『仮面ライダーアギト』
第1話  【戦士の覚醒】
2001/1/28 放送

(Story)

 台風が去った後、岸に流れ着いた謎の物体。
 幾多のダイヤルが付いたそれは、未確認生命体対策班オーパーツ研究局に運ばれた。
 数種類の方法で制作年代を調査した結果、“古代って言葉じゃ足りないくらいの年代”のシロモノであることが判り、研究局ではコンピュータを使ってダイヤルをセットすることを試み始めた。
 
 一方その対策班では、強化装甲服G3システムの最終テストが繰り返され、実用化まであと僅かという状態になっていた。
 
 そんな時、文京区の大葉中学で男子生徒が木にめり込んで死んでいるのが発見された。
 人間業とは思えない死体の状態に、G3ユニットの装着者である氷川誠は、未確認生命体の仕業ではないかと考える。
 翌日、今度は死んだ生徒の父親が、同様の形で殺された。
 それと時を同じくして、記憶喪失の青年:津上翔一は耳鳴りと苦痛を感じ、バイク事故から軌跡のカムバックを遂げた水泳選手:葦原涼は、全身の筋肉をケイレンさせて意識を失った。
 
 死んだ2人の自宅を訪れ、1人残った佐伯安江から事情を聞こうとした氷川は、現場の刑事と衝突しながらも、安江に連絡先を教え、何か思い出したら連絡するよう頼む。
 その夜、安江から殺された夫のことで心当たりがあると呼び出された氷川だったが、既に安江も殺されており、その犯人と思われる赤いマフラーをしたヒョウ顔の謎の生物に襲われる。
 G3システムの出動を依頼した氷川は、G3ユニットを装着してヒョウ顔の怪人と戦うが、まるで歯が立たない。
 ボディに大ダメージを受け、戦闘不能になったG3にとどめを刺そうとするヒョウ顔の怪人の前に、もう1体の怪人が現れ、ヒョウ顔の怪人にキックを浴びせて爆死させた。
 物陰からその怪人を見つめる、青いマフラーと黄色のマフラーをした2体のヒョウ顔の怪人。
 その内の1体は「アギト…」とつぶやいていた。


 
 
(傾向と対策)

 さてさて、『仮面ライダー30周年記念番組』の名を冠して、遂に始まった『仮面ライダーアギト』。
 第1話の今回は、OPもEDも、果てはサブタイトルすらないという凄い構成だった。
 EDテロップにOPとEDのデータがあったから、次回からはちゃんと普通にやるんだろう。
 ついでにサブタイトルも付けて欲しい。こういうの書きにくくなるから。
 
 翔一と涼は、どうしてヒョウ顔の怪人が活動するたびに苦痛を感じているのか、事故前よりタイムを縮めた涼のカムバックの秘密、失われた翔一の記憶に隠された謎、オーパーツの発見と怪人の登場の因果関係、怪人が活動する際頭上に輝く天使の輪モドキ、佐伯安江が言っていた“夫の死の手掛かり”。
 最後に登場したアギトの変身のシステムとそれらの謎との関わりなど、謎を振りまいた1話だった。
 
 G3のシステムは大変面白い。
 CMではきっちり「仮面ライダーG3」と呼ばれてたんで、初めての“ただの人間”仮面ライダーということになるんだろう。
 ライダーマンでも、一応右手は義手だったからなぁ。
 『特警ウインスペクター』のファイヤーの時のヘルメットよりも進化した(CGがちょっとチャチだが)ヘルメットシステムと言い、1人では着ることもできない不便なシステムと言い、今後の活躍が楽しみだ。
 今回はまるでいいとこなしだったが、まだ未完成品、これから徐々に強くなっていくんだろう。
 そのうちバージョンアップしてG4になったりして。
 バックアップシステムのGトレーラー、G3が見たものを映し出すモニター、背中に背負ったバッテリーボックス、オンロードタイプになったもののアクセラーシステムを継承しているガードチェイサーなど、装備も充実していて楽しい。
 ガードチェイサーのセンターライト位置にパトライトがついてるという、あのセンスもいいね。
 正面にデカデカと書いてある『HONDA』の文字はいただけないけど。
 やっぱ日本製のバイク使うとこうなるのね。
 それにしても、Gトレーラーを呼んでからガードチェイサーが発進するまでに20分以上かかるってのは、どうにかならないだろうか。
 氷川を待っていた安江の時計がPM8:50、氷川が到着したのがPM9:00ころとして、ガードチェイサーの発進が21:23、つまりPM9:23だ。
 いや、リアルな展開としては早い方だと思うんだけど、ヒョウ君が10分以上何の芸もなく道路を走って逃げてたのかと思うと、目頭が熱くなってしまう。
 
 もう一方の雄、アギトだが、どうやら当分の間は謎の第3勢力という状態をキープするつもりらしく、ふらりと出てきて一言もしゃべらずに敵を倒してしまった。
 その時G3のモニターが死んでたのは、アギトの姿を記録に残さないためだろう。
 次回予告で、氷川が「自作自演」とか言われてたのも多分そのせいだ。
 角が開く都合上、角が大きすぎて頭でっかちに見えるのが難点だが、ボディはなかなかスマートなデザインだし、アクションもシャープでかっこいい。
 名前の「AGITΩ」は、ギリシャ文字で“A toΩ(アルファからオメガ)”という意味を持たせているんだろう。
 つまり、“始まりと終わり”を併せ持つ名前なのだ。
 本編最後の枠に「A」と「Ω」が出てるのはそういうことなのだ。
 角が開いた途端、足下に浮かび上がるアギトの紋章と、それが両足に収束した後でキックに入る見せ方といい、今年はなかなか色気のある戦いが見られるようだ。
 ドラマとアクションの両立という『クウガ』が目指さなかった世界、そして『クウガ』に満足できなかった人達が求めてやまない世界が生み出される予感がある。
 今回は空中回転なしのキックだったけど、そのうち回転入るのかな? 今後が楽しみだね。
 
 さて、クウガでもおなじみだった名前遊びだけど、今回は城北大学ですか。
 『仮面ライダー』第1話段階では、本郷猛の母校は城北大学だったんだよね。
 当然、狙ってんだろーな〜。
 
 で、氷川にイチャモンつけてた所轄の刑事君、ちゃんと氷川に敬語使ってんのね。
 気に入らないけど、一応階級が上だからってことなのかな。
 「未確認生命体対策班ですが、現職の警察官でもあります」って言われた途端、嫌そうに「邪魔にならないようにしてくださいね」って言う辺りがナイス。
 でも氷川君、夫と子供を連続で失った人を問い詰めちゃだめよ。
 それから、いくら呼び出されたからって、人気のない場所で待ち合わせるのも不可。
 落ちてるバッグを素手で物色するのも関心しない。
 もうちょっと頑張りましょう。
 
 それと、これだけは言っておかなきゃならないんだけど、『アギト』の世界設定っていつなわけ?
 噂では『クウガ』の2年後とかなってたけど、今回、城北大学のキャンパスには
   2001.2.
の文字が…。
 何かの催しの予告用看板だったから、物語世界では1月末〜2月前半ってとこだろう。
 クウガとダグバの最終決戦が2001.1.30だから、良くてクウガの最終決戦直後、下手するとまだダグバが生きてるころってことになる
 当然未確認生物関連事件合同捜査本部は解散してないし、一条もまだ東京にいる時期だ。
 あんな事件があったら、グロンギの生き残りかもしれないから、直ちに杉田達が飛んでくはずだけどなぁ。
 あの看板には『城北大学』って書いてあったみたいだから小道具なんだろうし、単なるミスとは考えにくい。
 もしかしたらクウガの続編じゃないのかな?
 
 さて、主に本編と関係ない部分を取り上げる『今回の見所』のコーナーに行ってみよう。
 今回の見所は、美杉義彦教授の表情だ。
 翔一が夕飯を作ると聞いて、「また…君が作るのかね?」と言ったその後、横を向いた教授の右眉がピクピクと引きつっている。
 よっぽどまずい料理なんだろうねぇ。
 
 もう1つの見所は、G3に向かって車を押したヒョウ顔の怪人が、車を押す直前に口から白い息を吐いてること
 わざとにせよ、偶然にせよ、ちゃんと口から息が出てるのは凄い。
 生き物らしくていいね。
 
 そうそう、息と言えば、プールに沈んでた涼の肺活量ってどんくらい?
 あの泡の量からして、普通の人の4倍くらいはありそうだけど。
 
 てなわけで、来週もこのコーナーをよろしく♪
 
PS CMで、アギトの変身ベルトの『coming soon』に笑っちゃった。
  ご丁寧にモザイクまでかけて…。



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