欲しいものあれこれ8 
欲しければ自分の手で掴み取ってみせろ!

鷹羽飛鳥

更新日:2015年9月12日

 ずいぶん前になりますが、このコーナーで「目とカラータイマーが光るウルトラマンが欲しい」というようなことを書きました。
 夢と言うにはいささかアレですが、なんだか手が届きそうな雰囲気になってきました。

 事の発端は、1年半ほど前、某中古オモチャ屋さんで、身長30cmくらいのティガの人形を手に入れたことでした。

 ジャンク品として300円で売られていたこのティガは、目とカラータイマーの部分がクリアパーツでできており、光るギミックがあるのではないかと思われたのです。
 液漏れくらいなら簡単に復活するだろう、ダメでも安いし、造形もかなりのレベルだし…と安直に考え、買ってきました。

 家に帰って電池ボックスを開けてみると、やはり液漏れでした。
 端子を磨いて電池を入れてみると、「ピポッ」と音がして無事電源が入ります。
 背中のボタンを押すと、掛け声やフォームチェンジ音がしますが、目もカラータイマーも光りません。
 分解してみると、胸にはLEDが1つだけ、頭部にはよく分からない何かが1つ…。
 頭部の方は、線が3本あるので、LEDではないようです。
 胸のLEDに直接電池を繋ぐと、赤く光りました。

 どういう商品だったのか分からず、時々いじりつつも仕組みを解明できないまま1年。
 ふとしたきっかけで、このティガ人形が『装填トリプルサウンド ウルトラマンティガ』という商品だと分かりました。
 本来、ガッツハイパーガンとスパークレンス、ティガ人形の3つがセットになっている商品です。
 電池ボックスがハイパーガンのカートリッジ型をしていて、ハイパーガンにセットして引き金を引くと射撃音が鳴り、一定回数射撃すると、「キン!」と音がして「カチッカチッ」と弾切れ音が鳴るようになります。
 それから電池ボックスを抜いてスパークレンスの握り部分に入れ、スイッチON状態のティガ人形に向けてスパークレンスのスイッチを押すと、スパークレンスから赤外線信号が発射され、ティガ人形から変身音が鳴るのです。
 その後も、スパークレンスのスイッチを押すたびに掛け声やフォームチェンジ音が鳴り、何回目かでカラータイマーが点滅して点滅音が鳴ります。
 更にもう1回押すと光線発射音、もう1回押すと戦闘後に空に飛び上がる時の掛け声がして終了です。

 つまり、このティガ人形の頭部に収まっていたのは赤外線の受信センサーで、カラータイマーは赤点滅オンリーだったのです。
 この商品は、『ウルトラマンガイア』放送終了後の2000年に、ティガ、ダイナ、ガイアの3種類が発売され、いずれも銃を規定回数撃った後、電池ボックスを変身アイテムに入れ、人形に向かってスイッチを押すと人形から変身音、格闘音、点滅音などが鳴るというものでした。
 ティガの目がクリアなのは、赤外線を透過させるためだったわけですね。
 これの発売時期は、ちょうど『タイムレンジャー』のブイレックスが発売されていた頃ですし、バンダイが赤外線ギミックに凝っていた時期なのでしょう。

 ものが分かれば、後は探すだけ。
 時間は掛かりましたが、無事スパークレンスもハイパーガンも手に入りました。
 別々に、ジャンク品として。
 なにしろギミックの都合上、ハイパーガンは数発撃つと弾切れして復活しない上、スパークレンスは音も光も出ないという、単体ではジャンク以外の何者でもないような仕様なので、ジャンク品を探すと意外と見付かるものです。

 このティガには、目を光らせるだけでなく、青点灯→赤点滅の回路も仕込みたいのですが、方法が思いつきません。
 ともあれ、構想を練るためにも、白と青のLEDを買ってきました。
 早速ティガの顔の内側から白のLEDを光らせてみると…白すぎました。
 一応、本物のティガの目は白っぽく光るのですが、あれは目のパーツの中で乱反射する中で生まれる色ですからねぇ…電球色で買い直さないと。
 青の方は、いい感じです。
 5個セットだったので、1個はボールチェーンマスコットのティガにでも仕込むことにしましょう。

 このマスコット・ティガ、頭部後ろのボタンを押すとカラータイマーが光るのですが、なぜか赤で点灯するのが気に入らなかったんですよね。
 バラしてみると、ボタン電池2つがボディの中に縦に互い違いに横に並べられていて、前面側の+と−にLEDの足をそれぞれ触れさせ、背面側にはバネ状の端子が+にだけ触れていて−側では少し浮いています。
 これでボタンを押すと、浮いていた端子が押されて通電し、LEDが光るという仕様です。

 ハンダ付けされた場所など1つもなくスイッチも不要の、なんとも単純かつ省資源化された構造でした。
 ガシャポン系などの“ボタンを押している間だけ光る”アイテムはこのようなバネ状端子を利用しています。
 よく考えられていますねぇ。
 ちなみに、去年食玩で出ていた目が光るウルトラマンのシリーズでは、バネスイッチ構造ではありますが、ハンダ付けされていました。
 消費電流の少ないLEDなのに電池を2個も使っているのは、3V程度の電圧が必要だからです。
 LEDは、電流の消費は少ないけれど、電圧はそれなりに必要なんです。

 それにしても、どうしてこの装填トリプルサウンドではカラータイマーは赤点滅しかしない仕様なのでしょうか?
 真っ先に思いつくのは“当時青色LEDが開発されていなかった”という可能性ですが、よくよく考えてみると、同時期発売の『ウルトラの星計画 ウルトラマンティガ』には、青のLEDが使われています。
 青点灯から赤点滅への回路の切替がコストに響くから…でしょうか。
 LEDは、発色によって消費電流量が違い、青と白は他の色より消費電流量が多いそうですが、さすがにそこまで極端じゃありませんしねぇ。
 ちなみに、ウルトラの星計画シリーズでは、電池が消耗してくると、まず青のカラータイマーが暗くなるのですが、それは赤より青が消費電流量が多いからなんですね。
 この動画を見てください。

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 ちょっと呆けてますが、赤いLEDと白いLEDが交互に光っているのが分かりますか。
 これはスイッチで切り換えているわけではなく、白いLEDの足(電線部分)に赤のLEDの足を触れさせているだけなのです。
 足同士を触れさせることによってLEDが並列に繋がれた形になりますが、白と赤を同時に点灯させるだけの電流が流れていないため、より消費電流が少ない赤の方だけ点灯するのです。
 赤の足が外れると、本来の白だけになるため白が点灯し、また赤を触れさせると赤だけが点灯する、というわけです。
 元々は違う目的でやった実験の結果だったのですが、消費電流量の違いがこんなに如実に表れるとは思っても見ませんでした。
 一度やってみることをオススメします。
 乗っ取られちゃった白が哀れで笑えますよ。

 さて、その後、同じくジャンクでトリプルサウンドシリーズのガイア人形が手に入りました。
 これもまた単体でジャンクとして売っているのを、スパークレンスでギミックが使えるだろうと思って買ったのですが、残念ながら、ティガとガイアでは信号のパターンが変えてあるらしく、反応しませんでした。
 折角買ったので、ティガ改造の練習として、ガイアの目とカラータイマーを光らせてみることにしました。
 なお、ガイアでは「パワーゲージ」というのが正式ですが、面倒なのでここでは「カラータイマー」で統一します。

 赤点滅の回路を別途仕込むのは面倒なので、まずはスイッチを入れると目とカラータイマー(青)が光るようにしましょう。
 後日エスプレンダーが手に入ったときのために、ギミックは殺さない程度に改造し、電球色のLEDを頭部に、青のLEDを胸に内蔵しました。
 ハンダ付けなんて、中学校の科学部でラジオとか作っていた頃以来です。
 幸いというか、この人形は背中のボタンを押せば格闘音は鳴りますから、光る鳴るギミックの完成です。

 おお、なかなか格好いいじゃないですか。

 では、肝腎のティガの方もいじるとしましょうか。
 青→赤の切換回路はまだ思いつかないので、取り敢えず目だけ光らせましょう。

 …うーん。
 左目に不自然な影が出来てますね。
 ガイアでは、赤外線受光部が後ろの方だったので気になりませんでしたが、ティガでは左目のすぐ後ろにあるから、LEDの光をそこだけ遮っちゃうんですね。
 巧く何かで反射させて光を回り込ませることが出来ればいいんですが、下手に受光部の近くに何かを置くと赤外線を遮ってしまうかもしれません。
 仕方ありません、ここまでですね。
 そのうちいい考えが浮かんだら、また手を加えましょう。

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 さて、と。
 青色LEDは、5個セットだったので、まだ3個余ってますね。
 実は鷹羽、アグレイター(ウルトラマンアグルの変身アイテム)も持っているのですが、あれ、青い半透明カバーの下のLEDが黄緑色なもんで、光らせると違和感あるんですよね。
 折角だから、取り替えましょう。
 黄緑と青だと必要電流量が違うので心配でしたが、問題なく光ってくれました。
 満足満足。

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 そういえば、白のLEDの使い道がありませんね。
 はっ? 何故か手元にリーフラッシャー(ウルトラマンダイナの変身アイテム)が…。
 そういえば、こいつも白く光るべきなのに黄緑に光るんでした。
 これはもう、改造しろと誰かが囁いてるに違いありません。

 なんかもう、あっさりと…。
 長年の不満が一気に解消されちゃって、どうしましょう。

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 調子に乗った鷹羽は、遂に、30年来の懸案だった“光る!回る!変身ベルト”のレストアに乗り出すことにしました。
 以下次号。

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