『仮面ライダーアギト』
第6話 悲しき妖拳 
2001/3/4 放送

(Story)

 蛇怪人オス(アングィス・マスクルス)を階段下に叩き落とし、メス(アングィス・フェミネウス)と戦う青いアギトだったが、フェミネウスは突風を起こして逃げ去った。
 幸い軽傷で済んだ真由美は、警察病院に一晩入院することになり、そこで父の死を知らされる。
 駆け付けた涼は、悲しむ真由美を見つめていた。
 そしてG3チームでは、2度までも危機を救ってくれたアギトを、味方と認識することにしていた。
 
 氷川は退院した真由美を訪ね、父親に特殊な能力はなかったかと確認するが、真由美は心当たりがないと答える。
 手掛かりを得られずに帰る氷川の前に現れた北條は、片平家以外の人間がアンノウンに襲われたことを告げた。
 そして、氷川が半年前の『あかつき号事件』の英雄であり、その封印すべき事件のことを秘匿するための口止め料として、氷川がG3の装着員に選ばれたのではないか、とも…。
 
 傷心の真由美が涼と会っている最中、再びマスクルスが真由美を襲った。
 護衛の北條らに守られて逃げる2人だったが、行く手にマスクルスが立ちはだかる。
 真由美を逃がすために1人でマスクルスに立ち向かった涼は、空中に放り出された。
 落下してきた涼は真由美の目の前で空中停止し、異形の姿に変貌してから地面に落ちたために助かったが、それを見た真由美は怯えて逃げてしまった。
 夜。真由美に電話した涼は、「あれが、俺が水泳をやめた理由だ」と告げる。
 普通の人間の身体ではなくなってしまったのだと。
 真由美は、そんな涼を
   同じじゃない、あなたも。あたしを襲った奴と。
   私を巻き込まないで。
   全部あなたのせいじゃないの!?
   お願いだから、私を巻き込まないで!
 
   ごめんなさい…。私には、無理だから…。
と言って拒絶した。
 
 そして真魚と翔一が、実家に戻ることになった真由美を見送りに行く途中、またしてもアンノウン出現の報が入り、真由美を護衛していた氷川は現場に向かい、翔一も気配を察知して駈けだした。
 アギトがフェミネウスと戦っている時、再びマスクルスが真由美を狙おうと現れるが、その時「いい加減にしろ!」と声がした。
 マスクルスを呼び止めた涼は
   二度と真由美には触らせない
  二度と真由美の前には立たせない

と言い放ち、自らの意志で異形の姿に変わった。
 熾烈な戦いの末、踵の刃でマスクルスを葬りさったギルス=涼は、真由美の乗った電車を見つめ「さよならだ、真由美」とつぶやいた。
 
 一方、フェミネウスのムチ攻撃に苦戦していたアギトは、G3の援護射撃で体勢を立て直し、青い姿に変わってナギナタで戦う。
 手傷を負ったフェミネウスは、またしても突風を起こして逃げ去った。
 
 その夜、相変わらず三雲を見守っている謎の少年の前に現れたフェミネウスは、少年に助けを求めるが拒否され、三雲の腹に右手を突き立てた。
 そんなフェミネウスに、少年は
   死ね
   自らの手で
とつぶやく。
 そしてフェミネウスの右手は、彼女の意志を無視して自らの腹をえぐり、そのまま死んでしまった。
 
 
(傾向と対策)
 なんとびっくり。
 警察は、父:片平久雄の死を真由美に知らせないまま彼女を監視していたのでした。
 いいのか!?
 真由美がその後2日間くらい東京に残ってたのは、父の死体が解剖に回っていて、葬式ができなかったせいだろうけど、その後、氷川に代わって北條が護衛についていたのは、別の人間が犠牲になったことで、彼女が再び襲われる危険性が下がったためと思われる。
 だから、再び真由美がマスクルスに襲われた後は、氷川の護衛に戻ったんだね。
 でも、氷川はやっぱりG3ルームで待機してる方がいいんじゃないのかな。
 出動のタイムラグを減らすためにも。
 生身ではどうせアンノウンには勝てないんだからさぁ。
 それにしても、アギトを援護して借りをちょっと返したことだし、G3も強くなってきたね。うんうん。
 
 さて、涼の秘密を知った真由美は、完全には涼を拒絶しなかった。
 最後に言った「ごめんなさい…。私には無理だから…」という言葉は、“涼を受け入れてあげたいけど、怪物に父を殺された直後で、怪物になった涼を受け入れることはできない”という意味であり、味方面をしてあっさり裏切ったコーチの拒絶とは根本的に異なる。
 これによって、涼は少しだけ救われたのだ。
 そして、だからこそ、真由美を守り抜きたいと思い、そのための力としてギルスの姿を受け入れたのだ。
 トンネルの中で、涼の脇に歩み出てくるギルスは、涼が自分の中のギルスの力を受け入れ、自らの力として振るう決意をしたことを描写している。
 この時涼は、“人間の身体でなくなってしまった”ことを悲しむのをやめ、真由美を守る力として受け入れた。
 涼は“仮面ライダー”としての試練を乗り越えたわけだ。
 
 口を開いて吼えるギルスはなかなかかっこいいのだが、口の中まで見えるという構造上、着ぐるみのマスクは作られなかったようで、口を開けたシーンとその後敵に襲い掛かるシーンとのギャップが生まれている。
 アップ用以外にも口の開いたアクション用マスクを作ってあれば、口を開いて吼えたシーンから敵に飛びかかるシーンを違和感なく繋げるのではないだろうか。
 それと、もうちょっと泥臭いアクションでもいいかな。
 今回ギルスについて持った不満はその程度で、見応えのあるアクションだった。
 今後にも期待、だね。
 
 ところで、OPでの氷川の映像は、半年前の『あかつき号事件』の時のものだったらしい。
 行方不明者1名というのが翔一なのは間違いないとして、その時翔一の身に何があったのかが今後の興味というところだろうか。
 オーパーツといい、翔一の過去といい、次回予告にあった真魚の父の死のことといい、えらい勢いで、しかも大した盛り上げもなく謎が解き明かされていく様には、かなり面食らっている。
 設定を使い捨てにしてないかい?
 ちゃんとオチつけてよね。
 
 さて、真由美の家にお見舞いに行った翔一は、真由美が氷川に礼を言ったところで
   いやー、気にしないでください
と返して氷川から
   なぜ君が返事をするんです
とうるさがられていたが、実際助けたのは翔一だ。
 正体不明のヒーローのリアクションを笑いのネタとして使う辺りは好みが分かれるところだと思うが、鷹羽はこういうの好きだ。
 なにしろ前回アギトは、倒れている真由美をちょっと見てから戦い始めているしね。
 しかも、翔一は帰り際に
   ちゃんとあなたを守ってくれる人がいますから
と言っているのだ。
 勿論、翔一は「僕が守りますから」という意味合いで言っているのだが、実際には真由美を守る人とは、ギルス=涼のことだったりする。
 この辺の意味づけもなかなかだ。
 
 で、うちの掲示板で流行っている“小沢語録”だが、今回は、アギトが以前G3を攻撃したことを指摘した尾室に対して
   あなた、いつまで過去のことを根に持ってるのよ、男らしくないわね
   あー、うるさいうるさい
   2度も助けて貰ったら、味方に決まってるでしょ!
とやっている。
 えらくシンプルな行動パターンをしてるね。好きだな、こういう奴。
 で、「男らしくない」まで言われた尾室君は、アギトの正体を知りたいという小沢に
   名刺交換でもしたらどうですか?
とボソッと言うのだった。
 いいアイデアだ。是非やって貰いたい。
 翔一の性格なら、次回までに名刺を作ってきそうだ。
 
 で、アンノウンの謎の仕草、右手の指を伸ばした前で、左手の2本指を動かす仕草は、どうやら特殊能力を使うためのポーズであると思われる。
 ワープホールを開く時も、突風を起こす時もやっているしね。
 あれが「間違いない。こいつだ」という意味の手話だという説もあるらしいので、ちょっと調べてみます。
 で、ホムンクルス1号(仮名)君がフェミネウスに「死ね。自らの手で」と言った時、フェミネウスの意志に反して手が動いたということは、『強殖装甲ガイバー』の獣神将が獣化兵に絶対的命令権を持っているように、少年は怪人の肉体を完全に支配できるということなのかな?
 三雲が死んでしまったのかどうか、心配ではあるけど、彼女、ホムンクルス1号の存在に気付いちゃったからなぁ。殺しちゃったかもね。
 でもさ、三雲って、2日間も何うろついてたわけ?
 あと、誰の目にも触れないところでひっそり死んだフェミネウスは、警察の公式記録上は“蛇型のアンノウンの1体は逃亡し、行方不明”ということになるんだろうね。
 2話での関口姉といい、今回の真由美やおっちゃんといい、今後また狙われなきゃ嘘って気がするけど、どうでしょ。
 
 さて、今回の見所は、本気で上層部に意見しに行った北條だろう。
 いやー、行動力あるね。
 やっぱりこうでなくっちゃ。
 しかも、真由美と涼を逃がす時の彼は、非の打ち所のない警察官だった。
 口ばっかりじゃないってのも重要な要素だよ。
 理屈に合わないことばっかりやってると、単なるひがみ屋の憎まれ役で終わっちゃうからね。
 
 あと、外せないのは、やっぱりバイクを取りに一旦家に帰ってた翔一だろう。
 前回、駈けだしていったと思ったらトルネイダーで走ってきたから、てっきり靴がトルネイダーになったと思ってたんだけど、バイク取りに戻ってたのか。
 残念だ。
 


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