龍騎にならずに鏡の世界に飲み込まれてしまったのか?
今のところ共通点がないという被害者達は、本当にランダムに襲われているだけなのか?
まだ始まったばかりで、何も分からないのは当然のことだから、次回でどこまで基本設定が明かされるか期待しよう。
主人公である城戸真司の性格が少々かっとび過ぎな感が強いが、好奇心から巻き込まれていくという必然上仕方ないのかもしれない。
これからの成長に期待するしかないだろう。
でも、龍騎が走るとき、上体を起こして走っていたのは笑った。
いきなりヒーロー走りされてもリアルじゃないもんね。
一方、かなり以前から鏡の世界のモンスターと戦っていたらしいナイト=秋山蓮と神崎優衣は、どこまで事情を知っていて、何のために戦っているのだろう?
蓮と真司のこれからの関わり合い方も含めて、楽しみにしておこう。
画面が4:3というのは平成TVライダーの伝統として引き継ぐつもりのようだし、サブタイトルなしも前作に引き続きということのようだ。
この分だと、次回以降も正式なエンディングはなくて、戦闘シーンの挿入歌的な使い方になるのかもしれない。
取り敢えず、1話を見る限り期待してもいいような印象を受ける。
そうそう、令子の乗っていた車は、メルセデス・クライスラー(いわゆるベンツ)のスマートだったね。
2シーターのシティコミューターだけど、あまり売れていないらしい。
『ウルトラマンコスモス』のインサイトに続いて、マイナーな車を利用してるなぁ。
前作のGトレーラーに引き続き、また貰っちゃったのかな?
さて、今回の見所は“鏡の中から戻された恵の髪留め”だろう。
服は戻ってこないのだから、肉体以外はいらないという趣旨ではないだろうし、プラスチック系のものをほかに身に付けていなかったわけでもあるまい。
どうしてあれだけ返してよこしたのかしら?